小さい声でもあげてみよう

ゲイでドクター。そんな僕の地味ぃな日常。

出会い。その七

2005-10-18 10:46:28 | むかしのこと。
メールで先生にやっと、やっとカムアウトできた。

なかなか返信が来なかった。
僕はとても不安になったけど数時間後、返信が来た。

「わかった。明日、ご飯行かない?」

次の日、先生に会うのがなんだかこそばゆい感じがした。
食事をしながら自分がゲイだという事に関して全部じゃないけれどいくつか話をした。
先生との間にあったどこかよそよそしい雰囲気が大分溶けていた。

食事が終わっていつものように別れたあと、先生からのメール。

「やっぱり、しゅうや君ち行ってもいい?」

それって、やっぱりそういうこと?ものすごく緊張しつつ

「いいですよ」

と返事。程なくして先生がやってきた。
初めは普通に会話していたけど、次第に言葉少なくなってきて、
どうしよう、と僕がどぎまぎしていたら、
先生は無言で立ち上げって僕を後ろから抱きしめた。
使い古された言い方だけど、心臓が口から飛び出るかと思った。

でも、すごく暖かくて、気持ちよかった。

そのまま、僕は先生に抱かれた。


出会い。その六

2005-10-18 10:23:20 | むかしのこと。
先生にまた会える。それだけでうれしくてたまらなかった。

でも一方で戸惑いもあった。

僕がmixiの先生のページにアクセスした、ということは先生に
「僕が先生のブログを見て、先生がゲイであることを知っている」
と伝える事と同じだから。

どんな風に振舞えばいいのかわからなかった。

でも、考えても始まらないのでとにかく先生に会う事にした。

実際に会ってみると先生はいつもと変わらなかった。
先生がゲイである、という事に関しても軽く話題に上ったけど、
普通の会話の中の話題のひとつ、という感じだった。
帰りの車の中で、

「どうやってmixiの僕のページにたどり着いたの?」

と、先生に聞かれた。今から思えばカムアウトのいいチャンスだった
のだけど、やっぱり僕は動転してしまい、適当に笑ってごまかしてしまった。

そんな感じでその日は普通に帰り、それから何回か先生は僕を誘ってくれて、
飯を食いに行ったり酒を飲んだりしたけど、やっぱり当たり障りの無い会話を繰り返していた。

そんなある日先生からメールがきた。

「しゅうや君はゲイなの?」

直球だった。もう、適当にごまかせない。震える指でメールを打つ。
ここまで、追い詰められて僕ようやく先生にカムアウトできた。

「はい、そうです。」

短い、人生初のカムアウト。

出会い。その五

2005-10-18 09:59:30 | むかしのこと。
実習が終わり夏休みが始まった。

夏休みに入ると就職活動や卒業の準備であわただしくなり、
先生のブログをチェックする事も少なくなっていた。
もう、先生に会うこともないだろう、そう思っていた。

だが、夏休みも終わりに差し掛かった頃に
久しぶりに先生のブログを開いたところ、
先生がmixiに参加していることを知った。

少し、心が動いた。mixiにアクセスして、先生のHNでメンバー検索をかける。

・・・いた!

先生のページを開くか、僕はものすごく葛藤した。
mixiには「足あと」機能があるので、アクセスされた人は
どんな人がアクセスしてきたのか知ることが出来る。
僕のページは僕の本名こそ無いが居住地や年齢、身分
そして何より毎日の日記があるので先生がじっくりと見れば
多分、僕のことだとわかる。

本当だったらメッセージを送ればいいのだろうけど、
やっぱり意気地の無かった僕は何日か迷った挙句に
先生のページに一回だけ足あとを残してみる事にした。
足あとを残したところで先生が忙しくてチェックしなければ
足あとは消えてしまうし、僕のページに来たところで
じっくり日記を読まないと、僕だとはわからない。

本当に賭けのような気分。

足あとを残して、1日後。ドキドキしながらmixiにアクセスする。

「新着メッセージが1件あります。」

半分信じられない気分でメッセージを開ける。

本当に先生だった。

「しゅうや君だよね?久しぶり。元気だった?○○病院の××です。今度またご飯でも食べに行こうよ。」

ケータイの連絡先とともにこんなメッセージが届いた。
僕はうれしくなって、先生のケータイへ早速メールを送った。先生も忙しいだろうと思って

「先生のご都合のよいときに是非、ご飯いきましょう」

と送ったら

「じゃあ、明日行こうか」

と返信。早っ、と思ったけどうれしくて二つ返事で話は決まった。

再び、先生と会える日がやってくるとは。

出会い。その四

2005-10-16 10:33:34 | むかしのこと。
僕は先生がゲイだということを知っていて、
先生は僕がゲイだということを知らない。
もちろん先生は職場ではカムアウトして居ない。

そんな、微妙な状況で実習は進んでいった。
先生は親切であれこれ僕のコトをかまってくれたし、
僕もいっぱしのプロとして働く先生の姿に尊敬と憧れを感じた。
多分、僕は先生に惹かれていた。

かといって、いきなり
「先生、ゲイなんですよね」
なんて言えるわけもなく、
「先生のブログみてますよ」
とさりげなく言ってみようかとも思ったけど、それは即ち、
「僕もゲイです」
というようなもので、どうしても言うことが出来なかった。

生まれて初めて、現実にゲイの人と接した僕は先生の挙動を観察しながら、
「あ~。それっぽい」
とか一人で勝手に納得したりするだけだった。

そんなある日、実習が終わる頃先生が
「しゅうや君、今日晩飯食べに行かない?」
と誘ってくれた。もちろん、即答で
「行きます!」
と答えた僕は、ものすごくドキドキしていた。
実習が終わった後病院の外で待ち合わせて先生の車に乗り込む。
「何食べたい?」と聞かれたけど僕は上の空で「な、なんでもいいです」と。
結局近くの定食屋で夕飯を食べ、病院へ戻る車の中。
世間話をしつつも頭の中で僕は先生にカムアウトしようかものすごく葛藤していた。
でも、やっぱり言い出せないまま、車は病院についてしまった。
「今度は飲みにでも行こうね」
と別れ際に先生は言ってくれたけど「今度」なんて来るのだろうか、僕は思っていた。

結局、最大のチャンスに何も行動を起こせなかった僕は、その後も淡々と実習をこなし、
先生の連絡先も聞く事も出来ないままに一か月の実習は終わってしまった。

せっかく機会はあったのに自分が勇気を出せないばっかりに
何も行動できなかった自分が心底嫌だった。

「今度」は来なかった。


出会い。その三

2005-10-15 17:00:03 | むかしのこと。
夏がやってきて、いよいよ実習が始まった。

先生はブログに自分の顔写真を出していたので(!)顔は分かっていた。

「っていっても会えるわけ無いよなあ・・・。」

と思いつつ病院へ。御世話になる部署へ行き、指導担当の方に挨拶。
その部署の面々を紹介してもらった。

「・・・!!?」

そこには、ネットで見た顔が。

先生がいた。

自分でも信じられなかったが、先生が居たのは僕が実習を行う部署だった。
明らかに僕はそのとき動揺していただろう。
でも、先生にとったら自分はタダの初対面の学生。
とりあえず平静を装うのに一杯一杯だった。

こうして僕は、先生と1ヶ月の実習を過ごす事になった。

出会い。その二

2005-10-14 15:32:02 | むかしのこと。
先生のブログを読むだけの日々。転機は今年の春にやってきた。

町の病院へ1ヶ月間、学校の実習で通う事になったのだ。
受け入れ先の病院はいくつかあって、自分で選ぶことができた。

もちろん、先生のいる病院も。

とはいっても、その病院は結構大きな規模なので、
そこへ行ってからといって先生に会える保証なんて無かった。
でも、先生に会えるかも、というかすかな期待と、
その病院での実習内容が興味を持てる内容だったこと。

一も二もなく、僕はその病院を希望した。

僕は指折り数えて実習が始まるのを待った。

出会い。その一

2005-10-13 10:51:21 | むかしのこと。
先生が僕を知る前に、僕は先生の事を知っていた。

いや、影から一方的にストーキングとかそういうのでは無く。

去年の冬くらいの話。

将来医療関係に就職することを希望している僕は、同じ分野で
ゲイの人間がどんな風に日々過ごしているのか、を知りたくて
ネットで適当に検索をかけて様々なページを読みふけっていた。

そうするうちに僕は先生のブログにたどり着いた。

初めは「あれ?」という感じ。
日記の内容と写真から、この日記の主が同じ街に住んでいるらしい、ということが分かった。
それからしばらく日記を読み続けてその人が僕の近所の病院で働いているということも分かった。

それが分かった僕は大いに興奮したけれども、
だからといっていきなりメールを送ったり出来るほど僕は大胆ではなかった。

ただ、日々、先生のブログを読む、という日が続いた。


登場人物

2005-10-12 01:26:46 | いんとろだくしょん。
どこから書いたらいいものか迷ったけど、とりあえず今出てくる人について。

僕。

23歳。大学生。

初対面の人には明るくさわやか。
反面、親しくなるとボロが・・・。
実はかなりの根暗。小心者で引っ込み思案。
考え方は割と古風。自分で言うのもなんだけどいわゆる「くそマジメ」の部類
自分がオンナよりオトコが好きだ、という自覚は中学の頃からあったけど、
具体的な行動には移せず、この年になってました。


先生。

20代中ごろ。おいしゃさん。

知り合ったのは、今年の夏の初め。
彼の出現によって僕の生活は今までと違う方向に動き出している。
1か月くらい前から僕と恋人のような、関係。
いろんな意味で僕とは正反対の人間。
コッチ方面はかなりの遊び人、らしい。
でも、明るくてあっけらかんとしていて、やさしい。

少なくとも今は、ね。


>2008年2月 追記。

そんなこんなで紆余曲折を経て、再び独り身になってしまったわたくしですが。
現在は大学を出て、地元に帰り2年間の研修医生活を終えようとしております。
このブログをはじめたときは23歳だったようですが、現在は26歳。はやっ!
今年の春からは、専門分野の修行のため縁も所縁もない関東へ旅立つことになりました。

第3章突入といったところでしょうか?
公私共に新しく得るものがあるよう、日々邁進です。
よろしくお願いします。

>2008年10月追記。

という事で関東に出てきてはや半年。
仕事のプレッシャーに飲まれつつも、何とか毎日やってます。
13歳年上の彼氏ができ、公私共に充実させるべく邁進中。

初めの挨拶に代えて

2005-10-11 23:33:44 | いんとろだくしょん。
つい最近まで誰にもカムアウトする事も無く「ノンケ」として生活していた僕。

ところが、ちょっとしたきっかけから自分の周りでいろんなことが動き出して、

キモチが生活についていってない今日この頃。

昔のコトを振り返りつつ、今のキモチを整理して行きたいです。



こっちの人のブログを読んでいると僕なんぞビックリしてしまうような

日常を送っている方が沢山居ることを知りました。

一方、僕みたいにひっそり、地味に日々過ごしているゲイも居るんだ、

というコトを知っていただけたら幸いです。