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再発信!東電福島に不幸は重なった…菅直人が日本版原子力規制委を新設したが、原発もテロも知らない素人をそのメンバーとした

2024年08月06日 10時20分10秒 | 全般

2021/8/5
以下は本日発売の週刊新潮の掉尾を飾る高山正之の連載コラムからである。
本論文も彼が戦後の世界で唯一無二のジャーナリストである事を証明している。
本論文もノベール文学賞或いは平和賞に最も相応しいのは彼である事を証明している。
日本国民のみならず世界中の人たちが必読である。

九電力自衛隊

ビン・ラディンはテロ実行犯に民間旅客機4機を乗っ取らせた。 
うち2機はニューヨークの世界貿易センタービルに、3機目はワシントンDCの国防総省に突っ込ませた。 
4機目のユナイテッド航空93便は実行犯に乗っ取られてUターンはしたものの、途中で墜落している。 
この機はどこを狙ったか。
機首方位からワシントンDCのホワイトハウスという説もあった。そうすると標的は三階建てで高さは21㍍。
実行犯は軽飛行機の操縦経験があるだけで、115㌧の機体を操って突っ込むには標的は余りに小さすぎる。
大きくて狙いやすい。それで米社会に甚大な被害をもたらす。
その視点で標的を推測していって浮上したのがニューヨーク市から40㌔、ハドソン川に臨むインディアンポイント原子力発電所だった。 
原子炉は3基。もしここに115㌧の旅客機が突っ込んだらどうなるか。
米原子力規制委(NRC)はモックアップを作って実際にF4ファントムを突っ込ませる実験をやった。 
建屋は少し破損しただけで原子炉格納容器は無傷だった。
ただ、突入の衝撃と火災被害が大きかった。 
衝撃で炉の脇の核燃料プールの底が割れ、電源もすべて失われた。 
冷却水は循環せず、炉は暴走を始め、干上がったプールでは核燃料棒が高温で燃え上がることが判った。 
この想定通りなら初期段階で周辺の4万4千人が死に、最終的に80㌔圏内で50万人が犠牲になる。 
つまり4番機がここに突っ込んでいればマンハッタンの全域が死の街になってしまったというわけだ。 
NRCはこれを基に2005年、各原発に複数の強靭な予備電源設置を義務付ける改善命令を出した。 
米政府も国土安全保障省(DHS)を新設し、FBIや国防総省と協力してヘンな外人の監視から核施設の徹底防護まで講じられた。
乗っ取られた民間機があれば躊躇いなく撃墜することも決まった。 
改善命令はGEにも届いたが、GE製軽水炉を入れた東電などには知らせなかった。 
もし伝えていれば6年後の3・11の大津波でも電源喪失という事態は避けられたはずだ。
あの事故は無責任な米企業がもたらした人災だった。 
東電福島に不幸は重なった。
菅直人が日本版原子力規制委を新設したが、原発もテロも知らない素人をそのメンバーとした。 
規制委はなぜか地震研と組んで地震と津波対策を要求。
意味のない長城を原発周辺に築かせた。 
テロ対策は米国の想定を超える200㌧の旅客機が突入と想定。それに耐える建屋の補強を要求した。 
そうなれば衝撃も火災も凄い。管理棟も燃えれば冷却水の取水管も壊れる。 
だから地下100㍍に5万㌧の貯水池と地下制御室を作らせた。 
地上からのテロもあり得るからそれも対応するよう命じた。
先日、規制委は東電柏崎のテロ対策が「なってない」と罰を科したが、それは本来、国がやることだろう。 
テロ機は自衛隊機が撃墜すればいい。
地上攻撃は陸自が粉砕すればいい。 
しかし規制委はすべて原発側の負担で守れという。 
無意味な長城建設費やテロ警戒費用は総計で1基数千億円に達した。 
結果、原発コストは天井知らず。
先日の経産省の計算では原発が太陽光パネルより割高になったという。 
過去、原発は実質1㌔ワットに5円以下だった。
日本中の工場に安い電気を安定供給でき、原発城下町は好きなだけたかっていられた。 
東電福島の周りの市町村の箱モノはみな東電のカネで建てた。
東電御用で何千人の億万長者が生まれた。 
事故の後も東電の出費は続き、被災長者がごろごろ生まれている。
それでもまだ原発は安価な安定供給が可能だったが、とうとう規制委に潰された。 
この際、政府は各原発に対空ミサイル付きの自衛隊を駐屯させ、以て安価な電気の供給を可能にさせてみたらどうだ。


2024/7/30 in Onomichi


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