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文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

この辺に興味を持たないトランプ政権になっても、なお駐留を続ける理由は新興支那がここを狙い出したからだ。

2019年05月15日 07時58分43秒 | 日記

最初はインドが取りに行ったが失敗した。アフガン中央部を走る山脈の名ヒンズークシュがその歴史を語っている。地元の民の使うダリ語で、意味はインド人殺し、と題して2019-02-15に発信した章を再発信する
以下は戦後の世界で唯一無二のジャーナリストである高山正之が週刊新潮に連載している名物コラムの今週号からである。
朝鮮放置論
アフガンはアジアの中心にあって最も高い位置を占める。 
ここを取ればロシアも中東もインドも支那も見下ろせる。
その気になれば攻め滅ぼせる。 
欧州で言えばスイスも同じような位置にある。 
強国がそこを取ると周辺諸国の安全が脅かされる。
それであそこを永世中立国にして軍事同盟も結ばせないようにした。 
アフガンはそんな取り決めはない。
覇権を取りたい国が何度も征服に出た。 
最初はインドが取りに行ったが失敗した。 
アフガン中央部を走る山脈の名ヒンズークシュがその歴史を語っている。
地元の民の使うダリ語で、意味はインド人殺し。 
次にロシアと英国が征服を競った。
グレート・ゲームと呼ばれた。 
勝ったのは英国だった。
ただカブールは取ったものの、あの国は平たく言えば野盗の国だ。
パシュトウンにタジク、トルクメン、ハザラたちが割拠して互いにやったりやられたり。
新参の英軍も隙を見せれば襲われ殺された。 
英国はアフガン支配を諦め、1842年1月、英軍将兵とその家族や娼婦ら1万5000人が雪のカブールから脱出した。 
しかしジャララバードまでたどり着いたのは医師ウィリアム・ブライドンただ一人だった。
コナン・ドイルがワトソン君のモデルにした人物だ。 
惨敗の理由はインド兵が寒さに弱過ぎたこと。 
英軍はインド兵に代えてヒマラヤ育ちのグルカ兵を起用して再度挑んだ。 
第一次大戦後も含め3度試みたが、野盗の群れは支配できなかった。
次にブレジネフのソ連が出た。
共産党政権をそれで立て直すつもりだったが野盗に加えて米国が養成したアルカイダは強かった。 
ソ連軍が潰れ、ついでにソ連邦も崩壊してしまった。 
そして今回、米国が出た。
あの辺の覇権よりも9.11をやったアルカイダを退治するためだった。 
10年かけて首魁のビン・ラディンを仕留めたが米軍は居残った。
今年で18年目を迎え、米軍の戦死者は7000を超えた。 
この辺に興味を持たないトランプ政権になっても、なお駐留を続ける理由は新興支那がここを狙い出したからだ。 
しかしファーウェイやら関税やらで支那を抑え込める自信ができたのか、米政府は年内にも1万4000の駐留米兵を半減すると言っている。 
大体アフガンは国の歴史を見ても内部で部族同士ががやがややっているだけで、部族が団結して周辺国家を侵攻した例はない。 
ただ外部が少しでも干渉すれば各部族が飽きず抵抗してくる。 
放っておけば彼らは羊を追い、阿片を売り、迷い込んだ外国人を襲うぐらいで大きな害はない。 
米政府もそう見ていて地元の最大勢カタリバンとの撤退交渉ではアルカイダなど外部勢力と縁を切ることを条件に挙げている。 
平たく言えばアフガンのスイス化を図っている。 
実はこのアフガン処理はそのまま朝鮮にも通じるという見方がある。
日本にはあの半島は要衝に見える。
どこか強国が取れば日本が危ない。
それで日清、日露戦争を戦った。 
支那にしても豆満江まで西側の自由圏文化が押し寄せれば具合が悪い。 
ロシアも北朝鮮に米軍基地ができたら北方四島どころの騒ぎではなくなる。 
周りの国の思惑があって今の分断国家がちょうどいい落し処になっていた。 
しかし朝鮮の歴史を見ればいつも二つか三つに分裂してはがやがややってきた。
アフガンと同じ。 
それに「四夷八蛮が中原を取ったのに千年属領のまま」(林白湖)という情けない国だ。
団結して外に打って出た例もない。 
だから北朝鮮の核を外したあとは周辺諸国が話し合い、あの半島から一切手を引いてみたらどうか。 
金正恩と文在寅には「みんなが東洋のスイスになるのを望んでいる」と言う。 
結構、見栄っ張りだ。
喜んでOKすると思うが。


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