あまくさ人のひとりごち

あまくさ人のひとりごち、つまり独り言です。
撮りだめした写真も併せて載せます。

第1520回 ベニスに死す

2011-05-01 08:26:02 | 映画
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最初に予告。
映画のストーリーについて語っている部分があるので、ネタバレ注意です。



教えて!ウォッチャー…年を取って変わったなと感じることは?(教えて!ウォッチャー) - goo ニュース

成人、結婚、出産、退職、等々、人生の節目はたくさんありますが、年を取るなかで過去を振り返ってみると「昔と比べて変わったなー」と思うことがたくさんあると思います。年を取ると人は一体どんな点が「変わった」と感じるのか…。教えて!gooのQ&Aからそんな疑問を調べてみました。
年を取って変わったこと
投稿者0909nekoさんは、「年を取って『昔は私、こんなんじゃなかったのにな』と、思うことは何ですか?」質問を投げかけています。そこに集まったのは…
「『欲』が…なくなってきた…」(hyakkinmanさん)
「『健康診断』が恐くなりました」(booboo55さん)
「徹夜ができない。栄養ドリンクが効かない」(wakarimameさん)
「丸くなった。人柄も体形も…」(chero11さん)
「近くのものが見づらくなった」(noname#64929)
とフィジカル面の衰えを挙げるたくさんの回答が。たしかに、昔のように無理ができなくなったというのは筆者もしみじみ実感するところ。この中の、「近くのものが見づらくなった」というのは、つまり「老眼」のことで、複数の人が挙げています。

「最新型」に興味がなくなる?
そのほか、日常生活の中のシーンにおけるこんな変化も。
「若いタレントの名前がわからないときがある」(pacemen888さん)
「パソコンなど、最新式のモデルに興味がなくなって『使えりゃ十分』と、なった」(1972nyancoさん)
「携帯やPCが最新型でなくてもよい」(noname#114696)
「ドラマを観ていて、子供と生き別れになるシーンなんかは涙が出たりします」(horahuki-dondonさん)
携帯やPCなどの最新モデルに興味がなくなり、涙もろくなるのは多くに共通した現象のようで、複数の人が書き込んでいます。また、
「ここ最近は守りに入っているなぁと自分でも思うことが多いです」(igieさん)
「年を重ねていくうちに、子供の頃の純粋さが消えていったなと思います」(girlsblue7さん)
という辛辣な意見もありました。しかし一方で、
「温和になった。昔ほど怒りにくくなりました。年を取るといいこともあるのだなーと最近シミジミ思います…」(poolplayerさん)
「犬に優しくなった」(OkadaRikujさん)
というコメントも。年を取ったというとマイナス面が強調されがちですが、いまより若くなることは永遠にない以上、できれば「いいこともある」と感じたいも のです。ちなみにコメントを書き込んだ回答者の年齢は、下は10代から上は還暦まで様々でした。「年を取った」と感じるのに年齢は関係ないのでしょう。
 


どうもこの国は、過剰なまでに若さを求める風潮が強いようだ。
若いのがイイ!
若さが一番! みたいな。

これはたぶん、この国がまちがいなく超高齢化社会に突入していることと無関係ではないのかも。


「ベニスに死す」という映画があった。
老作曲家・アッシェンバッハが静養のために訪れたベニスで、美少年タッジオに出会う。
彼に一目ぼれしたアッシェンバッハは、タッジオの姿を求めてベニスの街を徘徊するようになる。
ついには相当無理な若作りをして、タッジオの関心を惹こうとするが、
やがて街に蔓延してきた疫病に体をむしばまれ・・・。

ラストシーンが鮮烈だ。
人がまばらになった海岸。
海で遊ぶタッジオの姿を見ながら恍惚の中で死んでいくアッシェンバッハ。
その顔は涙と汗で溶けた化粧で醜くなり果てている。


若い頃はこの映画の意図するところがよくわからなかったのだが、
今になって見返してみると、アッシェンバッハの気持ちが痛いほどよくわかる。


ワタクシたちオジサンオバサン、じいちゃんばあちゃんはみな、
アッシェンバッハ的なものを心の中に持っていないだろうか。

きっと、そうだ。
ワタクシたち中高年はみんな、アッシェンバッハなのだ。
老いや死の恐怖におびえながら、若くて美しいものに恋焦がれる。

してみるとこの映画を監督したルキノ・ビスコンティは、今の日本を象徴化してみせたのだろうか?

この映画が製作されたのとほぼ同じ年に生まれたワタクシ、そう思えてしかたがない。



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