at randomで行こう!

手当たり次第に読んだ本、食べ物、旅行記など兎に角好き勝手に話します。

祝!医龍・完結

2011-02-03 23:18:07 | 
『医龍』 乃木坂太郎著(23巻続刊、小学館)

 さて、先週、完結しました『医龍』
 ドラマ化されてましたが、実は、ドラマは、一切見てません!!
 つーか、見る必要があるのか??
 この漫画の凄さは、ドラマでするにはかなり難しいと思うのですが。
 『白い巨塔』より、性質が悪い人たちばかりだし。
  最初の評判は悪くなかったみたいですけれど・・・。
 でも、シリーズ化すればするほど、評価が下がっていくようで・・・何処も「相棒」のようにはいかんのですね。

 そして、祝!!加藤、教授就任!! 
 これに尽きます。

 『私はあの椅子(教授)にすわって、ここ(医局)を変えたいの!』

 彼女の明確でかつ強い意思、そして明晰な頭脳、強かな工作。
 加藤という女性を語るとき、何を言えばいいのか、と悩む部分もあるのですが・・・。
 やっぱり、18巻に尽きる、と思います。

 産婦人科の女医の妊娠。
 教授の息子の妻の妊娠。
 
 女性として『妊娠』というのは、仕事をしているとどうしても、難しい問題でもあるのです。
 それはそれで、かなり変だと思うんだけれど・・・。
 結婚して、子供が出来て、それを産み育てたい、というのは自然であるならば、それを『厄介』と思う、日本の制度はやっぱり歪があるとしかいいようがない。

 仕事をやめて子供を生むか、それとも仕事のために子供を生むことを諦めるか、揺れ動く女医。
 自分より何があっても子供を助けてくれ、という女性。
 その両極端な女性たちを加藤は、全て救おうとする。

 1人でも多くの人を救いたい。
 薬で治せないのであれば、新しい術式を考えて少しでも治したい。

『そうでなければ、女を捨てた意味がない

 加藤の生き様に、思わず背筋が伸びる。
 そして、加藤は、事故で肋骨が心臓にささった妊婦を助けるために、手術室に入る。
 その女性は、嘗て加藤が付き合い結婚したいとまで考えた男性の、妻だった。

『あの人の子供を生みたいのね』

 その言葉に、号泣しないでいられる女性がいるだろうか?(いや反語)

 何度見ても、この二つのシーンは、涙なくしては読めません。

 私は、加藤という女性がそれまで、ちょっとよくわからなかったんですね。
 天才外科医浅田の前に、微妙にかすんでいたような感じで。
 けれど、この姿を見たら、もう浅田はどーでもいいわ!となってしまいました・・・。
 だって、浅田はある意味完璧すぎるからな。
 突っ込みどころがない。

 また、天才麻酔科医師・荒瀬。
 そして、それ以上の才能をもちながらも、病に冒されたバウマン。
 この二人の麻酔科医の苦悩、そしてそれからの復活。
 医学というのは、多くの人々の命の犠牲と、様々な仕事を持つ人々の努力の上に成り立っているのだと、思います。

 バウマンが荒瀬に

『君は後進を育てているのか?』
『早くからそれをしないと、いつまでも僕のように、愚かな天才を演じ続けなければならなくなる』
 
 あぁ・・・痛い、胸が詰まる。
 天才はいる。
 けれど、その後進を育ててこそ、技術が生きる、多くの人たちが助かる。
 バウマンの、悲痛な叫びが、また荒瀬を動かすのです。
 
 この話はは、医局の権力闘争、歪み、全てを赤裸々に、描いています。
 研修医の伊集院がその中で、揉まれ、扱かれ、揺れ動き、戸惑い、悩み・・・
 それでも、何が患者さんにとって大切なことなのか、と考え、一歩一歩踏み出していく漫画でもあります。
 
 医学漫画が結構あるのですが、この『医龍』は1人の医者にスポットを上げながら、他の医者の葛藤を描いた作品でもありました。
 医学界の歪み、医師の不足。
 今後多くのことが、患者になるであろう我々にかかわってきます。
 変な医者も多いですが、大半の医者は、本当の患者のことを考えて、必死です。
 
 世の中、患者様、と言いますけれど・・・正直、私は気持ちが悪い。
 医者と患者は対等だとは思いませんから。
 どー考えても、医者の方が知識があるし。
 それを『消費』として考えているような気がしてならない。
 対等ではないけれど、目指すところは一緒。
 病気を治す、ということだけ。
 だから、お医者様、患者様って気持ちが悪い。
 医者と患者で、いいんじゃないか?
 そのほうが、フラットに近づけるような、気もします。
 
 
 医師を目指す方が、もしいらっしゃいましたら、是非『医龍』を読み、改めて医師とはなにか、と自身に問いかけてほしいです。
 
コメント
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