阪神間で暮らす

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「始めに言葉ありき。」 政治も言葉から始まる。単語の羅列は、“言葉”ではない。

2017-03-05 | いろいろ

白川勝彦氏の「永田町徒然草」より

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「始めに言葉ありき。」 政治も言葉から始まる。単語の羅列は、“言葉”ではない。

17年03月04日

No.1898


永田町徒然草の前号に、「今週の中頃から、金正男氏謀殺事件などの合間に、大阪府豊中市の“瑞穂の国記念小学院”の用地払い下げ問題が取り上げられるようになった。この問題は、かなり前からネット上で炎上していたが、マスメディアがようやく取り上げ始めたのだ。昔ならば、こういう問題はマスコミが先頭に立って騒いだものだが、最近は全く違う。」と述べた。

だから、豊中市の国有地払い下げ問題がマスコミに報道されるようになってまだ10日余りなのだが、実に色々なことが見えてきた。10億円の国有地をタダ同然で払い下げたのだから、国民の関心は非常に高い。少なくともあと1週間くらいは、マスコミが取り上げるであろう。いや取り上げなければならない。そうすると必ず“怪しい”問題が出てくるであろう。そうすると安倍首相は、また“苦しい”答弁をしなければならなくなる。

金正男氏謀殺事件の方は、少し意外な展開を見せている。逮捕されていた北朝鮮籍の男性は、不起訴となり国外退去させられた。この男性は北京経由で北朝鮮に帰ることになるだろう。北朝鮮側は、これを理由に今回の金正男事件を韓国等の“でっち上げ”と喚(わめ)くであろう。北朝鮮は、どんな証拠が出てきても、端から北朝鮮が関与した事件と認める気はないのだ。しかし、金正男氏謀殺事件は事実なのであろう。国際社会はそう見るであろう

私は小池都知事の東京大改革なるものを評価していないが、マスコミは相変わらず小池劇場に“御執心”だ。石原慎太郎元知事が記者会見をするというので、NHKの実況中継で全部見た。そもそも石原元知事が自らの弁明のために開く記者会見なのだから、石原元知事がどう言うかは予想できた。問題は外の処にあったのだ。記者会見なのだから、弁明を受けて、記者がどういう質問をするかが焦点なのだ。残念ながら、見るべき質問(追及)は無かった

最大の焦点は、「東京都は、なぜ瑕疵担保責任を放棄したのか」ということであった。瑕疵担保責任は確かに専門的概念だが、「東京都が買った用地から汚染土や汚染物質が出てきたら、その撤去責任や撤去費用はどうするのか」ということは、専門家でなくとも考えることできる。法律的には、それは売り主(東京ガス等)の責任と定めるのが瑕疵担保責任なのだが、東京都はそれを免除し、東京都の負担としたのだ。なぜそうするのかは、素人でも考えられる問題であろう。

こちらの方も、私はあまり関心がないことなのだが、ジェフ・セッションズ米司法長官の問題である。同氏は、1月に行われた上院による指名承認公聴会の際、選挙中にロシア当局者と面会した事実はないと明言。だがワシントン・ポスト紙の報道により、セルゲイ・キスリャク駐米ロシア大使と2度にわたり面会していた事実が明らかになった。アメリカという国では、議会や法廷で“ウソ”をつくことは非常に厳しい罰則があるのだ。

以上、現象的にはあまり関係性がないことを掻(か)い摘(つま)んで述べた。しかし、以上には非常に関連があることに気が付いた。それは、“言葉の重み”である。新約聖書は、「始めに言葉ありき。」から始まるという。私には、その意味合いを論じる能力はない。しかし、政治も実は言葉から始まるのだ。言葉をいい加減に使う政治家は、最初から信用できないのだ

北朝鮮関係者のいうことなど、誰も信用しない。北朝鮮でしか意味を持たない単語の羅列でしかない。国会で同じ単語を使って言い繕(つくろ)っている、佐川理財局長の“答弁”も、単なる単語の羅列でしかない。何百兆円という国有財産を預かっている高級官僚の言葉ではない。北朝鮮関係者の言い分と同じではないか。自民党・公明党・大阪維新の会の国会議員はそう思わないのか。ということは、諸君の言葉も、同じこと=即ち言葉の羅列、と見做されるぞ

永田町徒然草の読者は、くだらないバライティ番組よりニュース報道を見ることが多いであろう。以上のような見方でみると、偏向しているマスコミの報道もそれなりに興味があるではないか。それにしても事実に切迫するジャーナリズムが欲しいものである。健全なるジャーナリズムなくして、質の高い政治は望むべくもない

今日はこのくらいにしておこう。それでは、また。
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