逝きし世の面影

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東電第一原発事故、福島県内のホットポイントで内部被曝か

2011年05月21日 | 放射能と情報操作

『内部被曝』毎日新聞 5月21日(土)

東京電力福島第1原発の事故後、福島県外で働く同県出身の原発作業員から、通常ならめったにない内部被曝が見つかるケースが相次いでいる。
大半は事故後に福島県に立ち寄っており、水素爆発で飛散した放射性物質を吸い込むなどしたとみられる。
周辺の一般住民も同様に内部被曝した可能性もあり、福島県内の一部自治体は独自に検査を検討している。

『事故後に福島県に立ち寄り…内部被曝4766件』

経済産業省原子力安全・保安院の寺坂信昭院長が16日の衆院予算委員会で明らかにしたデータによると、3月11日以降、福島第1原発を除いた全国の原子力施設で、作業員から内部被曝が見つかったケースが4956件あり、うち4766件はその作業員が事故発生後に福島県内に立ち寄っていた。
保安院によると、体内からの放射線を測定できる機器『ホールボディーカウンター』(WBC)による検査で、東電が内部被曝の目安としている1500cpm(cpmは1分当たりに検出された放射線量を示す単位)を上回った件数を電力各社から聞き取った。
1人で複数回検査を受けるケースがあるため、件数で集計した。1万cpmを超えたケースも1193件にのぼった。
いずれも福島第1原発近くに自宅があり、事故後に家族の避難などのために帰宅したり、福島第1、第2両原発から他原発に移った人たちとみられる。
北陸電力志賀原発(石川県)で働いていた作業員は、3月13日に福島県川内村の自宅に戻り、数時間滞在して郡山市に1泊。23日、志賀原発の検査で5000cpm、2日後には1500cpを下回った。
40代の作業員男性は第1原発での水素爆発以降、自宅のある約30キロ離れたいわき市で待機。福島第二の検査で2500cpm。大半が半減期の短いヨウ素で数値は時間の経過で下がる。

『内部被曝』

呼吸や飲食などで放射性物質を体内に取り込み、体内から放射線を浴びること。
体外からの外部被曝に比べ継続的で危険が高い。
体表から10万cpmを超す線量を検出すれば放射性物質を洗い落とす『除染』が必要とされるが、東電は内部被曝の恐れがあるとする目安を、ホールボディーカウンター(WBC)で1500cpm超の場合としている。
大量の内部被曝は癌になるリスクを高める一方、時間と共に排泄され、排泄も含めた『半減期』は成人ではヨウ素131で約7日、セシウム137で約90日。

『空気中線量高く機器測定不能』測定値の確定率は0・006%

内部被曝の検査態勢の不十分。『周りのほとんどは検査を受けていない。特に20代の若手が不安がっている』。
今月16日現在、検査したのは全作業員の2割程度の約1400人、このうち結果が確定したのは40人にとどまる。
最も高い線量を浴びた作業員は240・8ミリシーベルトで、うち39ミリシーベルトは内部だった。
福島第一原発のホールボディーカウンター4台は空気中の放射線量が高すぎて正確に測定できず、使えるのは福島第2原発といわき市の東電施設、柏崎刈羽原発の3カ所のみ。
今後増設するとしているが、内部被曝くした場合、通常は作業に従事できない。

『大震災直後 福島第1作業員 内部被曝基準の7倍超』 2011年4月17日(日)「しんぶん赤旗」

東日本大震災が発生した3月11日午後に福島第1原子力発電所構内にいた作業員が内部被曝していた。
東京電力が原子力安全協定に基づいて周辺自治体に通報する判定基準となる数値の7倍以上に達している人もおり、内部被曝の可能性がありながら放置されている下請け労働者が多数存在している可能性があります。
資料は、放射線業務を行う作業員の登録を解除(契約終了)するための申請書。
備考欄に記載している数値は、登録期間の前後に義務づけられているWBC(ホールボディカウンター)の測定結果です。
測定を受けた作業員によれば、単位は体内から1分間に放出される放射線量を示すcpmで、『カウント』と呼ばれています。
備考欄の数値のうち上段のAが事後、Bが事前で、8人中7人はAが大きく上回り、東電が自治体に通報する判定基準738も超えています。
さらに、ある関係者は『福島第1では1500以上と測定された場合、精密検査の対象になっていた』と証言しますが、8人中6人はこれを超えています。
しかし、作業員は、数値の意味について説明は受けておらず、何の処置も受けていないといいます。

『被曝したのは何時の時点か?』

この申請書に記載されている作業員は3月11日まで福島第1原発の4号機原子炉建屋内で定期検査に従事していました。
同日、作業を終えて1号機前のバス停にいたところで地震が発生。
非常呼集を受けた後、作業は解除されました。
しかし、同原発のWBCが壊れたため測定を受けられず、4月6日に新潟県の柏崎刈羽原発で測定を受けました。
つまり、大震災から4週間近くたった時点でも、事前の数値を大きく上回ったのです。
東電による判定基準の7倍以上となる5368カウントを計測した作業員は、『屋内退避』圏の福島県南相馬市に住んでいます。
要介護の母親を抱えており、自主避難が困難な状況。
この作業員は、『長い間原発で作業をしてきたが、こんな数値は見たことがない。ずっと南相馬にいたから、放射能が蓄積されたのではないか』と不安を隠しません。

『検査が必要』

立命館大学放射線防護学の安斎育郎名誉教授の話、 
『本来なら、WBC測定の前後の数値はそう差がないはずなので、この人たちは内部被曝の疑いがある。』
『作業中に水のようなものが付着したか、空気を吸い込んだ可能性がある。便を採るなどの検査が必要だ。』と語った。

『ガンマ線だけを測定するWBC』 

『ホールボディーカウンター』(WBC)は全身カウンターとも呼ばれる。
体内に取り込まれた放射性物質から放出されるガンマ線を人体の外側から検出する計測装置で、鉄や鉛で遮蔽された部屋で1分間、計測する。
一般に内部被曝を調べるものとされているが、プルトニウム等から出るアルファ線やベータ線などは飛ぶ距離が短い為に、ガンマ線よりも人体に与えるダメージは大きいが放射線量としては『ホールボディーカウンター』(WBC)では測定出来ない。
琉球大学の矢ケ崎克馬名誉教授は『実際の内部被曝量は、WBC測定値の3~5倍と見ていい』と指摘します。

『子供達の福島県内からの緊急避難の必要性』

一刻の猶予も無い。内部被曝は確実である。
今すぐに政府は福島県内の放射能汚染地域からの子供達の退避を勧告するべきであろう。
赤旗記事のWBCの4週間後の異常な数値の高さですが、これは作業員の内部被曝を証明しているのです。
しかも、ここが一番の問題点なのですが『何時の時点で内部被曝したか』なのです。
一番最初に考えられるのは可能性としては地震直後の福島第一原発の構内であり、それなら東電や政府発表とは大違いで福島第一原発が地震の直撃を受けた初期の段階で、1号機の原子炉が致命的に損傷していた。
二番目に考えられる可能性としては、福島第一原発事故後4週間の間に『自宅にいて』被曝していた。
爆発直後に南相馬市や飯舘村の汚染濃度が驚異的なレベルに達していた可能性があり、それなら退避し遅れた一般住民が大勢被曝している。

『二番目の方が驚異的に怖さのレベルが違う』

今日5月21日付け毎日新聞朝刊の報道内容、『福島県内居住での内部被曝の危険性』は真底恐ろしい。
4月17日付け赤旗報道と総合して考えれば『結論』は自ずと明らかであり、多くの原発作業員達は、防護服やマスクで放射能汚染物質を防いでいた福島第一原発構内ではなくて、福島県内の自宅などで無防備な状態で内部被曝していたのです。
福島県内のホットポイントの全住民の緊急避難を即座に実施するべきである。勿論一般住民の内部被曝の測定と除染は是非とも必要である。




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6 コメント

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Unknown (自分らしく輝いて)
2011-05-21 20:13:19
もし、巷で出ている情報の通りにホットポイントが首都圏まで広がっているとしたら避難するなんてことできるんでしょうかねぇ
考えただけでもどんな混乱が起こるか、それは恐ろしいことですね
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自分らしく輝いてさん、はじめまして (宗純)
2011-05-22 11:00:48
コメント有難う御座います。

放射能の危険性ですが政府やマスコミが言うとおりで『直ぐには影響はない』のですね。だから余計に恐ろしいのだとも考えられる。
他の毒物とは大きく違い、普通影響が出るのは何十年も後のことで、その時には原因(放射能)と癌(結果)との因果関係が誰にも証明出来ないのです。その意味では『放射能はすぐには影響はない』は正しいことになる。
ロシアではチェルノブイリ事故のあった1986に平均寿命がピークになり、そこから5歳も急激に低下する。
戦争も飢饉も無いのに年間300万人が余分に死んだ計算になるのですが、政府によると放射能ではなくて社会体制の変化によるアル中が原因で有ると発表されています。
本当かどうかの証明は誰にも出来ないのですね。
日本でも、原発事故前の『原発は安全です』が『放射能は安全です』に変わったが、これは両方とも明確な間違いです。
地震大国日本の原発の存在自体が危険の固まりであり、放射能に閾値は無くて安全などはそもそもありません。
自然放射能でも出来る限り低く努めるべきでしょう。
ETV特集:放射能汚染地図で判った事実ですが、同じと町内でも場所によって汚染度が大きく違い、ホットポイントは斑模様に複雑に存在することなのです。
ですから危険地域は精細に調べて発表するべきですね。
『原発が怖くてユッケが食えるか。』とは福島第一原発の下請け作業員の言葉らしいのですが、チェルノブイリ事故で撒き散らされた放射能汚染物質の総量はヒロシマ原爆の400倍。
言葉を変えるとヒロシマの汚染度はチェルノブイリの1/400なのですね。(福島はヒロシマの40倍の汚染度)
熱線と爆風に特化した原子爆弾は案外原子力発電よりも綺麗だと言う、何とも不思議な話になります。
カジノとショウビジネスで有名なラスベガスは、あのネバダの核実験場の南東100キロ圏内にあり、1951年から62年までは核実験時、『きのこ雲見学』の観光ショウまであったらしい。
資料によると、ネバダ州で90回の屋外核実験により大量の放射性物質が拡散し1万-7万5千件の甲状腺癌が発生。放射線被曝補償法が1990年に制定され2006年1月までに、被曝補償金は1万500件が認められ被曝補償金は5億2500万ドルが「風下被爆者」に支払われた。
全米での癌患者の発生率分布図を見ると確かに核実験場があったネバダ州南部は高濃度地域波発生率も高いのですが、癌患者の発生率の高い地域とは実は地震が少ない地殻が安定しているアメリカの東部地域なのです。
良く見るとアメリカ国内の原発立地と、不吉なことにこの癌患者の発生率の分布図が重なるのです。
チェルノブイリ事故で撒き散らされた放射能汚染物質の総量と比べて、福島は10分の1。
飛散した距離も10分の1なのですが距離1/10なら汚染面積では1/100の狭さなので、単純計算で汚染濃度は10倍。
東京都内にまで有るか無いかは良くわかりませんが、福島県内のホットポイントの存在は間違いないでしょう。
他のことに優先して緊急に調査して、その公表と避難と除染は是非必要になってくるでしょう。

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私達の土地、私達の血 (疑問に思う人)
2011-05-24 14:09:49
結局、何かあるとそのツケは全て下々の人間に回されて、上に座ってる奴はのうのうとしている。原発は何かあった時のリスクが非常に高いので、何かが起きないようにする&何か起きた時の対策を立てるのが必須だったはずなのに、この有様。安全神話は神話だったはずなのに、異議を唱えると異端扱いしてきた結果とも言えますが。全員避難は無理でも、30キロ圏内+ホットスポット地域の妊婦や子供など影響の大きい層は避難させた方が良いと思います。
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異端審問はカルト宗教には付きもの (宗純)
2011-05-25 10:14:47
疑問に思う人さん、コメント有難う御座います。

>『安全神話は神話だったはずなのに、異議を唱えると異端扱いしてきた結果』
これはまさに、原発『安全神話』なるものが破壊的カルト宗教だったと言う紛うことなき証ですね。
一部マスコミには今では『原子力村』とも揶揄されるが、
東京大学工学部原子力学科を頂点(教祖)とするカルト宗教の原子力安全教なる全能の神が我が日本国には君臨していたのですよ。
そして『原発は安全ではない』などの教義に背く考えの原子力学者は『異端』の烙印を押して村八分にする。
万年助手や講師など屈辱的なワーキングプアに貶めて発言を封じていた。
これは有る意味では当たり前であり、一神教的なカルト宗教の最も重い犯罪行為とは、神を信じない無神論でも別の神を信じる異教徒でもなくて、教義が同じではない異端者や一度入信してから辞めてしまう『背教』なのですね。
スペインの異端審問長官トマス・トルケマダの宗教裁判では異教徒のユダヤ人は追放だが、同じキリスト教徒の我々部外者から見れば違いが判らない異端者は火あぶりの極刑だったのです。
日本ではこの新興カルト宗教の『原子力安全教』に政府やマスコミや電力会社など関係者が首までどっぷりのめり込んで信じていたのですから、これでは救われません。
何故今の政府がそれ程難しいとも思えぬ福島周辺の汚染地域の児童や妊婦の避難を自己責任の自主避難に留めて積極的に推進しないかは、『謎である』としかいえませんね。
まあ、東電の賠償の範囲を出来る限り小さくするとの経済的な下世話な思惑なのかも知れないが、
基本的にこのような非人道的な悪質な破壊的カルトでは通常、無辜の殉教者などの犠牲を教義上生まれることは必然であるのです。
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宗凶の自由 (疑問に思う人)
2011-05-25 13:49:46
カルト宗教でも信教の自由があるので構わないですが、今回のは大迷惑を撒き散らしていて、非常に悪質。しかも、カルトであるゆえか、未だに信者の多いこと。どう考えても、原子力は早過ぎたとしか思えない。もっと、安全な管理法が確立するまで実用化すべきではなかった。
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経済財政政策担当大臣の与謝野馨 (宗純)
2011-05-25 17:36:57
疑問に思う人さん、コメント有難う御座います。

そういえば馬淵澄夫首相補佐官(原子力発電所問題担当)が原発事故について『原子炉の火は神様の 火で、手がつけられない』と述て批判されているが、これは可哀想ですね。
馬渕澄夫の言うとおりですよ。
福島第一原発の事故ですが、『原発という神の火』を愚かな人間が迂闊にもてあそんで大火傷をしたのが真相でしょう。
高村薫の『神の火』という原発を扱った小説も有るようですが私はまだ読んでいませんが、人類が原発という『プロメテウスの火』を自由に制御出来るまでの知恵も技術もまだまだ未熟であり、到底満足いく水準に達していなかった。
まだ早すぎたのです。
今まで原発を推進していた人々も福島第一原発の惨状を見て多くは考え方を変えたか、変えていなくても不都合なので『原発』については沈黙している。
未だに考え(態度)を改めない代表的な化石的人物(狂信者)と言えば『大震災は天罰』と発言した東京都知事の石原慎太郎、強欲の権化の経団連会長の米倉弘昌、経済財政政策担当大臣の与謝野 馨の三人。
特に与謝野は矢張り中央政府の閣僚なのですから一番問題も大きいでしょう。
そもそも東京大学法学部卒で日本に原発を導入した戦犯の中曽根康弘の紹介で日本原子力発電に入社した生粋の原発信者。
こんな人物を野党から引き抜いて、よりによって原発の大事故直前に重要大臣に任命した管直人首相の政治的な先見性の無さ(運の悪さ)は特筆に価する。
(福島第一原発原発事故は)『神様の仕業としか説明できない』と言ったらしいですよ。
この神をも恐れぬ『罰当たり』の愚か者めが。
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