ベルリンの壁崩壊（東西統一）から３０年、統一に向かう南北朝鮮

南北統一に向かう朝鮮、『かやの外』と言うよりも『カ』そのものの日本の安倍晋三首相　

 
１９９１年７月３１日モスクワ、米国ブッシュ大統領とソ連ゴルバチョフ大統領（握手から５カ月後の1991年12月25日ソ連崩壊、１９１７年ロシア革命から７４年間の歴史が終わる）

『ベルリンの壁崩壊３０年　記念日に米英仏ロ首脳の姿なく』2019年11月8日朝日新聞

冷戦の象徴「ベルリンの壁」崩壊の１１月９日。ドイツは３０年の節目を祝うが、東西の格差はいまだ残り、旧東独側では右翼政党が台頭する。ドイツが主要国として引っ張ってきた欧州も、貿易や安全保障をめぐり米国、ロシアとの溝を深めるなかで、ドイツのメルケル首相と北大西洋条約機構（ＮＡＴＯ）のストルテンベルグ事務総長は、かつての東欧諸国が今は同盟国、３０年前とは全く違うＮＡＴＯ・・歴史的成果だと冷戦勝利を強調した。
ベルリンのブランデンブルク門には世界各地から寄せられた短冊がつるされる一方、記念日の外国首脳は２０周年（１０年前）はオバマ米大統領がビデオメッセージを寄せクリントン米国務長官、メドベージェフ・ロシア大統領ほか英仏首脳等が勢ぞろい。今回はポーランドなど東欧４カ国大統領にとどまり、米英仏ロシアの首脳の姿はない。ドイツ政府は招かない理由を公に説明していない。
(抜粋）

『ポスト冷戦３０年　壁崩壊、９・１１…記者が見たうねり』2019年11月10日朝日新聞

ベルリンの壁崩壊から３０年。ポスト冷戦は人々が当初夢見たようなバラ色の世界とはならなかった。 今日ナショナリズムやポピュリストが大衆の感情を煽動。なぜ世界は危険な道をたどったのか。転換点は東欧革命「自由」の大波１９８９年ルーマニアのチャウシェスク大統領夫妻が処刑された首都ブカレストでみんなで議論しているのかと思っが一人一人がバラバラ。互いの話を聞いていない。 人々は自由になったが、その自由は同じ国に暮らすハンガリー系住民への迫害運動等に向かい『こんなことになるのか』と困惑した。東ドイツでも人々の情念が解き放たれ、(抜粋）
★注、
正のドイツ統一（冷戦勝利）と負のユーゴ解体（過激な民族主義による血で血を洗う内戦）が一つのコインの裏表の関係にある怖ろしい事実を人々は薄々気が付いている。

『東西の壁があった３０年前以前ても、東ドイツ市民２７０万人が西ドイツに越境』

ヒト・モノ・カネが自由に国境を超える『悪魔の碾き臼』新自由主義経済の荒波にもまれ百戦錬磨の世界一強い西ドイツマルクとソ連経済圏（コメコン）内で保護された温室育ちの東ドイツマルクが１対１の等価交換下では最初から勝負にならない。コメコン内なら一番優秀な東ドイツの国有企業がほぼ全て倒産。ただ同然の捨て値で叩き売られる。（★注、長年資本主義で暮らしている日本人でも新自由主義ｆの怖さを知らない。ましてや東の市民も指導者も誰一人恐怖の新自由主義の実態を知らないので赤子の手をひねるより簡単だった）
３０年前のソ連圏では炭鉱夫やトレーラー運転手など重労働が賃金が高い分、逆に医師や教師など知的労働の給与が低かった賃金東西格差で、ベルリンの壁を越えれば一桁違いの高収入を得られる。（教育は無料なので東ドイツの国家負担が増大。現在アフリカ諸国でも英仏など宗主国への出稼ぎ医師は大問題になっている）
★注、
ギリシャ危機は統一通貨ユーロが原因で、統一ドイツ時の独自通貨マルクならドイツの一人勝ちも無い。一つのコインの裏表の関係。

『弱肉強食の新自由主義、大きな経済格差で故郷の共同体崩壊』

東西の壁があった３０年前以前の時代ても若くて能力がある東ドイツ市民２７０万人が西ドイツに向かった。（東に残るのは高齢者とか未熟練労働者など出稼ぎに行けない人々で、若者たちがいなくなった村ではコミュニティが崩壊する）
壁崩壊後の最後の東ドイツ総選挙で西ドイツ政府が露骨に応援した『キリスト教民主同盟』が過半数以上の圧倒的な強さで勝利するが、そもそも東ドイツ政府の与党内にも西ドイツと同じ名称の『キリスト教民主同盟』が存在。ほぼペテンだったのである。
西ドイツに行こうとした東ドイツ市民２百数十人（ベルリンの壁では１３６人）が死んだと統一後に東独の指導者を逮捕投獄したが、今のＥＵに向かう移民やメキシコとアメリカの壁を超える中南米市民たちは運が悪ければ１日でもっと多く死んでいる。
★注、
一番の問題がヒト・モノ・カネが自由に国境を超える『悪魔の碾き臼』新自由主義であると、やっと今頃になって日本人も理解するが『時すでに遅し』一度開いたパンドラの箱は誰も止められない。

      Mikio Oishi‏ @mikionz 

この記事にあるように朝鮮半島はいずれ再統一し、東アジアの安定と繁栄を牽引するだろう。これに日本が脅威を感じる必要はない。中国、朝鮮半島と協調して東アジア経済圏を推進すればいいだけの話。そのお手本はお隣の東南アジアにある。ゼロサム思考のリアリズムは時代遅れ。

ジム・ロジャーズ「韓国と北朝鮮が統一されるとき、日本は……」１１月６日現代ビジネス　　日本に憎悪をたぎらせた国家の急成長

いま北朝鮮、韓国の両国は、水面下で着々と統一への道を歩んでいる。それは同時に日本の大きな危機を意味する。「投資の神様」が、朝鮮半島情勢の行方と日本の取るべき方策について語る。

「韓国と北朝鮮の南北統一で、朝鮮半島は世界で最もエキサイティングな場所になる。
北朝鮮の安い労働力と大量の天然資源、韓国の資金力や製造力、ビジネス力と結合。日本にとって、脅威的な存在になる」

投資家のジム・ロジャーズはジョージ・ソロス、ウォーレン・バフェットと並ぶ、「世界三大投資家」の一人。
10月2日北朝鮮が弾道ミサイルが'17年11月以来３年ぶりに日本側主張のEEZ（排他的経済水域）内に落下した。（★注、ただし日本は南北朝鮮や中国とＥＥＺを協議していないので、北朝鮮は日本のEEZを認めていない） 

 

報じられない金正恩の本音「韓国と北朝鮮は必ず一つになる」

朝鮮半島が統一されたとき、何が起こるのか、そのとき日本がどうなるのかを投資家のジム・ロジャーズ聞いた。

「まず金正恩を北朝鮮人だと考えてはいけない。スイスで生活し教育を受け、スイスで暮らしたいが、現実的に彼は北朝鮮を出ることはできない。だから、北朝鮮をオープンにして、スイスのような先進国に成長させることで自分の暮らしを取り戻したい。
'13年北朝鮮に国際的なスキーリゾート『馬息嶺スキー場』を建設したが、何度も『40年前に鄧小平が中国で行ったようなことを、私は北朝鮮でしたい』。金正恩は今やろうとしている」

ジミー・カーター元米大統領と鄧小平

「40年前に中国で起きたこと」とは、'78年から鄧小平の「改革開放」で中国は劇的な経済成長を遂げた。

「金正恩の発言や行動を知っている人は多くない。相変わらず、経済制裁に苦しむ北朝鮮のイメージだが、それはアメリカのプロパガンダの影響下にある日本や韓国で報道されていないからです。
金正恩は『中国の40年間』を北朝鮮で実現させたい。北朝鮮の軍関係者も、ものすごいスピードで経済発展を肌で感じている。北朝鮮の一般の人々も同じで、全員がチェンジを考えていて、実際に、北朝鮮はチェンジしていくでしょう」

外貨が一気に流れ込む

「文在寅大統領は非常に頭がいい人物で、現在のスキャンダルは南北の統一の障害にはなりません。スキャンダルはいずれ忘れられ深刻な長期的影響は与えない。2年後にはみな覚えていないでしょう」

金政権、文政権の両者の思惑が一致している以上、南北統一への動きは加速度的に高まる。
南北統一の大きな相乗効果を両国ともわかっている。そのひとつが、国の根幹でありながら、先進国のほとんどが頭を悩ませている少子化問題の解消だ。

「韓国は多くの先進国と同様に、人口減少問題を抱えているが南北統一によって解決される。現在の韓国は、2028～'33年には男女比率が12対10になると予測されるほど、女性が少ない。
他方、北朝鮮には若い女性が多く、彼女たちは子供を産むことに躊躇しません。日本や韓国と違って、北朝鮮の女性の出産や育児に対する意識は昔からさほど変わっていないからです。南北統一によって人口問題は劇的に解決。両国の人口8000万人が、今後もどんどん増えて非常に巨大な経済圏になる。

 

北朝鮮周辺は、投資余力を持った国も多い。'90年東西ドイツ統一では周辺に豊かな国がなく、外国からの投資を望めなかったが、朝鮮半島は、ロシアや中国などの経済大国があり、さらに、国内での投資も活発になる。
今、韓国ではサムスンやロッテ、起亜自動車などの大企業が北朝鮮への投資を研究し、南北統一国家が生まれた場合、アジアで最も裕福な国になる可能性も秘めている」

あと1～2年以内に
北朝鮮北東部の羅津は近年、アジア北部の不凍港として注目され韓国とロシアは羅津とハサン地域の開発に関する共同研究で一致。北朝鮮は多くのフロンティアが広がっている。

「統一に多くのハードル
まず非常に多額の資金が必要だが、今、北朝鮮も韓国も防衛に莫大な予算を投じている。統一で不要になれば、大きな余裕が生まれる。
米軍という障害
韓国に2万8000人の米軍が駐留。在韓米軍基地はロシアや中国の国境に近い米軍が駐留できる唯一の基地でアメリカは在韓米軍を撤退させたくない。しかし、韓国、北朝鮮でヒト、モノ、カネの移動を自由にする国境開放が1～2年後には起きるのではないか」

「日本の衰退に拍車をかける
まず消費増税。10％はクレイジー。'14年8％アップも驚きだが、もはや正気の沙汰とは思えない。
さらに、'20年の東京五輪。
そして、'08年のリーマンショックに続く『第2の世界金融危機』が1～2年のうちに起きるが、次はリーマンショックを超え恐ろしいものになる。日本の長期債務残高は恐ろしいペースで増え消費増税で非常に不幸な未来が待っている」

半導体輸出規制以降、日韓関係は悪化の一途。文在寅大統領は「過去に対する真摯な省察の上に、自由で公正な貿易の価値を守り協力するとき、私たちはより発展できる」と批判した。
南北統一国家誕生で、沈没していく島国を尻目に、深い恨みを抱えた国家が中国を上回るスピードで経済大国へと発展していく。

「日本は南北統一国家は決して生まれてほしくないが、朝鮮半島の動きは止められない。確かに、韓国は日本を嫌悪し、日本は韓国を嫌悪しています。今の姿勢ではダメで日本はオープンな自由貿易ゾーンを作るべきで、朝鮮半島が重要」
これでは日本だけが取り残される。(抜粋）
週刊現代10月12日・19日号 

１１月９日のベルリンの壁崩壊３０周年のメルケル首相の『冷戦の勝利』との安易な認識は大きな勘違いで、一方的なゲームオーバーというかソ連（ゴルバチョフ）や東欧諸国の『冷戦からの離脱』である。（★注、戦争でもスポーツでも選挙でも同じで、双方に戦う意思がないと続けられない）