ヒッキーはつむじ風!!

ヒッキーが観て気に入った映画を、ブログで紹介します。

「銀河鉄道999」

2021-02-06 13:20:24 | Weblog
                    「銀河鉄道999」


監督・りんたろう
脚本・石森史郎
製作総指揮・今田智憲
音楽・青木望
原作・構成・松本零士
監修・市川崑
主題歌・ゴダイゴ『銀河鉄道999』

先日、Amazonの配信で、40年以上ぶりに、観てみました。

この作品が公開されたのが、1979年8月4日。
中学生だった私は、友達と連だって、映画館へ行った憶えがあります。
夏休みだったのかな。。
当時の田舎の映画館は、今のような「完全入れ替え制」ではなく、途中から入ってくるお客さんや、何回も観るお客さんもいたりして。。

たしか我々が入場したら、何とラストシーンのあたりで!
こりゃもうちょっと待って、最初から観ようということで、ロビーに出た(迷惑なマナー違反でスンマセン(+o+))のを憶えております。
その時にチラと中を見たのですが、お客さん、立ち見の方も大勢いて、999の人気のスゴさを垣間見たヒッキー少年でした。。


ストーリーとしては、機械伯爵の「人間狩り」で、母親を殺された主人公・星野哲郎が、その復讐のために、「自分も機械の体になろう」と、メーテルという謎の女性と共に、宇宙を走る「銀河鉄道999」に載って、機械伯爵がいる「時間城」を探して旅をする・・という感じです。

途中、土星の衛星「タイタン」で、トチローの母親から帽子とマントと、機械人間を倒せる唯一の銃である「コスモガン」を譲り受けます。

そして哲郎は宇宙海賊・クイーン・エメラルダスやキャプテン・ハーロックなどの援護も得て、トチローにも会い、機械城が、惑星ヘビーメルダーにあるトレーダー分岐点に現れることを知ります。


この「機械城」での復讐の戦いを終えた頃、哲郎の考えに変化が訪れます。
それまでは、「機械の体になれば、永遠の命を手に入れることができる」という認識だったのが、途中に999が停車した冥王星の氷の墓の一件や、この「時間城」での機械人間との戦いを経験して、
「機械の体なんていらない。限り有る命だから、人間はいいのだ。機械の体をタダでくれるという999の終着駅の星を、自分が叩き潰す」
という認識になります。。。

哲郎にとって、ひとつ気掛かりなのは、時間城での戦いに加勢してくれたアンタレスが遺した言葉「メーテルには気を許すな」でした。。。

そしてメーテルと共に、終着駅にやって来た哲郎は、たどり着いた駅の「惑星メーテル、機械化母星・メーテル」というアナウンスに愕然とします・・!

メーテル!君は・・・。

この作品のストーリー構成は、原作の漫画やTV版アニメとは、少なからず異なっているとのこと。

企画の段階で、「青春映画」にしたい、ということで、原作の哲郎の10才という年齢の設定を、本作では15才に変更したらしいです。

あと、確かに、原作やTV版アニメと比べて、哲郎がかなり「男前」に描かれているのに気が付きます。


ラストの別れのシーンは、40年ぶりに観ても、哀切で感動的です。
未来で私が現れても、哲郎にはそれが私とは判らないでしょうと・・。
「時をかける少女」'83年版のラストシーンと通ずる切なさがあります・・(T_T)

哲郎が、少年の日に別れを告げて「男」になるんですね。。
ラストにかぶる城達也さんのナレーションも、グッと来ます。

いま、万感の思いを込めて、汽笛が鳴る・・・。

エンドロールに流れる、ゴダイゴの「銀河鉄道999」も、希望と勇気を感じさせて、とても素敵です。


「古い夢は、置いてゆくがいい、再び始まる、ドラマのために。。。」

あの頃は、夢があったなぁ・・あぁ。。(T_T)




ヒッキー的満足度★★★★






つらい腰痛・肩こり・頭痛など、スタッフが全力でサポートします。
癒しの森整体院
丸ノ内線 新中野駅 徒歩3分






「泥の河」

2021-01-21 15:01:17 | Weblog
                   「泥の河」


監督・小栗康平
原作・宮本輝『泥の河』
脚本・重森孝子
音楽・毛利蔵人

1981年公開の本作。とても評価が高く、様々な映画賞を受賞していたので、何となく敷居が高くて、スルーしていたのを、ようやく観ることができました。

舞台は昭和31年の大阪。
河べりに立つ食堂。
主の板倉晋平(田村高廣)と、その妻の貞子(藤田弓子)が切り盛りしている。
その息子である信雄(朝原靖貴)は小学生(9才という設定なので、3~4年生だと思われる)。

物語冒頭で、芦屋雁之助さんが演ずる荷車のおじさんが、解けた積荷の下敷きになって息絶えるシーンが描かれる。

おじさんも自分も、戦火をくぐり抜けて、生き延びてきたが、今の暮らしは、どうにも「スカ」のようで、戦争で死んだほうが、よかったのではないかと、晋平が呟く。

ある日、河に「宿船」がやってくる。荷物の運搬でなくて、人が住むための船である。
ひょんなことから、信雄と、その船に住む少年・喜一(桜井稔)と姉の銀子(柴田真生子)が知り合う。
信雄を船に招き入れる喜一であったが、壁をはさんで隣の部屋から母親(加賀まりこ)の声で、あまりこの船には近付かない方がよいと。。。

という感じで、信雄と喜一およびその姉の銀子の3人の交流が、描かれてゆきます。

作品はモノクロで、昭和三十年代初頭の時代感と、全体を通して、戦争というものが残していった“影”のようなものを感じさせます。

前述の晋平の呟きの重さは、現実にその当時を生きた人でないと、本当には解らないのではないかと。。


調べてみると、この物語の時代設定である昭和31年(1956年)は、経済企画庁が経済白書「日本経済の成長と近代化」で、その結びに「もはや戦後ではない」と記述し(晋平が読む新聞にその見出しが出て来ます)、この言葉が当時の流行語になったとのこと。

これは前年の昭和30年に、GNP(実質国民総生産)が、戦前の水準を超えたことを受けての記述で、その年から、高度経済成長の始まりとなった「神武景気」が幕を開けることになります。

こんなふうに、世の中が戦争の痛手から立ち直り、大きく成長し始めたにも関わらず、自分たちの生活や暮らしぶりが一向に冴えないまま、取り残されていくという「虚脱感」のようなものが、物語の底流にながれています。。

信雄の家に招かれた喜一が、歌を披露する場面があります。
ここで歌われるのが、「戦友」という、戦争に行った兵士の心情を歌った歌で、劇中の晋平も、映画を観ているこちらも、子供がこの歌を歌い出したことで、ある意味ちょっと驚かされます。
「ここはお國を何百里、離れて遠き満州の・・・」
つたない音程で、とつとつと歌われるので、余計に戦場の悲しさのようなものが、ズドンと、聴く者に伝わって来ます・・。
晋平は、歌に聞き入ります・・。印象的なシーンです。。。

信雄と喜一が、貞子から50円玉をひとつずつもらって、お祭りの夜店へ出かけるシークエンスがあります。
喜一は「お金を持って、夜店に行くのは初めて」と。
観ているこちらも、何か胸躍るシーンなのですが、ポケットに穴があいていて、喜一は自分のと、信雄から預かったお金を落としてしまいます。
空腹のまま二人は帰途につくのですが、りんご飴一つだけでもいいから、食べさせてあげたかったですね。。。

銀子が、米びつに手を入れて、温かい、と呟くシーンでは、「米」という一番基本的な食べ物が目の前にある幸せというのを、改めて考えさせられました。

夜店の帰りに、宝物を見せてあげると、喜一は信雄を船に招くのですが、そのシークエンスで、信雄は隣の部屋の中を、明り取りの窓越しに、偶然に見てしまいます。。

帰ってゆく信雄を見つめる喜一と、信雄とすれ違いに船に戻ってくる銀子の淋しそうな表情が、胸に残ります。

それが信雄と、喜一、銀子が友達になった、ひと夏の終わりとなって、船は岸を離れて、また何処かへ旅立ってゆきます。。

この作品で、小栗監督の、子役への演出が素晴らしい、ということで、当時「E.T.」のプロモーションで来日したスピルバーグ監督が、直に小栗監督を訪問した、というエピソードが残っています。

とても良い映画だったので、小栗監督の「伽倻子のために」も、観てみようかな、と思った次第であります。。。




ヒッキー的満足度★★★★☆







つらい腰痛・肩こり・頭痛など、スタッフが全力でサポートします。
癒しの森整体院
丸ノ内線 新中野駅 徒歩3分






「野獣死すべし」

2021-01-02 17:26:58 | Weblog
(C)KADOKAWA1980



あけまして、おめでとうございます(^0_0^)

今年もマイペースで、レビューを載せてゆきますので、何卒、よろしくお願い申し上げます(^^♪

といういわけで、新春第一弾、角川映画9発目は、いよいよ(?)出ました「野獣死すべし」です(^^♪

危険な香り漂うっつうか、ヤバい感じの映画です。。。


これが公開されたのが、1980年の10月だから、私まだ中学生だったせいかどうかは忘れちゃったのですが、リアルタイムで映画館では観なかったように記憶しているのですが、高校で同じクラスになったW君(元気かな!?)が、熱烈な松田優作ファンで、この「野獣死すべし」の、リップバン・ウィンクル~の列車内のシーンの演技を「完コピ」していて、演じて見せてくれたのを、今でも憶えております(^^♪

この作品、監督は「最も危険な遊戯」「殺人遊戯」「処刑遊戯」「蘇える金狼」の村川透。
脚本は「処刑遊戯」やTVドラマ「探偵物語」、そしてこの後に「ヨコハマBJブルース」などの優作さん主演の作品を手掛けることになる、丸山昇一氏によるものです。
原作は大藪春彦の同名小説ということになっていますが、原作と映画では主人公の描き方などにかなり違いがあるとのこと。

この映画の主人公・伊達邦彦(松田優作)は、東大卒の大手通信社の戦場記者。
世界各国の戦場を渡り歩いて、衝撃的な写真を撮り続けていた。
その送られてくる写真があまりに加熱しすぎるとのことで、上層部が見かねて日本に伊達を呼び戻した。。という感じなのですな。。

この優作さん演ずる伊達邦彦のキャラクターが、見た感じですでに浮世離れしています。。


青白い顔色に、長身の痩せ細った体型、虚ろな眼差し・・・。

このキャラクターの役作りのため、優作さんは10kg近く減量をして、奥歯を4本抜いた、という話は伝説になっています。。
優作さん曰く「できれば身長をイメージ通りにするため、脚を五センチくらい切りたかった」とのこと。。。

土砂降りの雨の夜に、警視庁の警部補を刺殺し、奪った拳銃で闇カジノを襲う、強盗殺人事件が起きます。。。目撃証言などから、犯人は痩せた180cmくらいの男。。
犯人は伊達邦彦でした。。

通信社を辞めた伊達は、翻訳家のかたわら、好きなクラッシック音楽に浸っている様子なのですが。。。

クラシック音楽のコンサートで、偶然隣に座った華田令子(小林麻美)が、伊達に好意を寄せてきます。。

隣に座っただけで~!なじょしてこげんきれいかおなごが(どこの言葉じゃい!(^^♪)とも思うのですが、小林麻美さんの表情の変化が、とても上手いので、なるほどなぁ・・という感じです。

実は伊達は次に、銀行強盗を企んでいるのですが、一人ではキビしいとの判断で「もう1人」を探しているところで、レストランのウェイターである真田(鹿賀丈史)に目を付けます。


この鹿賀丈史さん演ずる真田の登場するレストランのシーンが、キレてる感じで、インパクト強いっす!
大卒のエリートたちの宴に、アウトローの真田がウェイターで。。。
何気に大卒集団を仕切っているのが、風間杜夫さんだったりして、アフロヘアーの鹿賀丈史さんとの対比が、印象的なシークエンスです。

行き場のないフラストレーションを腹の底に抱えている真田を、伊達は「もう1人」として選びます。

雷雨の夜、別荘で、この真田に食らわす伊達の説法のシーンが、これまたイっていて、危険なことこの上なしという感じです。
このシーンでいつの間にか殺されてしまっている、真田の恋人を演じているのが、根岸季衣さんで、フラメンコを踊るシーンなんかは、さすがだなぁと思いました。

なんでも、このころの優作さんは、スコセッシ監督の「タクシー・ドライバー」の影響を受けていたという話もあり、そう言われると確かにデ・ニーロが演じたベトナム帰還兵トラビスと、優作さん演ずる元戦場記者、伊達邦彦というキャラクターが、重なる部分もあるなぁ・・という感じはします。

下調べを周到に済ませた(この下調べで宝石商の支配人が疑われて逮捕されるというのが、なるほど!という面白さがあるのですが)伊達は、真田と2人で、銀行強盗を決行します。

このシーンで、どういうわけか銀行の職員は次々と撃たれていくのですが、来ていたお客さんは撃たれずに済んでいたのが、たまたま近所(?)の会社から社用で来ている令子と伊達は遭遇してしまいます。。。
伊達はマスクを取って。。。

という感じになるのであります。

しかし、観終わってから、思い出してみると、この小林麻美さん演ずる華田令子というキャラクターって、セリフがあまり無いことに気付きます。ホントにセリフ少ないです。
これだけの少ないセリフで、画面に登場するシーンもそれほど多くはないのに、印象強く残るというのがスゴい。


ネタバレになっちゃいますが、伊達を見ながら、崩れ落ちてゆくスローモーションは、ディープ・インパクトです。

伊達を執拗に追い回す刑事・柏木を室田日出男さんが演じています。

前述の警部補刺殺があってから、長年の刑事の勘で、伊達のあとをつけていきます。

件の銀行強盗があった後も、東北本線の夜行列車の中まで、伊達をつけて、乗り込んできます。

この列車内での伊達と柏木とのやり取りが、前述の「リップバン・ウィンクル」のシーンです。
リボルバーの拳銃の弾倉に、伊達はひとつだけ弾を入れて、リップバン・ウィンクルの話をしながら、柏木を追い詰める。。このシーンが、この映画のハイライトの一つだと思います。


この「野獣死すべし」のあとも「スローなブギにしてくれ」ではスナックのマスター役で角川映画に出演されている室田日出男さん。私の好きな俳優さんのひとりです(^0_0^)

走行中の列車から「一時撤退」と称して、窓ガラス割って伊達と真田が飛び出してゆくシーンは、「ホンマかいな」とも思いましたが、日本映画が斜陽と言われていたこの頃に、思い切りこういう作品を作れたというのは、角川映画のスゴいところだなぁ、と、思いました。

終盤のシーンで、優作さん演ずる伊達の、長回しの一人語りがあって、ラストにつながっていきます。

このラストシーンは、私は伊達が「撃たれた」という認識で終わったのですが、このレビューを書く際に、Wikipediaなどを読みましたら、どうやら色々な解釈があるようで、諸説紛々なのだそうです。。。

当時のこの映画のTVスポットは、優作さんが拳銃を耳元で振って「こんなハードボイルドが、あるのか・・・。」というナレーションがかぶる、といった感じだったのを、憶えております。

1989年にリドリー・スコット監督作の「ブラック・レイン」で、悪役「佐藤」を演じて、それが映画としては優作さん最後の作品になるわけですが、「狂気」という点では、その「佐藤」にも負けていないキャラクターを、この「野獣死すべし」で既に演じていたというのが、本当にスゴい俳優さんだなぁ、と、思う次第であります。

同級生のW君が、眼を輝かせながら、演じてみせてくれた、この映画の主人公。
もう四十年近く会ってないけど、まだどこかで元気にしていることを、祈りつつ。。。(^0_0^)




ヒッキー的満足度★★★★







つらい腰痛・肩こり・頭痛など、スタッフが全力でサポートします。
癒しの森整体院
丸ノ内線 新中野駅 徒歩3分









「愛を乞うひと」

2020-12-26 14:32:25 | Weblog
                     「愛を乞うひと」


監督・平山秀幸
脚本・鄭義信 
原作・下田治美

以前に一度、感想をアップしたことがある本作。

先日、下田治美さんの原作を読む機会があり、映画ももう一度観たので、改めてレビューを書くことに致しました。

観終わって。。。やはり原田美枝子さんがスゴい。。。

だけど、それだけじゃなくて、野波麻帆さん演ずる、主人公の娘である深草<みぐさ>の存在感も大きい。。

そして、中井貴一さん演ずる、主人公の父親である陳文雄の誠実で実直な姿は、この映画のストーリーの「柱」として、とても重要な部分を占めています。。

それにしても、観るのにそのたび覚悟を要する映画です。

あらすじ・・・。かなりネタバレあります。。。

昭和20年代後半・・・土砂降りの雨の中・・まだ小さかった照恵(小井沼愛)は、アッパー(お父さん)である陳文雄(中井貴一)に手を引かれて、歩いていた・・。
後ろの方で照恵と文雄に罵声を浴びせながら、ついてきているのが、照恵の産みの親である豊子(原田美枝子)であった・・。
「台湾でもどこでも、行っちまえー!!バカヤロー!!」照恵は振り向きながら、母の姿が遠くなるのを見ていた・・。


それから数十年の時が流れ、照恵(原田美枝子・二役)は印刷会社で働いていた。
結婚し、娘の深草<みぐさ>をもうけたが、夫とは死別し、今は高校生になった娘・深草(野波麻帆)との2人暮らしである。。

照恵は最近、娘に内緒で、仕事帰りや休日等を使って、昭和30年前後に結核のため亡くなった、優しかった自分の本当のお父さん(アッパー)である陳文雄の「お骨」探しをしていた。。

照恵には、当時、文雄が亡くなったあと、児童施設にいた自分を、あの女・豊子が「引き取り」に来てから始まった、壮絶なDVの日々という忘れられない過去があった。
おでこの左側には、今でも消えない傷があるので、照恵は前髪でそれを隠している。。

そんな時、照恵の出勤中に、警察から家の方へ「詐欺の犯人を捕まえたのだが、肉親は?と聞いたところ、姉が一人いるから、会いたい・・と言うもので」という電話があり、その電話を受けた深草からその旨を職場の電話で聞かされた照恵は、取るもの取り敢えず、深草も連れて、指定の拘置所へ向かう。。向かうバスの中で深草は「おかあさん、天涯孤独とか言っちゃってさ、ウソばっか!」・・・。深草には自分の半生を話していない照恵であった。。照恵には、もう三十年ほども会っていない、武則という異父弟(うじきつよし)がいたのである。。。

舞台変わって昭和29年の結核病棟。
入院している文雄と、知人の王東谷<おん>さん(小日向文世)が、台湾の言葉で話をしている。
照恵は預けられている児童施設から、大好きな父をお見舞いするために、施設の職員に病院へ連れてきてもらったのだ。
ベッドの横に座り、父である文雄が手鏡を使って、天井に当てた光を見た。。
文雄は照恵に「あの丸いのが、台湾だよ。青い空に、どこまでも続くさとうきび畑・・アッパーの病気が治ったら、一緒に行こうな・・。」

しかし程なくして、文雄は帰らぬ人となってしまう。
この頃であれば、お金さえ出せば、「パス」や「ストマイ」などの特効薬がすでにあったにもかかわらず、台湾から一人で渡日して、親族からの仕送りも受けていなかった病床の文雄には、お金が無かったのである。。。

照恵は、児童施設の中で友達と遊んだり、勉強したりして、暮らしていて、10才になった。。。
そこへ、どういうわけか、それまで音沙汰無かった産みの親である豊子が、照恵を「引き取り」に現れる。施設長の先生は喜ばしく送り出すのだが、それが激しい虐待の日々に続いているとは、施設長の先生にも、照恵にも、思いもつかないことなのであった。。。

という感じで、ストーリーの軸が、照恵と深草が文雄のお骨を探す「現代」と、照恵の幼少時の生活を映し出す「過去」というふうに大まかに分けて、「現代」のストーリーに「過去」のストーリーが所々でインサートされる感じで、物語は進んで行きます。

このお話は、主人公は照恵で、現代の照恵と、その母親の豊子(過去のシーン、現代の美容院のシーン、ともに)を、原田美枝子さんが二役で演じているのですが、親子の設定で、演じているのはどちらも原田美枝子さんなので、基本的な見た感じなどは、必然的に似ているのですが、似ているんだけども、2つのキャラクターの性格や雰囲気、言葉のトーンなどが全然違って、見事に演じ分けられているので、映画を観ている側も、「照恵」と「豊子」はそれぞれ独立した人格なんだな・・と、無理なく認識できるのです。原田美枝子さんの卓越した演技力と、平山監督の演出の妙だと思います。

照恵と豊子は、性格的に175°差(?)くらいの真逆の気質を持っています。

照恵が豊子に引き取られてから、激しい虐待が始まります。。


原作では引き取られて間もなく始まるのですが、本作では、豊子の三人目の男・和知三郎(國村隼)のいる、引揚者定着所へ移ってから、激しさを増してきます。

お祭りの日に、近所の友だちが、浴衣を着て、照恵を誘いに来た時、おそるおそる、お小遣いをもらおうとした照恵の手のひらに、燃えているタバコを・・・のシーンあたりから、虐待はエスカレートしてゆきます・・。

この辺から先は、観るのがしんどくなってきます(T_T)

この虐待につぐ虐待のシーンは、いったいどうやって撮影したんだろう。。。と、心配になるくらい、生々しいものがあり、キレる豊子を演ずる原田美枝子さんもたしかに凄い鬼迫なんですが、この年齢の頃の照恵を演じた牛島ゆうきさんという子役の方が、豊子からのDVを受ける側を演じて、原田美枝子さんに負けていない存在感がスゴいです。

しかし、そこまでやるか!・・って感じです。

そんなDV女の豊子が、照恵を唯一褒めるのは、櫛で髪を梳かせているひと時でした。。。
このひとときの安寧のシーンが、ラストの美容院のシーンにつながっていく感じです(ネタバレしちゃって、スンマセン)

しかし、ひとたび火が付けば、烈火の如きDVが、また始まる訳で。。。

原作では「せっかん」という言葉を使っています。。

國村隼さん演ずる養父・和知さんも、内地から引き揚げたばかりで、正職にはなかなかつけなかったんでしょうね。街頭で傷痍軍人の衣装を着て、道行く人から貰う募金が唯一の収入。。。せっかんで顔が腫れた照恵と、武則にも手伝わせたりします(この街頭でお金を貰うエピソードは、原作にはなく、脚本の鄭義信さんのオリジナルだと思うのですが、不自然さは無く、ストーリーのひとつのエピソードになっています)

豊子は2人の子供(照恵の他に、二人目の男である中島とのあいだに生まれた武則という異父弟がいる)にはろくに生活費を渡していなかったようで、食べ物も粗末なものしか食べられず、おそらく銭湯へもろくに通えなかったようで、学校の身体検査の時も「結膜炎ですね。たまにはお風呂に入りましょうね」と言われ、友達から疎んじられる有様。。。

一方、「現代」のシーンでは、区役所の戸籍係や、文雄が亡くなった病院などを照恵は訪れて、文雄の「お骨」の行方を探すのですが、なかなかこれといった情報も得られません。。

照恵と深草は、文雄の生まれ故郷である台湾まで足を伸ばすことになるのですが。。。

台湾では、方々探して歩くのですが、文雄の親族たちとの関係がうまくいかず、お骨は見つからないのですが、父の友人である前出の王東谷さんと、その奥さんである、はつ(熊谷真実)さんに何十年かぶりに会えて、文雄の生前の話や、文雄と豊子との出会いのエピソードなどをいろいろうかがうことが出来た照恵と深草でした。。

ここで回想として描かれる、豊子が文雄に少しずつ好意を抱いてゆくシークエンスは、文雄の実直な姿と、豊子の、素直に気持ちを表現するのが下手な一人の女性としての一面を描いていて、新鮮な印象を受けます。


そして、昭和39年、照恵(浅川ちひろ)は学校を卒業して、就職することになります。
複雑な家庭状況なので、彼女は採用の際に“戸籍謄本が要らない”会社を選び、入社して、働き始めます。

そこでもらった初任給をもとでに、母親からの独立を期していた照恵でしたが、その初任給は母親が強引に取り上げてしまいます。

次の月にもらった分の封筒から、少しこっそりと隠しておいた分まで、取り上げられそうになったとき、照恵は我慢の限界に達し、給料を奪い返して、逃げます!
途中、弟の武則のアシストもあって、照恵は母親から脱出することに成功します。
それから何十年間も、照恵は母親のいない世界で、生きていくことになります。。


この物語は、照恵が亡くなった父のお骨を探す、というのがストーリーの幹になっているのですが、その探した先に、母親である豊子への複雑な想いがあることに、照恵は深草の助言によって、気付かされます。

父・陳文雄のお骨は、区役所の人が、機転を利かせて、陳文雄さんは日本に帰化していなかったので、日本の謄本に載っていないのでは・・外国人登録の窓口へ行けば登録証があるのでは・・・とのことを照恵に案内します。
照恵は外国人登録の窓口で、父の登録証をやっと手に入れます。

そこから辿って、職員が埋葬許可証を見つけ出し、そこからいろいろ問い合せてくれて、三鷹のあるお寺に父のお骨が眠っていることが判明します。。。

数十年ぶりの、父と娘の再会でした。。

そして深草の勧めもあり、ストーリー終盤で、照恵は、美容院を営む年老いた母親・豊子と再会することになります。

深草が付き添いで、雨の降る日に。

お客として入って来た照恵が、鏡の前に座り、豊子は彼女の前髪を整える際に、おでこにある傷を見て、そのお客が自分の娘であることを認識します。


子供の頃、母親に、髪を梳くときに、褒められたので、自分は美容師になりたかった、と、照恵は問わず語りに、呟きます。。

両者とも、特に名乗るでもなく。。。

お金を払って、外に出ると、雨はあがっていました。

この再会のシーンで、「会えたから母親を許す」、とかじゃ決してないと、思うんですね。

豊子が外に出て、照恵と深草の方を見ている姿が印象的です。。

帰りのバスの中での、照恵と深草のやり取りは、ストーリーの余韻が感じられて、とても好きなラストシーンです。

ーお母さんに、可愛いよと、云って欲しかったー

このラストで、物語の中で行き場所を探していた照恵の心が、氷が溶けるように緩んで流れ出すような感じがしました。。。

そして台湾のさとうきび畑の一角に、文雄のお墓を作るため、照恵と深草たちが働いているシーンにエンドロールが重なります。。。

それにしても、原田美枝子さん、素晴らしいです。。。(^0_0^)

「愛を乞うひと」のレビューでした・・・。





ヒッキー的満足度★★★★★






つらい腰痛・肩こり・頭痛など、スタッフが全力でサポートします。
癒しの森整体院
丸ノ内線 新中野駅 徒歩3分

















「ばるぼら」

2020-12-13 13:03:45 | Weblog
(C)2019「ばるぼら」製作委員会


原作・手塚治虫
脚本・黒沢久子
監督・手塚眞
撮影監督・クリストファー・ドイル
音楽・橋本一子

友人に誘われて、シネ・リーブル池袋で観てきました。

土曜日。2番スクリーンは3~4割程度の入り。

何となくは、“哲学的で難解”という評判を聞いていたので、覚悟はしていたのですが。。。

観終わって。。。う~ん。。。クリープを入れないコーヒーなんて。。。??あぁ。。。(T_T)

稲垣くん演ずる小説家が、ばるぼらに出会って堕ちてゆくのですが・・・??

覚えてる範囲内で、ほんのちょい、あらすじ。。。

小説家の美倉洋介(稲垣吾郎)は、新宿駅(と思われる)の通路で、ゴミのように倒れている少女「ばるぼら」と出会う。。。

ばるぼら(二階堂ふみ)は、酒ばかり飲んでクダを巻いていて、お世辞にも上品とは言えないが、洋介は何故かそんなばるぼらが気になるようになった。。。

そして洋介は徐々に、ばるぼらの魅力に惹きつけられてゆく。。。

担当編集者の加奈子(石橋静河)の心配をよそに、ばるぼらと離れられなくなっている自分を押しとどめることが出来ない洋介であった。。。

洋介がばるぼらに夢中になってしまったので、相手にされなくなった里見代議士の娘・里見志賀子(美波)は、洋介を“潰す”よう側近に命ずる。

そんなある日、加奈子は歩いていて交差点でトラックに轢かれ、生死の境をさまようことになる。。。

洋介はばるぼらと結婚するために、彼女の母親(渡辺えり)に会いにゆくのだが。。。
(C)2019「ばるぼら」製作委員会

こんな感じなのですが、「ばるぼらは芸術のミューズ」みたいなニュアンスなんだと思うんですが、観ているこちらに芸術を理解する感性が無いので、ツラい(+o+)

何か示唆しようとしてるんだろうな・・・と、一所懸命なけなしのアンテナ伸ばしてみたのですが。。。

でも二階堂ふみさん演ずる「ばるぼら」ってキャラクターは、たしかに魅力あります。ちょっと中性的なのがカッコ良かったりする。

一緒に観に行った友人は、美波さん演ずる里見志賀子がタイプとのこと。ワタシは断然、石橋静河さん演ずる加奈子がいいなぁと、思って観ていたので、トラックに轢かれちゃって、あぁ!!っと思って見ていましたが、ストーリー終盤も回復して出てきて、よかったな~!って感じでした(全然ストーリーの本流と違うところばっか見てますね。すんません(+o+))

ばるぼらの母親を演じた渡辺えりさん、存在感ありまくり。
なんか、読めない文字(何の文字だろう??)で書かれた誓約書みたいなのだして、洋介にサインさせるのですが、えりさんに言われたら、公定力感じるから洋介もサインしてしまうんでしょうね~!
(C)2019「ばるぼら」製作委員会

あと、洋介の作家仲間の四谷弘行役で、渋川清彦さんという俳優さんが出てらっしゃるのですが、「どこかで見たような・・・??」と思って、見終わってから調べてみたら、「閉鎖病棟」という映画で、暴力を振るうとんでもない悪人の役で、出てました!スゴいインパクトでした。今回のような渋い役も演じられて、ちょっと注目したい俳優さんです。

ネタバレになっちゃうのですが、ストーリー終盤でばるぼらが死んじゃうんですが、エンディングで、また新宿駅に座っているばるぼらの姿が映し出されます。
この辺も、いろいろ解釈出来ますが、また繰り返すってことなのかな。。。??そのへんが微妙ではあります。。。
(C)2019「ばるぼら」製作委員会

原作には、洋介の作家仲間の名前が「筒井隆康(つついたかやす)」だったり、最終話に登場する漫画家の名前が「松本麗児」だったりと、ウィットに富んだネーミングもあるらしく、面白そうなので、機会があったら、読んでみようと思います。
原作読んでから、本作をもう一度観たら・・少しは理解できるのではないかと。。。





ヒッキー的満足度★★★☆






つらい腰痛・肩こり・頭痛など、スタッフが全力でサポートします。
癒しの森整体院
丸ノ内線 新中野駅 徒歩3分




「オリエント急行殺人事件」

2020-12-11 09:12:29 | Weblog
(C)2017 Twentieth Century Fox Film Corporation         「オリエント急行殺人事件」


公開時に新宿ピカデリーで観て、先日Amazonの配信でまた観てみました。

突然洋画なのですが、「探偵」つながりということで、載せてみました(^0_0^)

オールスター・キャストってやつですね。

エルキュール・ポアロにケネス・ブラナー、列車内で殺される男ラチェットにジョニー・デップ、ロシア出身のドラゴミロフ公爵夫人にジュディ・デンチ、信仰心の厚い宣教師ピラール・エストラバトスにペネロペ・クルス、犯行時刻頃に自分のコンパートメントに男がいたと主張するアメリカの女性ハバード夫人にミシェル・ファイファー、ドイツ人の大学教授ゲアハルト・ハードマンにウィレム・デフォー、イギリス人の家庭教師メアリ・デブナムにデイジー・リドリーなど・・。

監督ケネス・ブラナー。

オープニング・ロールを見て驚いたのは、製作にリドリー・スコットが加わっていることでした!それだけで期待度が高まります。

この作品、ストーリーの本筋はブレていないのですが、原作とも、1974年公開の映画とも、若干、人物設定およびストーリーの展開の仕方が違っています。
(C)2017 Twentieth Century Fox Film Corporation

ほんのちょい、あらすじ・・・。

エルサレムで、事件をひとつ解決したエルキュール・ポアロ(ケネス・ブラナー)は、少しの間、休暇を楽しもうとしたが、イギリスより知らせあり、急遽仕事のためにロンドンへ戻らなくてはならなくなった。友人で国際寝台車会社の重役であるブーク(トム・ベイトマン)のはからいで、その日のイスタンブール発のオリエント急行の部屋を探してもらったが、季節はずれのこの冬の時期に珍しく、その日のコンパートメント(部屋)はほぼ満室・・。なんとか二人部屋で場所を確保してもらったポアロは、ブークと共に出発するのだが・・。

食堂車で読書しているポアロに話しかけてきたのは、古美術商をやっているというラチェット(ジョニー・デップ)という男だった。
ラチェットは、最近身の危険を感じるので、金を積むから、列車に乗っている間、自分の警護をして欲しい、と・・。
(C)2017 Twentieth Century Fox Film Corporation

「私は自分が興味を持った事でないと仕事はしない。なにより、あなたの、その顔が嫌いだ」
ポアロはラチェットの依頼を一蹴する。

その日の夜、ユーゴスラビア国内を走行中だったオリエント急行は、行く先を雪崩に阻まれ、脱線して立ち往生する・・。

何度か隣の部屋(ラチェットのコンパートメント)の音や廊下の音などで目が覚めたポアロだったが、翌朝起きてみると、執事がラチェットの部屋の扉をノックしているが応答がない。

異常を感じたポアロが扉をこじ開けてみると、ラチェットがベッドに仰向けの刺殺体で発見される・・。
窓は開けられた状態で、雪が吹き込んでくる寒さだ。

乗客の中にいたドクター・アーバスノット(レスリー・オドム・Jr.)が検死したところ、刺し傷は12~15箇所、深いものからかすり傷のようなものまで・・。
ブークはポアロに、警察が来る前に、事件を解決したいと・・、ポアロはこの殺人事件の捜査に臨むことになる・・。
(C)2017 Twentieth Century Fox Film Corporation

という感じでストーリーが展開してゆくのですが、まずアガサ・クリスティの原作「オリエント急行の殺人」および'74年版の映画では、「アーバスノット」は医者ではなく「大佐」であり、別に「コンスタンチン」というギリシャ人の医師が謎解き側(ポアロ側)で出て来ます。

本作で、コンスタンチン医師というキャラクターを登場させず、アーバスノットがドクターも兼ねている設定にしたのは、思い切った脚色だと思います。元狙撃兵という設定もストーリー終盤で意味をもってきます。

あと、原作ではグレタ・オールソン婦人というキャラクターがスウェーデンの出身という設定で、'74年版でもその設定通りでイングリッド・バーグマンが演じてアカデミー助演女優賞を受賞していますが、本作ではその位置づけにあたるピラール・エストラバトスという敬虔な宣教師をペネロペ・クルスが演じています。

ポアロは、ラチェットの部屋に残された、紙の燃えたあとの燃えさしをランプの炎で炙って文字を再現し、ラチェットの本名が「カセッティ」だということ、そしてこの事件にはカセッティがアメリカではたらいた営利誘拐殺人事件が絡んでいることをつきとめます。

作品中ではアメリカで起きた「デイジー・アームストロング事件」として語られます。
カセッティはアームストロング大佐の娘で当時3才だったデイジーを誘拐、身代金を要求、デイジーを殺害し、逮捕される前に国外逃亡。
第二子を妊娠中だったアームストロング夫人は事件のショックで流産、夫人本人も亡くなって、悲嘆にくれたアームストロング大佐は拳銃自殺・・。
また、カセッティが捜査線上に浮かぶ前に、警察が容疑をかけて激しく責め立てたデイジーの子守娘であるフランス人のスザンヌは窓から身を投げて・・・という痛ましい事件でした・・・。

パイプクリーナー、「H」のイニシャル入りの女性用ハンカチ・・・。
手掛かりになりそうで、しかしもしかしたら犯人がわざと残していった物か・・。
(C)2017 Twentieth Century Fox Film Corporation

着物風の真紅なナイトガウン・・・。

ハバード夫人がコンパートメントで見つけたという車掌の制服のボタン・・・。

ドラゴミロフ公爵夫人のメイドであるヒルデガルデ・シュミット(オリビア・コールマン)のコンパートメントの棚で見つかるボタンのとれた車掌の制服・・・。

ドクター・アーバスノットとメアリ・デブナムが交わしていた会話の意味・・・。

アンドレニ伯爵夫人であるエレナ(ルーシー・ボイントン)のパスポートに落とされた油の染み・・・。

ドラゴミロフ公爵夫人のファーストネーム・・・。

アームストロング事件で疑いをかけられて、窓から身を投げてこの世を去ったフランス娘・スザンヌの姓は?・・出身地は?・・・。

そして、悲劇を演じさせたら右に出るものなしと言われた、アメリカの舞台女優・リンダ・アーデンの現在は・・・。

約2時間の上映時間に、詰め込むわけですから、若干「あれ??」と思う間もなくストーリーは進んでゆきます。
「なんでポアロそんなこと判るんだ??」という感じも多少あるのですが、ケネス・ブラナーの演ずるポアロは何故か説得力があります('74年版のアルバート・フィニーより私はケネス・ブラナーのポアロの方が好きです(^^♪)
(C)2017 Twentieth Century Fox Film Corporation

列車が走るシーンそのものは、'74年版は本物に近いし、本作はVFX(っていうのかな??)なので、微妙に違和感はあるものの、登場する当時のファッションや食事風景などを見ているだけでも、ゴージャスな気分に浸れます(*´∀`*)(ストーリー序盤でポアロが焼きたてのパンを褒めちぎるシーンが好きです(^^♪)
(C)2017 Twentieth Century Fox Film Corporation

乗客を演じる俳優さんも、私の大好きなデイジー・リドリーをはじめ、ウィレム・デフォー、ジュディ・デンチ、ミシェル・ファイファー、ペネロペ・クルスなど、素敵な面々が集まっていて、観ているこちらをストーリーに惹きつけます。
(C)2017 Twentieth Century Fox Film Corporation

個人的な好みで恐縮ですが、アンドレニ伯爵夫人のエレナは、原作でも「とても美しい」という設定なのですが、映画でも、本作ではルーシー・ボイントン、'74年版ではジャクリーン・ビセットが演じていて、両者ともとても美しくて、びっくりしちゃいました(^0_0^)

上、ルーシー・ボイントン。下、'74年版のジャクリーン・ビセット

どの配役かは判らないのですが、キャスティングの段階で、アンジェリーナ・ジョリーも候補に挙がっていたとのこと。見てみたかったですね(^^♪

本作は、ストーリー終盤に、原作や'74年版には無かった、拳銃を交えたアクション・シーンが用意されています!
そう来たか!という感じで緊迫感急上昇!

ラストのポアロの謎解きの説明は、列車内ではなく、トンネルの入り口にテーブルを並べて、乗客を横一列に座らせて・・・という、少し舞台っぽい設定で行われます・・。
(C)2017 Twentieth Century Fox Film Corporation

ポアロは真相を解明します。
これから観る方もいらっしゃると思うので、あまり書かないですが、ポアロは犯人の前に拳銃を置いて「私を撃って湖に放り込め!!」
思い切った脚色で、私的にはとても感動いたしました(T_T)

この作品、音楽がとても素敵です!
決して派手なメロディではないのですが、ストーリー終盤、事件の真相が明らかになる辺りで流れる旋律は、観ている者の心を揺さぶります。
この映画が単なる推理物にとどまらない、人間のドラマであることを感じさせてくれます。

犯人としては、列車が雪崩で立ち往生することと、エルキュール・ポアロが乗り合わせることが、想定外だったようです・・。
(C)2017 Twentieth Century Fox Film Corporation

静かなエンディング・・・列車を降りたポアロを待っていたのは、「ムシュー・ポアロ、エジプトのナイル川で殺人事件が・・・」・・・つながるわけですね(^0_0^)

しかし、これほどの濃い内容なのだから、2時間半くらいの長尺くらいのほうが、より素敵な作品に仕上がったのではなかろうか、とも思うのですが、114分・・・商業ベース、いたしかたなし、というところでしょうか。。。

ということで、2017年公開の「オリエント急行殺人事件」のレビューでした。。。

追記
写真、選んでいたら、デイジー・リドリー嬢のばっかりになってしまいました(汗)
どうもスンマセン。。。





ヒッキー的満足度★★★★☆






つらい腰痛・肩こり・頭痛など、スタッフが全力でサポートします。
癒しの森整体院
丸ノ内線 新中野駅 徒歩3分











「犬神家の一族」

2020-11-29 14:50:14 | Weblog
(C)KADOKAWA1976


角川レビュー8発目は、記念すべき角川映画 第一弾の「犬神家の一族」です!

1976年の市川崑監督の作品です。

この映画、ブログにupするのにちょっと勇気がいりましたが、とても良い作品で、何といっても角川映画の初作品なので、思い切ってレビューすることにいたしました。

今回これを書くために、また本作を見直したのですが(4~5回目かと思います)、何回見ても、またもやストーリーにグイグイ引き込まれる、実に良く出来ている映画です。

ちょい、あらすじ。。。ネタバレあります。。。

ストーリー冒頭、那須市に拠点を置く、犬神財閥及び犬神製薬工場の創始者である犬神佐兵衛翁(三國連太郎)が昭和22年2月に亡くなるシーンから入ります。。。

遺言状は、犬神家の顧問弁護士である古館(小沢栄太郎)が預かっているのだが、佐兵衛翁の意向により、犬神家の血縁者全員が揃わないと、開封してはならないことになっていた。。。

そう、佐兵衛翁の長女・松子(高峰三枝子)の一人息子である佐清<すけきよ>が戦地へ赴いたまま、消息不明だったのである。
ところが、引揚げ船で博多に着いたとの知らせあり、松子が迎えに行ったのだが、半月近く帰ってこず、連絡もなし・・・。

するとある夜、松子から電話があり、松子の妹二人が迎えに出ると、車の中から、松子と、黒い頭巾をかぶった佐清が現れたのだった・・・。


その那須市に、くたびれた羽織袴の探偵がやって来る。金田一耕助(石坂浩二)である。
当地の古館法律事務所の若林(西尾啓)という男からの「近々、犬神家で大変な事態が起こるかもしれない」という依頼で・・。

通りかかった那須ホテルの女中はる(坂口良子)の案内で、指定された「那須ホテル」にやって来た耕助であったが、ホテルとは名ばかりの安宿・・・。湖面の向こうに建つ犬神家の屋敷を見ていると、犬神家に来ている野々宮珠世(島田陽子)の漕いでいたボートが沈みかけていた!

耕助と、犬神家の門番である猿蔵(寺田稔)の救助で救われた珠世であったが、乗っていたボートには船底に誰かが空けた穴があった。。。

そして那須ホテルに戻った耕助は、訪ねて来て待っていたとみられる若林がタバコを吸いかけで、喀血死している事態に遭遇する!
いきなり事件発生である。


自分の法律事務所の若林が、耕助に依頼していたことを初めて知り、確かに犬神家で何か起きるのではないかと思っていた古館は、若林に替わって自分が耕助に改めて依頼することにした。。。

という感じで物語は始まるのですが、これまだ、ストーリーのほんの始まりなので、ここから本編へ突入する感じです。

犬神家に関わる人物の家系図が欲しいところですが、佐兵衛翁は終生正妻をめとらず、母親のそれぞれ違う、松子(高峰三枝子)、竹子(三条美紀)、梅子(草笛光子)の3人の子供をもうけます。


松子の一人息子は、ビルマの戦線から帰ってきて、顔に酷い傷を負ったので、黒い頭巾の下に、白い仮面を被っている佐清<すけきよ>です。

竹子は、佐武<すけたけ>(地井武男)と、その妹小夜子(川口晶)の2人の子供がいます。

梅子には、佐智<すけとも>(川口恒)という息子がおります。

それとはまったく別に佐兵衛翁は、自分の工場の女工である青沼菊乃という愛人との間に、静馬<しずま>という息子をもうけますが、静馬は戦場へ行ったまま行方知れずです。。。
松子、竹子、梅子は、この青沼親子を憎悪しています。


またそれとは別に、明治11年に佐兵衛翁が浮浪しているところを那須神社の神官である野々宮大弐に救われるのですが、云わば“命の恩人”の大弐の孫にあたるのが、野々宮珠世なのであります(ということになっているのですが・・・)

そして、佐清が戦地から戻り、血縁者と珠世が揃ったところで、古館は佐兵衛翁の遺言状の封を切ります。
古館が読み上げるのですが、大変な内容に出席の血縁者は騒然とします。。。

かいつまんで抜粋すると、

「全相続権を示す犬神家の家宝 “斧(よき)・琴(こと)・菊(きく)”の三つを、佐清・佐武・佐智の3人の中から配偶者を選ぶことを条件に、野々宮珠世に与えるものとする。」

「さらに珠世がこの3人から配偶者を選ばない、もしくは珠世が死亡せるときは、犬神家の財産は5等分して、佐清・佐武・佐智がそれぞれ5分の1ずつを相続し、残りの5分の2を青沼静馬に与えるものとする。。。」


「なんで血縁でもない野々宮珠世に!?」
「なんで青沼静馬に!?」

怒り狂う者、嘆き号泣する者、驚きで言葉も出ない者・・・。

ここから謎の連続殺人事件が始まります。。。

この作品、観るたびに思うのは、画面の色合いに深みがあるというか・・うまく言葉で言い表せないんですが、観ていてしっくり来るんです。
監督の市川崑さんは「色彩の魔術師」と呼ばれているとか。
感覚的にはリドリー・スコット監督の作品を観るときに受ける“安心感”みたいなものと、近いのかなと。「この映画、ちゃんとしてるから、期待できそう・・」みたいな気持ちになります。

主演の石坂浩二さん演じる金田一耕助は、奇をてらったところが無くて(頭掻いてフケが・・は定番ですからね(^^♪)オーソドックスなイメージです。ストーリーの良さを引き立てるキャラクターの演じ方で、好感が持てます。


松子夫人を演じた高峰三枝子さんが素敵です!
所作というんでしょうか、立ち居振る舞いがスゴくエレガントで。
顔に酷い傷を負って仮面を被っているのが、我が子、佐清だと自分に言い聞かせながらも、心のどこかで一抹の不安を感じている松子夫人を演じて、抜群の存在感です。
後日の何かの賞では「助演女優賞」の枠にエントリーされておりましたが、「えっ!主演でしょ!?」と思った方もいらっしゃるのではないかと。。。


那須神社の神官で、佐兵衛翁の命の恩人である野々宮大弐の孫娘という設定で登場するのが、島田陽子さん演じる野々宮珠世というキャラクターです。
このキャラクターが、観ている者にとっては、「イイもん」なのか「ワルもん」なのか、そして何故、佐兵衛翁は、血縁でもないこの珠世に財産決定権を与えたのか。。。!?

それは、耕助が、那須神社の大山神官(大滝秀治)へ聞き込みにいったとき、その秘密が明かされます・・・。知りたい方は、映画を観てね。。。(^^♪

一人、また一人と、犠牲者が出てくる訳ですが、この作品で、インパクトがあって、解りやすいキャラクターの、橘(たちばな)警察署長(加藤武)が登場します(^^♪

後の横溝正史原作の映画の多くの警察署長も、この加藤武さんのが定着したほど、インパクトがあります。
「よーし!わかった!犯人は〇〇だ!!」
と手を叩くお決まりのポーズは、ストーリーにひととき和やかなムードをもたらします。
なんかいつも胃薬みたいな粉薬をコップの水で呑み込んでいて、粉をまき散らしながら喋る様子がおかしくて、思わず笑ってしまいます(^^♪
捜査はいつも見当はずれだけど、憎めないキャラクターです。

あと印象に残っているのが、盲目の琴の師匠・宮川香琴(岸田今日子)というキャラクターです。


耕助の聞き込みに対し、まず、一人目の犠牲者が出たあと、喪中であるにもかかわらず、琴の稽古に呼ばれたのが、まず、おかしい。。。そして、二人目の犠牲者が出た時間帯は、<その人>は琴を弾いていたが、御不浄へ中座し、程なく戻ってきてまた琴を弾き始めたが、すると、音色で判ったが、<その人>は人差し指に怪我をして来ていた。そして、それを悟られぬよう、かばいながら琴を弾いていた。。。という重要な証言をするのであります。。。
岸田今日子さん、いい味出してますね~(^0_0^)

このあたりで犯人およびこの事件の真相が判った方。エラいっす!!
ワタシ初めてこの映画観たときは、最後まで犯人および真相、判りませんでした(T_T)

ただの連続殺人事件ではない、複雑な事実が、錯綜しておる訳であります。

スゴくネタバレしちゃうから、これから観ようと思ってる方は、読まないでね。。。

ストーリー序盤で、柏屋という宿に、顔を襟巻きで隠した復員服の謎の男が投宿するのですが、これで勘の鋭い方は、ピンとくるかもですが、最初観たとき、ワタシまったく意味が判りませんでした(汗)。。。


そして、仮面を被っているのが、本当に佐清なのかどうか、出征前に那須神社へ奉納した手形と、今仮面を被っている佐清の手形を警察の鑑識が比較するシーンがありますが、これがぴったり一致します。
映画の登場人物たちも、映画を観ている我々も、ー本当の佐清なんだ!ーと認識するのですが、本当の佐清ではあるんですが・・・ここにトリックが仕組まれているのであります。これは最初観たときは、思いもつかなかったです。

トリックといっても、犯人ではない誰かが仕組んだもので、言ってみれば犯人すらも騙されているという・・・ワケわかんないでしょ!

さらに、犯人が、殺人するのですが、明くる日になると、殺したのとはまったく違う場所で、しかも死体がまったく違う状態で(菊人形の首だったり・・)発見されるのです。いちばん驚いているのは、犯人なのであります。。。

この作品、推理モノとしても、とても良く出来ているのですが、そこに、親と子の、延いては人誰もが持つ愛と憎しみが絡みついた、人間ドラマとしても良く出来ているのでした。


ストーリー終盤で、本物の犬神佐清(あおい輝彦)が逮捕され、この度の連続殺人事件はすべて自分がやりました、と、自白するのですが、それを金田一耕助が「そうじゃないでしょ、あれを全部あなた一人でなんて出来っこない。あなた、誰かをかばっているんでしょ!?・・・〇〇さんを・・・。」
その時の佐清の、絶望と悲しみの嗚咽は、見ているものの胸を打ちます。。。

この映画、音楽は、後に「人間の証明」「野性の証明」「ルパン三世・カリオストロの城」などを手掛けることになる大野雄二さんが担当なさっておられます。
オープニングで流れる「犬神家の一族・愛のバラード」は、これから繰り広げられる欲望と愛憎のストーリーを流麗な旋律で予感させてくれる、とても素敵な曲です。

5人の死者を出したこの事件が終わって、関係者に惜しまれつつ、見送られるのが苦手な金田一耕助は予定よりも早い汽車に飛び乗って、幕、となります。。。



この作品が興行的に大成功したのを皮切りに、日本映画の1本立てロードショー公開という型が出来上がっていったそうです。

角川映画としても、第一作が大成功ということで、このあと「人間の証明」「野性の証明」などの大作を世に送り出すことになります。
角川映画の一大ブームの始まりを告げる「犬神家の一族」のレビューでした。。。

しかし坂口良子、カワイイなぁ(そこかいな!)






ヒッキー的満足度★★★★☆





つらい腰痛・肩こり・頭痛など、スタッフが全力でサポートします。
癒しの森整体院
丸ノ内線 新中野駅 徒歩3分












「Wの悲劇」

2020-11-21 16:10:29 | Weblog
(C)KADOKAWA1984

角川映画7発目は、薬師丸ひろ子さん主演の「Wの悲劇」です!

この作品、原作は、夏樹静子さんの同名小説とクレジットされていますが、この原作は実際は、この映画「Wの悲劇」で演じられる劇中劇が書かれたものであり、映画としてはこの劇中劇を内包する、劇団の研究生が成長してゆく過程を描いた青春映画という感じになっております。赤字はWikipediaより抜粋。

この「Wの悲劇」は1984年に映画館で観たのですが、このレビューを書くために、約30年以上振りに観直してみました。

主演の薬師丸さんがとてもイイっす(^^♪

'84年にリアルタイムで観たときは、よく判らなかったのですが、おじさんになってから観直してみると、とても素敵。。。

そして、それと同じか、もしかするとそれ以上に、三田佳子さんがとってもイイっす(^^♪

この映画は澤井信一郎監督の作品で、この作品で日本アカデミー賞の最優秀監督賞を受賞されております。

ちょい、あらすじ・・・。ネタバレあります。。。

最初は、暗い感じの画面で、主人公の三田静香(薬師丸ひろ子)と劇団「海」の先輩俳優である五代淳(三田村邦彦)の会話から入ります。。。

三田静香は、劇団「海」の研究生。
その日の朝方、アパートへ帰る途中の誰もいない公園の野外舞台で一人演じてみると、拍手が聞こえた。これが静香と昭夫(世良公則)の出会いであった。。。

その頃、劇団「海」では、新作「Wの悲劇」のオーディションが告知される。準主役級の女性の配役のオーディションである。

その舞台の主演は、劇団「海」のトップスター女優である羽鳥翔(三田佳子)である。

そして、オーディションの結果、準主役級の「和辻摩子」役に、静香のライバルである菊地かおり(高木美保)が選ばれた。

静香が与えられた配役は、セリフ一行で終わり、舞台から下がる女中さんの役で、楽屋当番と、舞台中の俳優さんたちのセリフや立ち位置を舞台袖からサポートする「プロンプター」もやるように命ぜられた。。。オーディション落選である。。。
(C)KADOKAWA1984

その夜、静香と、落選を知った昭夫は、看板になるまで居酒屋で飲み、静香は昭夫のアパートに・・・。
その後日、女優としてもし芽が出なかったら、と昭夫は静香にプロポーズをする。もし静香がスターになった日には、楽屋に大きな花束を届けて、それをサヨナラの挨拶にしようと。。。

そして「Wの悲劇」は大阪公演よりスタートする。

その大阪公演中のある夜、異変が起きる。
羽鳥翔の泊まっているホテルのベッドで、翔のパトロンである堂原良造(仲谷昇)が心臓発作で死んでしまう。
このままでは、マスコミの餌食になり、羽鳥はスキャンダルにまみれて、スターの座を追われることになる。。。

そのとき、たまたま届け物をした静香を羽鳥は部屋に入れ、静香に、「和辻摩子」の役を与える代わりに、堂原とのことを、身代わりを演じてくれるように懇願するのであった。。。

静香にとって、一世一代の、「芝居」の幕が開いた・・・!
(C)KADOKAWA1984

という感じで、ストーリーが展開してゆくのですが、冒頭でも書いたように、静香を演じる薬師丸さんが、イイのであります(^^♪

メイクとか髪型、画面の色調やストーリーそのものも手伝っているのかも知れませんが、それまでに出演した「ねらわれた学園」や「探偵物語」「メインテーマ」の頃よりも、明らかに大人っぽくて(単に私の好みっちゅう話もありますが(汗)素敵なのであります。。。
後半の記者会見の長回しのワンカットは、「女優」薬師丸ひろ子の誕生を感じさせます。
(C)KADOKAWA1984

そして、この映画を成功に導いたファクターの一つに、羽鳥翔を演じた三田佳子さんの卓越した演技力と存在感があると思います。

堂原の死のあと、静香を部屋に呼び入れて、自分と堂原の出会いから今までを静香に説明し、静香に身代わりになってくれと、懇願をして静香に納得をさせるまでの長回しのワンカットは鬼気迫るものがあります。
「できるわよ!あんた役者でしょ!!」・・・。
スキャンダルから逃れようとする羽鳥翔ですが、三田佳子さんの鬼迫のせいか、“悪者”のイメージは薄く、ストーリー後半でも静香の初舞台をバックアップするなど、情熱的でとても素敵です!

で。。。あれ?そのあおりを食らって、「和辻摩子」役を降ろされた高木美保演ずる菊地かおりの立場は??
とも思うのですが、三田佳子さんの気迫と、薬師丸さんの熱演で、ラストまでもっていくので、かわいそうなんですが、観ているこちらは、ラストの近くでかおりがもう一度出てくるまではかおりサイドの感情は忘れて、イイ意味でストーリーに没頭できてしまいます。。。

この映画、音楽は、のちに「あの夏いちばん静かな海」「HANAーBI」「菊次郎の夏」などの
北野ムービーの多くを手掛けることになる、久石譲さんが担当なさっていて、要所要所でストーリーを引き立てる印象的な旋律を届けてくれます。

ネタバレになってしまうのですが、
オーラスで、静香と昭夫がよりを戻さない、という筋書きが、この作品の魅力を決定づけているのかなと、思いました。
(C)KADOKAWA1984

ラストで昭夫の拍手に、振り返ってとるポーズが、エンドロールになるのですが、松本隆さん作詞、ユーミン(呉田軽穂)作曲の「Woman“Wの悲劇”より」の曲と相まって、何故かとてもノスタルジックな気持ちにさせられます(T_T)

薬師丸ひろ子さんが「女優」への道を踏み出す姿と、この作品のストーリーが、ダブルイメージとなって感じられる、素敵な映画でした。。。





ヒッキー的満足度★★★★☆





つらい腰痛・肩こり・頭痛など、スタッフが全力でサポートします。
癒しの森整体院
丸ノ内線 新中野駅 徒歩3分


劇場版「鬼滅の刃」ー無限列車編ー

2020-11-15 20:33:03 | Weblog
(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable              劇場版「鬼滅の刃」ー無限列車編ー


友人に誘われて、ユナイテッドシネマとしまえんにて、遂に観てしまいました。劇場版「鬼滅の刃」ー無限列車編ー。

この日の9番スクリーンは、7割くらいの入り。

前知識ほとんど無しだったので、正直観ていて、ストーリーも(???)てな感じだったのですが、一応終わりまで観て来ました。

週刊少年ジャンプで連載されている吾峠呼世晴さんの原作、「鬼滅の刃」のアニメーション劇場版です。

ネタバレあります。。。

まず戸惑ったのが、出てくるキャラクターの名前がよう判らんことでした。友人曰く「原作を読んでないと、ちょっとキビシイかも」。なるほど、キビシかったです(T_T)/~~~

主人公の竈門炭治郎(かまどたんじろう)が家族を「鬼」に殺されて、唯一生き残った、妹・禰豆子(ねずこ)はどういうわけか「鬼」になってしまい、その禰豆子を人間に戻すために、修行を積み「鬼殺隊」に入隊し、「鬼」になった禰豆子を連れて・・・という感じらしいのですが。。。
(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

原作が二十数巻あるうちの、その一部分を描いたのが、この作品なので、主人公は多分この少年だな。。あれ?一緒にいる女の子はなんで竹みたいな口枷はめてるんだろう??あれ?この猪の被り物のキャラクターは。。多分主人公の味方だな。。。と、この派手なお兄さんは、なんでこんなたくさん弁当を食べてるんだ??

みたいな調子で、手探り状態で、「イイもん」と「ワルもん」を区別するといったストーリー前半でした(汗)
(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

乗客が多数行方知れずになっている無限列車の中の「現在」と、「過去」の回想シーンがあって、少しづつストーリーの輪郭がおぼろげに判ってくるといった感じでした。

この弁当食ってる派手な色彩のお兄さんが、煉獄(れんごく)さんといって、味方の中でも「ハシラ」と呼ばれる格の高いキャラクターなのでした(なんか、いっぱい駅弁みたいのを食べてて、美味しそうなんだなこれが)

と思ってると、なんか車掌さんが切符に入鋏していくと、イイもんたちはみんな眠ってしまうのであります。
後で解るのですが、切符に細工してあって、入鋏すると、切符から眠りを誘う成分が出てくる、らしいのです。
(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

魘夢(えんむ)という鬼の仕業でした。
四人の剣士の腕を、手下になっている人間を使って縄で繋ぎ、四人の夢の中へ手下を潜入させ、精神の「核」を壊して、廃人にしてしまうという策略でした。。。

その夢から、現実へ覚醒する方法を炭治郎は見つけるのですが。。。

という感じで、ストーリーは展開してゆきます。

魘夢という鬼のビジュアルが、結構キモチ悪くて、イカして(?)ます。

基本、アクション映画なので、「鬼滅隊」の四人の剣士と、「鬼」とのバトルが見もの!多少ディテールが解んなくても、それなりに楽しめました(^^♪

ストーリー終盤で、魘夢が列車本体と融合してからの戦いは、見ごたえあり。魘夢が倒されて、崩壊してゆく映像は、なかなかリアルで、良く出来ていました。

オーラスでの煉獄さんと猗窩座(あかざ)という「鬼」との戦いも、グッときました!!煉獄杏寿郎、イカしたキャラクターです(T_T)/~~~
(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

なにせワタシ、映画館でアニメを観るのは、おそらく、中学生の頃に観た「銀河鉄道999」以来約40年ぶり(ジブリ関連のも、映画館では観たことがない)なので、どうだろう、と思っていたのですが、結構楽しめたので、これを機に、食わず嫌いせずに、アニメもたまには観てみようかな、と思った次第であります。。。





ヒッキー的満足度★★★☆








つらい腰痛・肩こり・頭痛など、スタッフが全力でサポートします。
癒しの森整体院
丸ノ内線 新中野駅 徒歩3分










「スパイの妻」

2020-11-11 15:39:49 | Weblog
(C)2020 NHK ,NEP, Incline, C&I      「スパイの妻」

角川映画レビュー、ちょっとお休み。。。

ユナイテッドシネマとしまえんへ行って、鑑賞いたしました。

この日のUCとしまえんのロビーは、かなり混んでいて、その多くは、やはり先週と同じく、「鬼滅の刃」のお客さんだったようで。。。

この日の2番スクリーンは4割程度の入りでした。

私はこの映画のストーリーは、全く知らない状態での鑑賞となりました。

ちょい、あらすじ・・・。

1940年、日本が太平洋戦争に向かって、轟々と唸りをたてていた頃・・。

神戸で貿易会社を営む福原優作(高橋一生)は、妻の聡子(蒼井優)と、その時代としては比較的裕福な暮らしをしていた。

ある時、優作は物資を求めて、甥の竹下文雄(坂東龍汰)と共に満州に渡ったのだが、そこで、衝撃的な国家機密を目にしてしまう。

帰ってきた優作と文雄は、時代の流れに逆らうことになる覚悟で、その事実を世界に知らしめるための準備を始める。

何も知らされていない聡子は、ある日、幼馴染であり神戸憲兵分隊本部の分隊長である津森泰治(東出昌大)に呼び出され、優作が満州から連れ帰った草壁弘子(玄理)という女性が亡くなったと知らされる。。。
時代という大きな波が、幸せだった聡子の足もとを、音をたてて崩し始めた。。。


という感じで、物語は展開してゆくのですが、蒼井優さん、しばらく見ない間に、大人の風格が出て来ましたね。
当方、蒼井優さん出演作は「フラガール」「ニライカナイからの手紙」「百万円と苦虫女」「おとうと」「ハチミツとクローバー」「Flowersーフラワーズー」あたりを観たことあるんですが、ここ五、六年は映画から離れていたので、本作の蒼井さん久しぶりでした。

ストーリー冒頭では割と裕福で、幸せな生活を送っている聡子ですが、夫である優作が物資調達先の満州から帰ってから、大変な運命を辿ることになります。
この、夫の持ち帰った“秘密”を知る前、知ってから、そしてその“秘密”をすべて飲み込んで、夫である優作についてゆくと決めてから・・・時により変化する一人の女性の心の内を演じて、蒼井さん、素敵です。

夫・優作を演じているのが、高橋一生さん。私、この俳優さん初めてなのですが、最初スクリーンで見た印象が、何故か判らないのですが、「このキャラクターは、多分、ストーリー途中から、悪役に豹変するのでは・・」と思って見ておりました。良い意味で“毒気”の感じられる俳優さんです。
書かないですが、最後にああして、こうなる(?)ので、ある意味では当たっていたとも言えるのですが。。。


優作の甥で、一緒に満州に渡り、日本軍の国家機密を見て帰った竹下文雄が、会社を辞めて文筆家になるのですが、もうちょっとキャラクターにパンチ力(?)があれば、訪ねてくる聡子に向かって、ーあなたは何も解ってないー、というセリフも説得力が増すのになぁ・・と思いました。

憲兵の分隊長で、聡子の幼馴染という設定で、東出さんが津森泰治というキャラクターを演じているのですが、聡子を思い、心配しながらも、憲兵という立場上、厳しい態度で接しなければならない、という微妙なニュアンスが感じられて、とても素敵でした。当方、東出さんのファンなので、またいつか主役を張ってスクリーンに登場するのを、楽しみにしております。


ストーリー的には、優作が満州から連れて来た、草壁弘子というキャラクターが、一瞬映って、その後はすぐに亡くなってしまうという展開なのですが、このキャラクターを、もう少し活かして物語に登場させて欲しかったです。その死因とかも、もうちょっとお話があったらよかったかな、という感じです。

ネタバレになっちゃうのですが、ラスト近くで、船上で帽子を振る優作・・・この展開は予想していなかったので、なるほど!そう来たか、という感じでした。

聡子が入院している病院を、医師の野崎先生(笹野高史)が訪問するシークエンスがあります。何が狂っていて、何が狂っていないのか・・・。とても印象的なシーンです。

オーラスの空襲のシーンが、ちょっと足りないかな、という感じがしました。

最後のテロップで、優作の死亡診断書が・・・ということだったので、「あれ?これって実話ベースだっけ?」と、一瞬驚いてしまいました。。。(^0_0^)




ヒッキー的満足度★★★☆







つらい腰痛・肩こり・頭痛など、スタッフが全力でサポートします。
癒しの森整体院
丸ノ内線 新中野駅 徒歩3分








「みをつくし料理帖」

2020-11-04 14:44:33 | Weblog
(C)2020映画「みをつくし料理帖」製作委員会


友人に誘われて、ユナイテッドシネマとしまえんに行って、観てまいりました。

原作は高田郁さんの同名の時代小説シリーズ。

角川映画レビュー6発目です!

正直なところ、あまり期待していませんでした。
'70年代後半から'80年代前半の頃の角川映画は、結構観ていたのですが、角川春樹さんの監督作をあまり観たことがなく、唯一観たことがある「笑う警官」も、自分のブログを読んでやっと思い出した、という感じの、親不孝者(?)なのでありまして・・スンマセン。。。

UCとしまえんのロビーは、混雑していました。おそらくその多くは「鬼滅の刃」を観ようとするお客さんだったようで・・。

その日の6番スクリーンは2割程度の入り。

上映が始まって、ストーリーのあらすじも全く知らなかったので、それが良かったのか、あさひ太夫が狐のお面でバク転したあたりから(ネタバレですみません)、物語に引き込まれました。

ちょい、あらすじ・・。(ネタバレあります)

享和二年の大阪。
8才の澪(みお)と野江(のえ)は幼馴染で、何をするにもいつも一緒。
泣き虫な澪を見て、野江は
ー泣き味噌やなぁ、澪ちゃんは。きつねは、コン、コン。涙は、コン、コン、やでー
手できつねを作って、澪を元気づける、野江であった。

ある日、二人で街中を遊んでいる拍子に、澪が井戸の中に履物を落としてしまった時も、野江は、自分の履物も井戸に投げ入れて、
「叱られる時も、一緒や」と、一緒にお小言をもらってくれるのであった。。。

その時、そこに居合わせた高名な易者、水原東西(反町隆史)に、野江は、朝日が天に昇るように、いつか天下を取る「旭日昇天」。澪は、人生に艱難辛苦が絶えないが、苦労に耐えればいつか青空が見れる「雲外蒼天」と占われる。
(C)2020映画「みをつくし料理帖」製作委員会

ところが、その年、大阪の町が大洪水に襲われる。

澪はその洪水で両親を失い、野江とは音信が途絶え、生死のほども判らなくなってしまう。。。

10年後の江戸・神田にある蕎麦処、「つる屋」で料理人として働く澪(松本穂香)の姿があった。
あの大洪水のあと、両親を亡くした自分を拾って助けてくれた天満一兆庵の女将・芳(若村麻由美)と二人で暮らしている澪は、つる屋に雇われて三月目に初めて自分が作った上方風の牡蠣鍋をお客に振舞ったのだが、その評判が良くない。

江戸では牡蠣は殻ごと焼いて食べるのが常で、上方では喜ばれる牡蠣鍋も、江戸ではなかなか受け入れられないのだった。

悩んでいる澪に、神田の町医者である永田源斉(小関裕太)が、江戸は職人が多い。汗をかくので、それを補うため、料理は濃い味付けが好まれる、と助言する。
澪はそこで「食は人の天なり」という言葉と出会う。。。
(C)2020映画「みをつくし料理帖」製作委員会

という感じで物語が進んでゆくのですが、
当方、空腹で観に行ったものですから、とにかく登場するお料理の美味しそうなこと(゚∀゚)これ、見るだけってのは、けっこう拷問でした(T_T)

つる屋の常連で、御膳奉行である小松原(窪塚洋介)が登場します。
澪のことを「下がり眉」と呼ぶこの人物。
料理に関して、言葉少なに、厳しく、しかし的を得た評価をして、澪の料理人として進む道の標を示してゆきます。
このキャラクターが、ストーリーの最後まで関わってくるのですが、窪塚さんイイですね!
「沈黙ーサイレンスー」のキチジロー役も印象強いですが、今回は寡黙な御膳奉行。
澪の心に灯をともす役を演じて、イイ感じです。
つる屋に来るお客さんたちが、どちらかというとオーバーアクション(そういう演出だと思いますが)なのに対し、この窪塚さん演ずる小松原は寡黙で、言葉少なく、渋いっす。

その小松原が、澪に「料理の基本がなっていない」と、苦言を呈する場面があります。

考え悩む澪を見かねて、源斉は、気晴らしに、吉原で催されるお祭りに、澪を連れてゆきます。

そこで催されるお祭りで、澪は、“幻の花魁”と言われている、あさひ太夫の舞いを見ることになります。。。

このシークエンスで、澪と、あさひ太夫のつながりが出来るのですが。。。
周りで見ているお客さんも、映画を観ているこちらも、恐らくこのバク転を披露した方が、あさひ太夫だろうと。。いったいどこのお店の誰だろうかと、狐のお面をしているので、謎なのであります。

又次という吉原・扇屋の料理人(中村獅童)が登場します。
この又次を介して、澪の料理があさひ太夫(奈緒)に届くようになって、ストーリーは展開してゆきます。
(C)2020映画「みをつくし料理帖」製作委員会

この奈緒さん演ずるあさひ太夫がスクリーンに登場するのですが、見ているこちらが、思わず、ハッ!と息を呑むような、艶やかさです。さすが吉原で伝説になるような花魁。。。

当方、最近の映画やテレビをあまり見ないので、こんな素敵な女優さんがいるとは、知りませんでした。。。
奈緒さんのあさひ太夫は、ディープ・インパクトでした。

また、中村獅童さん演ずる又次が、イイ仕事(?)するんだなぁ・・・。
言葉少なで、忍んで、耐えるキャラクターは、往年の高倉健さんを彷彿とさせます。。
(C)2020映画「みをつくし料理帖」製作委員会

スゴくネタバレしますので、これから観る方は、読まないでね・・。

「雲外蒼天」。幼い日に占われた言葉が、澪と、あさひ太夫を名乗る野江とを結びつけます。。。

野江が、又次に助けられるシーンが、一瞬だったので、そこをもう少し噛み砕いて、ストーリーに入れて欲しかったです。

廓の二階に居る野江と、窓下の澪の、狐はコン、コン、のシーンは、もうちょっとあっさりしていたほうが、イイかな。。。

野江と澪の、鳥居の下での再会シーンは、一緒に観に行った友人と意見が分かれました。友人は映画の通りで良い。ワタシはあまのじゃくだから、あそこで野江が狐のお面を、外さないで、そのままで再会したほうが、もしかしたら、イイかな、なんて思いました。

澪と小松原の別れのシーンは、言葉少なで、グッときました(T_T)
お互いの気持ちは、向き合ってるのに、別れる。。。松本穂香さんも窪塚さんも、グーッと長回しに耐え、いいシーンでした。
(C)2020映画「みをつくし料理帖」製作委員会

この映画、音楽は「ねらわれた学園」「時をかける少女」でも素敵な旋律を届けてくれた、松任谷正隆さんが担当していらっしゃって、ここ一番!というスポットで印象的で切ない“松任谷節”が奏でられ、物語に潤いを与えてくれます(^^♪
エンドロールで流れる「散りてなお」は、作詞・作曲 松任谷由実さん 編曲 松任谷正隆さんで、手嶌葵さんが歌っていらっしゃいます。ストーリーのエンディングの余韻が感じられる、とても素敵な曲です。

長くなりまして、恐縮なんですが、この作品、角川映画にゆかりのある俳優さん、たくさん出演なさってますね(^^♪

角川映画第一作目の「犬神家の一族」で金田一耕助を演じて、その後も横溝正史原作の作品の多くに出演された、石坂浩二さんを筆頭に、「スローなブギにしてくれ」の浅野温子さん、「蒼き狼ー地果て海尽きるまでー」の若村麻由美さん、反町隆史さん。「メインテーマ」「キャバレー」などの野村宏伸さん、「伊賀忍法帖」「晴れ、ときどき殺人」などの渡辺典子さん、「男たちの大和/YAMATO」の中村獅童さん、「天と地と」の榎木孝明さん、「湯殿山麓呪い村」の永島敏行さん、「野獣死すべし」の鹿賀丈史さん、そして「野性の証明」「セーラー服と機関銃」「Wの悲劇」などの薬師丸ひろ子さん・・・(一生懸命網羅したつもりなんですが、情報足りなかったら、ゴメンナサイ(汗))

豪華です~!
本作未見の方は、どのシーンで誰が出てくるかというのも、楽しみ方のひとつかも。。。

(C)2020映画「みをつくし料理帖」製作委員会

追記。
藤井隆さん演ずる、つる屋の常連で、文句を言いながらも、足繁く通う戯作者・清右衛門が、ユーモラスでとても魅力的なのですが、薬師丸さん演ずる奥方、お百さんが登場するシーンで、お百さんの「今回の『里見八犬伝』は、この人にしては上出来・・・」というセリフがありまして、
見終わってから、友人が、「『里見八犬伝』って言ってたから、清右衛門は、滝沢馬琴がモデルなのでは?」と言った拍子に、あ!薬師丸さん!『里見八犬伝』!!と、そのセリフがお洒落だったことに、やっと気がついたワタシでした。。。(^0_0^)





ヒッキー的満足度★★★★☆






つらい腰痛・肩こり・頭痛など、スタッフが全力でサポートします。
癒しの森整体院
丸ノ内線 新中野駅 徒歩3分



















「スローなブギにしてくれ」

2020-10-26 14:07:26 | Weblog
(C)KADOKAWA1981


以前アップした記事がどういうわけか、文字が読めない感じになっているので、改めて追記を含め、レビュー致します。

片岡義男の「スローなブギにしてくれ」をベースに「ひどい雨が降ってきた」「俺を起こして、さよならと言った」の2作品とオリジナル・エピソードや後日譚を加えて、藤田敏八監督が映画化したものです。(赤字はWikipediaより抜粋)

ネコの鳴き声がする・・。どこかの人通りの多い街中・・。
カメラはネコの目線まで降りている・・。さち乃(浅野温子)が餌をやっている・・・。


どこかの高速道路から見える夕陽・・・。

「スローなブギにしてくれ」・・タイトルが映る。
南佳孝の同名のタイトル曲がかぶる・・「・・・want you 俺の肩を・・♪」

そこまでで、田舎育ちの私には充分でした(゚∀゚)

高速道路が交わる間から見える夕陽・・「やっぱ都会はカッコいいなぁ・・・。」

ちょうど高校に入学する直前の3月公開だったように記憶しております。
背伸びをしたい時期でした。スローなブギが何だか訳わからずに、とりあえず
観なければ青春は始まらないと、勝手に思い込んでおりました(汗)

ちょい、あらすじ・・・。

夕暮れの第三京浜を走る車から、ネコと女の子(浅野温子)がほうり出された。
後ろから走ってきたバイクの青年(古尾谷雅人)が「大丈夫かよ!?ちょっとひでーんじゃねえの!!」
これがさち乃とゴローの出会いであった・・。
そしてさっきの車、ムスタングを運転していたのが、男(山崎努)である。


その男は、福生の旧米軍ハウスで、輝男(原田芳雄・友情出演)と敬子(浅野裕子<あさのひろこ>)の三人で暮らしている。

どちらの子供か判らない赤ん坊は、敬子の妹の由紀江(竹田かほり)に預けてあり、男と輝男が養育費を払っている。

さち乃を第三京浜で放り出した日の夜、輝男が夜の日課であるジョギング中に、心臓発作で急死してしまう。

三人で微妙なバランスをとっていた関係が、輝男の死で、崩れてゆく・・。

一方、夜のファミレスで、ネコにミルクを飲ませながら、ゴローと話していたさち乃は、ポシェットの中の財布を、ムスタングの中に置き忘れたことに気付く・・。

そしてゴローのアパートで、さち乃とゴローとネコの何となくの共同生活が始まるのだが・・。

と、こんな感じでストーリーが展開してゆきます。

ワタシ、浅野温子さんは、この映画で初めて見たのですが、こんな素敵な女優さんがいるんだなぁ、でも設定では高校生なんだけど、どう見ても大人っぽくて、高校生に見えないなぁ・・と感じたのを憶えております(笑)

古尾谷雅人さんは、金八先生シリーズのどれかに生徒の先輩の役で出演されたのを憶えておりましたが、映画ではこれが初めてで、カッコイイ俳優さんだなぁ、微妙な表情のニュアンスを変えたりする演技上手いし、松田優作さんより身長がありそうだもんなぁ。。素敵だなぁ。。と思ったのを憶えております。

浅野温子さん演ずるさち乃、古尾谷雅人さん演ずるゴロー、山崎努さん演ずるムスタングの男、浅野裕子さん演ずる敬子、それぞれキャラが立っていて、イイ感じなのですが、
何といっても、室田日出男さん演ずる、スナック・クイーン・エリザベスのマスターが素敵です(^^♪

昔はグループ・サウンズやってて、レコードも何枚か出したというこのマスター。
普段はマスターらしく色んな客を「いらっしゃい」で迎え入れる、一歩下がった感じで、イイ感じなのですが、さち乃を暴行した連中が客で来て、さち乃の顔を見て、慌てて逃げ出す一幕では、「おい、ちょっと待て!!」で逃げた二人の連れを一発で締め上げるコワもて振りを垣間見せます。カッコイイっす(^^♪


それで、その店のお客さんに、グループ・サウンズ出身の岸部一徳さんとか鈴木ヒロミツさんがいるってのが、洒落てます!

あと、私的に好きなキャラクターが、ゴローがバイトしてる牛丼屋の店長さん(^^♪
鶴田忍さんという俳優さんが演じていらっしゃいますが、「なによ。。。個人の自由でしょ!」というこのキャラは、普段もそうなのかなぁ、と思うほど、それっぽかったです。ストーリーに潤いを与えて、とても素敵!

それと、春川ますみさんが演じた、さち乃の母親が、ムスタングの男に、疲れた感じで「あんた、学校の先生?」なんて言うのが、やはり上手いなぁ。。と思いました。

ストーリー的には、さち乃が、ゴローと、ムスタングの男のあいだを、まるで子猫のように行ったり来たりするのですが・・・。

ネタバレなので観る方は読まないでね、なんですが、

マスターがゴローに、
「おまえのズベ公が戻って来たんだ・・!!」
といって、そっとレコードをかけると、「・・・want you・・♪」

カクテルの「ソルティ・ドッグ」はこの映画で覚えましたです。。。(^0_0^)

以上、「スローなブギにしてくれ」のレビューでした。。。





ヒッキー的満足度★★★★




つらい腰痛・肩こり・頭痛など、スタッフが全力でサポートします。
癒しの森整体院
丸ノ内線 新中野駅 徒歩3分








「ねらわれた学園」

2020-10-19 17:23:57 | Weblog
(C)KADOKAWA1981


眉村卓の同名小説を、1981年に大林宣彦監督が実写映画化した作品です。

30年以上振りに本作を観直したのですが、この作品は、当時としては、かなり「実験的」だったのかな、と感じました。

1978年に公開された「野性の証明」の長井頼子役で鮮烈なデビューを飾った薬師丸ひろ子さん。

私的には、その時点ですでに薬師丸さんのファンにならせて頂いたのですが・・。

Wikipediaによると、角川映画のボス(?)である角川春樹氏はその頃、「薬師丸さんを、アイドルにしたい」というふうに思っていたそうな。

薬師丸さんは私の中ではすでにトップ・アイドルだったので、感覚的にそのへんよく解らないのですが、まぁ、そう思っておられたそうな。

そんで、大林監督にオファーがあって、ウチに薬師丸ひろ子という女優がおるのだが、まだアイドルになっていない。「ねらわれた学園」という作品で、この子を「アイドル」にして欲しいと。。。

という感じで、本作が作られることになる訳ですが、その後多くの「アイドル映画」を撮る大林監督なのですが、「戦略的」に「アイドル映画」として撮ったのは、本作一本のみ、とのこと。

以上、赤文字部分は、Wikipediaを参考にさせて頂きました。。

そんな訳で、ちょい、あらすじ。。。

新宿にあると思われる高校・第一学園がこの作品の舞台となっている。

主人公は、この第一学園の2年生である、三田村由香(薬師丸ひろ子)と、同じクラスの剣道部主将である関耕児(高柳良一)。

由香は成績学年トップの才媛だが、耕児は剣道に夢中になり、落第スレスレで2年生になった。
この2人はお互いがお互いの良き理解者であり、気心の知れた“相棒”である。

第一学園は、進学校ではあったが、その気風は自由闊達で、皆それぞれに個性的で、充実した学園生活を送っていた。

そんなある日、由香が耕児との下校の途中で、走ってくるトラックの眼前に漕ぎ出た三輪車の子供を見て、(危ない!戻って!!)と心で叫んだところ、ぶつかる直前の三輪車とトラックが、まるで巻き戻しのように後ろに下がり、事なきを得るという、出来事が起こった。

偶然だよという耕児であったが、後日、耕児の剣道の試合を応援に行った際にも、耕児のピンチに、自分で心の中で耕児を応援すると、試合中の相手が、まるでフリーズしたように動きを止め、耕児が一本を取って勝ち進んだり・・・。

由香は自分に何か、特別な力がついてしまったことを、悟らざるを得なかった。。。
(C)KADOKAWA1981

その日の帰り道、由香の前に謎の、星の魔王子(峰岸徹)が現れ、自分と手を組んで、世界を支配しよう、と由香を誘うのだった・・・。

そしてある日、由香たちのクラスに、転校生が入ってくる。

高見沢みちると名乗るその少女(長谷川真砂美)は、いきなり生徒会長に立候補し、当選。
「この学園の乱れた風紀を粛清する」という名目で、生徒による学園パトロールを実施。
徹底的に学園の自由を取り締まってゆく。。。

「英光塾」という謎の塾も出現し、ガリ勉の有川(手塚真)を筆頭に、次々と魂を抜かれたように、学園の仲間が通い始める。

これは、何かおかしい。
由香は、心の中で、この学園に、そしてこの地球に危機が訪れているのを悟るのであった。。。

みたいな感じで、物語が展開してゆくのですが、本当に実験的な作品で、まず上映時間が約90分という短さです。
その90分間に、薬師丸さんの魅力をちりばめた感じです。

そしてさらに実験的なのは、ストーリー後半で繰り広げられる「特撮」です。
1981年時点で、日本映画の特撮を使って、それまで見たこともないような映画を作ろうと、角川春樹氏と大林監督がタッグを組んだ作品というだけあって、思いっきりハジけた映像になっています。
観ていてちょっとキツいかな、という感じもあるのですが、長谷川真砂美さん演ずる高見沢みちるの目が光るシーンなどは、いい感じだなと思います。


画面の中程と、その周囲を微妙に色を違える手法などは、あぁ、ここで試されたのが、2年後に公開される「時をかける少女」に繋がってゆくんだな、と思いました。

手塚真さん演ずる有川君のキャラクターが、こういう演出なのか、または手塚さんのアイデアなのか判りませんが、強烈なインパクトを与えます。リアルタイムで劇場で観たとき、このキャラクターにビックリした憶えがあります(^^♪

耕児役の高柳良一さんは、この作品がデビューで、剣道部の主将を演じて、イイ感じです。この高柳さんは、前述の2年後の「時をかける少女」でストーリーの鍵を握る深町一夫を演ずることになります。誠実さが感じられて、イイ俳優さんだなと、思いました。

高見沢みちるを演ずる長谷川真砂美さんが、いわゆるヒール役なんですが、「あなたの命も無くってよ!」なんてセリフが冷たい感じで、とても魅力的です。良いキャスティングだと思いました。

星の魔王子を演じた峰岸徹さん。演じたキャラクター的には、ちょっとイタいものがあるのですが、当時の限られた特撮技術の中で、真摯に演じる姿は、とても素敵でした。

あと、耕児の父親の熊吉を演ずるハナ肇さんが、しっかりキャラクターの味わいを出していて、流石だなと思いました。ハナさんの演技で、ストーリーが引き締まる感じがしました。

この作品、音楽は、後日「時をかける少女」でも音楽を担当なさる松任谷正隆さんが手掛けており、オープニングとエンディングて流れる主題歌「守ってあげたい」は作詞・作曲・唄を、松任谷由実さんが手掛けていらっしゃいます。
この「守ってあげたい」のフレーズで、「♪ほかには、何一つ、できなくてもいい・・」というのが、“無償の愛”を感じさせてくれて、大好きな曲です。

そして主人公の三田村由香を演じた薬師丸ひろ子さんは、この作品をステップに、大スターへの階段を駆け昇ってゆく訳であります。
当時、薬師丸さんは、角川の事務所サイドの方針だったと思いますが、テレビや雑誌への登場が殆んど無くて(角川書店から発売されていた「バラエティ」という月刊誌にちょっと出るくらいで)、勢いひろ子ファンは、いざ映画館へ!と、足を運ぶことになる訳であります(^^♪
(C)1981KADOKAWA

あの頃、斜陽気味だった日本映画に、薬師丸ひろ子というスターの登場は、強烈なカンフル剤となったと思われます。。。

ということで、「ねらわれた学園」のレビューになっていないようなレビューでした。。。スンマセン(T_T)

追記。 耕児の家の酒屋の店員さん(鈴木ヒロミツ)が、配達のバイクにまたがり、「ぅおんちゅ~おーれの~肩を~♪・・」と、この映画の少し前に公開された「スローなブギにしてくれ」の主題歌を歌うシーンが、楽屋落ちなのですが、ツボにはまってウケてしまいました(^^♪。。。




ヒッキー的満足度★★★☆






つらい腰痛・肩こり・頭痛など、スタッフが全力でサポートします。
癒しの森整体院
丸ノ内線 新中野駅 徒歩3分



「蘇える金狼」

2020-10-11 13:54:24 | Weblog
(C)KADOKAWA1979


刺すような毒気がなけりゃ、男稼業もおしまいさー

そのセリフで、すでにカッコイイ(T_T)

この作品は、1979年8月に公開されているので、ちょうど日テレ系で放送されたドラマ「探偵物語」の放送時期と重なっています。
どちらが先に撮影されたかは、定かではない(同時期に並行して撮られたのかも知れない)ですが、そのTVシリーズ「探偵物語」と、この映画「蘇える金狼」が優作中期の代表作であることは、優作ファンの多くが認めるところではないでしょうか。

前出の「探偵物語」が、優作の“硬軟取り混ぜた”の「軟」の部分を前面に出したものであるのに対し、本作「蘇える金狼」は、ハードボイルドな「硬」の部分が前面に出されています(それでも、会社のうだつの上がらない社員に扮するシークエンスなどは、思わずこちらも笑ってしまうのですが(^^♪)。

村川透監督の作品です。

あらすじ的には、まず、夜明けのオフィス街で、輸送中の1億円が強奪される強盗殺人事件が発生。
現場の状況から、犯人はかなり拳銃などの取り扱いに慣れた者と予想された。

事件発生後、朝のオフィス街ー
その一つ「東和油脂」でも朝からその話題で持ちきりである。
経理部の面々でもその話題が取り沙汰されていた。

その中に、一人の風采の上がらない社員(松田優作)の顔があった。
補欠合格でやっとこの社に入ったという彼の席の足元には、郷里の母親が送ってきたという林檎が箱に入って置かれていたが、それが実は、今朝強奪された1億円であるとは、誰も気付かないのであった。

そう、彼こそがあの現金強奪殺人事件の犯人・朝倉哲也であった。

強奪した現金のナンバーが銀行で登録されていたのを知った朝倉は、現金をウラで安全なヘロインに変える算段をして、元締めの市会議員・磯川に近付き、引渡し場所にいた磯川の兵隊を全滅させて、1億円と引き換えにヘロインを手に入れる。

彼は日中この「東和油脂」の経理部でしがない社員を演じながら、実はこの会社を乗っ取る画策をしていた。
夜はボクシングジムでトレーニングを重ね、銃火器の取り扱いにも余念がない、もうひとつの顔を持っていた。

東和油脂の内部情報を手に入れるために、朝倉は、小泉部長(成田三樹夫)の愛人である永井京子(風吹ジュン)に近付く。
麻薬とセックスで京子を味方につけた朝倉の、次なるターゲットは、東和油脂の役員たちの横領をネタに5000万円をゆすり取ろうという男・桜井(千葉真一)だった・・・。

という感じで、展開してゆきます。

この作品の見せ場の一つは、前半の1億円とヘロインの受け渡し場所での銃撃戦でしょう。
優作の長身でしなやかな肢体が、黒のツナギでいっそうシャープな感じが増して、カッコイイっす(^^♪
「日本でこんな銃撃戦あるか?」なんて無粋なツッコミはどっかへ行っちゃいなさい!!みたいな。
優作が走って、撃つ。それだけで、難しいストーリーどっかに忘れちゃうのであります。

“そこにいるだけで、既にさまになって、男も惚れてしまう”というような俳優さんは、なかなかいませんね~。人によって違うと思いますが、私が今思い浮かぶのは、高倉健さん・・ポール・ニューマン、ロバート・デ・ニーロ・・そして優作さん・・くらいかなぁ・・。

それはいいとして、意外なことに、優作さんが出てくる大きなアクション・シーンは、前出のヘロイン受け渡しのシークエンスだけなんですね!

ストーリー中盤で石炭埠頭でのカーチェイスの銃撃戦があるのですが、千葉真一さん演ずる桜井と、岸田森さん演ずる石井という探偵がメインで、そこには優作さん出てこないのです。

ストーリーは、朝倉の東和油脂乗っ取りのクライム・サスペンスの様相を帯びてきます。

この映画で特筆すべきもののひとつに、永井京子を演じた風吹ジュンさんの演技があると思います。

よく、「体当たりの演技」なんて言葉が使われますが、この作品の風吹ジュンさんが、真にそれ。
最初朝倉に出会う時から、徐々に朝倉から離れられなくなる京子を演じて、ラストへ・・。

私、風吹ジュンさんの歌手時代の事はほとんど知らないのですが、この映画を見て、素敵な女優さんだな~と思っていたら、その後、数え切れないほどの映画やテレビドラマ、ドキュメンタリーなどに出演なさって、大活躍されてますね~(^^♪

さらに、小泉部長を演じた成田三樹夫さん!相変わらずイイっす(^^♪
「野性の証明」
では、三國連太郎さん演ずる大場一成の息のかかった中戸組組長をシャープな感じでニヒルに演じ、かと思ったら五社英雄監督の「吉原炎上」では名取裕子演ずる主人公を買い受けて吉原へ連れてくる女衒を演じ、はたまたTVの「探偵物語」では、優作さん演じる「工藤ちゃん」に何かと絡んでくる服部刑事をコミカルに演じ、この「蘇える金狼」では、何でも金でカタをつけたがる俗物でヤク中になってゆく経理部長を、傲慢と卑屈が綯い交ぜになっている感じで演じて、とても魅力的です。
朝倉から麻薬を分けてもらう談判をするシーンが、俗っぽさ全開で、観ている方もつい笑ってしまいます。


ストーリー的には、石井という探偵(岸田森)が、東和油脂の上層部を裏切り、前述の横領をネタに1億円を要求してきます。
その石井を消すために、朝倉が選ばれます。東和油脂の重役の椅子を約束するという条件で、上層部直々に殺人を依頼されるのです。

首尾よく石井を殺った朝倉は、その時点で、用無しということで、上層部から消される予定が、逆に社長以下重役たちを脅して、まんまと東和油脂の株、200万株を手にいれ、東和油脂の重役となり、社長の末娘・絵里子(真行寺君枝)とも交際を始め、裏街道でついにピークまで登り詰めたのですが・・・。

ラストのストーリーは書かないですが、優作さんが飛行機のチケットを・・・のシーンは、悲しくも、カッコよすぎる(T_T)
前野曜子さんが歌う「蘇える金狼のテーマ」が、流れます。。。渋い。渋すぎる(T_T)

このラストの・・・は最初見たときは、予想がつかなかったです。

ストーリーの最後を含んだ言葉だと思うのですが、優作さんはこの映画を「恋愛映画」と表現したとのこと。

優作さんが亡くなって30年以上経ちますが、今なお私の中では、松田優作さんは生き続けています。
機会あるごとに、彼が出演した作品を観直して、いきたいと思っております。。。

以上、「蘇える金狼」のレビューでした。。。





ヒッキー的満足度★★★★






つらい腰痛・肩こり・頭痛など、スタッフが全力でサポートします。
癒しの森整体院
丸ノ内線 新中野駅 徒歩3分







「野性の証明」

2020-10-04 16:26:43 | Weblog
(C)KADOKAWA1978                             

思い出の映画です。

あれは、1978年になるのでしょうか。
中学生だった私は、それまでいわゆる「大人向けの映画」(成人映画じゃないっすよ)を、ほとんど観たことがありませんでした(スター・ウォーズくらいかな)。

たしか中間テストか何かで、学校が早く終わった午後だったように記憶しているのですが、どういうきっかけだったか忘れてしまったのですが、友達に誘われて、この映画を観に行くことになりました。すでに上映終了の日が近い頃で、映画館はお客さんもまばらだったように記憶しております。
その頃のテレビでは、この映画の宣伝が頻繁に流れていた(当時の角川映画はTVスポットが頻繁にありました)ので、何となく映画の雰囲気は知っていたのですが。。。

田舎の中学生だった私は、オープニングの健さん演ずる特殊工作隊員たちのトレーニングのシーンで、いきなり目が点になってしまいました。
自衛隊員の中から選りすぐられた、「超法規的」に命令を遂行する、秘密の精鋭部隊です。

ネタバレあります。。。

映画ではまず、反政府ゲリラが、アメリカの大使たちを人質にとって山荘へ立てこもる事件に、特殊工作隊が闇に紛れてカイトで山荘に舞い降り、事件を制圧するエピソードが描かれます。。。

それに続いて、その特殊工作隊で行われる、北上山地からのサバイバル訓練の様子が映し出されます。

この映画の主人公・味沢岳史(高倉健)もその訓練に参加していたのですが、あまりの過酷さに、疲弊しきって登山道へ転がり出たところで、登山者の越智美佐子(中野良子)と遭遇してしまいます。

この訓練中の、一般人との接触は、固く禁じられていました・・。

そして、運命(?)の薬師丸ひろ子さんの登場です。
薬師丸さんは、味沢が越智美佐子に遭遇した場所から程ない寒村で起きた、そのほとんどが惨殺された事件の、集落のたった一人の生き残りである長井頼子役で登場します。

その事件では、越智美佐子も犠牲になっていました。

頼子は目の前で繰り広げられた凄惨な事件のショックから、記憶を失ってしまいます。

救出されてからの警察署員の問いに、頼子が口にするのは「青い服を着た男の人・・」という言葉だけでした。。
そして頼子は、遠縁の親戚に引き取られて行きます。。

という感じで始まるのですが、今考えると、デビューの作品で、いきなりこの難しい役どころというのは、薬師丸さん、かなりの重責だったのではないでしょうか。

ストーリー的には、この事件の一年後の、東北にある羽代市を舞台にして、特殊工作隊を除隊した味沢と、その養子になった頼子、そして件の事件で犠牲になった越智美佐子の妹である新聞記者・越智朋子(中野良子・二役)の3人を軸に、羽代市を影で牛耳る大場グループの会長・大場一成(三國連太郎)、その息子であり、暴走族のリーダーである成明(舘ひろし)、建設業者中戸組の幹部・井崎(梅宮辰夫)などが登場し、朋子と、彼女を見守る味沢の、大場グループの不正を暴くべく戦いが描かれます。

それと並行して、岩手県警宮野署の刑事・北野(夏木勲)が登場し、件の集落惨殺の生き残りの長井頼子を味沢が引き取ったことに不審を抱き、味沢が元自衛隊の特殊工作隊員だった事を嗅ぎつけ、味沢が件の惨殺事件の犯人であるとして、彼を逮捕すべく行動してゆきます。

そして味沢の自衛隊除隊の真相が知れて、特殊工作隊の存在が明るみに出ることを恐れた自衛隊幹部は、要注意除隊者であった味沢を、記憶が戻りそうな頼子もろとも抹殺することにします。。。


だんだんスケールがでかくなって、終盤の戦闘シーンにつながっていくのですが、2時間半近い大作なので、登場人物が多いし、ストーリーが交錯してゆきます。
逃げたと思ったら連れ戻されたり、味方だと思ったら、そうじゃなかったり。脚本も凝っています。
ちょっとストーリーのフォーカスがぼやけたかな、とも思うのですが、やはり健さんと、薬師丸さんの魅力で(私的には中野良子さんも素敵!)物語に惹きつけられます。

三國連太郎さん演ずる大場会長も重厚で存在感あるのですが、その息子を演じた舘ひろしさんがとてもイイっす!若くて無謀で無鉄砲な“若(ワカ)”を演じて、新鮮なインパクトでした。(この前年に公開された「人間の証明」では、岩城滉一さんがいい味を出していましたね!)

ネタバレになっちゃうのですが、終盤の特殊工作隊との戦闘の前に、健さん演ずる味沢が北野刑事に、「助かる方法は三つしかない。この演習が終わるまでどこかにじっと隠れているか、演習地の外へ逃げ出すか・・さもなくば・・・あの22人を倒すかだ!」のセリフがカッコよすぎる!スンマセン単純で。。。

しかし、特殊工作隊が味沢たちを抹殺するために来るのはまだ解るとして、何も3人を消すのに、演習に紛れて始末するとは言うものの、地平線の彼方から、戦車隊やロケット砲を持ってくるというのは、ちょっとスケールがデカすぎるかなと(苦笑)。
まあそれだけ、味沢という男は脅威だったんでしょうね。

当時の雑誌か何かの、角川春樹氏のコメントで憶えているのは、「どうせ嘘をつくなら、スケールのデカい嘘をつきたい」というものでした。

この終盤の戦闘シーンは、北米のどこかで撮影されたとか。
たしかにスケールデカいっす。

観ていても、ヘリの音が消えたらブレーキを解除して、トロッコは下りで動くから、と、薬師丸さん演ずる頼子が、味沢から言われますが、こんな所から、どうやって千葉のおばあちゃんの所へ行くんだろう??とまじめに心配したのを憶えております。

この映画、音楽は、「犬神家の一族」「人間の証明」や「ルパン三世・カリオストロの城」などを手がけた大野雄二さんが担当しています。

ストーリー最後の方に、山川啓介さん作詞、大野さん作曲で町田義人さんが歌うテーマ曲「戦士の休息」が流れますが、これは当初は「銀河を泳げ」というテーマ曲が用意されていたらしいのですが、それより後に作られた「戦士の休息」で行こう、ということに変更されたというのを何かで読んだ記憶があります(「銀河を泳げ」のメロディーは、インストゥルメンタルで、作品中に使われています)。


この映画のTVスポットは、高倉健さんの姿をバックに、「男は、タフでなければ生きていけない。優しくなければ、生きている資格がない」というレイモンド・チャンドラーの小説のセリフがかぶり、「戦士の休息」が流れる、という感じだったのを憶えております。

当時中学生だった私は、この映画の余韻に浸りたくて、映画館からの帰りの道を、バスに乗らずに、歩いて帰った記憶があります。

この映画を観たのを皮切りに、映画館へ足繁く通う少年になりましたです。。。

ということで、「野性の証明」のレビューでした。。。




ヒッキー的満足度★★★★







つらい腰痛・肩こり・頭痛など、スタッフが全力でサポートします。
癒しの森整体院
丸ノ内線 新中野駅 徒歩3分