以下は11月26日に発売された月刊誌WiLLに、旗印は自由と現実主義、日本初の保守SNS「SAKURA」、と題して掲載された元東京大学特任准教授大澤昇平「Daisy」代表取締役CEOの論文からである。
見出し以外の文中強調は私。
偏向マスコミと独裁SNSに対抗する新たなメディアが産声を上げた
ウソか真実か
この一年は、メディアにとって大きな転換期でした。
きっかけはアメリカ大統領選です。
既存の新聞・テレビの「反トランプ」運動に対抗して、トランプ支持者はネットを中心に「親トランプ・反バイデン」キャンペーンを展開しました。
ご承知の通り、大統領選挙はトランプ敗北に終わりましたが、投開票の後もなお、「ハイテン陣営が票を操作したのではないか」という、いわゆる「不正選挙」疑惑の火種は燻ぶっていました。
そんななか、不正選挙疑惑を主張し続けていたトランプのSNS(ツイッター、フェイスブック、インスタグラム、ユーチューブ)アカウントが突然、「デマを発信した」として、運営企業によって凍結される事態が発生したのです。
現職のアメリカ大統領のSNSアカウントが、中国資本に依存する民間企業によって凍結される。
それも大統領選をめぐる疑惑追及の真っ只中に。
こうした出来事は当時、民主主義の未曽有の危機として世界中で波紋を呼びました。
この混乱は、やがてソーシャルメディアに二つの課題を突き付けます。
一つ目が、「ウソか真実か」といった情報の真実性はどのように判断されるべきか。
二つ目が、表現の自由はどこまで認められるべきかというもの。
政治的イデオロギーが、この二つの問いをさらに難しくしています。
たとえば朝日新聞の慰安婦報道が「捏造」「ウソ」「デマ」であることは疑いようがありません。
なぜなら「存在しない」ものを「存在した」と伝えたからです。
では、「トランプ大統領は史上最高の政治家」という発言はどうか。
トランプ支持者は大いに頷き、反トランプ派は必死に反論するでしょう。
さらに判断が難しいのは「差別的発言」です。
何が差別で何が差別でないかは、受け手によっていくらでも解釈できる。
ポリテイカルーコレクトネスが蔓延した社会において、愛国心を語るだけで「排外主義」のレッテルを貼られることも珍しくありません。
それぞれの立場やイデオロギーによって、真実かウソかが変わる。
情報学では、こうした曖昧な概念を総称して「文化」と呼びます。
政治的発言の弾圧は文化の否定につながるため、極めて慎重になる必要がある。
ところが、ツイッターやフェイスブックは何らかの圧力に屈して「禁じ手」を使ってしまった。
結果としてアメリカ社会のみならず、世界中に「政治的分断」を招くことになったのです。
保守SNS「SAKURA」
「ならば保守派のための新しいSNSをつくればいいじゃないか」と考える方もいらっしゃるでしょう。
しかし皆が満足するような、保守派が自由に発言でき、かつフェイクが蔓延しないメディアというのは、残念ながら簡単に実現できるものではない。
「SNSの機能を備えたシステム」は誰でもつくれますが、そこに「保守主義」という単一の「文化」を定着させるのは極めて困難だからです。
新聞・テレビに慣れ親しんだ人々にとって、ここ20年で突如現れた「SNS」という概念は先進的で新しい存在のように思えるかもしれません。
ましてや「ソーシャル」という響きは、中央集権的で独裁的なマスメディアの支配から脱却できる期待さえ感じさせてくれます。
ですが、これらはただの幻想にすぎない。
SNSの実態は、オールドメディアの腐敗とさほど変わらないのです。
新聞のようにデスクの検閲があり、テレビと同様にスポンサー企業もいます。
2006年に登場したツイッターも、初期は保守派にとって居心地の良い空間でしたが、わずか10年足らずで「赤化」しました。
それが顕在化したのが、冒頭で述べた昨年のアメリカ大統領選です。
要するに、オールドかソーシャルかによらず、ファクトチェックを人間が手動で行うメディアである限り、左翼リベラルの呪縛からは逃れられないのです。
こうした事実認定を人間以外の誰か別の存在、たとえば機械が代わりに行えば、保守派がメディアで抱えている課題を解決できるのではないかーかつて東京大学で社会情報学を教えていた私は、自社のAIが活用できることに気づきました。
そして、日本初の保守SNS「SAKURA」を立ち上げることを決め、アメリカ大統領選直後の2020年12月、ツイッター上でフォロワーに対して資金提供を呼びかけた。
すると、現状のソーシャルメディアの体制に不満を抱いていた1万人以上の保守派がこれに賛同。
開発資金である2千万円が一週間も経たないうちに集まったのです。
保守SNSの意思決定は私の一存ではなく、すべてクラウドファンディングの賛同者(「参政メンバー」と呼ばれる)の投票で決まります。
実際に「SAKURA」という名称も投票で決まった。
「敷島のやまと心を人とはば朝日に匂ふ山さくら花」という本居宣長の歌に象徴される日本の美しさ、大和魂を大切にするという思いが込められています。
そして2021年9月、満を持してテスト版の運用を開始しました。
まだ試験段階ではありますが、すでに既存のSNSとはまるで異なる保ず的な文化が形成されている。
ユーザーのボリュームゾーンは40代男性です。
その直後、米国ではトランプがSNS「トゥルース・ソーシヤル」設立を発表しました。
ほぼ同時期に日米で「保守のためのSNS」ができるのは偶然ではないはずです。
「SAKURA」創設にあたって最初に考えたのは、「保守とは何か」ということです。
クラウドファンディングの賛同者の中心である500人の参政メンバーと議論を重ねた結果、出た答えは「自由」と「現実主義」でした。
現在、日本の言論空間ではリベラルが宗教化しています。
安全保障では「平和ボケ」に染まり、ジェンダーや夫婦別姓などで非現実的な理想を掲げている。
野党を見てもわかる通り、リベラルは共産主義と結びついて日本国民の命を脅かしかねない。
そんななか、日々の平穏な生活を守ることこそ、保守の役目ではないかと考えたのです。
これは、アメリカ大統領選をめぐり露呈したSNSの課題-デマ拡散防止と「表現の自由」ーとも符合しています。
フェイスブック=共産主義国家
自由と現実主義を謳う「SAKURA」は今までにない仕組みを用意しています。
SNSでなぜ言論弾圧が起こってしまうかと考えたとき、ビジネスモデルに問題があると気づきました。
既存のSNSは売り上げの大部分を広告収入に頼っています。
例えばフェイスブックの年間売上高は約7兆円で、そのうち98%が広告収入(2019年度)。
つまり、広告主という独裁者がいるのです。
広告主にとって都合の悪い発言は削除され、左翼勢力が広告主に「こんな投稿を放置するSNSに広告を出しているのか!」とクレームを入れれば、削除されるかもしれない。
無料でサービスを利用でき、一見すると牧歌的な風景が広がる。
ところが独裁者にたてつく者は容赦なく粛清されるー共産主義そのものです。
フェイスブックは中国をもはるかに凌ぐ、30億の人口を抱える共産主義国家にほかなりません。
広告収入に頼らない「SAKURA」は、月額制で運営費を賄う予定です。
月額会員制は「表現の自由」確保だけではなく、デマ拡散防止にも役立ちます。
サービスを無料で提供してしまうと、時間とともにユーザーの質が下がる。
それはツイッターを見れば一目瞭然です。
ツイッターは2008年に日本でサービスが開始されました。
私は初期から利用する古参ユーザーですが、当時は現在とは異なり平和だった。
気軽に情報交換できるコミュニティとして、研究者からも重宝されていました。
ところが、ツイッターが一般に普及し始めると、いわゆる「ネトウヨ」「サヨク」と呼ばれる人たちが参入。
一気に議論のレベルが下がり、言論空間は殺伐としたものになりました。
対して月額制の「SAKURA」には、本気で政治を議論したい人たちしか集まりません。
建設的な議論、平和な交流が期待できます。
画期的な「国籍認証」システム
ッイッターで問題視されているのが、中国共産党によるネットエ作です。
「五毛党」と呼ばれるアルバイトエ作員が、中国に都合の良い言説を日本語でまき散らしています。
アメリカ大統領選後のトランプ支持者による議事堂占拠は、米国の民主主義を破壊するために中国共産党が仕掛けたという話もある。
そこで、「SAKURA」は国籍認証システムを導入することにしました。
登録者にはパスポートなど国籍を確認できる書類を提出してもらい、日本人と認定されたら名前の横に日の丸マークがっく。
アメリカ人なら星条旗、中国人なら五星紅旗、韓国人なら太極旗が表示されます。
そうすれば、誰がどの立場で発言しているかがわかる。
国籍認証は強制ではありません。
しかし、国籍不明のままでは、他のユーザーが耳を貸さなくなります。
「SAKURA」は、SNS内で利用できる仮想通貨とAIによるファクトチェックを導人する予定です。
デマを流布した者が損をし、ファクトを支持した者が得をする仕組みづくりが目的です。
どういうことかー。
ツイッターやフェイスブックでは、賛同する投稿に「いいね」することができる。
対して「SAKURA」には、「いいね」と「よくないね」の2つがあります。
ニュース記事について、半分のユーザーが「いいね」、もう半分が「よくないね」ボタンを押す。
数日後、その報道がフェイクだったと判明したとする。すると、「よくないね」ボタンを押した人たちは「フェイクを見破った報酬」としてSNS内で利用できる仮想通貨がもらえる。
8割が「いいね」を押して2割が「よくないね」を押した記事がデマだったら、真実を見極めた2割は高いオッズで仮想通貨がもらえる。
するとどうなるか。
ゲーム的な要素はありますが、仮想通貨を増やすというモチベーションを通じて、利用者の情報リテラシーを高めることができるのです。
「中国人は採用しません」
保守SNSをつくった私ですが、自分が「保守」だという意識はありません。
根っからの理系人間なので、日本の歴史や文化を勉強したわけでも、とりわけ愛国心に溢れているというわけでもない。
それでも現実主義の立場から、言論空間における弱者=保守派を救済したいと思ったのです。
私は2年前、「中国人は採用しません」と発言して大炎上しました。
過去に中国人スタッフを雇った経験から、中国人は日本人に比べていい加減で、マトモな議論ができないと思ったことがあります。
「中国人は採用しません」発言に差別的な意図はありませんでした。
そもそも、誰を雇おうが雇わまいが経営者の自由です。
にもかかわらず、所属する東京大学にもクレームが殺到し、特任准教授の職も奪われることになりました。
このとき左翼リベラルによる言論弾圧の恐ろしさ、理不尽を身をもって体験した。
ここ一年、日本学術会議が話題となり、アカデミズムの「赤化」が注目されました。
とくに東大は「左翼の牙城」扱いされることが多い。
しかし、東大の学生や教授のなかには、私のようなリベラル嫌いも多い。
なぜなら、左翼は「反科学」だからです。
中世の宗教裁判で、地動説を唱えたガリレオ・ガリレイは教会に糾弾されました。
それと同じように、リベラルは自分たちにとって都合の悪い研究に「軍事研究」とレッテルを貼り、日本の技術発展を妨げてきました。
平和で安定した日常があってこそ、研究に没頭できる。
にもかかわらず、一部の文系教授は共産主義革命を叫んでいるのです。
大多数のマジメに研究している学者、学生にとって迷惑以外の何物でもありません。
データ=正義
研究者だけでなく、ベンチャー企業の経営者も保守が多い。
実力勝負の資本主義社会においては、結果がすべてです。
リベラルが掲げる非現実的な理想など、会社を経営するうえで邪魔でしかない。
とくに私のような理系出身の経営者は、データ=正義という世界で生きています。
それゆえに、左翼の矛盾を一瞬で見抜くことができる。
日本を「女性蔑視社会」扱いするくせに、中国の人権問題には何も言わないフェミニスト。
憲法9条改正で安倍政権が戦争を始めると叫ぶのに、中国の軍拡にはダンマリの護憲派。
C02削減を求めながら、原発に反対する環境主義者。
理系は彼らの論理破綻をすべてお見通しです。
私が最初に保守SNS設立を告知したとき、1万人を超える賛同の声が集まりました。
多くの日本国民が、リベラル左翼に牛耳られた言論空間に嫌気が差しているのです。
自由と真実を愛する人たちのためにつくられた「SAKURA」、興味がある方はぜひ参加してみてください!