以下は前章の続きである。
実は湾岸戦争の折にもこの「赤ん坊を銃剣で」話を目撃したという少女が米議会公聴会で証言した。
やっぱりイラク軍は獣だと。
戦後の検証で少女は在米のクウェート外交官の娘で、証言も作り話と判明した。
しかし嘘と分かっても、それがどうしたみたいに誰も何の反応も示さず、イラク軍の不名誉はそのまま放置された。
いわば定番の嘘といっていい。それを日本兵がマレーでやったという。
そういう話を聞けば林博史はまず日本人の名誉のために華僑が嘘を言っていないか、該当する日本の部隊名はどこか、生存者を捜して話を聞くとか、華僑よりバイアスのかかっていないマレー人の目撃者はいなかったかとか、きっちり検証作業をするものだ。
個人的な体験で言えば嘘を言わない華僑になど会ったこともない。
しかし彼がそういう検証をしたという話は聞かない。
この稿続く。