以下は前章の続きである。
変われない朝日
木佐
歪んだ人格が形成された朝日新聞-その結果は報道機関として惨憺たるものです。
『読売VS朝日 社説対決50年』(読売新聞論説委員会編、井沢元彦解説〈中公新書ラクレ〉)という、読売新聞と朝日新聞の過去の社説を31本比較した本があるんです。
読んでみると、古巣を持ち上げるわけではありませんが、読売の29勝で朝日はゼロ勝、引き分けが二つでした。
長谷川
そうでしょうね。
木佐
たとえば、古くは講和条約について。
西側諸国との多数講和を打ち出した読売に対し、朝日は共産圏も加えた全面講和を訴えました。
どちらが正しかったかは、今日の世界に目をやれば火を見るよりも明らかです。
1992年のPKO(国連平和維持活動)派遣についてもそう。
朝日は大反対していましたが、朝日を含めて、今ではPKOに反対している新聞はない。
長谷川
ことごとく「正解」の逆に行っている。
木佐
本の冒頭で読売論説委員長の朝倉敏夫氏が講和条約に関しこう書いています。
〈「朝日新聞の主張の根底には、社会主義国は本質的に侵略とは無縁であるとする「社会主義平和勢力論」が暗黙の前提としてあってのことではないかと思われる。これに対し読売新聞は、社会主義国の実態は一党独裁の専制恐怖支配体制であり、社会主義国の直接・間接の侵略から自由と民主主義という西側陣営共通の価値観を守らなくてはならない、というのが精神的基調だった。つまりは、世界の実像に関する認識が異なっていた、ということである〉
長谷川
「自分たちは思想的に根本から間違いがあった」と覚らないと、堕ちていく一方でしょう。
木佐
だから今も朝日は堕ち続けています。
最近はインターネットの普及によって、これまで語られることのなかった事実を多くの人が知るようになったでしょう。
でも、朝日新聞はその事実を認められない。
朝日新聞は今年の夏に4回くらい「フェイクニュース」についての特集を組んで「ネットメディアにはフェイクニュースが多いから気を付けよう」という側面でしか語ることができませんでした。
長谷川
またもや「我々が正しい」というわけですか。
自己愛は克服できない。
この稿続く。