『中国の旅』の舞台裏
石川 ところで、たとえば本多勝一さんや秋岡さんはどういう記者だったんですか。
稲垣 本多勝一氏の『中国の旅』を例に挙げると、あれは、広岡社長命で後藤基夫編集局長を使った周恩来独占会見と連動している。このやり方は、やはり後藤編集局長の金日成独占会見のときにと同じやり方よね。これは、宮田浩人という朝鮮総連べったりの記者によるものでしたが、会見取材に合わせて連載をやって「北朝鮮では学費は要らない、全部ただだ」と、ベタベタに賛美するんだよね。
本郷 本多氏の場合は『カナダエスキモー』などの、要するに゛冒険ダン吉″で確立された名声が利用されたんだな。面白い作品を作らせたのは名物社会部長だった田代喜久雄氏(のち編集担当・テレビ朝日社長)ですよ。それを広岡一派がうまく使って、日中に使ったというわけですよ。でも、もともと゛冒険ダン吉″だから、政治や思想のことなんか何もわかりはしないのです。
稲垣 向こうが言ったことをそのまま書くわけだからね。
本郷 それは自分でも言っているよ。「僕は聞いたまま書いただけなんだ」と。
稲垣 『中国の旅』が始まると、当時はまだ旧満州の関係者が生きていたから、猛烈な抗議がきた。「これは全然、事実とは違う」というわけです。撫順炭鉱で死んだ中国人を万人坑に投げ込んだと書いてあるが、撫順炭鉱は露天掘りで普通の炭鉱とは違う。事故なんて起こるはずがないじゃないかという抗議がきた。
本郷 平頂山事件にしても、私のはるか先輩で、満鉄社員の息子だった人が、「これウソだ」と社内でも言っていたし、「これは違っている」と、OBが大勢、会社に抗議に来たが、それを…。
稲垣 全部門前払いしたんだよね。本多氏自身は私は中国の言うことをそのまま書いただけだから、文句があるなら中国に言ってくれと、こういう言い草をしていた。私はそれを聞いてびっくり仰天したけどな。
本郷 いや、それは方便であって、実態はプロパガンダに自ら加担したんでしょう。それがプロパガンダであることは社内でも多くの人がわかっていたじゃない。罪深いですよ。こういう抗議が来ているという情報は、社内でさえ全部抑えたし、OBからの疑問にも同じ態度ですよ。
さっき私は朝日の一つの特徴に無謬主義を挙げたけれど、もう一つ、「ぬるま湯体質」を挙げたい。それは、朝日にじっとしていると、月給はいいし、少しずつ地位も上がっていくわけです。そこで、会社を飛び出るのを覚悟で喧嘩するなんて、馬鹿じゃないのかという空気が生まれていくんですよ。もともと、みんな平和主義の優等生だしね。
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