文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

対中抑止に全力傾けよ

2022年01月04日 13時22分11秒 | 全般

今日の産経新聞の主張から
中国や北朝鮮などの脅威から平和と繁栄を守り抜くための行動が、日本の政治に求められる一年となるだろう。
今年は、台湾海峡や東・南シナ海で傍若無人な振る舞いを続けてきた中国の習近平政権に、乏しいながらも自制心を持たせてきた、北京五輪と中国共産党大会というリミッターが外れる年である。
習国家主席は、2、3月に行われる北京五輪・パラリンピックの成功に威信をかけている。5年毎の中国共産党大会が今秋開かれ、党総書記の3期目入りを果たす算段だ。異例の続投とながるが、その大義名分は自身が掲げる「中国の夢」の実現で、台湾併呑がターゲットになるだろう。 
台湾の重要性の認識を 
中国による台湾への軍事的威嚇は増大している。
軍用機の台湾防空識別圈への進入や揚陸艦による台湾上陸演習などである。 
デービッドソン米インド太平洋軍司令官(当時)は昨年3月、上院公聴会で中国が6年以内に台湾に侵攻する可能性に言及 した。日米両国は「台湾海峡の平和と安定の重要性」を強調して中国を牽制するようになった。
安倍晋三元首相は昨年12月、「台湾有事は日本有事であり、日米同盟の有事に等しい」と警鐘を鳴らした。
台湾のすぐそばに先島諸島など沖縄の島々がある。
台湾有事になれば日本の島と海と空が戦域に含まれる可能性は極めて高い。
台湾の自由と民主主義はそれ自体尊重されるべき価値だ。
さらに、台湾が中国共産党政権の手に落ちた場合の、日本の平和と繁栄への深刻な影響を想起したい。
中国軍基地が台湾にできれば地域の軍事バランスは中国有利に傾く。日本は西太平洋地域で孤立し軍事的、外交的に中国から一層圧迫される。
尖閣諸島を含む沖縄の守りは困難を極める。
台湾東岸から、核搭載の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を積んだ中国の戦略原潜が直接太平洋に進出するようになる。米本土は脆弱となり、米国が日本にさしかけた「核の傘」の弱体化を招く。
戦後日本の防衛と繁栄の基盤である日米安全保障体制の根幹が揺らぎかねない。
日本は外交防衛分野で今まで以上の努力を払い、習政権の暴発を押しとどめなくてはならない。
岸田文雄政権は、菅義偉前政権から「台湾海峡の平和と安定の重要性」の追求を引き継いだ。
国家安全保障戦略、防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画の12月改定に向けた作業に入った。
岸田首相は敵基地攻撃能力の保有も含め、あらゆる選択肢を排除せずに検討していく考えを表明している。
敵基地攻撃能力の保有は、好戦性の表れではない。
日本への攻撃を抑止する上で欠かせない。
中国や北朝鮮は極超音速兵器や変則軌道の弾道ミサイルを開発しており、ミサイル防衛による迎撃だけでは対処できないのだ。 
文書改定では足りない 
敵基地攻撃能力保有や経済安全保障、台湾の重要性を国家安保戦略に盛り込むのは当然である。
指摘したいのは、戦略文書改定だけでは足りないということだ。
防衛力充実へ相応の予算を確保する決断とセットでなければ、立派な文書を作っても絵にかいたモチになるだけだ。
防衛大綱も中期防も、経済成長率が高かった時代に始まった防衛費抑制の仕掛けだ。
安保情勢が急激に変わる今の時代に、10年間(大綱)や5年間(中期防)にわたって防衛費や防衛力整備を縛るのは非常に危うい。
防衛省は「防衛力強化加速パッーケージ」と銘打って、令和3年度補正予算と4年度予算案を一体として編成した。総額は6兆1744億円で、前年度比7・8%増となったことは評価できる。
だが、それでも国内総生産(GDP)比1・09%にすぎず、他の先進民主主義国の防衛予算と比べ格段に小さい割合だ。4年度予算案(5兆4005億円)自体の伸び率も前年度当初比で1・1%増にとどまる。
5年度防衛予算の編成作業は、年末の戦略文書改定に先立って進められる。夏の概算要求で微増を前提に予算を準備するようでは、増大する中国の脅威に対し、日本が同盟国米国や友好国と連携して抑止していくことは難しい。
岸田首相は思い切った防衛費増額を早期に決断し、財務、防衛両省に指示してもらいたい。


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