高2の秋…
長く伸ばし始めた僕の髪は
肩まで届くほどになってた
少し前に流行ってた誰かの歌に
髪が肩まで伸びたら結婚しようよ
そんなのがあって…
純粋というかオクテの僕は
○○ちゃんとの結婚みたいのを
頭の中でボンヤリと思い浮かべていて…
それだけで幸せだった
○○ちゃんも僕にシンクロするように?
髪を伸ばし始め…
もともと生まれつきの茶髪系で
ストレートの長いロングヘアーは
ますます○○ちゃんを魅力的に見せ…
そんな○○ちゃんと並んで歩きながら
みんなもこんな女の子と付き合いたいんだろうなと
半ば優越感に浸る想いを密かに感じていた
そんな想いとは別に
別に○○ちゃんじゃなくても
もっと可愛い子がいるんじゃないかと…
現に
肉感的な彼女以外にも
下級生とか何人かからのアプローチが…
それは○○ちゃんにも同じことが言え
ひょっとして僕以外のほかの誰かから
アプローチがあったのかもしれない
僕は全く知らないけど…
いま思えば
たぶんあったんだろうなと…
それでも
そんなことはおクビにも出さず
こんな僕と…
僕も肉感的な彼女からのアプローチなど
○○ちゃんには打ち明けることはなかったけど
ひょっとしたら
気づかれていたのかもしれない
なんとなくそんな気がする
というのも…
秋になって開催された
恒例の学校の文化祭
写真部だった僕は
2度目のデートで撮影した
○○ちゃんのポートレートを作品として出品した
憂いのある横顔の彼女が
想いに耽って遠くを見つめてる
そんな…
写真部の先輩からは
ポートレート撮るの上手いねと褒められたけど
それはたぶん撮影技術が上手いんじゃなくて
単にモデルが良かっただけだと
僕にはわかっていた
その文化祭で
僕は友達に誘われるまま
2つのフォークグループで
ステージに立つことになった
別にギターが上手いわけでもないし
歌が得意なわけでもなかったが
女の子みたいな長い髪の見た目が
いかにも音楽やってますよという感じで
調子に乗っていたから…?
同級生の中には
すでに地元では名を馳せた
ラジオ番組にも出演していたバンドがいて
彼らも同じ文化祭のステージに立った
ウッドベースとバンジョーとギターで…
たしかロックというか
エレキは許可がおりなくて…
都会の学校と違って
田舎ではまだまだそこまで…
(うるさいからか?)
一度そのバンドの
カーリーヘアの友人の家を訪れた時
彼の家には練習専用の部屋みたいのがあって
プロまがいのPAなどの装置が揃ってたのに驚いた
(いわゆる金持ちの坊ちゃん?的な…)
(コッチはギターと首にかけたハーモニカだけ…)
歴然とした環境の差に驚くとともに
フォークシンガーになりたいという
僕の甘い夢を簡単に打ち砕くことになった
プロになるヤツって
こんな感じなんだろうなと…
まぁ…
才能も技術もないのに
なれるとは思ってなかったけど…
それでも
そんな友人に誘われ
一度だけ某レコード店の2階の
ミニコンサートホールでのイベントにソロで出演し
オリジナル曲を数曲披露したことがあった
もう
かなり昔のことなので
詳しい経緯などは忘れてしまったが
クリスマス間近の日曜午後のミニコンサート
覚えてるのは
○○ちゃんに打ち明けてなかったそのコンサートに
どうして知ったのか
うす暗い客席の片隅に彼女の姿を見かけたこと
ステージを終えて
友人たちと緊張したとか
上手くいかなかったとか
そんな会話を交わした後○○ちゃんを探したが…
どこにも見えなくて
どうやら帰ってしまったらしく
ザンネンなようなホッとしたような
複雑な想いになったことをボンヤリと覚えている
というのも
彼女に後ろめたい気持ちがあって…
どうして
こんな大事なイベントを○○ちゃんに教えなかったのか
ほかの女の子たちには知らせていながら…
その時はまだハッキリとは感じていなかったけど
その頃から僕と○○ちゃんの間は
どことなく遠く離れていくような
そんな雰囲気がかすかに漂い始めていたのだと…
というより
遠く離れつつあったのは僕だけで…
僕の方だけ
目に見えないヒビが入り始めて…
いたのだろう…
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