逝きし世の面影

政治、経済、社会、宗教などを脈絡無く語る

3月14日「原発が爆発する」被災民を放置して自衛隊100キロ圏から逃亡

2011年09月12日 | 社会

鉢呂大臣の首を飛ばした『・・・のような趣旨の発言』報道と同じ、何とも摩訶不思議な理解に苦しむ重大ニュースが、朝日新聞デジタルで流されています。

『原発が爆発します』自衛官告げに来た 検証・住民避難

東日本大震災発生から4日目の3月14日午後9時40分すぎ。福島県南相馬市役所1階にいた江井芳夫課長は、正面入り口から入ってきた迷彩服姿の自衛官が発した言葉に驚いた。
『原発が爆発します。退避してください』
自衛官は階段を駆け上がり、各階で『100キロ以上離れて』と呼びかけた。
25キロ南の東京電力福島第一原発では、12日午後3時36分に1号機で爆発が発生。
約3時間後、政府は半径20キロ圏内に避難を指示した。
南相馬市では1万4千人の避難が翌日までにほぼ終わったが、この日の午前11時1分、今度は3号機で爆発が起きていた。
原発の状況は、放射能汚染は……。市は情報を集めようにも、地震と津波で通信網がやられ、外部とつながるのは災害用の衛星携帯電話一つだけ。
県の災害対策本部からは情報がほとんど来なかった。
駐車場の自衛隊車両は赤色灯を回し、内陸方面に向かっていく。
職員たちは色を失った。
7万人の市民をどうやって100キロ動かすのか。
高野真至主査(41)は『防災無線で流せばとんでもないことになる』と思った。
自衛隊がなぜ動いたのか、いまも分かっていない。

南相馬市で自衛隊に動きが出始める少し前の14日午後9時ごろ。
第一原発の西25キロにある葛尾村役場では、電話が不通で松本允秀村長らがテレビで情報収集。
役場裏の浪江消防署葛尾出張所から消防職員が駆け込んできた。
『消防無線で聞いたんですが……』。
第一原発の南西約5キロにある指揮所・事故の制圧にあたっているはずだったオフサイトセンターに撤退の動きがあるという。
『我々で避難の判断をするしかない』。
決断した松本村長は午後9時25分、防災無線で村民1500人に避難を指示した。
オフサイトセンターは翌15日に閉鎖。
情報伝達と対応のもう一つの拠点、県の災害対策本部は大量の送受信ですぐにパンク。 市町村は孤立した。
翌日の15日朝、第一原発2、4号機で相次ぎ爆発が発生。
政府は午前11時、半径20~30キロ圏内に屋内退避を指示した。(2011年9月11日03時00分)

『情報の隠蔽工作のアリバイ作りか』

朝日新聞は、『3月11日から6カ月。原発事故のあと、情報はどう流れ、滞ったのか。住民の避難への影響は。自治体の現場から改めて検証した。』と記事の末尾に記しているが、
滅多に無い新聞休刊日に、半年前に起きていた驚愕の真実をわざわざ誰でもが読める新聞紙面ではなくて、誰も読まない視聴者が限定的なネット情報として流す真意とは何だろうか。
首を傾がざるを得ない。
注、(実はニュースとして全国放映されなかったが、9月11日の朝日新聞首都圏版の1面には掲載していた)
新鮮さが命の新聞報道で、今回のように事件から6ヶ月遅れなど聞いたことも無い椿事中の椿事である。
朝日新聞としては知らせたくは無いが、地元の当事者や一般市民は全員が良く知っている事実なので、今までのように完全隠蔽する訳にもいかず、『朝日はちゃんと報道しています』とのアリバイの為に仕方なく嫌々報道していることだけは確からしい。
新聞とは特定の目的のための広報宣伝機関ではなくて、本来は公明正大な報道機関なのである。
朝日新聞として、半年間も情報を握りつぶし放置した不真面目極まる態度は新聞読者の信頼を裏切る大失態であろう。


自衛隊『原発やばいみたいだから帰るわ!お前らも早く逃げろよ!じゃ!』
住民『えっ!?』
(自衛隊逃亡から4日後の夕刊紙の長すぎる『見出し』)

自衛隊が逃げた! 深夜の避難所で大パニック起きていた 原発事故に対する危機管理能力ゼロの菅首相。そのズサンな指揮命令系統がとんでもない騒ぎを引き起こした。
14日の深夜。
町全体が壊滅状態の福島県南相馬市の石神第一小学校の体育館には、 津波から逃れてきた1000人もの住民が避難していた。
燃料もなく体を寄せ合って眠っている中、
突然、自衛隊がジープで乗りつけ、避難住民に向けて大声で叫んだ。
『私たちは上(北沢防衛相?)の命令で退避するように命じられたので南相馬市から引き揚げます。
これは私見ですが、福島原発は非常に危険な状況にきていると思います』
そう言うやいなや、隊員たちはジープに乗って去って行ってしまった。
館内は騒然となり、避難住民は出口に殺到。
止めてあったマイカーに分乗し、大急ぎで福島市方面に逃げ出した。
おかげで県道12号は大渋滞。
ところがクルマは、規制の影響でガソリンが5~10リットルしか入っていないからたまらない。
みんな最初の峠あたりで次々とエンストしてしまった。
この一部始終を目撃したのが、救援物資の運搬のために、第一小学校のグラウンドに止めた車の中で仮眠していた ボランティアグループ『Gライズ日本』の夏井辰徳代表だ。
『1000人が悲鳴を上げる大パニックでした。自衛隊が住民より先に逃げるなんて聞いたことがない。』
『市役所の職員は「屋内避難の指示が来ているので体育館から動かないように」と言っているのに、 自衛隊には「危険だから退避せよ。」と命令が下りてくる。菅首相は危機管理の指示をまったくグリップしていない。
原発がさらに危険な状態になったらと思うと恐ろしいです。』
未曽有の死者・不明者を出していながら、菅はのうのうと(自衛隊は)『1万7000人を救った』などと信じられない発言をする。この男が指揮を執る限り、間違いなく原発で多くの犠牲者が出る。
(2011年3月18日夕刊ゲンダイ)

『自衛隊の敵前逃亡と、当時の大手メディア報道の落差』

3月16日付けの毎日新聞の記事では、
『自衛隊 不信の撤退』との見出しで、自衛隊は東京電力が『安全の担保ない』と、この敵前逃亡(戦線離脱)の事実の一部だけは報じていたのです。
しかし、実際に現地で起きていた事実は、もっと深刻で具体的だった。
当時の報道を要約すると、
14日の2号機の爆発事故を理由に防衛省は15日、オフサイトセンター(緊急事態応急対策拠点施設)から、60キロ離れた陸上自衛隊郡山駐屯地(福島県郡山市)まで撤退させた。
現地では『放射能漏れの恐れがある』として独自に、矢張り60キロ離れた福島県庁への退避を検討。オフサイトセンター自体も15日午後、同県庁に移された。
自衛隊制服組のトップである折木良一統合幕僚長は14日夜、防衛省で開かれた災害対策本部会議で、『安全性が担保されていない。慎重に対応すべきだ』これは、『給水活動は危ないのでしばらく出来ない。』と言う意味であると語っている。
『安全性を判断し、どの現場に向かうかの判断は、東電や原子力安全・保安院に委ねられている』と防衛省関係者は不満を漏らした。
と報道していた。
それにしても自衛隊は、『自分は危険なことはしたくない。』との本音を正直に語るが、そもそも自衛隊とは自分たちの危険を回避するために組織された機関ではない。
その逆に、他の機関とは大違いで普段は何も役目は無いが、『原発の爆発』の様な未曾有の日本国の危険を回避する為に、あえて他者の代わりに『危険を自分から引き受ける』為に用意されている組織であるとの建前(事実)を完璧に忘れ果てているのだろう。

この3月16日付け毎日の報道記事内容からは、自衛隊は14日夜の時点で独自に原発から半径100キロ圏からの撤収(逃亡)を決定していて、その事実をマスコミ側(毎日新聞など)もある程度はその事実を把握していた様子が伺える。
大手メディアは14日夜の自衛隊の敵前逃亡(戦線離脱)を知っていて、一応は報道をしているのである。
ただ現実の『自衛隊の逃亡』の事実を知っていた福島県の被災民を除けば、その『報道内容の真実』は事前知識の無い一般読者にはさっぱりわからない仕組みに出来ているのです。

『組織疲労や腐敗堕落は極限まで進行』

今回のように未曾有の危機の時に、『わざと曖昧に意味不明にして』大事な報道を正しく報道しないで隠すマスコミとか、『危険だから』と保護すべき市民を放置して自分だけ勝手に逃げる自衛隊とかの『本来の自分の仕事』(組織の存在意義)を放棄する組織の存在は、市民生活とか民主主義にとっては迷惑である。
有るよりも無いほうが余程世のため人の為であるし、腐敗した組織は解体した方が日本国は少しは正常でましになるであろう。
そもそも自衛隊の上部組織である在日米軍は3・11直後から自軍の兵士の福島第一から半径50海里(93キロ)の立ち入りを原則禁止していたのですから、14日に自衛隊が独自に判断したというよりも、その正反対に自衛隊としての独自判断を放棄して米軍や米国防総省の指揮下に入っただけかも知れない。
何れにしろ自衛隊の最高司令官であるはずの内閣総理大臣管直人の命令で動かない自衛隊の存在とは、シビリアンコントロールの観点からも制御不能の福島第一原発並みであり、その存在自体が『日本国の安全』にとって危険この上ない。

『9・11事件10周年記念日』報道した朝日新聞の真意とは?

『「原発が爆発します。100キロ退避を」自衛官が告げに来た』の記事は、何と驚くことに9・11事件の10年後の2011年9月11日の朝日新聞の首都圏版1面と2面に大きく報道されていました。
驚きの『原発が爆発します』の記事が載った範囲が、首都圏版で東京限定記事だったのだろうか。?
不思議すぎる新たな疑問、難問が次々沸いてくる。
この首都圏版朝日新聞記事が、何故全国紙である筈の朝日で、ニュースとして扱わないのか。
同じ新聞社の首都圏版の記事でも複数の版(1版とか13版とか)があり同じではない。
報道した範囲はどれぐらいの広さだったのか。
因みにインターネットの朝日新聞デジタルは11日AM3時である。
この記事ですが、『12日の翌日(13日)・・3号機で爆発が起きていた』と、大事な基本事実で我々個人が書いている素人のブログ程度でも間違わない程度の凡ミスが書かれているのです。
最初の1号機爆発は12日、3号機爆発は翌日では無く2日後の14日である。
個人ブログでも恥ずかしいが、ましてや大手メディア記事であるなら、本来なら有り得ない単純な思い違いかタイプミスを犯しているのです。
これが、本当にミスであるなら、編集委員など上位の記者個人が本社に気が付かれ無いようにと大慌てで早番の首都圏版を発行した、義憤からのゲリラ的な行為であることに成る。
低級な重大ミスで無いとしたら、手の込んだ細工ではあるが、何時もの悪質な大手メディアによる印象操作の一環だったことになるが、果たして何れであろうか。

『実は、正しかった自衛隊の退避』

時系列的に整理すれば、事実は朝日新聞の記事が指摘したものとは大違いで、自衛隊は情報が大混乱で怖気づいて闇雲に行動していた訳でも、何かを勘違いしたり間違ったりしていた訳ではない。
その正反対なのですよ。
何も知らされず被曝した可哀想な一般住民とを大違いで、自衛隊側は1号基3号基の爆発に続き、翌日の15日に起きる福島第一原発2~4号機の爆発を事前に正確に察知していて、自衛隊員の安全確保のために前日に逃亡していたのです。
唯一の手違いは南相馬市に派遣されていた部隊の指揮官には、本の少しの人間性や良心が残っていた為に、相馬市役所や一般被災民に未だ起きていない『2~4号機の爆発』との機密情報を漏らして仕舞ったことだけであった。
米軍のパシリの軍閥程度の自衛隊をかばう目的の不思議な謀略記事で無いとしたらですが、
この朝日記事ですが、『校正』などの正規の手順を省略している可能性が高い。
極限られた少数者限定で大慌てで紙面が作られていると成るが、真相は藪の中。
書いた記者本人以外の誰か他人が一人でも目を通せば、この程度の校正ミスは簡単に防げるのです。
何れにしろ、この朝日記事では、日本の自衛隊が誰にも知られることはなく極秘に単独行動していたらしい、恐るべき戦慄の秘密軍事作戦の『存在』を示唆しているのですよ。
隊員が語った、『私たちは「上」の命令で退避するように命じられたので南相馬市から引き揚げます。』の意味は大きい。
自衛隊員が勝手に行動する筈はなくて、自衛隊にとっては退避行動は最も大事なミッション(軍事作戦)なのです。
選りに選って、アメリカの対テロ戦争の口実となった2001年9月11日の10年目に大きく報道した朝日新聞の姿勢には驚くばかりである。
9月の朝日首都圏版や3月の夕刊ゲンダイの記事を読めば半年前の3・11大震災に止まらず、年長者なら日本人を置き去りにして真っ先に逃げた満州や集団自決に追い込んだ沖縄の旧日本軍の破廉恥極まる無責任な非人道的行動を否応なく思い出すだろう。
もう少し若い世代なら10年前の同じ日の忘れることが出来ないアメリカ政府や軍の9・11事件での摩訶不思議な対応を思い出すでしょう。



関連記事
3・11同時多発事故「安全で無い」と自衛隊が敵前逃亡
2011年03月16日 (放射能と情報操作)

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 9・11から10年 「何が... | トップ | 市民置き去りで逃げる自衛隊... »

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
松本龍大臣とか鉢呂とか (宗純)
2011-09-15 12:02:03
カークさん、コメント有難うございます。

そうなんですよ。
このとんでもない自衛隊の『原発が爆発する。避難して下さい。』との発言ですが、関係者の中では一番まともで正しい判断なのですよ。
思い出したのは松本龍大臣のトンデモ発言ですが、相手の宮城県知事に比べたら善良でもあり正しくもある。
これは『死の町』発言で辞任した鉢呂前経産大臣を、言語道断と避難した福島県知事や飯館村村長と同じであり、鉢呂大臣の方が正しいのですね。
知事や村長は原発事故の現実を無視して、放射能汚染は『無かったことにする』心算なのですから恐ろしいですね。
マスコミも全員が同じ態度なのですよ。勿論政府も同じです。
このブログでも取り上げた、小出助教の東北を救うために『危険な汚染した食品を食べる』評判の悪い話ですが、実は日本国政府(農水省)のホームページを見たら、小出さんと同じ意味の記事が載っていたのには驚いたというか、とんでもない話ですよ。
小出さんは『危険なのだか食べる』ですが、反対に農水省の方は『安全なので福島など東北を助ける為に食べる』との広告なのですね。
農水省と小出さんは同じ主張をしているのですが『安全である』と『危険である』との認識が正反対。
ため息が出ますね。農水省側は今でも昔どうりの安全安心で完璧な秩序があるふりをしている。
自分たちの世界では原発事故は起きてはいないで、3月の話は事実ではなくて悪夢であるとでも思っていいるのでしょう。
返信する
あえて、自衛隊を擁護すると (カーク)
2011-09-15 07:04:03
あの時、原発事故から住民を救護してほしいとの要請を軍隊である自衛隊は福島県から受けてはいなかったですよね。その自衛隊を責めるのは酷かなと思います。福島県は知事が腐っていますから無理でしょうね。知事を代えないとこれから先も県民は不幸になる。ちゃんとした知事を選ばないと県民が不幸になるという構図を私は見せられています。
返信する

コメントを投稿

社会」カテゴリの最新記事