文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

共産主義の考える理想の社会を実現するためには、どうしても非人間的にならざるを得なくなり、歪んだ感情を引き起こしてしまうのではありませんか

2020年06月25日 14時09分24秒 | 全般

以下は前章の続きである。

非人間的な共産主義

石平 鳥の世界のほうが、中国共産党政権より何十倍も〝人間的〟(笑)。毛沢東時代、農民たちの土地はすべて奪われ、人民公社の管理下に置かれます。だから、収穫物は自分たちのものにならず、最低限の食料だけが配分される。そういう管理下に置かれると、国民たちは徐々に政府に依存し始め、配給のときは感謝の意を示します。

竹内 マインド・コントロールされるのですね。一方で、毛沢東は贅沢三昧だったとか。

石平 それこそ酒池肉林です。毛沢東のために1週間の献立をつくる食事チームがあって、ある日は西洋料理のフルコース、別の日は満漢全席と日替わりです。そうやって贅沢する一方で、毛沢東は国民に向けて「むやみに食べる必要はない。繁忙期によく食べ、閑散期はお粥で凌げ」と言っている。しかも、毛沢東は食欲だけではなく、性欲すら統制しました。毛沢東時代、中国国民は実に禁欲的な生活を強いられていました。
 でも、国民が幸せを感じる瞬間が1年に1回あった。それが建国記念日(10月1日)です。なぜかと言えば、その前日、1世帯につき500グラムの豚肉が配給された。さらに、それと同時に30名の犯罪人の公開処刑を実施したのです。

竹内 ええ!?

石平 罪名は問いません。友人の父親は公安局に勤めていましたが、建国記念日の1週間前になるとにわかに忙しくなる。30名の銃殺者を揃えるために奔走するからです。処刑当日、1人ずつトラックに乗せられ、数時間にわたって市中を引き回します。残酷な話ですが、公開処刑を見たくて子供たちはワクワクしっぱなし。まるでサーカスが街にやってきたような感じです。

竹内 豚肉と一緒でプレゼントなんだ。でも、自分たちもいつか同じ目にあうとは思わないのですか。

石平 いや、むしろ「共産党には絶対に反抗しない」という気持ちのほうが強まる。

竹内 そういう話を聞くと共産主義の恐ろしさを実感します。共産主義は自然発生的なものではなく、マルクスという一個人の頭の中で観念的に生み出された思想です。共産主義の考える理想の社会を実現するためには、どうしても非人間的にならざるを得なくなり、歪んだ感情を引き起こしてしまうのではありませんか。

石平 おっしゃる通り。人間的な生き方を無視して無理矢理な支配装置をつくり上げてしまう。先ほど話した人民公社がまさにそう。かつての中国の農村は、その中で一つの共同体をつくり、相互扶助していた。ところが、人民公社によって、そういった伝統的な社会はすべて収奪・破壊されました。人民公社にいじめ抜かれた農民たちは、どんどん残酷になっていき、怒りの矛先は地主階級に向かっていく。

竹内 都市部も変わりませんか。

石平 知識人階級も地主と同じ目にあいました。しかも農村社会に追われ、農民たちよりも下の立場に追いやられたのです。農民たちはそういった知識人もイジメの対象にしました。文革が始まると、次の対象者は共産党幹部です。

竹内 際限がありません。共産主義者は「貧富のない社会」「平等」を口にします。でも、その「平等」の本質は一体何かと言えば、異性にモテない男子に平等に女を回せ、という意味ではないかと私は思うんです。中国共産党政権の歴代最高指導者の顔を見ても、どう考えてもモテるタイプが少ない。むしろ、そういうタイプだからこそ、共産主義に惹かれたのではないかと。
この稿続く。

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