以下は下記添付の月刊誌Hanadaの巻頭を飾る門田隆将の連載コラムからである。
転がり落ちて行く”道理なき”日本
日本を愛した国際政治家・安倍晋三氏の死から一か月余。
だが、お盆が過ぎても、日本の異常な”統一教会(現・世界平和統一家庭連合)フィーバー”は収まらない。
日本が世界に誇った国際政治家が非業の死を遂げたのに、故人を悼むどころか、罵声を浴びせ続ける現象に「なぜ日本はここまで堕ちてしまったのだろうか」と思えてならない。
暗殺犯・山上徹也(41)の思惑に乗って旧統一教会への批判が巻き起こり、安倍氏が「殺されても仕方なかった」との空気を創り出したマスコミは歴史に大きな汚点を残した。
霊感商法などを念頭に2013年に消費者裁判手続特例法を内閣提出の”閣法”として成立させ、2018年には消費者契約法を改正して霊感商法を”取り消すことのできる契約”とした安倍政権。
もし、マスコミが煽るように安倍氏が統一教会の”支援者”なら、なぜ「霊感商法に決定的な打撃を与える法律」に前向きだったのか誰か説明をして欲しい。 霊感商法の被害件数も被害額も激減させた安倍元首相がそもそもなぜ”シンパ”なのか、理解不能だ。
政治家は、支援者を差別することは許されない。
「思想信条、宗教宗派」での差別はもっての外だ。
つまり、候補者は立正佼成会や生長の家、猖所護念会、霊波之光……等々、どこであろうと頭を下げに行くのである。
マスコミの切り取りの酷さは、旧統一教会“だけ”に関わったかのように印象づけることである。
盛んに喧伝される天宙平和連合(UPF)へのメッセージは、同会の共同組織委員長を潘基文前国連事務総長が務めており、潘氏の要請によってトランプ氏や安倍氏ほか潘氏が事務総長時代の国家首脳がメッセージを寄せた。
これも切り取りせずにきちんと報じればいいだけの話である。
さすがに目に余ったのだろう。
銃撃から約1か月後の8月9日、奈良弁護士会は異例ともいえる痛烈な声明を発表した。
事件発生直後から、銃撃場面の映像がくり返し放映され、山上の供述が極めて大量、かつ速やかに報道され、その供述内容が「あたかも正しい情報である」との前提で”流通している”のである。
この異常な報道姿勢や意図的なリークに抗議の声を上げたのだ。
〈捜査機関が被疑者の供述の一部を恣意的に選別して報道機関に情報提供し、加えて、真実性について何の担保もない捜査情報も同様に広く報道された〉〈報道機関が事件の真実に迫り、報道することは可能な限り憲法上尊重されるぺきことは当然であるが、裁判の公正のために正確な事実に基づく冷静な報道がなされることの重要性について改めて責任ある報道機関の自覚と配慮を求めるものである〉
…これでは公正な裁判員裁判が開けない、との強烈な怒りである。
弁護士会の声明というのは、とかく政治的な思惑が働くのが通り相場だが、さすがに〈真実性について何の担保もない捜査情報〉によって日本中が踊らされていることが許し難かったのだろう。
事件を取材したことがあるジャーナリストなら、犯人が逮捕直後から動機をぺらべらと供述するのは、まず「真の動機を隠したいのではないか」と疑うのが常識だ。
しかし、「政治的な意図はない」「母親が統一教会の信者で寄付によって家庭が目茶苦茶にされた」と話し、前出の潘氏の関係で出したメッセージを「暗殺の理由」とし、マスコミは一斉に安倍氏が「殺されて当然」という一方的な報道に終始したのである。
二つの法律で霊感商法に決定的な打撃を与えた安倍内閣が逆に「統一教会の味方たった」というのだから恐れ入る。
安倍氏暗殺以降、日本は坂道を転がり落ちているのである。
安倍氏が殺害されたのは、世界が注目したであろう台湾での講演の3週間前だった。
2年前に亡くなった故李登輝元総統の命日に合わせ、蔡英文総統のスピーチのあと、安倍氏は台北で演説するはずだった。
そこで何を語り、何を発信するのか。
世界のリーダー安倍晋三氏と蔡英文氏との会談は中国にとって、どうしても回避させたいものだった。
そして安倍氏滞在中にぺロシ米下院議長が合流するかもしれなかったのである。
自由と人権、民主主義を体現する3者の話し合いは、全体主義による自由主義陣営への”力による現状変更”が始まった2022年の流れを止めるものなのか。
私は、その夢が実現しなかったことが何より無念だ。
EEZ(排他的経済水域)ヘミサイルを撃ち込まれても電話抗議のみで、NSC(国家安全保障会議)も開かなかった岸田首相。
中国の壁となる安倍氏がいなくなった日本-マスコミの先導によって転がり落ちていく坂道に立ちはだかるのは果たして誰なのだろうか。
転がり落ちて行く”道理なき”日本
日本を愛した国際政治家・安倍晋三氏の死から一か月余。
だが、お盆が過ぎても、日本の異常な”統一教会(現・世界平和統一家庭連合)フィーバー”は収まらない。
日本が世界に誇った国際政治家が非業の死を遂げたのに、故人を悼むどころか、罵声を浴びせ続ける現象に「なぜ日本はここまで堕ちてしまったのだろうか」と思えてならない。
暗殺犯・山上徹也(41)の思惑に乗って旧統一教会への批判が巻き起こり、安倍氏が「殺されても仕方なかった」との空気を創り出したマスコミは歴史に大きな汚点を残した。
霊感商法などを念頭に2013年に消費者裁判手続特例法を内閣提出の”閣法”として成立させ、2018年には消費者契約法を改正して霊感商法を”取り消すことのできる契約”とした安倍政権。
もし、マスコミが煽るように安倍氏が統一教会の”支援者”なら、なぜ「霊感商法に決定的な打撃を与える法律」に前向きだったのか誰か説明をして欲しい。 霊感商法の被害件数も被害額も激減させた安倍元首相がそもそもなぜ”シンパ”なのか、理解不能だ。
政治家は、支援者を差別することは許されない。
「思想信条、宗教宗派」での差別はもっての外だ。
つまり、候補者は立正佼成会や生長の家、猖所護念会、霊波之光……等々、どこであろうと頭を下げに行くのである。
マスコミの切り取りの酷さは、旧統一教会“だけ”に関わったかのように印象づけることである。
盛んに喧伝される天宙平和連合(UPF)へのメッセージは、同会の共同組織委員長を潘基文前国連事務総長が務めており、潘氏の要請によってトランプ氏や安倍氏ほか潘氏が事務総長時代の国家首脳がメッセージを寄せた。
これも切り取りせずにきちんと報じればいいだけの話である。
さすがに目に余ったのだろう。
銃撃から約1か月後の8月9日、奈良弁護士会は異例ともいえる痛烈な声明を発表した。
事件発生直後から、銃撃場面の映像がくり返し放映され、山上の供述が極めて大量、かつ速やかに報道され、その供述内容が「あたかも正しい情報である」との前提で”流通している”のである。
この異常な報道姿勢や意図的なリークに抗議の声を上げたのだ。
〈捜査機関が被疑者の供述の一部を恣意的に選別して報道機関に情報提供し、加えて、真実性について何の担保もない捜査情報も同様に広く報道された〉〈報道機関が事件の真実に迫り、報道することは可能な限り憲法上尊重されるぺきことは当然であるが、裁判の公正のために正確な事実に基づく冷静な報道がなされることの重要性について改めて責任ある報道機関の自覚と配慮を求めるものである〉
…これでは公正な裁判員裁判が開けない、との強烈な怒りである。
弁護士会の声明というのは、とかく政治的な思惑が働くのが通り相場だが、さすがに〈真実性について何の担保もない捜査情報〉によって日本中が踊らされていることが許し難かったのだろう。
事件を取材したことがあるジャーナリストなら、犯人が逮捕直後から動機をぺらべらと供述するのは、まず「真の動機を隠したいのではないか」と疑うのが常識だ。
しかし、「政治的な意図はない」「母親が統一教会の信者で寄付によって家庭が目茶苦茶にされた」と話し、前出の潘氏の関係で出したメッセージを「暗殺の理由」とし、マスコミは一斉に安倍氏が「殺されて当然」という一方的な報道に終始したのである。
二つの法律で霊感商法に決定的な打撃を与えた安倍内閣が逆に「統一教会の味方たった」というのだから恐れ入る。
安倍氏暗殺以降、日本は坂道を転がり落ちているのである。
安倍氏が殺害されたのは、世界が注目したであろう台湾での講演の3週間前だった。
2年前に亡くなった故李登輝元総統の命日に合わせ、蔡英文総統のスピーチのあと、安倍氏は台北で演説するはずだった。
そこで何を語り、何を発信するのか。
世界のリーダー安倍晋三氏と蔡英文氏との会談は中国にとって、どうしても回避させたいものだった。
そして安倍氏滞在中にぺロシ米下院議長が合流するかもしれなかったのである。
自由と人権、民主主義を体現する3者の話し合いは、全体主義による自由主義陣営への”力による現状変更”が始まった2022年の流れを止めるものなのか。
私は、その夢が実現しなかったことが何より無念だ。
EEZ(排他的経済水域)ヘミサイルを撃ち込まれても電話抗議のみで、NSC(国家安全保障会議)も開かなかった岸田首相。
中国の壁となる安倍氏がいなくなった日本-マスコミの先導によって転がり落ちていく坂道に立ちはだかるのは果たして誰なのだろうか。
