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文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

日本の経済は、トヨタをはじめとする自動車産業によってその屋台骨を支えられているといっても過言ではありません

2021年03月28日 16時19分47秒 | 全般

以下は発売中の月刊誌Hanadaに、小泉進次郎がEV推進で日本を滅ぼす、と題して掲載された、加藤康子さんの論文からである。
毎月言及する事だが、月刊誌WiLL、Hanada、正論は日本国民のみならず、世界中の人たちが必読の本物の論文が満載されている。
本論文は、その事を見事に証明している。
加藤康子さんは最澄が定義した国宝の一人である。
日本国民は最寄りの書店に購読に向かわなければならない。
世界中の人達には、出来るだけ、私が知らせる。
「脱炭素」という経済戦争 
昨年10月26日、菅義偉総理は所信表明演説で、国内の温室効果ガスの排出を2050年までに「実質ゼロとする方針を表明。
この「2050年カーボンニュートラル(炭素中立)」実現の目玉と言われているのが、再生可能エネルギーと電気自動車(EV)です。 
とくに世間のEVへの期待感は高く、経済誌などでも大きく特集されています。
脱炭素化は、いままでのどの政策よりも日本の経済と産業構造に決定的な打撃を与える政策です。
私は産業史を研究し、企業城下町の栄枯盛衰をみてきたことから、日本を支えてきた製造業に強い関心があります。
基幹産業である自動車産業については特に組み立て工場を見学するなど、ものづくりの現場へのフィールドワークを続けてきました。
 世間では非常に期待されているEVですが、自動車産業の「現場」の声を聞き、自分なりに分析していくと、EVは必ずしも、環境問題を解決する「夢の車」ではないことがわかってきました。
いや、それどころか、全車EV化するということは、日本の自動車産業を失い、ひいては日本経済を破壊に導く「亡国の議論」の可能性さえあるのです。
そのEV推進の旗振り役を担っているのが、小泉進次郎環境大臣です。 
小泉大臣は、2019年に環境大臣として国連の気候行動サミットに出席し、「気候変動のような大きな問題は楽しく、クールで、セクシーに取り組むべきだ」と発言し、メディアを沸かせました。
しかし自動車工場の現場で額に汗して働く人たちにとり、これはクールでセクシーな話ではなく、「脱炭素」という経済戦争のなかで雇用と未来の生活がかかった死活問題なのです。
CO2削減で経済崩壊 
日本の経済は、トヨタをはじめとする自動車産業によってその屋台骨を支えられているといっても過言ではありません。
日本で自動車を製造している工場が二酸化炭素(CO2)削減目標のために国を出ていったら、日本の地方経済は成り立たず、雇用を失い、経済の崩壊が始まります。
ひとたび海外に出ていくと、日本にその製造拠点を戻すことは容易ではありません。 
地球温暖化を抑制するための温室効果ガス(大半が二酸化炭素)を世界的に減らしていく取組みが気候変動枠組条約締約国会議(COP)において議論されてきましたが、気温の変化と二酸化炭素の因果関係を示す厳密な科学的根拠は、学術的に確立されたものではありません。
 マスコミは地球温暖化の危機感を煽っていますが、気候の先行きについても、国際エネルギー機関(IEA)は別の未来を描いていますし、赤祖父俊一氏(アラスカ大学国際北極圏研究センター)や田中博氏(筑波大学)など異を唱える学者も多くいます。 
二酸化炭素と地球温暖化についての議論はさておき、菅総理の「2050年カーボンニュートラル(炭素中立)」発言の背景を少し説明したいと思います。 地球温暖化については、スウェーデンの16歳の少女グレタ・トゥンベリーさんが温暖化への激しい怒りをぶつけたスピーチが国連で話題となり、地球の温度が上昇することで起こる異常気象が人類の緊急課題として注目を集めました。 1997年の京都議定書から2016年のパリ協定の発効に至るまで、二酸化炭素を減らすべきはEUの一部、米国、カナダ、オーストラリア、日本など一部の先進国で、途上国に義務は課せられませんでした。
いまでは世界第二の経済大国である中国は二酸化炭素排出の3割を占めていますが、こと温暖化対策では、ロシア、インド、韓国とともに途上国として排出削減は強制されず、「先進国が率先して削減すべきだ」というスタンスでした。
アメリカを中心に不満が出たことから、パリ協定では途上国が参加し、自主目標の提出を義務付けられるようになりました。
もちろん目標は現実の技術の到達とは関係なく、掛け声として加速する傾向で、未達でも何らペナルティや拘束力はなく、各国政府に任されています。 アメリカでもバイデン政権が誕生し、パリ協定に復帰したことで、脱炭素への取組みは活発になることが予測されます。
小泉環境相の嘘 
一方、世界一、二酸化炭素排出量の多い中国においては、習近平国家主席が「2060年までに二酸化炭素の排出量を実質ゼロにする」と宣言したものの、その実、石炭火力発電所の新設が続いています。
2020年には原子力発電所30基分も増えています。
中国政府は国家目標である「中国製造2025」を優先し、製造業のための電力確保に向け、本格的にCO2削減に向けて舵を切る気配はありません。
かたや、わが国では菅政権が施政方針演説でカーボンニュートラルを国家目標にかかげ、温室効果ガス削減の対策に本腰をいれることになりました。
CO2削減を優先し、政府は2030年代半ばにガソリン車廃止を打ち出し、日本経済新聞をはじめとして、各社が一斉にキャンペーンを張っています。
小泉氏は近頃、雑誌のインタビューなどに登場し、EVを褒めそやしています。
 しかし、それらの言説は、あまりにEV化に関して誤った認識に基づいたものが多い。 
小泉氏の発言を一つずつ検証していきましょう。 
たとえば、日経新聞(2020年12月30日)のインタビューで小泉氏はこう答えています。 
〈国際社会はコロナで脱炭素の動きを立ち止まらせるどころか、投資や政策を加速させている。ガソリン車がら電気自動車(EV)へのシフトが象徴的だ。乗り遅れたら企業は稼ぐ機会を失ってしまいかねない〉
もちろん、欧米の各国政府の間では「脱炭素に向けて取り組んでいこう」ということで表向きの方向性は一致しています。
しかし、車社会全体が「内燃機関を廃正し、EVヘシフト」しているかというと、そんなことはありません。
各国大手自動車メーカーは、ハイブリッド車や水素を用いた「e-fuel」、EVなど、さまざまな省エネ技術を用いて「脱炭素」を目指し、一部を除いてEV一本化などという方針は取っていないのです。
規制や補助によって、先進国でEVの市場は増えるでしょうが、世界の市場でも、アジア並びに新興国、アフリカでもロシアでも、まずは家庭用の電源が優先し、EVまでにはいたりません。
この稿続く。


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