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「あしたなんて説明しよう」 安倍政権“疑惑大臣ツートップ”の説明を振り返る

2017-07-25 | いろいろ

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「あしたなんて説明しよう」 安倍政権“疑惑大臣ツートップ”の説明を振り返る
「メモはない」「報告は受けてない」 真摯な説明責任はない

山本幸三 地方創生担当相
「今治市が土地で36億円のほか積立金から50億円、愛媛県が25億円を負担し、残りは加計学園の負担となった」

『週刊文春』 7月27日号

 名言、珍言、問題発言で1週間を振り返る。安倍晋三首相の“腹心の友”が理事長を務める学校法人「加計学園」の獣医学部新設に関する疑惑が続く中、『週刊文春』のスクープが飛び出した。

 獣医学部新設をどの学校法人が担うのかを決める公募が開始された今年1月の2カ月前にあたる昨年11月、国家戦略特区を担当する山本幸三大臣が日本獣医師会の役員に対して「四国」「加計学園」に決めたと通告していたという議事録の存在が明らかになった。

 記録が事実なら、「加計ありき」の選定を否定する政府の説明と真っ向から矛盾する。日本獣医師会の幹部は「この文書は面会に同席した幹部が直後に作成したもので、出席者全員で内容を確認している」と話している(NHK NEWS WEB 7月20日)。菅義偉官房長官も「怪文書」とは切り捨てられないだろう。

 山本地方創生担当相は20日、記者団に対して「会合の概要は、獣医師会側の思い込みと私の発言を混同したもので、正確ではない」と語った。山本氏は「私からは『京都もあり得る』と述べた」と反論したが、議事録にあった「獣医師が不足している地域に限って獣医学部を新設することになった」「四国は、感染症に係る水際対策ができていなかったので、新設することになった」(『週刊文春』7月27日号)という発言とは食い違う。また、獣医学部を新設するなら加計学園に絞ってほしいと求めたのは日本獣医師会側だとも語っている(日テレNEWS24 7月20日)。日本獣医師会の議事録はそんなにデタラメなのだろうか?

「メモ自体はもうない。内容は覚えている」

 山本氏は反論の中で「(同席した)秘書官がメモ書きみたいに書いていた」と語っていたが、その日の夕方には「メモ自体はもうない。内容は覚えている」と語っている(朝日新聞 7月21日)。複数の人間がかかわった議事録と山本氏の記憶、どっちが正しいのだろう? 加計学園だと言わないよう「十分注意して『事業実施主体』という言い方で徹底していた」とも語っていたが(産経新聞 7月20日)、公募前ならどうしてそんなに注意をする必要があったのかもよくわからない。

 獣医学部の新設は、加計学園と愛媛県にとって長年の悲願だった。10日に行われた閉会中審査で、加戸守行前愛媛県知事は「愛媛県にとっては、12年間加計ありきだった」と証言している(産経新聞 7月17日)。少子高齢化に悩む今治市にとって、獣医学部が新設されることで若者が来て、街が活性化すればよかったとも語っている(産経新聞 7月16日)。

 加計学園にとっては、学部新設が国に認められれば、補助金などの形で多額の公費が投入されることになる。学校ビジネスを拡大させている加計学園だが、実際には加計学園傘下の3つの大学のうち、黒字になっているのは岡山理科大学だけで、加計学園の「事業計画」によると2015年度の収支で千葉科学大学は約4億4000万円、倉敷芸術科学大学は約6億5000万円の赤字に陥っている(『週刊文春』7月27日号)。加計学園関係者は「助成金や補助金に依存しているのが実情」とも語っている(『週刊文春』4月27日号)。

 愛媛県と今治市は15回にわたって獣医学部の新設を却下されたが、16年8月に担当大臣が石破茂氏から山本氏に交代したことで大きく転換した。

 獣医学部新設にあたり、今治市が約37億円の土地を無償譲渡し、総事業費の半分である96億円を愛媛県と今治市が負担することになる。しかし、総事業費の算定には疑問の声も上がっており、福田剛愛媛県議によると市議会には積算根拠となる図面などの資料が提出されていないという。昨秋には約243億円とされていた事業費が、今年3月には192億円といきなり50億円も減っており、今になって市の担当課が見積もりを始めている。また、「今治加計獣医学部問題を考える会」の黒川敦彦共同代表によると、今治市民一世帯あたりの負担は13万5000円に上るという(『週刊文春』7月27日号)。これで今治市は本当に活性化するのだろうか?

それにしても、獣医師会新設に対する日本獣医師会の抵抗はすごい。獣医師会とのつながりが深く、かつて「(獣医学部新設は)獣医師の質の低下につながる」(産経新聞 5月26日)とも発言した麻生太郎副総理兼財務相はどんな気分で事態の推移を眺めているのだろう?

稲田朋美 防衛相
「日報を非公表にするとか、隠蔽するということは了承したことはない」
朝日新聞 7月20日


 また、稲田朋美防衛相だ。

 南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報を陸上自衛隊が廃棄したと説明しながら保管していた問題で、問題発覚前に稲田防衛相に日報の電子データを保管していたと報告していたことが明らかになった。日報問題を調査する特別防衛監察の聴取に陸自側が経緯を説明した。

 廃棄したとされる日報の電子データが陸自内に保管されていると判明したのが1月中旬のこと。2月13日、陸自ナンバー2の湯浅悟郎陸幕副長がパソコンの端末内に日報のデータが残っていることを報告したところ、翌日に定例の会見を控えていた稲田氏は「けしからん、あした(会見で)なんて説明しよう」と述べたという(FNN 7月20日)。2日後の2月15日には黒江哲郎防衛事務次官、岡部俊哉陸幕長らと緊急会議を開いて対応を協議し、非公表にすることを稲田氏は了承したとされる。

 陸自内に日報のデータが残っていたことは一部の報道によって3月15日に発覚、稲田氏は3月16日の衆院安全保障委員会で「(陸自から)報告は受けていない」と答弁している(日本経済新聞 7月20日)。陸自側の説明が正しければ、稲田氏は国会で虚偽答弁を行ったことになる。

逃げれば逃げるほど政権へのダメージは大きくなる

 19日、稲田氏はあらためて記者団に「日報を非公表にするとか、隠蔽するということは了承したことはない」と述べ、非公表を決めたプロセスへの自身の関与を否定した(朝日新聞 7月20日)。報告を受けたことも緊急会議を行ったことも、とにかく全否定である。

 8月3日の内閣改造での交代が確実と見られていた稲田防衛相だが、政府・与党側からも更迭を求める意見が出はじめている。とある与党幹部は「これが事実だとしたら、早く辞職するなり、罷免にしないと安倍政権が持たないな」と語ったという(TBS NEWS 7月20日)。かつて、森友学園問題で虚偽の答弁を行ったときは、「自分の記憶に基づき答弁した。虚偽の答弁をしたことはない」とよくわからない釈明をして逃げ切った稲田氏だが(産経新聞 3月14日)、今回は逃げれば逃げるほど政権へのダメージは大きくなる。

 野党側による追及の本格的な舞台は、安倍首相が出席して衆参両院で行われる予算委員会の集中審議だ(衆院は24日、参院は25日)。昨年、防衛省に情報公開請求を行って一連の報道の端緒を開いたジャーナリストの布施祐仁氏は、「自衛隊の最高指揮官である安倍首相は自ら真相解明と説明を率先してやるべきだ」と訴えている(Abema TIMES 7月20日)。加計学園問題ともども、安倍首相が「真摯に説明責任」を果たすかどうかに注目したい。

小泉進次郎 自民党・衆院議員
「フェイクニュースの極み」
カナロコ 神奈川新聞 7月20日


 内閣支持率が下げ止まらない安倍晋三首相にとって、政権浮揚の起死回生の一打となるかと注目されているのが、8月3日に予定されている内閣改造だ。

 その目玉として名前が取り沙汰されているのが、自民党の小泉進次郎衆院議員である。小泉氏は神奈川新聞の取材に対し、内閣改造で初入閣する可能性について「ない」と否定し、「この時期の人事報道ほど当てにならないものはない」などと語った。官房副長官を予測する声に対しては、「フェイクニュースの極み」と笑いながら切り捨てた。

 また、安倍政権は一貫して“女性活躍推進”を掲げており、松島みどり元法相(うちわ配布疑惑で辞任)、小渕優子元経産相(政治資金規正法違反の疑いで辞任)、稲田朋美防衛相など、積極的に女性閣僚を登用してきた。そこで小泉氏の代わりの目玉人事として、厚労大臣の要職に三原じゅん子参院議員を起用するという案が浮上してきているという(『週刊新潮』7月27日号)。三原氏といえば「八紘一宇」発言や「神武天皇は実在の人物」発言などが話題を呼んできたが……。



蓮舫 民進党代表
「手続きを怠っていたことは事実で、反省している」
NHK NEWS WEB 7月18日


 民進党の蓮舫代表は「二重国籍」問題をめぐって記者会見を行い、昨年10月に日本国籍の選択を宣言したことが記されている戸籍謄本の写しの一部などを公開した。

 昨年9月の民進党代表選挙に立候補した際、「二重国籍」について指摘された蓮舫氏は、台湾当局に確認した結果、昭和60年に日本国籍を取得した後も台湾籍が残っていたことが確認されたとして謝罪した上で、台湾籍を離脱する手続きが完了したと説明していた。今回の記者会見では、これまでの説明を裏付ける資料として、台湾当局から交付された「国籍喪失許可証書」の写しと、戸籍謄本の一部の写し、台湾旅券を公開している。

 会見で蓮舫氏は「野党第1党の党首として、現政権に強く説明責任を求める立場であることを勘案して公表した」「去年、指摘を受けるまでは疑ってもいなかった。公職に就く者として深く反省をしている」と語ったが、対応が後手に回った感があるのは否めない。

 一方、蓮舫氏の二重国籍問題について追及し続けてきた評論家の八幡和郎氏は、「この公開は不十分」とし、「台湾への渡航が日本旅券で行われたことを示す日本旅券の当該ページ」の公開と、蓮舫氏の子どもをはじめとする家族の国籍の問題について明らかにするように求めている(アゴラ 7月19日)。インターネットにはさらに蓮舫氏を追及する声も少なくない。

 今回の蓮舫氏の会見は、都議選の大敗を受けて党内から説明を求める声や批判が上がっていることに配慮したものと見られているが、立命館大学政策科学部教授の上久保誠人氏は「都議選の大敗と蓮舫氏の問題は関係ないでしょう」とバッサリ。「民進党の中には都議選で負けた責任をとりたくない人たちがいて、蓮舫氏の国籍問題で負けたことにすれば責任追及から逃れて退陣しなくてすむというわけです」と分析している(ホウドウキョク 7月20日)。

「幹事長を受ける人はなかなかいないのではないか」

 そもそも二重国籍は本当に問題だったのか? 中央大学法科大学院教授の奥田安弘氏は、「二重国籍だった場合、政治家、あるいは野党第1党の党首や総理という立場にはなれないのでしょうか?」という質問に対して、「現在の法律を適用した場合には何の問題もありません」と回答している(『荻上チキ・ Session-22』 7月13日)。

 昨年10月、日本維新の会が「国籍選択をしていない者は被選挙権がない」「管理職公務員になれない」といった内容の法案を提出したが、審議未了で廃案となっている。また、奥田氏は「公職選挙法では日本国籍のみが要件であり、外国国籍を持っていても問題とはなりません」とも解説しており、経歴詐称の疑いについても「学歴の詐称」などと同列に扱えるものではないという見解を示している。

 今回の件で民進党は足並みの揃わなさをあらためて露呈した。蓮舫氏は野田佳彦幹事長を含む執行部を交代させる意向を固めたが、自身は続投するという。民進党の閣僚経験者は「幹事長を受ける人は、なかなかいないのではないか」とコメントしている(日テレNEWS24 7月20日)。浮上への道のりは遠い。

野田数 都民ファーストの会代表・都知事特別秘書
「どの企業も取材は広報経由。うちはこれまでの都議会と違い、民間並みの対応をとる」

朝日新聞 7月15日

 東京都議選の圧勝劇から約20日。都民ファーストの会の議員の声が聞こえてこない。当選者への取材制限を続けているからだ。議員経験がない新顔が多いため、失言などを避けるのが狙いだが、そんなに失言しそうな人ばかりを擁立したということなのだろうか?

 都民ファーストの会代表の野田数氏は、都議の取材について「民間並みの対応をとる」と語った。言い換えれば「気に入らない取材には答えない」ということだ。野田氏はかつて都議時代に日本国憲法を無効とし、大日本帝国憲法の復活を求める内容の請願に賛成していたことが報じられているが、代表就任後のインタビューで「私個人の思想信条は明かしません」と断言している(Abema TIMES 7月7日)。

 15日放送のAbemaTV『みのもんたのよるバズ!』に出演予定だった都民ファーストの会の元幹事長・音喜多駿都議の出演も直前にキャンセルされた。出演者の一人であるコラムニストの吉木誉絵氏は「情報開示が東京大改革の要だとおっしゃってきたのに、自ら制限をかけていては都民ファースト自体がブラックボックス化しているとの批判は免れないのではないか」と批判した(Abema TIMES 7月17日)。音喜多氏は自らのブログで「これまでは比較的自由にメディア出演や取材対応をして参りましたが、今後は少し違った形となりそうです」と釈明。年内には国政に進出するとされている都民ファーストの会だが、「ブラックボックス」化は今後ますます進みそうだ。
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