文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

長年の反日教育の結果、多くの中国人は日本や日本人に対する極端な憎しみの感情が根強く植え付けられているのだ。

2024年07月04日 20時26分20秒 | 全般

以下は今日の産経新聞に掲載された石平氏の定期連載コラムからである。
日本国民のみならず世界中の人たちが必読。

警戒せよ第二の「義和団の乱」
先月24日、中国・蘇州市内で、日本人母子が刃物で切り付けられ、負傷する事件が発生した。
今のところ、凶行に及んだ犯人の動機などは不明だが、日本人学校のスクールバスを待つ場所で襲撃された状況を見れば、現地の日本人を標的にした計画的な犯行である可能性は否めない。 
27日、一部メディアが報じたところでは、今年4月には同じ蘇州市内の路上で日本人男性が中国人に切り付けられる事件もあった。
蘇州市内で「日本人切り付け事件」が短期間内で2件も起きたとは由々しき事態である。 
さらに問題となるのは、事件に対する中国政府の冷ややかな態度である。
25日、中国外務省の毛寧報道官は記者からの質問に答える形で事件へのコメントを行った。
その中で彼女は「遺憾」と表明したものの、犯行をとがめたり、非難したりすることは一切なく、日本人の被害者に対するお見舞いの言葉もない。
毛報道官は「それが偶発的な事件」だと強調し「このような事件は世界のいかなる国でも起こり得る」とも主張した。 
自国で起きた外国人襲撃事件に対し、一国の政府がとったこのような態度は冷淡というよりも無責任であろう。 
「どこの国でも起こり得る偶発的事件だから騒ぐ必要はない」と言わんばかりである。
これでは中国政府が事件の再発防止に取り組むことは期待できそうもない。 
その一方で、犯行に対する中国政府の生ぬるい態度に鼓舞されたかのように、中国国内のネット上では一時、犯行に対する称賛と支持の声があふれた。
「お見事、よくやってくれた!」「やった人は民族の英雄だ!」「これは、国を挙げてお祝いすべきではないのか」「日本人に言う。中国にはお前らに安全な場所は一つもない」と…。 
これら暴言の一つ一つを見ていると、蘇州での日本人襲撃事件の背後には、より深層的な社会的要因があることに気がつく。
長年の反日教育の結果、多くの中国人は日本や日本人に対する極端な憎しみの感情が根強く植え付けられているのだ。 
近年の経済崩壊に伴って失業者があふれ、国民に不平不満が高まっている中で、多くの中国人たちの行き場のない憤懣(ふんまん)や怨念はハケロを求めて「憎むべき」日本人に向かってしまう。
反米感情の扇動も習近平政権の国内「宣伝工作」のテーマになっているから、不満の矛先がアメリカ人に向けられることもあろう。
実際、先月10日には吉林市でアメリカ人4人が襲撃される事件が起きている。 
今から124年前、内憂外患の清国政府は、爆発しそうな民衆の不平不満を政権からそらしていくために、暴民的な排外主義の「義和団運動」を奨励した。
その結果、外国人宣教師やビジネスマンなどに対する無差別大量殺害というべき「義和団の乱」(1900年)が各地で広がったのである。 
今の中国の政治、経済、社会状況は、清王朝崩壊前のそれと類似している。
こうした中で習政権はいずれ、清王朝政府のまねをして、国内危機転嫁のために「第二の義和団運動」を発動する可能性もないわけではない。 
前述のような「日本人襲撃称賛」の声が検閲の厳しい中国のネット上でいっときに氾濫していたのも、中国政府がそのときにこうした暴論を容認していたからである。
そして、中国共産党政権は今も、義和団の乱を「偉大なる愛国主義運動だ」と高く評価している。 
蘇州で立て続けに起きた日本人襲撃事件や吉林市で起きた米国人襲撃事件は、暴民的な「義和団運動」が中国で再び起きる前兆と見るべきかもしれない。 
中国の日本人やアメリカ人は追っている危険に警戒しなければならない。

 


2024/6/29 in Osaka


最新の画像もっと見る