文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

コンピュータも嶋正利の集積回路のおかげで高速化大容量化が可能になった。

2024年04月17日 22時07分03秒 | 全般

以下は先週木曜日に発売された週刊新潮の掉尾を飾る高山正之の連載コラムからである。
本論文も、彼が戦後の世界で唯一無二のジャーナリストであることを証明している。
日本国民のみならず世界中の人たちが必読。

日本に倣う
マツコの「月曜から夜ふかし」で唐突にドッジボールの話が出てきた。 
子供のころ、校庭でよくやった。
敵味方に分かれて中と外から相手チームにボールをぶつける。 
ボールを取られれば攻守が代わる。
キャーキャー言いながら逃げまどう。
標的にされたときの恐怖。
ボールを取った時の快感。
結構スリリングだった。 
全国大会どころか世界大会もあると話が進む。
ただ世界のルールは日本式とは全く違うという。 
世界式は敵味方6人ずつでボールが5つ。
ボールが乱れ飛び、3分間1セットで互いに相手をどれはどやっつけたかを競う。 
正直、聞いただけで殺伐感が漂う。
大量破壊兵器による大量虐殺をイメージしてしまう。
子供が楽しめるルールじゃない。 
それでも今は日本も世界ルールを習得して世界大会に挑戦しているという。 
マツコは「えーっ」とか言って興味を失ってしまった。
大方も同じだろう。 
しかし世界大会参加国は英、米、南ア、エジプト、マレーシア、香港、サウジに新参日本の8か国だけ。 
日本を除けばみな英国の旧植民地だ。
それが植民地の蛮族退治に想を得ているのは想像に難くない。 
英国発祥のサッカーやラグビー、テニスが世界の競技になったのを考えればドッジボールのルールに難があることも分かる。 
ボールー個の日本方式はその難を解消するために考案したとも思える。 
実際、日本は世界の固陋な伝統を改良してきた実績がいくらでもある。 
例えばギリシヤの昔からの海戦の形だ。
舷々相摩(げんげんあいま)す接近戦の末に艦首の衝角で相手艦を衝く。
それを飽きもせず続けてきた。 
しかし新参日本は黄海海戦でも対馬沖海戦でも相手艦に触れもせず蝶のように舞い、蜂のように刺して敵艦をみな屠(ほふ)ってしまった。 
英国は驚愕して主砲を主体としたドレッドノート型戦艦に切り替え、世界の海戦は日本式に変わった。 
日本は医学でも世界に多くを教えた。
北里柴三郎は白人がただ慄いてきた黒死病の謎を5日間で解き、怖がらなくていいと諭した。
野口英世は脳梅毒が神の仕業でないことを教えた。
ついでに白人は決して優秀ではなく、人種は平等だと教えたが、米国人だけは納得しなかった。 
知恵の使い方も教えた。 
ヤンマーの山岡孫吉は欧州を旅して半世紀前にルドルフ・ディーゼルが発明したエンジンを知った。 
大きすぎて船舶にしか使っていなかった。 
山岡はそれを耕耘機に載るほど小型化してやって、今では世界中の自動車がその恩恵に浴している。 
クォーツは正確な時を刻むから時計向きだったが、ただその仕組みは箪笥より小さくならなかった。 
精工舎はそれを腕時計に入るほど小さくし、世界に特許を公開してやった。
世界は今、味覚も日本に学び、醤油とみりんが最高の調味料と知った。 
そうした積み重ねで世界はいつしか規格は日本が作ると信じ始めた。 
ビデオも世界は日本企業がいいモノを作るのをただ待った。
コンピュータも嶋正利の集積回路のおかげで高速化大容量化が可能になった。 
日本は性のあり方についても先駆けてきた。 
宗教界では「葷酒(くんしゅ)」も山門に入れなかった。
酒と大蒜(にんにく)は修行を妨げるからだ。 
女人はもっと駄目だったが、空海は性の抑圧は酒以上に修行の妨げになると悟った。
それで女人の代わりに稚児を与えた。 
かくて山門で衆道(しゅどう)が開かれ、武士が倣い、町人がそれを文化にした。 
LGBT解放は空海が確立したのに岸田はそれを知らなかった。
どこかの三文大使に踊らされ、LGBTを国家解体の具にした。 
愚かな大使の相手をする暇があるなら日本式ドッジボールを世界に紹介して歩いたほうがいい。 
たった1個のボールで世界の子供たちは知略と勇気と団結を学べる。 
そのうち世界大会も日本式ルールになる。
その日のためにマツコも走ろう。


2024/4/12 in Kyoto


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