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ユーロ離脱は困難…日経新聞11月3日3面より

2011年11月03日 14時50分47秒 | 日記
条約に規定なし EU脱退はリスク大きく

欧州連合(EU)に巨額の債務削減を約束してもらいながら、ギリシヤ政府は支援策やその条件となる財政緊縮策の是非について国民投票を実施すると表明した。ただ投票でギリシヤ国民が支援を拒否しユーロ圏からの離脱を望んでも、実現は極めて難しい。

ユーロ圏から離脱して独自通貨ドラクマを復活させた場合、ギリシヤは「自国通貨の切り下げ」という景気テコ入れの手段を獲得することになる。しかしEUの基本条約「リスボン条約」は、参加国がユーロ圏から脱退するためのルールを定めていない。

ただし同条約の第50条にはEUから脱退する規定があるので、ギリシヤがユーロ圏から離脱しようとすればEUから脱退するしかない。ヒト・モノ・カネ・サービスの移動が自由なEUという市場の恩恵を享受できなくなる覚悟が必要だ。

ギリシャ以外のユーロ導入国がギリシャを追放することも不可能。同条約50条はあくまで「加盟国がEU脱退を決定できる」という内容で、自発的な脱退規定だ。他の加盟国が一部の加盟国を強制的に脱退させられる条文は存在しない。

ギリシャがEU・ユーロ圏から自発的に離脱し、独自通貨ドラクマを復活させた場合、巨額の債務に苦しみ続ける公算が大きい。

2011年に国内総生産(GDP)比で160%という巨額の債務はユーロ建て。新通貨ドラクマと通貨ユーロの交換比率にもよるが、同国の経済の実力を踏まえればドラクマ建ての債務が一気に3~4倍に膨らみかねない。

EUという後ろ盾がなくなれば、デフォルト(債務不履行)は時間の問題。債権国と長期にわたる債務削減交渉を余儀なくされそうだ。(ブリュッセル=瀬能繁)

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