文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

再発信!寛容と多様性の美名のもとに、非寛容と画一的な価値観の押し付けが進む日本社会

2024年04月08日 23時44分12秒 | 全般

2021年04月06日

以下は4月1日の産経新聞に、英作家が語るリベラルの責任、と題して掲載された論説委員兼政治部編集委員阿比留瑠比の論文からである。
彼は現役最高の記者の一人である。

1月14日の当欄で、自民党ベテラン議員と交わした米国の社会分断に関する会話を紹介した。
議員はリベラル派の傲慢さが根幹にあると指摘していた。  
「トランプ氏が分断を生んだのではなく、米社会の分断がトランプ大統領を生んだ。そして、その分断をつくったのはリベラル派であり、オバマ前大統領の任期の8年間だ」  
「リベラル派は上から目線で保守派の意見を劣ったものとみなし、抑圧する」
オバマ政権下では、リベラル派が独善的にボリティカル・コレクトネス(政治的正しさ)を振りかざし続けた。
その結果、本心を隠さざるを得なくなった保守派は疎外感を味わい、偽善を排するトランプ氏の出現を歓迎したとの見解である。 
このとき議員は「リベラル派は自分の考えには疑問を持たず、反省しない」とも語っていた。
筆者も同感だったが先月、東洋経済オンライン掲載の英国のノーベル文学賞作家、カズオ・イシグロ氏のインタビュー記事を読み少し安堵した。
進む価値観押しつけ 
イシグロ氏は、二極化か進む世界を招いたリベラル派の責任を表明していたのだった.
狭い世界で自分たちの価値観だけを信奉し、それ以外の考え方を知ろうとしなかったリべラル派に対する次のような反省は、議員の認識とも通じる。  
「私たちにはリベラル以外の人たちがどんな感情や考え、世界観を持っているのかを反映する芸術も必要です。つまり多様性ということです。(中略)例えばトランプ支持者やブレグジット(英国の欧州連合離脱)を選んだ人の世界を誠実に、そして正確に語るといった多様性です」  
「リベラル側の人が理解しないといけないのは、ストーリーを語ることはリベラル側の専売特許ではなく、誰もが語る権利があり、私たちはお互いに耳を傾けなければいけないということです」 
リベラル派による言葉狩りが横行し、寛容と多様性の美名のもとに、非寛容と画一的な価値観の押し付けが進む日本社会こそが受け止めるべき言葉だろう。  
「ある意味、本当の意味でのリベラルだね」 
インタビューに目を通した議員は言った。
リベラル派には、自由を重んじる本来のリベラルではなく、特定イデオロギーに偏った全体主義的な傾向を持つ者が多いことを指している。 
議員はこう続けた。  
「例えば安倍晋三政権下の国政選挙で与党が大勝しても、リベラル派は選挙結巣を否定しようとした。彼らはトランプ氏の支持者は大統領選の結果を認めないと批判しているが、それは目分たちのことだろう」 
選挙より「民意」 
確かに、彼らは安倍氏が目民党総裁として導いた国政選挙6連勝を民意だとは認めず、選挙よりも国会前デモを重視するような発言を繰り返していた。
例えば、前回衆院選後の平成29年10月23日の朝日新聞1面記事を思い出す。  
「与党の議席獲得と、民意のバランスや濃淡とのズレが、広がっている」 
また、同日の社説ではこう強調していた。  
「選挙結果と、選挙戰さなかの世論調査に表れた民意には大きなズレがある」  
「民意の分断を防ぎ、乗り越える。そんな真摯で丁寧な対話や議論が、いまこの国のリーダーには欠かせない」 
民主主義制度にのっとった選挙結果よりも、自分たちが思い描く民意の方が正しく重視されるべきだと言わんばかりだった。
和式リベラルが、イシグロ氏に見習うのを願うのは、高望みがすぎるだろうか。
 

 


最新の画像もっと見る