道しるべの向こう

ありふれた人生 
もう何も考えまい 
君が欲しかったものも 
僕が欲しかったものも 
生きていくことの愚かささえも…

マボロシ…

2019-11-15 21:50:00 | 日記


後ろから足音を刻むピッチの気配

交差点を曲がったときは
確か誰もいなかったはず…

それでも聞こえてくる
足音の気配…

振り向こうかと思ったとき
不意に右側から現れた
大柄のランナー

速い!
あっという間に僕を追い越した

そのスピードもさながら
彼のスタイルにビックリ…

このクソ寒いのに
短パンから抜き出た長い脚

リュックを背負った上半身こそ
長袖シャツだったが…

短パンから抜き出た脚は
長いだけでなく
ふくらはぎからハムストリングまで
見るからに筋肉隆々…

そして
ジジイランナーより
ゆっくりとしたピッチなのに
とてつもなく長いストライド
バネのごとく弾んだフォーム

圧倒的に
素人のジジイランナーとは格違い

彼が鋼鉄のバネなら
ジジイは折紙のようなバネ?
まったく弾むことのない…

息絶えだえで走るジジイの
目を丸くさせるほどのバネ…

アラフォー…
いやアラフィフくらいだろうか?

脚の筋肉は
マラソンランナーのそれではなく
トレイルランナーだろうか?

まるで短距離選手?
或いは走り高跳び?

それもハンパないクラスの…

それにしても
平日の午前中
仕事は?

ハッキリとはわからなかったものの
僕よりも背が高そうだったのは
ひょっとしてガイジンさんか?

そうなのかも…
背の高さといい
脚の長さといい…

そんなことより
どこから走って来たのか?
どこへ向かっているのか?

ゆったり走ってるように見えたけど
あっという間に姿は小さくなって…

あのスピードなら
おそらくキロ3分台…
4分は軽く切ってる感じか?
キロ6分のジジイを風のように追い抜いて…

追い抜くときだけ
スピードを出したわけじゃないだろう
フォームがいかにもジョグそのもの…

やがて彼の姿は豆ほど小さくなり
僕の視力では判別できなくなった

マボロシ…
のように…





11月中旬の金曜日
雨上がりの午前中
ほんのわずかな時間での出来事

僕は覚えてられるだろうか?

一年後も…




生きていられれば…