先々週辺りから
「エンジンが寒くてストールして停止する」という
修理の依頼やお電話があります。
大体、当店で販売していない個体が多く、
案外改善するのが簡単だったりして幸せな作業です(笑。
先に言うのは、
店長も7~8年前までは
「それが原因(または要素)でチョーク終了後のストールが起こる」
ということが
【仕方ないんじゃない?】とか
【あるあるだよね~】とか
【そこが原因の要素の一つである】という
ことに気が付かなかった「あほー」です。というか
我々くらいの年齢だと、
「エンジンがストール?しなくなるまでアクセルを
あおってりゃーいいじゃん!」
という感じの人が多かったんですよね(笑。
【壊れてるわけじゃない】という認識の方が大きかったんですね(笑
真冬のストールの「止まる」という部分をいかにして?
「とまっていませんよ?」という涼しい顔をすることが
カッコイイという重点を置いていた世代です(笑。
まあ、そうは言っても
今時は
「それは不具合なんじゃないか?」
でしょうね(笑。
まあ、良く考えてみたらそうなんですが(笑。
店長パパも「え?止まったことなんかないぞ?」って
言ってますから、新車からオリジナルの状態であれば
そういうことが【無いに等しい】わけで
じゃあ?なんで?そういうことがどこかしらから?
おきるのか?と考えれば
【一目瞭然】なんですよね。
人間、店長も含めて
「足し算したら良くなる」
「性能が良い、と言われるパーツは良くなる」という
思い込みがあります。
【実際、性能は良くなっているのだと思います】
ただ、前にも言ったとおりに
【性能がやや上がるのと引き換えに、そもそもの機能が
ダメになるという場合も】
って、ことですよね。
または
【その高性能品に交換するには、他のアップグレードを
行ったからこそ必要である】
って、必要善な本当の要素もあるわけですよね?
っていうか、【そうなんだと思います】
性能が良くなる製品に換える。
じゃあ?ドイツのマイスター文化で作られたビートルの
元々の性能は悪いんですか?
って話ですよね?
または、50馬力が50.1馬力になって何変わります?
って部分です(笑。
性能アップするなら200~300万円も使えば↓
ミッションまでやっちゃえば、250馬力くらいの
スポーツカーなら次の信号までなら勝てる性能が出ます。
っていうか、勝てます。
【アップさせるか、現状維持か?】
どっちかですよ(笑。
【ポン付けで性能アップする物はない】
(極論ですが、1馬力や0.5馬力アップならね?でしょ?)
それで、【不具合・不都合】が生まれるならば?
元通りの状態の方が良くないか?って部分ですよね。
昨日、あいさつ程度におりましたが
お客さんが、スタッフさんに
「チョークが終わるとエンジンが止まる症状はどうにかならないのか?」
と、相談されてましたが、
F-4さんのスタッフさんは非常に丁寧に、
「たしかに、それは良く聞くアルアルなんですよね」と
話されてたんですが。
聞きながら、うっかり笑みを浮かべてしまった(笑
【どこでも同じ相談受けるんだ】(笑。
それにしても、さすがですね
丁寧な受け答えは、レジェンドショップならではです。
うちなら、
「買った店で聞けば?中古なんだし、一台一台が同じじゃねーし」
で、終わりですから(笑
チョークは【オートチョーク】です。
チョークの仕組みは、アクセルを一回始動時に踏むことで
作動が始まります。
そして、【温度】で自動で正常時に戻ります。
(キャブレターの温まり具合です)
調子が出たら自動でチョークが終わるのではありません。
朝の状態↓アクセルもOFFでチョークもOFFの状態
※左の矢印はこの会話では関係無いです
この状態です。
オートチョークを開始するためにアクセルを一度踏んだ
状態です↓
このギザギザが【歯止め】になってアクセルを踏んだ状態にします。
なので、当然それまではアイドリングが高いです。
アクセルを踏んでチョークを作動させる前の状態
および
温まった状態↓平常時
チョークを始動して、温まりきっていない状態↓
フタが閉じていますよね??
閉じているチョークが効いている状態では
何が起きているか?といえば、
寒い外気を入れないようにしています。
ゆえにガソリンだけでエンジンを爆発させています。
【チョークをもっと長く効かせる方法が無いか?】と
言われることも多いのですが、
それはユーザーさんは「エンジン回転を維持する、あげるため」だけ
だと思っているので,ストールしないように【長く作動】と
思うのでしょうが、画像のように中でフタが閉じて外気を入れない
ようにしてますので、この状態がひたすら続くと
爆発が逆に悪くなります。燃焼室は煤だらけ。
朝一番のマフラーからの匂いが「ツーん」と、ガソリン臭いのは
そういうことです。
ようは、このエンジンは「温まるくらいの時間だけチョークで補助してたら
その後は、補助なしでアイドリングが出来る」
という構造のエンジンなんですね。
それが出来ないなら、「引っ張るチョーク」の方が本来は安全なわけです。
(スプリットなどの時代やブラジル製は手動チョーク)
でも、「温度で自動でチョークが終わる」ことで大丈夫な設計なんですよね
メーカーからすれば。
ってことは、
【キャブレター本体に改善の余地はない】し
【細工も、付け足しも必要ない】ということです。
(もちろん調整間違いはあり得ますが、性能的には除外ですよね)
同じ要望で修理に入った個人売買のビートルのエンジン↓
上でも書いたように「キャブ」には基本余地がないわけです。
ならば?今度は
赤い線の部分。
インテークマニホールドのホットパイプ。
このパイプには「排ガス」が通過することになっています。
ゆえに触ったら「アチー―――!」って火傷です(笑。
ここが詰まってるといくら乗っても【触れる】んですね。
ってことはキャブレターを温めない。
冷えた空気に、冷えたガソリン、、、、爆発が弱くなります。
条件は悪いです。
ここで、キャブから見て行ってはじめて
【原因・要素】となりえる箇所が1か所です。
熱くならないなら、【カーボンで詰まり】でしょうね。
「一つも通らない」状態のは何回も見ています。
石のようにカチカチなので、交換の方が早いかも。
そして
冷間時の空気を吸う部分が赤い↓
最初に温まりやすいシリンダー下から暖かい空気を吸わせて
キャブレターを温めます?または暖かい空気を入れる役目です。
このシリンダー部分も、実際には「クーリングファン」の
風で冷やされていますが、サーモスタッドとフラップによって
冷間時はフラップが閉じて温める機能があります。
で、ここで2か所目ですね。原因・要素の。
まあ、そもそも「スポーツタイプエアークリーナー」に
交換されてる個体は
【この機能が100%死んでいる】ことになります。
【スポーツ=性能アップ】ですが、
やっぱり【冷間時の機能を殺しました】ですよね??
エアークリーナーを交換することで
元々の純正の機能は【外した】のと一緒ですよね?
そして、ストールの原因で見過ごしていないか?
なのが、↓
ディストリビューター
画像の個体は
「買った時には負圧式バキューム進角ディストリビューターだった」
そうですが、修理に出したショップさんで「009タイプ」に変更交換
されています。
このディストリビューターは、【性能が良い】です。
レスポンスは、負圧バキューム式デスビより
【確実に体感できる、レスポンス向上】です。
鈍感な人でも「あれ?軽く吹け上がる!」気がつくはずです。
なので何回も言います!性能が良い!性能アップ!アップグレード!
間違いないです。
「じゃあ、いいじゃないか?なにが悪いんだ?」
って思いますよね?
上で書いた「スポーツタイプエアークリーナー」と一緒で
【性能が上がるが、純正機能を殺している】
ということです。
吹け上がりが良いんですが、落ちるのもストンっ!って
スッキリ気持ち良いんですが、そのまま勢い余ってストールします(笑。
009のタイプは、エンジンの回転軸からもらった回転で
中身の部品を【振り子の動作】で「すすめる・とどめる」の
動作を行います。
↑スポルト・エアコンなので009から負圧式に戻しました。
すこぶる安定です(笑。マイナス3度でも、普通にアイドリングして
チョークが終わって、信号待ちでそのままストールも無かったです。
純正の負圧式バキューム進角方式は
【キャブレターから接続したホースで吸気のタイミングで
生まれる負圧をもらって、すすめたり、とどめたり
を行っている】んですね。こういうふうに↓
エアコンも付いてますし、ストールしやすさは
純正以上です(笑。なので、絶対に「性能アップ品」は使わないわけです。
【ストンっ!】って落ちやすいので。
実際、こちらもマイナス3度で
始動して走行してストールすることはないです。
(ずっとそれが維持できるといいですが。試運転等では何回も大丈夫でした)
負圧式バキューム進角デスビの場合
エンジンの負圧(吸い込まれる力)で
進角(プラグの火の早い遅い)を調整します。
エンジン始動中に、そのホースを口にくわえて吸い込むと
アイドリングが上がりますよ(笑。
エンジンが掛かっている限り、絶えず負圧がある都合で
火を飛ばすタイミングは絶えず進めているので
落ち辛いのですが、
【遠心進角】の場合は振り子みたいな状態なので
一気にストン!なストールがあるんですよね。
電気を飛ばすのを一旦やめる?と考えて貰えれば?判り易いかも?
まあ、これで3か所の原因・要素。
チョークが終わって、
信号等でそのままエンジンが止まってしまうというのは
結局、
【大まかな、3か所】の要素が、もともとと変更されている、
削除されていることから起きます。
個人的には【点火系タイミングの仕組み】の関係で
やっぱりディストリビューターが大きな要素なんじゃないかな?
と、思います。
実際、バキューム進角に変更して(戻して)症状が出ないことは
確実に多いんで。
本来、
ノーマルエンジンはレスポンス悪い(悪いわけじゃない)
ハイカムやツインキャブにするとレスポンス向上
で、
各々特性が違います。
ハイカムでレスポンスは確実に上がりますし
ツインキャブにするのもレスポンスは上がります。
「そっちに使う部品」を「こっちに使う」ことで
【殺しちゃう部分】があるわけで(笑。
ただ、
昨日、F-4さんのスタッフさんがお客さんの相談にのって
アドバイスされていましたが、
実際、「オーナーのワーゲン」のことを知っているのは
販売した、整備しているショップさんの方が良くわかっている
はずなので、
「一概に、われわれのアドバイスがあってるとか、間違ってるとか
売ったショップさん、整備しているショップさんにも同じことが
言えるので、信頼しているお世話になっているショップさんに
相談された方が解決が早いかもしれないですよ?」
と、丁寧に答えていらっしゃました。
もっともな話でしょうね(笑。
色々な意見が多いのが「古い車」とか「特殊なクルマ」
なんですよね。
扱っているショップさんの考えも、たまに話をしていて
【あまりにも違う】とか
【あ~やぱり同じですよね】とか
相違が必ずあります。
おそらく、
この記事を読んで
いきなり「負圧式のデスビを買って交換!」って
オーナーも居るでしょうが、
そもそも「それ、どころではない」という個体に
改善を試みても【何も変わらず】で
挙句の果て
「サバーブの嘘でデスビ代が損した!」という人も
出ないとは限りません。
またディストリビューターの交換には
タイミングライトが必要ですし、
「進角の範囲」が同じバキューム式デスビでも社外品が多い都合で
適性位置での調整より「やや△度進める」とか不都合な箇所の
微妙な「良し悪し」があります。
我々はリプロダクション製品があって、それを絶えず欠かさずに
海外から輸入してストックしてくれている大手ショップさんなどの
おかげでなんとかワーゲンを乗ったりメンテ出来ています。
それの感謝感謝を前提にですが
「でもやっぱりクヲリティーはやや信用していない(笑)」部分は
持っています(笑)※文句じゃない。
【このメーカーは少々、〇〇しないと調子が出ない】などの
知識を持ち合わせています。
【換えたら直る】
のは、新車もしくはそれに準じた車だけです。
ネット記事などで「そのまま同じにやってみる」のも
楽しみかもしれませんし、
中には【専門店アンチ】なオーナーさんも多いんですが
※(高いとか言う)
ある程度、【的を得ている改善】が望めるならば?
結局、近道かもしれません。
新車から半世紀が経っている自動車です。
製造時のオリジナル機能を全て残している個体も多くはありません。
絶対ではないですが、そのオリジナル機能を残していれば
南極でも止まらないって宣伝のクルマですからね。
ただ、「半世紀」ですからね。
途中を考えてくださいよ?
ただ、チャキチャキにベッタリシャコタンが流行った時代もあれば、
日本なら、テキトーな高年式のビンテージルックが大流行りした
時代もあるし、
純正キャブ、純正マフラーなんか捨てちゃって(笑
オール社外品で武装!
の時代だってあった(今でも)わけですよね?
だから一台、一台が通ってきた環境が違うし、
「手に入れるワーゲン」によって、申し訳ないけど
ずいぶん差があるかな?と思いますよ(笑。
どうしても、場所の都合とか
販売方法で整備などのメカニカルポイントは【外注】とか。
外注さんじゃ、マイナス3度で試すとか?
やらないでしょ(笑
もちろんね、「試さないで、規定通りの整備」がされてれば
問題が無い新しい自動車なら良いですが、あまりにも差が大きい
クラシックカーですからね。
新車、それ同等でディーラーさんで使うのと
お店も車も、人間も違う訳ですよね(笑。
本当なら、
空冷のワーゲンも「まったくの製造時の状態」で
「まったくの製造時の部品」
「指定された項目で、指定された方法」で
メンテが出来れば完璧ですが、
そういう部分、【バランス】明らかに崩れている
訳ですよね??
前に、「冬のストール」の話をしていた時に
「点火系(デスビ)は、ストールに関係ない」って
言ってたショップさん居たし。
「一番の影響だよね。合わないデスビに交換するからだよ」
って、言ってた同じ意見のショップさんも居るし。
19歳頃かな?
インジェクションの68年式タイプ3に
インジェクションを外してベビーウエーバーに交換した
んだけど、その際に部品かったショップさんに
「009のデスビも必要だよ」って言われて一緒に取り換えたんだけど
たしかにレスポンスは良いものの、なかなか安定しなくて
「YANASEの販売協力店」に出してみたら、
「負圧のデスビを遠心式デスビに換えれば安定は出来ない」ってことで
色々、直してもらったんですけどね。
いや~安定の低アイドリング(笑。感動した記憶。
【そもそも、レスポンス良く回して乗る車ではなく
長い耐久性で乗り続けるように作られている車だから、
ヘタに性能を上げても良いことは無いし、トルクで乗る
車だからね。レスポンス良くしたいなら
日本車に乗った方が良いよ】って
言われたことがあるんですよね。
まあ、ネット情報よりも
「ワーゲンが専門」というところの方が
良いのかな?と思います。
【ワーゲンも直せますよ】はちょっと怪しいかもしれませんよ。
真冬のストール。
直すなら?改善するなら?
今しかないですからね(笑。
冬のうちに。
夏だと、直ってるか?
判んないですよね(笑。