逝きし世の面影

政治、経済、社会、宗教などを脈絡無く語る

パリ不戦条約や国連憲章のコピーだった憲法9条(新潮社)

2016年09月15日 | 憲法
信じてほしい。この画像には黒い点が12個ある。
しかし、あなたの脳は、一度に12個全部を認識できない。
2016年09月13日The Huffignton Post

冨澤暉

元陸将、東洋学園大学理事・名誉教授、財団法人偕行社理事長、日本防衛学会顧問。1938年生まれ。防衛大学校を卒業後、陸上自衛隊に入隊。米陸軍機甲学校に留学。第1師団長、陸上幕僚副長、北部方面総監を経て、陸上幕僚長を最後に1995年退官。著書に『逆説の軍事論』(バジリコ)、『シンポジウム イラク戦争』(編著、かや書房)、『矛盾だらけの日本の安全保障』(田原総一朗氏との対談、海竜社)。

『軍事のコモンセンス(1) 集団安全保障と憲法9条(上)』2016年09月13日新潮社フォーサイト(新潮社の会員制国際情報サイト)

『憲法9条と不戦条約と東京裁判と』
国際紛争を兵力に訴えることなく平和的に処理しようと約束した最初の多国間条約は1907年のハーグ条約(国際紛争平和的処理条約)であるが、日本人にとって、より印象的で身近な条約は1928年のパリ条約(不戦条約)である。
この不戦条約が、なぜ、日本人にとって身近で印象的なのだろうか。
それは東京裁判(極東国際軍事裁判)が、主としてこの条約違反を根拠に裁かれたからであり、また、憲法9条第1項がこの条約のコピーだからである。
パリ不戦条約は、第1条「戦争の放棄」、第2条「紛争の平和的解決」、第3条「批准、加入」の3カ条からなる短い文章の条約で、先ずはその第1条をもう1度読んでみよう。
・第1条(戦争抛棄)
締約国は、国際紛争解決の為戦争に訴うることを非とし、且つ其の相互関係に於いて国家の政策の手段としての戦争を抛棄することを其の各自の人民の名に於いて厳粛に宣言す。
参考までに、日本国憲法第9条1項をこれと比較して読むと面白い。
・第2章(戦争の放棄)
第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
パリ不戦条約と憲法9条は瓜二つの文言であり『同義』である。「それはケーディス大佐という日本国憲法の起草者が、不戦条約の起草者であるフランク・ケロッグ(元米国務長官)をとても尊敬していたからだ」という裏話までつけて説明してくれる人もいる。

『国連が補強した「不戦条約」』
満州事変や支那事変は『戦争ではなく武力行使の範疇に入る』とされていた。なぜなら中国も日本もお互いそれぞれの都合で当時は敢えてこれを戦争と呼ばなかったからである。
ところが東京裁判では支那事変は『日本の侵略戦争』と認定して、事後に、日中戦争と呼ばれることになる。
国連安保理5カ国が主導する東京裁判では、不戦条約に関連し、「戦争は放棄したが、武力行使は放棄していない」との日本側の主張を全面的に否定している。
不戦条約は活きていて、その不十分な部分はその後、国連によって大分補強された。
国連憲章と国連機構が、この50年を超える歴史の中で、完全とは言えないまでも違反に対する制裁・抑制の実績を積み重ね、その慣習が国際間の法としての形を造りつつあり、そのような法体系下の現代では、いかなる国も「国際紛争解決のための戦争や武力行使」は出来ない。
9月13日新潮社フォーサイト(抜粋)

『代表的右翼マスコミの新潮社の主張が、オルタナティブな左翼ブログと瓜二つになる?』

自衛隊上がりの冨澤暉元陸将が右翼的な論調が特徴の新潮社フォーサイトに書いた『軍事のコモンセンス(1) 集団安全保障と憲法9条(上)』の内容ですが、今回抜き書き(抜粋)した部分だけなら、ほぼ『お前たちは間違っている』(今までが間違っていた)とのオルタナティブな『逝きし世の面影』ブログが今まで繰り返し書いていた内容と瓜二つ、『同義』なのですから怖ろしい。
ただし、冨澤暉は『抜粋部分』以外は今までの産経や新潮の記事と同じような右翼的に見える陳腐な主張を煙幕として書いているのです。
これでは『正しい客観的事実』をいくら書いても無駄で、9月13日The Huffignton Post にあるように人間の脳が受け付けないのである。画像に黒い点が12個あっても一回見ただけでは数個しか認識できない。
この新潮社フォーサイトですが、今回の陸自の冨澤暉の記事の前に、低能ネットウヨのアイドルのアホ臭すぎる田母神のソックリさんというか、背後霊が乗り移ったらしい海自の伊藤俊幸の『オバマ「核先制不使用」(上)かえって高まる「戦争の危機」』2016年9月5日との、脳みそが腐っているとしか思えない不真面目で腹立たしい嘘八百の超お馬鹿記事を掲載している。
内容が『張作霖爆殺はソ連軍だった』との田母神の脳内妄想と五十歩百歩。客観的事実とは無関係なのですから情けない。
それなら『アリバイ作り』で書いたとも解釈出来るが、今までの日本国のタブー中のタブー(挙国一致の国家機密?)だった日中漁業協定をサラッと一行だけ書いて誤魔化した大手マスコミと同じで、矢張り、これは連合国へのポツダム宣言受諾通告から玉音放送までの間『誰にも分からないように、それとなく、無条件降伏した事実を伝える』との腹立たしい責任逃れの茶番劇の71年ぶりの『二番煎じ』の可能性の方が遥かに高い。



『8日目のセミ』

親に厳しく叱られた幼児でもあるまいし、安倍内閣の馳浩文科大臣が『八日目の蝉となるとも文科省』と意味不明の言葉と共にめそめそ人前で泣き出した。まったく同じタイミングで自衛隊上がりの中谷元防衛大臣の方は『号泣』。前代未聞、空前絶後の呆れ果てた珍事である。
右国粋主義の安倍晋三や頭が空っぽで目が節穴のネトウヨの機関紙的な産経新聞だけは、何故か『中谷元防衛大臣が号泣した!』と悪意を持って過激に報道しているが、ビデオを確認すれば誰にでも分かるが、感極まって思わず涙ぐんでいるが、決して『号泣』していない。
産経新聞の『号泣した!』は意識的な誤報というか、何かの印象操作か世論誘導である。たぶん、知性が欠如した産経新聞としても『今までとは全く違う、とんでもないことが目の前で起きているぞ!!』と大声で言いたかったのでしょう。(蝉の寿命は1週間以内だと言われているので『八日目の蝉』なら『もう、死んでいる!』の意味か)


(EU離脱を決めたイギリスで9月13日から流通が始まったプラスチック製の新5ポンド札の肖像画はウィンストン・チャーチルだった)

『イギリスの5ポンド紙幣に登場したウィンストン・チャーチル、その知られざる5つの真実』2016年09月14日ハフポストUK版

新札の表面はこれまでと同じくエリザベス女王。裏面は19世紀の女性社会活動家エリザベス・フライから新たにウィンストン・チャーチル元首相に変わった。
『プラスチックの新札は破れにくく、水や汚れにも強くて偽造が難しい。イングランド銀行のマーク・カーニー総裁がロンドンの屋台でカレーの鍋に新札を浸しても大丈夫だった。』とあるが、これではイギリス国家の権威ある紙幣ではなくて安っぽい子供のオモチャに見えてしまう。
『ここに敬意を表し、チャーチルのあまり知られていない5つの事実をご紹介しよう。』あるが、何とも皮肉である。
最初の『1.アメリカ合衆国の名誉市民に初めて選ばれた。』とか、『2. チャーチルが描いた絵画は数百万ポンドの値がつく』はともかく、『3. 「鉄のカーテン」という言葉を生んだのは彼ではない。』は恐ろしい。
チャーチルの歴史の教科書にも載っている余りにも有名な鉄のカーテン演説の元ネタとは、なんと、ナチスドイツの宣伝相ジョセフ・ゲッベルスの主張のコピペだったのである。
ノルマンディー上陸作戦は1944年6月、パリ解放はその2カ月後。ドイツ敗戦の直前1945年2月5日にゲッベルス宣伝相が書いた論文と、第2次世界大戦終結後のチャーチルの1946年3月5日『鉄のカーテン』講演の言葉が瓜二つ(ほぼ同一)だった。
『5. 捕虜収容所から逃亡した。』では、なんと、1899年国会議員に落選していたチャーチルはイギリスが起こした最も汚い戦争として有名なボーア戦争の英国軍の宣伝広報活動に高級で雇われて従軍していたのである。
170年前にイギリスが『貿易の自由』を大義名分にして中国に麻薬を売りつける目的で起こした阿片戦争は有名だが、120年前には自分たちと同じでキリスト教徒(新教)で白人の南アフリカのオランダ系住民(ボーア人)に対しても情け容赦なく汚い戦争を仕掛けていた。
白人同士の植民地争奪戦だったボーア戦争とは第一次世界大戦と同じ構図なのですが、第二次世界大戦のナチス宣伝相の言葉を丸ごと引用したチャーチルとの今回のThe Huffington Postの記事ですが幾らWeb上だとはいえ衝撃度は日本の麻生太郎副総理の『ナチスの手口を真似る』どころの話ではない。
新潮社が13日に書いた驚きの『パリ不戦条約のコピーだった憲法9条』と、ハフポストUK版が14日に書いた『ナチス宣伝相のコピペだったチャーチルの鉄のカーテン』とは同じ種類の話であり、いくら正しくても本来なら表には絶対に出てこないのである。
今まで権威ある有識者たちが議論していた『正しい既存の価値観』の前提が根本から壊れるので、葛飾柴又のフーテンの寅さんのセリフではないが『それを言っちゃ~ぁ お終い』なのである。







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