文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

日本は不正に作られ、不正に選ばれた者が成立させた憲法をまだ「いい憲法だ」と護り続けている。

2022年01月07日 07時59分42秒 | 全般

以下は1月6日に発売された週刊新潮の掉尾を飾る高山正之の連載コラムからである。
本論文も彼が戦後の世界で唯一無二のジャーナリストである事を証明している。
8月革命
日本支配を始めたGHQは米国が過去に占領したキューバやフィリピンでやった統治方式に倣った。
それはまず、その国の憲法を作ることだった。
それによって誰がその国の真の支配者かを教え込むのだ。
マッカーサーは幣原喜重郎首相に自作の新憲法草案を手渡し、昭和21年2月22日の閣議で受け入れを認めさせた。 
マーク・ゲインの「ニッポン日記」には「その日はジョージ・ワシントンの誕生日に当たる」とある。
ワシントンは子供のころ斧で桜の木を切り倒した。粗暴な子だった。
マッカーサーは桜の国、日本を切り倒す新憲法をその日に認めさせたことに嗜虐的な喜びを感じていたのだろう。
ただ、草案は帝国議会で審議される。
それをパスしないと新憲法発布とはならないが、日本はキューバとかとは大違いで、昨日まで五大国の一つだった。
教育も高い。脅しやカネで屈するようには見えない。
彼は帝国議会議員を総取り換えすることにした。
骨のありそうな者は戦争協力者という曖昧な基準で任を解いていった。世に言う公職追放だ。
それで東久邇宮も緒方竹虎、石橋湛山もクビにした。
財界では植村甲午郎、東急の五島慶太、西武の堤康次郎を追放し、ついでにレーダーの父、八木秀次や菊池寛など名のある者21万人を蟄居させた。
結果、衆院の8割が追放され、GHQはその穴を媚米派で埋める作業に入った。
加藤シヅエはその一人で、「GHQの将軍がいらっしゃって」立候補を頼まれたと自伝にある。 
シヅエは「女性も性を楽しむ権利がある」と主張するマーガレット・サンガーに傾倒して弟子入りし、帰国後は中絶と「悪い遺伝を絶つ断種」を普及させる運動を続けていた。
女ヒットラーは当選後、GHQに協力して日本の人口を減らす家族計画の旗振りをやった。
GHQは獄中にあった共産党の徳田球一らを見つけて出獄させた。
延安にいた野坂参三も呼び寄せて立候補させた。
初の女性の立候補者も多く立てたが、この中には柄沢とし子ら共産党員がちりばめられてた。
ただ宮本顕治は小畑達夫に濃硫酸を浴びせるなど拷問して殺した罪で服役中だったので候補からは外された。
そんな連中を集めるとGHQはそんな連中でも当選できるよう最大14人区を置くなど選挙区を弄(いじ)るゲリマンダー方式を取った。
かくて昭和21年4月、衆院選挙が行われ、GHQ推薦組は全員当選した。
民主選挙と言うよりは我が国の選挙史上、例のない不正選挙だった。
貴族院も同じ。
公職追放で大方の人士を追い出したうえで、例えば後に吉田茂に「曲学阿世の徒」と罵られた南原繁ら親米派が新たに勅撰された。
中に憲法学者の宮沢俊義がいた。
彼は天皇発議を装ったマッカーサー草案が出ると、その欺瞞を追及することもなくすぐ草案に賛意を表明した。
おまけに八月革命説を持ち出した。
誰も気づかなかったけれど実は「ポツダム宣言を受諾したときに主権は天皇から国民に移っていた」と言うのだ。
GHQは宮沢の転向を歓迎し、その褒賞として貴族院議員にしてやった。
そういう議員連中が新憲法の審議をやって通過成立させた。
マッカーサーは新憲法を明治節に公布した。
新日本の礎を築かれた明治天皇の誕生日に、日本を滅ぼす米国製憲法を公布する。
彼らしい嗜虐趣味溢れる決定だった。
それから今年で76年。
その間、米国製憲法を持たせられたキューバではカストロがそれを破棄し、もう3回も新憲法を作っている。
フィリピンはルーズベルトが押し付けた憲法を1973年に捨てた。
パナマも「運河用地を米国に与える」とした憲法を1972年に破棄した。
日本は不正に作られ、不正に選ばれた者が成立させた憲法をまだ「いい憲法だ」と護り続けている。

 


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