文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

今度は目の前の海にも巨大風車が立ち並ぶなんて、我慢も限界

2020年11月16日 16時22分43秒 | 全般
以下は「風力発電は風土に合うのか」と題して、11月14日の産経新聞に掲載された八並朋昌氏の論文からである。
やっと日本のメディアに、まともな論文が登場した。
私は万感の思いだった。
それで、今日、私が、文明のターンテーブルとして登場して、程なく、発信し続けて来た章を再発信したのである。

電源構成目標を定める政府のエネルギー基本計画が、3年に1度の見直しに入った。
菅義偉首相が温室効果ガス排出を令和32年(2050年)までに実質ゼロにすると宣言したことで、火力を縮小する半面、再生可能エネルギーを拡大する議論が予想される。
背景には温暖化に加え、東日本大震災後の原子力発電所の安全対策強化に時間がかかっていることもある。 
この流れで秋田県は北海道、青森県と並ぶ”風力御三家”となり、大型風車311基が沿海部を中心に立ち並び、総出力は64万キロワット余に上っている。 
とはいえ「県内でも陸上適地は残り少なく、今後は洋上に可能性を求めることになる」と県担当者が打ち明けるように、秋田、能代両港の港湾海域で国内初の本格洋上風力発電が着工。
さらに経済産業省を中心に、国内11沿岸海域を想定する大規模洋上風力発電計画の4海域は秋田県沿岸で、うち2海域は事業化促進が決まっている。 
これらの計画が完成すると秋田県の沿岸1~2キロ沖の海域には、全高150~250メートルの大型風車ざっと500基が北から南まで立ち並ぶ。
陸上と合わせれば800基以上と、国内最大の風力発電集積地になる。 
「建設に伴う経済効果は令和7年度までで988億円を見込み、雇用や税収も増える。再エネの先進技術集積地となれば流出が続く若者の県内定着にもつながる」と県は期待し、経済界も導入に積極的だ。 
この背景には、八橋(やばせ)油田(秋田市)だけでも昭和30年代に年間30万キロリットルを産出するなど秋田平野が戦前から一大産油地だった歴史もある。
「石油の代わりに風力で社会が潤うなら結構でばないか」というわけだ。
ただし、陸上分の事業者で地元の主導や出資は4割のみで、雇用も例えば東北電力系の能代風力発電所で2人と限定的だ。
800基余の大型風車でも総出力は、陸上分が石炭燃料の能代火力発電所の3分の1、洋上分は同発電所程度にしかならない。
洋上計画公表後、風力発電自体への住民の反対運動が強まった。
「秋田の海辺は風車だらけで心が休まらない」
「風車近くの住民が低周波音で健康を害した」 
「烏海山麓の高原は立ち並ぶ風車で景観が台なし」 
「渡り鳥の飛翔を妨げる」などの声に加え、「今度は目の前の海にも巨大風車が立ち並ぶなんて、我慢も限界」というのだ。 
実際、何基もの巨大風車が目の前や頭上で回り続けるのを目にすると、ざわついた心地になる。
四六時中目にする周辺住民の苦痛はいかばかりかと思う。 
「日本は風力導入が遅れている」という指摘がある。
だが自然エネルギー財団上級研究員の木村啓二氏によると、先進地欧州では建設に適した浅海が沖合まで続くが近海域は小規模で、利害関係の少ない50~100キロ以遠で大規模展開しているという。
浅海が3~4キロ沖までの日本では、目の前の海でいきなり大規模展開しようとしている。 
火力発電は二酸化炭素回収の実用化が進められ、原子力発電は世界最高水準の安全対策強化が進んで再稼働が増え、新規建設再開の可能性もある。
電源構成見直しは「再生可能エネルギー」の美名だけではなく、現実の環境負荷の大きさを十分検証したうえで議論すべきだ。

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