文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

成績の悪い学生が医師になるのだ。だから、中国では現在も医者は軽んじられる存在である。

2021年06月24日 22時48分05秒 | 全般

医師はもっと極端な比較文化のシンボルになる。たとえば日本と台湾では、通常、成績がいい学生が大学の医学部へ進むが、中華の世界ではまったく逆である。
2020-02-14にgooから発信した章である。
以前にも言及したが、黄文雄さんは世界有数の中国通の学者である。
以下の章には大半の日本人が全く知らなかった驚愕の事実が明らかにされている。*~*と文中強調は私。
儒教国家と仏教国家の違い 
近年、「価値の共有」が日本の対外政策としてよく語られている。
この「価値の共有」とは、「力ではなく、法による」統治、そして「独裁専制」ではなく、「自由民主」といった制度や国体、政体で共通する国同士でつながっていこうという姿勢を意味するものだと思われる。 
人間は「衣・食・住」などの生活様式(スタイル)をメインとして、それぞれの文化風土からメンタリティやビヘイビアも異なってくる。 
同じ中華の世界でも、古代孔子以前の春秋までには礼、芸、術(算術)などもあった。
しかし儒教によって「文章が経国の大事」にされてから、詩、詞、文を重んじる気風となり、歌、舞はますます蔑まれ、歌手、舞い子のみならず医術を扱う医者に至るまでが最低の人間とされるようになった。 
ことに宋の時代から役人登用に「科挙」が全面施行されるようになると、読書人のみが任官の可能性を得て、音楽や舞がすたれ、文字・文章が重んじられるので、社会の価値観まで変わった。 
音楽家、歌手、俳優がスターになったのは、テレビの時代からである。
医師はもっと極端な比較文化のシンボルになる。
たとえば日本と台湾では、通常、成績がいい学生が大学の医学部へ進むが、中華の世界ではまったく逆である。
成績の悪い学生が医師になるのだ。
だから、中国では現在も医者は軽んじられる存在である。 
たとえば、中国では医者に対する患者の暴力行為が頻発しており、「医閙(イナオ)」「医傷」などと呼ばれている。
*私は、この箇所を読んで、先年、在日中国人の、おばさんが、突然、かかりつけのお医者さんに切りかかったという事件を思い出した。当時は、中国人というのは何という人種だと思っただけだった。この中国の実態をNHKは、ただの一言も報道したことはない。*
その件数は年間数万件にも及ぶため、中国政府は2018年に、毎年8月19日を「中国医師の日」にすることを定め、医者を尊重するよう呼びかけているほどだ。 
また、2012年の調査によると、臨床医の初任給は1ヵ月あたり平均2339元であるが、中国の新卒の平均的な初任給は1ヵ月あたり3051元であり、医師と看護師がもっとも低水準である(「中国網」2013年10月8日付)。 
儒教や道教は、きわめて世俗的で、あくまで現世利益を求める。
だから、道教では不老長寿や昇仙術を求めるのだ。
中国人とは「俗」の民族である。 
インドから中国に仏教が伝わり、流行した時代もあった。
だが、現在の中国において、仏教はほとんど信仰されていない。 
六朝時代の数百年間には、インドから伝わった仏教が中国に大きな影響を与えたものの、その後に起こった「三武一宗の廃仏」によって、中国の仏教は絶滅に近い状態となったのだ。 

後略

 


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