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日本の真の活性化を考える  吉川忠雄

中国政府の策略「国民の不満のはけ口を反日に向けさせる」・・・にはもっと賢い対応が必要

2012-11-20 18:52:15 | 日記

        尖閣問題での対応、中国は不当、日本は拙劣 

かつて強大だった清国は小さな尖閣諸島の領有には関心が無く、1895年1月(当時は日清戦争末期だった)に尖閣を日本の領土に組み入れた経過は国際法上有効なものであり、戦後も人が住んでかつおの加工場として利用した時期がありました。

 一方、中国や台湾が領土と主張し始めたのは1969年、70年の国連の海洋調査で海底に大量の石油が埋蔵されている可能性があると報告された後のことで、明らかに資源欲しさの不当不法なものです。 

ただし、台湾は戦前日本に併合されていたため、台湾漁民は日本漁民でもあったので、当然尖閣周辺での漁業が出来ました。 沖縄が米国の施政権下にあった時にも漁業は黙認されてきました。 しかし、沖縄の日本復帰以後は日本政府が排他的経済水域を問題にし、他国になった台湾とその漁民にはその好漁場の漁業権を認めない。 

そこで台湾の場合は伝統的な漁場の漁業権を守ろうとして「尖閣諸島は台湾の領土」と主張する面の方が強いようです。

しかし、1972年に日中国交回復し、1978年に平和友好条約の批准書交換のために日本を訪問した小平が記者会見で質問に答える形で「尖閣問題棚上げ論」を論じたとき日本政府はこれに明確に反論せず、事実上棚上げ論に応じて島に手を触れないで来ました。

 そして日中平和友好条約以来、尖閣問題で紛争が起きるという警戒心も無く、

「日中友好」の掛け声の下、日本は巨額のODAをやり、貿易拡大だけでなく企業が続々と進出し、資本や技術を中国大陸に投下して来ました。

  また日本政府・外務省は台湾の漁業権要求に対しても、尖閣を日本の領土と認めるなら漁業権で譲ってもよい等、戦略的・大局的見地から柔軟に判断すべきところなのに、狭い見地からしか対応して来ませんでした。

 一方、中国政府やその地方政府には国民の不満が溜まっています。

中国共産党政府が建前とは反対に労働者や一般住民たちに冷たく、企業の横暴を助け、特権と腐敗、汚職による不正蓄財が蔓延しているためです。

そのため、言論の自由を封じているにもかかわらず、各地で年間数万件と言われるほど集団的抗議行動が頻発しています。

中国共産党政権はこうした中、海洋進出という名の膨張主義を取り、国民の大国意識をくすぐっています。

中でもこれまで愛国(=反日)教育や反日ドラマなどで培ってきた反日感情を利用して、特に尖閣問題で「反日」を一層煽っています。

策略として「反日」を「国民の不満のはけ口」にしようとしているのです。

中国共産党のトップと幹部が交代しましたが、より強硬に出てくる恐れもあります。

このような経緯があるのに、こうした中国や台湾の状況で、中国や台湾からの領土主張に対し、

日本政府は 「尖閣に領土問題無し。  したがって領土交渉には応じない」 という対応をしています。

これでは中国政府の思う壺です。

「日本が日清戦争のとき釣魚島を盗み取った」とウソで煽り、

「日本は交渉にも応じない。だから日本を領土交渉に引きずり出すまで、島へ押しかけろ」とけしかけることができるからです。

これをしている間は島を得られなくても、「反日」を大いに「国民の不満のはけ口」にできるというもの。

 日中が尖閣で衝突すれば、日本は島を守れても、経済制裁でまず日本が大損害を受けるでしょう。

中国政府は「日本企業が去った穴は中国と欧米の企業で埋められる。

中国側が日本からどうしても買いたいものは台湾やその他の国経由でも買える」と考えているでしょう。 

日本政府・外務省は「中国政府の尖閣諸島要求が不当だから領土交渉に応じない。衝突も覚悟」・・・という方針でいくのであれば、

始めから中国政府の出方には十分な警戒心が必要で、そもそもこんなに「日中友好」ばかり言って日本企業の中国進出などに便宜を図ってくるべきではなかったのです。

今になって、日本政府がこういう方針で行けば日本企業などの経済がどんな大被害を受けるかわかりません。

日本政府・外務省には、「中国に対する政治と経済を合わせた総合戦略も大局的判断も無い」ということです。

 もちろん、いざと言う場合のためにも、抑止力としても、海上保安庁の抜本的強化や海空自衛隊の強化は必要です。

しかし、兵法で言えば、中国政府の尖閣諸島要求が不当であっても、こうした場合、「軍事的に戦わずして勝つ」ことが必要なのです。

外交・宣伝・情報戦で勝つ事こそ必要なのです。

日本側には尖閣問題で大勢の中国人に真実が伝わるような情報・宣伝戦をする必要があり、

それには互いの論拠を公平に両国民に公開すると言う条件付きで領土交渉をするという方針にした方が可能なのです。

中国政府の策略・・・国民の不満のはけ口を反日に向けさせる・・・にはもっと賢い対応が必要なのです。

 しかし、今度の衆議院選では自民党が第一党になり、安倍首相が誕生しそうです。 また日本維新の会が議席を増やし石原党首の発言力・影響力が増しそうです。

 彼らがリードする外交ではこうした「戦わずして勝つ」賢い柔軟な対応を取るはずが無く、単純な強硬路線を取り、「領土交渉には応じない」を貫くでしょう。 

その結果、島を守り、上陸しようとした反日活動家を国内法を適用して厳しく罰することはできるかもしれないが、中国で即時釈放を要求して反日の嵐が吹き荒れ、多くの日本企業がひどい被害を受けて撤退を余儀なくされる・・・ことが予想されます。

長期的には中国から東南アジアやインドなど南アジアに安い労働と市場を求めて移転していくにせよ、短期的には大きな経済的打撃を受け、日本経済が縮小スパイラルに入り、失業者が急増し、また平均賃金がさらに低下する恐れが大いにあります。

今のデフレは実は賃金デフレなのですが、それが一層悪くなる恐れがあるということです。

    ・・・尖閣問題での対応、中国は不当、日本は拙劣・・・



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