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露朝首脳会談…韓国…「半島有事」露の介入を懸念、米国…「枢軸演出」狡猾プーチン氏

2024年07月01日 11時29分47秒 | 全般

以下は今日の産経新聞、世界の論点からである。
露朝首脳会談と題して、韓国と米国の新聞論調を紹介している。

「半島有事」露の介入を懸念
韓国
韓国メディアは、露朝が首脳会談で締結した新条約で、事実上の同盟関係を復活したとみて危機感を強めている。
朝鮮半島有事にロシアが介入する懸念が背景にある。 
新条約「包括的戦略パートナーシップ条約」は第4条で、一方の国が戦争状態に陥った場合「遅滞なく保有するすべての手段で軍事その他の援助を提供する」と規定した。
これは冷戦期の1961年に北朝鮮と旧ソ連の閧で結ばれた友好協力相互援助条約の「自動軍事介入」条項とほぽ同じ文言だ。 
東亜日報(電子版)は6月20日の社説で、新条約は「自動軍事介入」と解釈できる内容から、96年に失効した旧条約の同盟が28年ぶりに復活したとの分析があると言及し、「韓米相互防衛条約の水準を超える同盟関係を約束したも同然」と断じた。
新条約により露朝が軍事協力を具体化し、反米・反西側同盟を掲げた共同訓練などを行う可能性を指摘。
ウクライナ戦争への北朝鮮の派兵や、朝鮮半島有事にロシアが介入する可能性も排除できないと危惧した。 
朝鮮日報(電子版)は22日の社説で、ロシアが北朝鮮と「自動軍事介入」を含む条約を結び、軍事技術協力に言及したのは、韓国政府がウクライナ戦争で殺傷武器を送らない方針を取ってきた配慮に対する「裏切り行為」と激しく非難した。 
同紙は、北朝鮮が核を保有し、プーチン氏が核ドクトリンの変更を検討する情勢下で、「核を持つ独裁者たちが、核のない韓国を脅している」とも主張。
従来の核拡散防止政策では対応できない事態として、「米国も(韓国との)核共有カードを俎上に載せるときだ」と論じた。 
一方、プーチン氏は同盟に言及せず、北朝鮮が「同盟関係」を強調して新条約を一方的に公表する微妙な温度差もある。
ハンギョレ新聞(電子版)は20日、「包括的戦略パートナーシップ条約」という名称は同盟より一段階下がるものの、北朝鮮が強く要求する軍事同盟の内容が盛り込まれたと指摘。
金氏が条約公開を急いだのは、「明確に軍事同盟的性格があると既成事実化する」狙いとの専門家の分析を紹介した。
中央日報(電子版)は21日の社説で、「露朝軍事同盟」復活で、韓国は北朝鮮の後ろ盾だった中国との関係が重要になったと論じた。
米ニクソン政権が中ソ対立の中で中国に接近し緊張緩和につなげた歴史を挙げ、露朝から中国を離間する機会にできると主張。
韓中首脳会談や自由貿易協定(FTA)交渉での関係強化を求めた。
(石川有紀)

「枢軸演出」狡猾プーチン氏
米国
露朝の動きを米メディアは、中国やイランを含む現状変更勢力が結託する「枢軸化」と警戒し、日米韓、欧州の同盟諸国の連携強化で対峙(たいじ)すべきだと訴えている。  
ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は6月19日の社説で、「『権威主義国家の枢軸』が米国とその同盟諸国に対抗して世界中で協力」している様子が改めて浮き彫りになった」と分析した。 同紙は中露、イラン、北朝鮮、キューバ、ベネズエラなどには、米主導の世界秩序に混乱を生じさせる「共通の利益がある」と指摘。
オバマ元大統領らの国際協調派が抱く「枢軸が消えてなくなるという幻想」、トランプ前大統領を支持する孤立主義者が持つ「米国が米州に引きこもれば、彼らが邪悪な野心を捨てるという幻想」をそれぞれ放棄すべきだと説いた。
敵対的な枢軸が台頭した背景として、近年の米国の指導力が「弱まり、後退した」との認識が広がったことを指摘。
米国がさらに弱腰となれば枢軸諸国が一層攻撃的になる危険性に警鐘を鳴らした。 
ワシントン・ポストの外交コラムニスト、マックス・ブート氏は20日の同紙コラムで、枢軸国間の「摩擦や競争を見逃すべきではない」と指摘。
露朝の急接近は「中国の北朝鮮への影響力を弱める」もので「北京は大喜びできるものではない」と喝破した。 
米国がそうした枢軸国間の「不一致」を利用する外交的余地はある。
だが、朝鮮半島の安定を重視する習近平国家主席の心中が穏やかでないことを「プーチン氏はすべて頭の中に入れていた」と22日のニューヨーク・タイムズの解説記事は分析している。 
プーチン氏が金氏との絆を強めた狙いは米国に恐れを抱かせるだけではなく、「プーチン氏が習氏に抱く不満」を伝える思惑があったという。 
不満とは、ウクライナ侵略を続けるロシアに北朝鮮やイランが行っているような直接の軍事支援を中国が見送っていることを指すとみられる。
同紙は21日の解説記事で、ロシアは「衰退する大国」であっても「なお手ごわい破壊力を持つ大国」との元外交官の警告を紹介している。 
プーチン氏が主導する「悪の枢軸」に対し、前述のブート氏は日韓やフィリピンなどアジアの同盟国に北大西洋条約機構(NATO)加盟国も加えた結束を訴えた。 
だが、WSJは26日、選挙を控えたバイデン大統領には石油価格を安定させたい事情があり、産油国のロシアやイラン、ベネズエラヘの制裁が「予想以上に甘くなっている」と報じた。
バイデン氏も足元を見られているのか。  
(ワシントン 渡辺浩生)


2024/6/29 in Osaka


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