逝きし世の面影

政治、経済、社会、宗教などを脈絡無く語る

バノンやスカラムッチを切ったトランプ流ポピュリズム

2017年08月20日 | 政治
トランプ政権の新しい広報部長に就任したホープ・シャーロット・ヒックス(Hope Charlotte Hicks)28歳

『ハブられたくないので、全員が声をそろえて「ポピュリズム(トランプ)は愚かで悪い」と言い続けていた予定調和の日本的知識人たち』

異次元の量的緩和(アベノミクス)を一貫して批判し『アホノミクスである』と喝破した経済学者の浜 矩子同志社大学教授ですが、(当該記事では一言も『実は、トランプの方が正しい』とは云わなかったが)今では否定的なイメージが定着している(権威ある知識層が主導する正しい論理とか定説とは正反対の)普通の一般大衆の素朴な要求を優先するポピュリズムに対して、本来は『人民主義』で民主主義の王道であり、(トランプ流の)ポピュリズム的な発想は『正しい政治手法である』と指摘する驚きのコラム記事をごく最近毎日新聞に書いていた。



2017年1月20日に発足したトランプ政権ですが、空席だった『広報部長』ポストにトランプ大統領以上の暴言王のアンソニー・スカラムッチ(ウォール街の投資家)が就任し、ホワイトハウスから相次ぐ機密漏洩でプリーバス大統領首席補佐官やスパイサー大統領報道官などを口汚く罵って『解任』に追い込んだがスカラムッチ自身も就任10日(7月31日)で解雇されるという異例の事態に。



トランプ政権の新広報部長は11歳の時からラルフ・ローレンのキャンペーンモデルを務め、その後もティーンモデルとして活動。小説『The It Girl』のカバーも飾っている元モデルの美女。政治経験はないが広告宣伝業界出身として2015年に大統領選出馬の広報担当にいち早く抜擢。大統領当選後の2016年12月には、トランプ政権で新設される戦略広報部長に就任することが決定していた。(ホワイトハウス幹部ではスパイサー米大統領報道官の辞任で副報道官から昇格 したサラ・サンダース氏(34)の上司として異例の28歳の若さでトランプ政権の要職に就任している)


ホワイトハウス執務室で、シリア内の映像見てない人間3名。睨み合うクシュナーとバノン主席戦略官とティラーソン国務長官。(これはパパラッチの隠し撮りの『特ダネ映像』ではなくて、ホワイトハウスの公式ホームページの写真なのですから、あえて閣内の不穏な動きを公開した真意が?である)



ドナルド・トランプ米大統領は就任直後1月28日、国家安全保障会議(NSC)の構成を変更する大統領令に署名し、スティーブ・バノン首席戦略官を常任メンバーに加え、逆に今までは常任メンバーだったアメリカ軍の制服組トップの統合参謀本部議長と国家情報長官を除外すると言う、シビリアンコントロールを徹底する思い切った改革を行った。
シリア空爆を一貫して主張していたのは米民主党(クリントン)やリベラルメディアであり、逆に中東へのアメリカ軍の介入を否定していたのが(日本やアメリカのリベラル派が『もっとも過激で危険な右翼だ』と名指しして口汚く罵っている)首席戦略官のスティーブ・バノンだった。(アメリカでは左右の役割が完全に逆転していて、リベラルや左翼メディアが悪質な戦争屋であり、バノンのような右翼の方が平和を強く求めていた)
ところが、武力行使に反対していたバノンはNSC(国家安全保障会議)メンバーから外され、シリアへのトマホークミサイル攻撃以後にはマスコミへの露出もピッタリ止まっていたので、今回の解任は時間の問題だったのかも知れない。(シリア攻撃はバノンの強い反対を押さえて、娘婿のクシュナーが主導して実行された言われている)

★注、解任直前のバノンは、北朝鮮へのアメリカの武力介入では『1000万人が死ぬ』と強く警告、朝鮮半島で米軍の武力行使の選択肢は無いと言い切っていたので、常識的に見れば今回の解任劇で朝鮮半島での危険度(米軍による北朝鮮奇襲攻撃)の可能性が高まったと思われている。



『最終的には人間にマシンが勝つ』ほぼ絶望的な近未来SF映画『ターミネーター』のような不吉すぎる未来予測

8月21日から始まる米韓合同軍事演習ですが、北朝鮮は演習に強く反発、昨年は演習期間中にSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)をブッ放した。
米韓軍の演習は実戦方式ではあるが、コンピューターのシミュレーションが主で、実際にイージス艦やステルス爆撃機などの最新兵器が予定されているコンピューターのシミュレーション通りに動くのかを確認するのが目的だった。
民間宇宙ロケットのスペースXとか電気自動車のテスラ自動車で有名なイーロン・マスクが8月11日、北朝鮮よりもAIの方がより危ないとツイートしています。(マスクはこれ以前にも何度も人工知能による危険性を忘れるなと呼びかけていた)

Elon Musk ✔ ‎@elonmusk
If you're not concerned about AI safety, you should be. Vastly more risk than North Korea.
9:29 AM - Aug 12, 2017

人間は愚かな間違いを犯すが、コンピュータは致命的な誤作動を起こすとの意味でしょうか。in the end the machines will win.とは何とも不気味な話である。 (Sputnikの投稿したこのイーロン・マスクのツイートの画像と、トランプの新しい広報部長ホープ・シャーロット・ヒックスとが何となく似ている)

『バノン氏:米大統領のために戦う-議会やメディアの敵に対し』8/19(土) Bloomberg

トランプ政権の首席戦略官を退いたスティーブ・バノン氏は保守系ニュースサイト「ブライトバート・ニュース」に18日に戻った後、米大統領のために「戦いを始める」と述べ、同サイトの主張に反対する人たちへの闘争を強めると言明した。
. バノン氏は同日、ブルームバーグ・ニュースに対し、「混乱があるなら明確にしたい。私はホワイトハウスを去り、トランプ氏のために議会やメディア、米国株式会社にいる同氏の敵に対する戦いを始める」と語った。首席戦略官の退任発表後、バノン氏が公的に発言したのは初めて。ブライトバートの声明によると、同氏は会長に復帰した。
. バノン氏に近い関係者1人は同氏退任について、バージニア州シャーロッツビルで起きた白人至上主義者の暴力行為に対するトランプ大統領の発言への批判とは関係ないと指摘。同関係者によると、バノン氏は今月7日に辞表を提出し、14日付で辞任の予定だったが、暴力行為後の混乱で発表が遅れていた。
. 同氏の退任でケリー大統領首席補佐官の立場は強化。また、政策をめぐってバノン氏としばしば対立したマクマスター大統領補佐官(国家安全保障問題担当)やコーン国家経済会議(NEC)委員長ら、トランプ政権内でライバルだった人物を強めることになる。

原題:Bannon Says He’s ‘Going to War for Trump’ After White House Exit(' トランプ のために戦争に行く 'と言うホワイトハウスを去ったバノン主席戦略官、)
ブライトバートは、バノン復帰をただちに発表、『編集長は「戦争」とツイートした』とBBCが報じる。



『大統領自身「バノンに激怒」と世界で一番権威があり信用度が高いBBC News(イギリス)が報じる』

『ホワイトハウスのバノン戦略官、解任 右派メディア戻り「トランプのため戦う」』 8/19(土) BBC Newsによると、バノン主席戦略官が今週掲載されたリベラル系雑誌「アメリカン・プロスペクト」のインタビューで『バノン氏は、北朝鮮問題の軍事解決はあり得ないと述べるなど、トランプ氏のこれまでの姿勢を否定するかのような発言をした。』ので、『トランプ大統領を激怒させた』との報道もある、と書いている。
読売新聞系列の日本テレビでは、『我々が勝ち取った大統領は終わり~バノン氏』8/19(土) 12:16配信では、もっと露骨に今週バノンが北朝鮮問題が『余興にすぎない』と言ったことに大統領が激怒し首になった≪バノン氏は「我々が勝ち取った「トランプ大統領』は終わった」とコメントした。≫と放送しているが、これはBBCなど外国メディアの『今後もトランプ大統領のために戦う』とは大きく矛盾する。
(★注、バノンがトランプの逆鱗に触れ『首になった』の方は共通している)



『戦争を極限までエスカレート、負け戦なのに嘘八百の奇策「勝った米軍がベトナムから凱旋」で全軍撤兵を成功させた策士キッシンジャー』

BBC Newsなどの欧米メディアが主張するように、バノンが朝鮮半島の『軍事解決はあり得ない』と言ったから→『トランプが首にした』との報道が丸々事実なら、8月21日(月曜日)から始まる米韓合同演習が、そのまま実戦に突入する危険が高まっていることになるが、果たして朝鮮戦争再開の危険度はどれ程高いのであろうか。
BBCやロイター、AFPなど欧米主要メディアによると、トランプ大統領の外交を指南しているのは策士中の策士ニクソンの首席補佐官でベトナム戦争終結や金本位制の廃止、北京の電撃訪問での米中和解など数々のニクソンショックの立役者(陰の主役)のキッシンジャーなのですから、一筋縄ではいかない。
ニクソン大統領はベトナム戦争を終わらすため、逆にトンキン湾事件から北爆と目いっぱい戦争を煽るだけ煽ったりアポロ11号の人類初めての月旅行などアメリカ人の満足感を満たす詐欺か手品のような手法で、やっとアメリカ史上初めての『負け戦』の米兵の撤兵に成功している。
今のトランプも同じで朝鮮半島からの撤兵を完了する目的で、今度最大限危機感を煽るだけ煽ることでしょう。(メディアが報じる表向きのトランプの言動と、その最終目的が180度逆さま。まるっきり詐欺か手品のような政治手法なのである)

『米国、韓米連合演習の規模を事実上縮小』 2017.08.18 ハンギョレ新聞社

民主党オバマ政権の昨年は2万5000人→今年1万7500人
最近の北朝鮮による大陸間弾道ミサイル(ICBM)挑発と「グアム包囲射撃威嚇」などで朝鮮半島の緊張が高まった状況で、訓練に参加する米軍が増員されずむしろ減ったことは、事実上訓練規模を縮小調整したと解釈されている。ただし「演習計画は数カ月前に完了」している。
北朝鮮と米国が韓米連合訓練の規模縮小を協議しているため、極度に過熱した雰囲気を沈静化させるために訓練規模を縮小したのではないか。
(抜粋)

孫崎 享‏ @magosaki_ukeru  4時間前
バノン氏解任と北朝鮮、バノン氏、「対北朝鮮への軍事行動は)最初の30分でソウルにいる約1千万人が(北朝鮮の)通常兵器で死亡する、(軍事的選択肢等)お話にならない」と発言。その彼が更迭。トランプには北朝鮮の危機が望ましい

孫崎 享‏ @magosaki_ukeru · 17時間前
バノン解任、昨年の大統領選挙は、米国金融機関と軍産複合体の代弁者ヒラリーに対しこの利益に反対する「アメリカ・ファースト」を掲げトランプが勝利し、就任直後この路線で始動したが、結局トランプが米国金融機関と軍産複合体に取り込まれ、バノンを追い出したということです。如何にこれらの力が強いか。

孫崎 享‏ @magosaki_ukeru · 8月19日
本日のニコニコ生放送、主題を『トランプ政権でのバノン解任の意義+
北朝鮮』に変更。
【孫崎享のつぶやき】ニコニコ生放送8月19日(土)午後10時より
トランプ政権でのバノン解任の意義+北朝鮮

孫崎 享‏ @magosaki_ukeru · 8月19日
トランプ政権で、大統領選挙勝利の最大の功労者バノンが辞任。基本的には、トランプが「アメリカ・ファースト」的姿勢から、軍産複合体、金融保守本流に降参の流れ。バノンは北朝鮮に「北朝鮮問題は余興に過ぎない」と発言

孫崎 享‏ @magosaki_ukeru · 8月19日
【孫崎享のつぶやき】ニコニコ生放送8月19日(土)午後10時より
『北朝鮮とトランプ政権・安倍政権』

孫崎 享‏ @magosaki_ukeru · 8月16日
北朝鮮の問題を考える。「武力による威嚇又は武力の行使を慎む」との国連憲章条項は、条件付きではない。拉致問題が強硬姿勢で解決したことはない。小泉政権で国交回復の可能性を示した時に進展している。

孫崎 享‏ @magosaki_ukeru · 8月14日
北朝鮮の技術導入。私が駐イラン大使の時、イランに最も積極的な軍事協力をしていたのはウクライナでした。

孫崎 享‏ @magosaki_ukeru · 8月14日
ポツダム宣言を読んでみよう。何の合意がなされていたか。
①、責任ある政府が樹立された場合には占領軍はただちに日本国より撤収、②、日本国の主権は本州、北海道、九州および四国と我ら(連合国側)の決定した島嶼に限定.

『本当の争点とは、対テロ戦争でも人種差別云々でもなくて、半世紀続く「朝鮮戦争」の平和解決の是非(韓国や日本からの米軍の撤兵)だった』

日本版CIA(外務省国際情報局長)孫崎 享‏の発信を時系列で眺めれば明らかなように、『トランプ政権で、大統領選挙勝利の最大の功労者バノンが辞任』の原因とは、半世紀以上延々と続いている無駄に大きい悪い公共事業(朝鮮戦争)を温存したいヒラリー・クリントンなど軍産複合体+金融保守本流のグローバリズムvsトランプに代表される「アメリカ・ファースト」の『仁義なき戦い』(水面下での密かな暗闘)であった。
そして、極東からの米軍撤兵で一番の障害とは日韓両国の既存勢力(権力機構やマスメディア)だった。
韓国と日本で去年10月ごろに唐突に発覚した最高権力者の『お友達』疑惑ですが、時期的にも同時発生だし内容的にも同一である。パク・クネ大統領の親友の女シャーマンは40年来の付き合いだし、安倍晋三のお友達の加計幸太郎はアメリカ留学当時の同級生。内容も付き合いの長さまで40年で同じだったのですから関係者なら誰でも全員知っていた。(トランプが大統領選で勝った去年末に、日韓ともに唐突に国内情勢の革命的な大変化が起きていたのである)

『みんな知っていた「お友達疑惑」、日韓とも関係者全員が今までは黙っていたので問題にならなかっただけ』

内部告発での政権トップの『お友達疑惑』(国政壟断)で韓国では半年で簡単にパク・クネの首を取った。
ところが、対照的に(国政壟断より格段に悪質な国富の簒奪)の日本の安倍晋三が今でもしぶとく権力に踏みとどまっている原因とは、在韓米人は20万人だが在日米国人は5万人。これは日韓の人口とか経済規模から考えれば一桁違いに、(日本に比べて)韓国では米国の関与が大きいと考えられる。日本でも蓮舫の二重国籍が問題となったが台湾とか韓国では財界や政府要人で米国留学とか米国籍の取得などはありふれた常識。世界で日本列島だけは歴史上『日本』しかなかった関係で国家が永遠だと思っているが、実は消滅したり分裂や合併『併呑』など変化する方が普通だった。(ブッダの『生まれたものは必ず死ぬ』は普遍的な真理)
就任から100日で支持率が半減したフランスのマクロン大統領とは大違いで、就任100日目の韓国の新大統領文在寅(ムン・ジェイン)の支持率は9割近い圧倒的多数であり、北朝鮮との『融和路線』(アメリカによる北朝鮮承認、朝鮮戦争の平和的終結で全米軍の撤収)は後戻りすることはないでしょう。


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『林彪解任と重なるバノン解任』 (ローレライ)
2017-08-19 11:04:31
『アメリカ革命は頓挫した?』、『林彪解任と重なるバノン解任』と言う所。
似非リベラルは問題をすり替えている (私は黙らない)
2017-08-19 14:29:46
左右の役割逆転、即ち民主党変質の戦犯はグローバリズムを推進したクリントン(夫)だ。
反グローバリズムを唱えるトランプ、バノンは異端だった。その異端が大統領選で勝利したことで、共和党は変わった、と思った。
だが、本当の戦いは、それからだった。
似非リベラルは論点をすり替えている。今、連中の最強にして唯一の武器は反レイシズムだ。だが、問題はそこではない。似非リベラルは、誰も盾突けないこの政治的に正しい言葉で、全ての言論を封じ込め、政治の流れを引き戻そうとしている。グローバリズムと軍産、金融依存に。気づけ、路上に出た白人労働者たち。
Unknown (匿名係長)
2017-08-19 20:03:47
バノンが辞任したから、まもなく、トランプ政権は終わるかな!?バノンは、戦争屋ネオコンと戦っていた噂がある。おまけに、バノンは、ユダヤ人ではない。
バノンが漏洩 (チャイロ)
2017-08-20 20:32:21
 バノン氏こそが涼しい顔で米国(表)の情報をあちこちに流していたとの情報あり。
それがために解任されたとの情報がある。

 バノン氏には裏がある可能性大。
孫埼氏などは情報を取れる立場かと思うがどうなのか。

トランプの判断がどういう結果になるか我々には、今はわからない。
が、少なくともヒラリーが米国(表)の代表にならなかったことで安倍晋三の今日のこの混乱が表に出て来たのである。
ヒラリークリントンが米国大統領になっていた場合は日本は表も裏もすべて本当の属国になったはずだ。
 
 米国政治状況を今日明日の短いスパンでかんがえてはいけない。あの国は、世界各地にある英国の傀儡政権のひとつで、常に紛争が絶えないように英米そろって共同して自分達で設定してきた。
(9.11がその例)
そういう国が餌として咥えたのが我々の国、日本だ。
どういう扱いを受けるか、受けているか、想像するまでもない。

 バノンなどの話より、今後の政権の動きを黙って見ていくことだ。宗主国アメリカがまともになれば日本もなんとかなる。そうでなければそうでなくなる。
行方を見ていくしかない。







金融依存、気付け! (農婦)
2017-08-23 11:24:33
私は黙らない様、いつも正当なコメント、安心してます。米国の労働者も日本の労働者も同じ歩みです、スケールが違う分、米国の貧民はいかや?、まだ日本の地方は多分ましかも。ただ日本も米国の新自由主義に侵されてるかも。私は67歳の東北の底辺層で暮らして来てのただの実感です

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