哲学者か道化師 -A philosopher / A clown-

映画、小説、芸術、その他いろいろ

『スタンド・バイ・ミー』

2007-12-28 | 映画
スタンド・バイ・ミー コレクターズ・エディション

ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

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「子供さ。二度と子供時代は帰ってこない」

 なんとはなしに『スタンド・バイ・ミー』を借りて見てみた。ほんとは『バグダッド・カフェ』を借りたかったのだけど、すでに借りられていた故。もちろんこの映画は、スティーブン・キング原作の名作である。

 中学への進学を控えた4人の悪ガキが、死体を見に行くために2日の旅に出るというだけの話と言えばそれだけである。典型的な「行くて帰りし」の物語。つまり、ある共同体の外に出て帰ってくるのだが、彼は戻ってくるときには別人になっていて、その共同体も違って見えるというタイプの物語である。この映画の中でも、このことを明確に示唆する言葉が出てくる。
 しかし、この映画、濃度が高い。たったそれだけの物語なのだが、一番主人公格の、兄を事故で失ってしまい、自分の方が死ねばよかったという脅迫に怯える少年のエピソードがフラッシュバックで挿入され、あるいは他の少年たちのエピソードが挿入され、非常に劇的な空間を作っている。物語作りのまさに見本みたいな話である。

 しかし困ったのは、主人公の四人が、愛すべきではあるものの、悪ガキである点である。小学生なのにタバコをすぱすぱ吸い、大人をからかい、親父の銃を持ち出すという…。それも含めて「少年らしさ」がよく描かれているのだけど、単純に爽やかな青春物語(?)を期待してみるとちょっと面食らうかも。まあ、とにかくぐうの音も出ないほど良くできた物語だ。

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