文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

しかし、バイデン氏は、いまだに日本、そしてインド太平洋に関する新政権の方針を明確にしていない。

2021年02月02日 11時05分22秒 | 全般
以下は昨日発売された月刊誌「正論」3月号、米国新政権とのつきあい方、と題した特集に掲載された、インド政策研究センター教授グラーマ・チェラニーの論文からである。
朝日新聞等の新聞メディア、NHK等のテレビメディアで生計を立てている人間達、これらに準拠して生計を立てている学者や作家等の人間達、野党の政治屋として生計を立てている人間達、中国に靡いている経済人達は刮目して読まなければならない。
見出し以外の文中強調と*~*の文章は私。
アジア安定のため日本に変革求める
日本はインド太平洋地域の平和と安全保障の中核をなす。
78の米軍施設・区域があり、どこよりも多くの米軍を受け入れていることからも、日本は米国のインド太平洋戦略に極めて重要な存在である。 
米国のジョー・バイデン新大統領が直面する最大の外交課題は、世界の経済・地政学の中心であるインド太平洋地域と関係する。
拡張主義中国は、領土・海洋修正主義と経済力、軍事力を高圧的に使ってインド太平洋に極度の不安定さと緊張をもたらしている。 
インド太平洋において安定した力関係を中心とした新たな戦略的バランスの構築は不可欠である。
そのためには、戦略的協力関係でつながった、同じ考えを持つ国々の集合が重要となる。
それが、安倍晋三首相が2016年に提唱した「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の概念であり、ドナルド・トランプ氏が大統領になると米国のインド太平洋戦略の基礎となった。 
しかし、バイデン氏は、いまだに日本、そしてインド太平洋に関する新政権の方針を明確にしていない。
FOIP戦略を新たな政策に置き換えるような兆候もある。
新政権が採用するFOIP戦略と対日政策はバイデン氏にとって最も重要な外交政策の決定事項になるだろう。 
日米関係は今後も緊密であり続けるだろうが、バイデン氏の対中、インド太平洋政策は日本の安全保障に重要な影響を及ぼす。
中国に関して、バイデン氏はこれまでのところ、驚くほど戦略的明快さを欠いている。
2019年に大統領選運動を始めた後、彼は「中国が我々のランチを食べてしまうって? 冗談だろ、だって中国人は悪人じゃないんだ。中国人は我々と競っているわけではないんだから」と述べ、戦略的甘さを露呈して多くの人をあぜんとさせた。
そして、発言に対する否定的な反応が、バイデン氏に発言撤回と中国の脅威を認めさせるに至った。 
まったく対照的に、バイデン氏の前任者であるトランプ氏は、2016年の大統領選期間中、中国との関係を根本的に変えると誓った。
大統領に就任すると早々に、ニクソンからオバマまで歴代大統領が採ってきた中国の台頭を支えてきたアプローチを放棄した。
前任者の中国への「建設的関与」に代わって、中国を「修正主義勢力」「戦略的競争相手」、そして主たる敵に位置づけた。 
*いかに愚劣の極みであるニューヨーク・タイムズやワシントンン・ポストであっても、今や、修正主義勢力とは安倍晋三ではなく中国である事に気づいているだろう。
高山正之や阿比留瑠偉が知らせてくれる朝日新聞の報道を見れば、彼らも朝日と同様に完璧に中国の工作下にあるのかもしれないが。
もし、そうだとすれば、米国が武漢ウイルスの被害最大国になっているのは、NYTやWP達やジョー・バイデン及び民主党の政治屋達や米国経済界、ハリウッド等の、これまでの中国に対する態様の結果であって、自業自得であるともいえるのだから*
トランプ氏が中国に対峙する姿勢こそ、なぜ彼が欧州や米国と違って日本やオーストラリア、台湾、インド、香港、ベトナム、インドネシア、ミャンマー、韓国などのインド太平洋地域で人気が高かったかを説明している。
あるアナリストによると、多くのアジア人はトランプ氏に「粗暴ではあるが独裁に対峙する自由社会の強い指導者」の姿を見たという。
中国人さえトランプ氏を評価する。 
だが、トランプ氏が大統領に就任し米国の対中政策のパラダイムシフトを計画する頃には、中国はすでに米国にとってもっとも手ごわい敵、そしてアジアの隣人たちにとって重大な脅威となっていた。
中国の台頭を支えたことは、1930年代以降、米国の外交政策にとって「最大」の失敗だったと、トランプ大統領の補佐官、ロバートーオブライェン氏は指摘する。
こんな失敗がどうして起こったのか。
「我々は目と耳をふさいで、信じたいことだけを信じていた」と彼は昨年、率直に語った。 
2019年にトランプ氏は、米国が「怪物を作り出した」と失敗を認めたが、怪物は米国だけでなく同盟国やパートナーをも悩ませる。
アジア諸国は、堂々と国際社会の規範を無視する膨張主義・中国の台頭の矢面に立たされているからだ。 
バイデン氏が政権を引き継いだ時、米国は中国との貿易摩擦、技術対立、地政学的な闘いでがんじがらめになっており、二大経済大国による戦略とイデオロギー対立は世界の地政学を新たに形作りつつある。
実際、トランプ政権が、中国共産党を国際社会の平和と安全保障、そして中国の人々の幸福に対する主な脅威と定義づけたことは、中国の体制転換への支持を示唆するものだった。 
トランプ政権のすべての言動の中で、中国指導部を深く傷つけたことの一つは、中国が政治的正統性、または法の支配のない共産党によって統治されている略奪国家である、との執拗な攻撃だった。
容赦ないイデオロギー攻撃は、体制転換こそ中国を国際的な規範や法に従わせるために不可欠であることを示していた。
また、香港の民主活動家らの逮捕やウイグル人弾圧、南シナ海での攻撃的な姿勢を理由とした米国の対中制裁は習氏の権力掌握を難しくしている。
共産党幹部やその家族に対する制裁と査証発給制限は、西側での蓄財や子弟の学校入学を含め、幹部の利権を危うくすることから共産党内部の混乱を生む恐れがある。 
ところが、トランプ政権が国際的な対中民主主義包囲網を構築しようとしたところで、トランプ氏は大統領選で敗北した。
この稿続く。
 

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