月刊誌Will今月号には元財務官僚高橋洋一の「天下りキング前川氏と朝日報道」、「天下り事件」の主謀者だった前川を正義の代弁者にしてどうする!と題した、3段組み11ページに渡る論文が掲載されている。
日本国民全員が購読して読まなければならない論文である。
何が規制改革されたか
前文部科学省事務次官の前川喜平さんは、安倍首相のことを「行政を歪めた」として、大批判しています。
そもそも「歪めた」という主張は、何を対象にしているのか。
この根本がわからないと、加計学園問題の本質はまったく見えてきません。
マスコミも含めて多くの人たちは「文科省の行う大学設置認可が総理の意向で歪められた」と思っています。
また、安倍首相の介入は「行き過ぎている」とコメントする識者も多くみられます。
ところが、事実はそうではありません。
私からすれば、実態は非常に明瞭簡潔な話なのです。
規制改革は、二〇〇三年三月三十一日に公布された「文部科学省告示」(第四十五号)を対象にしています(「告示」とは省令と同レベルのもの。それぞれの省庁から出せる)。
では、問題の告示ですが、内容をよく読むと、「獣医学部・医学部・歯学部などの設置認可を申請してはいけない」(傍点筆者)と書かれている。
驚くべきことではありませんか。
通常、大学で新しく学部を新設しようと思ったら、文科省に申請し、それを文科省が受けつけて、認可するかしないかを判断します。
結果的に「申請は受けつけます。ただし、○○の理由で認可しません」となったら致し方ない。
ところが、文科省は「申請してはいけない」と告示をしている。
果たして文科省がここまでの権限をもつことは許されるのでしょうか。
行政法の常識からすれば、あり得ないことなのです。
「文科省告示」(第四十五号)は、公布された直後から、役人の問で話題になっていました。
文科省の審議会である中教審でも「これはひどい」という声が上がるほどだった。
しかし、文科省は周囲からいくら批判されようが、この規制を守り続けてきたのです。
告示を盾にして、学部新設を認めなかった。
というか、正確に言えば、学部新設の申請をしてはいけないと大学に言い続けてきたのです。
この告示が発表される二〇〇三年以前は、三十五年間、新設を認めてきませんでした。
これは“行政指導”だったのです。
何とか、学部新設をしたいと考えている側からすれば、この告示こそがとんでもない「岩盤規制」だったわけです。
告示を早急に廃止し、「申請することができる」状況にしたいと思うのは当然でしょう。
この稿続く。