文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

国際標準でもないルールを変えたからといって、本当に「市場の信認」に影響するのかは疑問

2023年01月27日 15時30分06秒 | 全般

以下は昨日の産経新聞に掲載された阿比留瑠比氏の定期連載コラムからである。
日本に限らず、世界にはジャーナリストの名にも値しない人間達が多いのが実態である。
彼は希少な本物の現役のジャーナリストである。
特に、後段において、極めて、重要な事実を教えてくれている本論文は日本国民のみならず世界中の人達が必読。
彼の、この本物の論文は、私に貴重な超越を齎してもくれた。
その事については後述する。
見出し以外の文中強調は私。

防衛増税反発 議論不足から
岸田文雄首相が唱える防衛増税に対し、国民の理解が深まらない。
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)による21、22両日の合同世論調査でも、防衛費の財源確保のための増税には、3分の2以上の67.3%が反対した。
防衛費増額自体には、全体の半数以上が賛成しているにもかかわらずである。 
どうしてそうなのか。
税以外の財源捻出の検討がまだ足りないことと、国債活用や国債償還の在り方の見直しではなぜいけないのかについて、国民に納得がいく説明がなされていないからではないか。 

読み取れない理屈  
「防衛力を抜本的に強化するということは、戦闘機やミサイルを購入するということだ。これを借金で賄うことが本当に良いのか。やはり安定的な財源を確保すべきだと考えた」 
首相は昨年12月16日の新たな「安保3文書」閣議決定に伴う記者会見で、こう強調した。
ただ、防衛力の抜本的強化はもっと幅広い概念であり、自衛隊員の訓練・生活環境の改善や防衛産業の保護・育成も含まれよう。 
なぜ、戦闘機やミサイルの購入を強調して借金(国債)ではいけないと主張するのかも、首相の言葉からは理屈が読み取れない。 
一方、自民党の萩生田光一政調会長が委員長を務める党特命委員会では現在、財源捻出の一案として国債を60年で償還する日本独自の「60年償還ルール」の見直しも議論されている。
そもそも諸外国では廃れたルールであり、60年という年限にも特段の根拠はない。 
これを「80年」にすれば年に4兆円が浮き、十分な防衛財源になるとされる。
こうしたさまざまな方策の可否を十分に検討した上でやはり増税が必要だとなれば、その時にこそ国民に訴えるのが筋ではないか。 
財務省の言い分に 
「60年ルール」の撤廃・延長に対し、松野博一官房長官は今月12日の記者会見で「財政に対する市場の信認を損ねかねないことなどの論点がある」と述べ、慎重な姿勢を示した。 
財務省とそっくりの言い分ではないか。
とはいえ、国際標準でもないルールを変えたからといって、本当に「市場の信認」に影響するのかは疑問である。 
かつて平成26年に当時の安倍晋三首相が消費税の8%から10%への引き上げ延期を決断する際に、財務省がやはり「市場の信認」を理由に猛反対したのを連想する。
安倍氏によると、財務省はこう主張した。  
「延期すれば日本は国際的信用を失い、国債は暴落する」。
「金利は、手をつけられないぐらい上昇する」  
「延期すれば、財政健全化はできない」 
だが、そうした予測はことごとく外れた。
国債は暴落せず、金利は高騰せず、27年度に基礎的財政収支の赤字を半減する目標は達成したのである。
安倍氏はこう語っていた。  
「永田町は財務省に引きずられているが、財務省はずっと間違えてきた。彼らのストーリーに従う必要はない」 
財務省は「アベノミクスによる税収増は安定財源にはならない」とも繰り返Lていた。
それでは、防衛財源に景気や嗜好(しこう)に左右される今回の法人、所得、たばこ増税は将来にわたって安定財源になりえるのかー。 
多くの国民は、本当に必要だと納得すれば防衛のために応分の負担をすることはいとわないだろう。
議論を尽くさず、説明不足の段階で増税を決め打ちされては「順序が違う」と感じて当然ではないか。 
(論説委員兼政治部編集員)

 

2023/1/26, at Kyoto



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