「ほめる技術、しかる作法」(伊東明)PHP新書より
この本は、ビジネスの現場を想定して書かれている。
それを学校現場に当てはめて考えていく。
しかるのが難しくなっている。これは、1でも書いたように状況が難しくなっているからだ。
しかし、しかり方を学んでいないのもたしかである。
しかるには、次の態度が必要。
1)「どんなときに」「なんのために」しかるかを明確にする。
4月の学級開きの時に、担任として、基本方針を明確に話す。
私がしかるのは、次の時だと。
1)命に関わるとき
2)何度言われても直そうとしないとき
3)友達を馬鹿にしたり、いじめたり、下に見たりしたとき
1は、言わずもがな。学校は安全な場所でなければいけない。
2は、態度を問うている。直しなさいではなく、直そうと努力しないときにしかる。
3は、差別である。人としての尊厳を守る。
宿題忘れなどは、2に入る。
しかし、なぜ忘れるのかを家庭環境とともに考えていくことが必要。
ある子が、ノートがぐちゃぐちゃになって宿題をしてきていないときがあった。
その子は、よく宿題を忘れる子どもだった。
しかし、小さい赤ちゃんが生まれたばかりの家庭だったのだ。
9人兄弟の家庭もあった。
ずっと一日中テレビがついているような家庭もあった。
「いつ」「どこで」「どんな風に」宿題をしているのかを知ることから始める。
必要ならば、親とともに宿題の意義を考える必要もあるかもしれない。
子どもは、親が「言った」ようには育たないで、親が「している」ように育つ。
2)「どんな風に」しかるかをイメージする。
しかるときは、感情的になりがちである。
それで、失敗をたくさんしてきた。イメージトレーニングをしておくとよい。
『しかる際に大切なのは、相手の非をあげつらうことではなく、問題があることを相手に認識してもらって改善を促すこと』
だからである。
基本の手順は次である。
1)まず相手の言い分を聞く。
※間違えてしかってしまうこともある。それを防ぐ。
2)相手の性格ではなく、行動をしかる。
※行動の修正をせまるのである。
3)次に失敗を犯さないための方法もセットでしかる。
※どうすれば良かったかを一緒に考える場合もある。
4)しかるのは、原則1対1。
※しかるのは、個別に。ほめるのは、全体の前でが原則。
5)目をそらさない。
※ノンバーバルなやりとりで伝わるものがある。
6)反抗的な子には、冷静に論理的にしかる。
※同じ土俵にたたない。理詰めで話をする。
7)考えさせ、成長させるしかり方。
※何が悪かったか失敗した原因とその影響を考えさせる。
※レポートさせることで文書に残す。
8)しかるときもアイメッセージで。
このように書いてきて、考えてみると
子どもとの信頼関係がないとできないことが分かる。
信頼関係を築くために何をするべきか。
それが、ほめる技術に隠されている。
しかって、相手に成長させるとは、とても難しいことだと認識して、学び続ける必要がある。