東京新聞より
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「憲法分かってない」 首相解釈変更発言 与野党やまぬ批判
安倍晋三首相が集団的自衛権の行使を認める憲法解釈の変更について「私が責任を持っている」とした国会答弁に、与野党から批判が相次いでいる。野党は、憲法が国家権力の行動を厳格に制約する「立憲主義」の理念や、内閣法制局が担ってきた憲法解釈を否定する発言だとして今後の国会で追及する構え。政府内からも、くぎを刺す動きが出た。
首相は十二日の衆院予算委員会で、憲法解釈の変更をめぐり自らが「政府の最高責任者」と主張。「政府の答弁に(内閣法制局長官ではなく)私が責任を持って、その上で選挙で審判を受ける」と強調した。
この答弁に関して、公明党の井上義久幹事長は十四日の記者会見で、内閣法制局の役割について「事実上『憲法の番人』で、政府が法案提出する際、憲法との整合性をチェックしてきた。権力を抑制的に行使するという意味で大変重い」と指摘。歴代内閣と同様、内閣法制局の解釈を踏襲するよう安倍首相に求めた。
民主党の枝野幸男憲法総合調査会長は十四日、会合で「権力者でも変えてはいけないのが憲法という、憲法の『いろはのい』が分かっていない」と首相を批判した。
首相は国会答弁で「立憲主義」の考え方を「王権が絶対権力を持っていた時代の主流的考え方だ」と説明。枝野氏はこれについても「世界のほとんどの国が立憲主義に基づいて国家統治を行っている。こうした発言が外国に出て行くことは非常に恥ずかしく、国辱的だ」と反発した。
結(ゆ)いの党の小野次郎幹事長は「行政の最終責任者であることは分かるが、憲法解釈でそういう言い方をするのは違う」と指摘。生活の党の鈴木克昌幹事長も「二〇一四年度予算案成立した後、一気呵成(かせい)に(解釈改憲の)流れが進む」と危機感を示した。共産党の志位和夫委員長、社民党の又市征治幹事長も首相発言を厳しく批判している。
自民党の石破茂幹事長は「首相は立憲主義をないがしろにしたのではなく、自分が言えば何でもできると言ったわけではない」と擁護。だが、自民党内でも「三権分立を崩す」などと首相を批判する声が多くある。谷垣禎一法相も十四日の記者会見で「憲法解釈は時代で変遷する可能性も否定できないが、安定性もないといけない」と語った。
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憲法解釈 法制局、歴代内閣が尊重 公明幹事長、首相に苦言
公明党の井上義久幹事長は14日の記者会見で、集団的自衛権の行使を認める憲法解釈の変更を、内閣法制局が積み上げた議論を覆して自ら進める意向を示した安倍晋三首相の国会答弁について「内閣法制局は事実上『憲法の番人』で、歴代内閣は(法制局の見解を)尊重してきた。それを踏まえて発言してほしい」と苦言を呈した。
井上氏は内閣法制局の役割に関し「政府が法案提出する際、憲法の整合性をチェックしてきた。権力を抑制的に行使するという意味で大変重いものがある」と指摘。首相が自らの意向に沿って憲法解釈を変更するのは望ましくないとの考えを示した。
首相は12日の衆院予算委員会で憲法解釈変更をめぐり「最高の責任者は私。政府の答弁に私が責任を持って、その上で選挙で審判を受ける」と答弁した。
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