最近は、朝日新聞の、「声」、欄は、殆ど見ないのだが、昨日は違った。
紙面のトップに在った事もあるが、まるで、私に、読んで下さい、と告げていたかのようだったのである。
誰よりも貴方に読んでほしい、と、そう語って居た様な、米国・シアトル 63歳、主婦クロフォード めぐみさん の「声」だった。
この20年超の中で、イチローのメジャーリーグを観続けた私だから、めぐみさんは、「声」、を届けたのだろう。
〈母との絆つないだイチロー〉と題された、この文章は、そこらの小説以上のものだった。
*以下は私。
…11年半前、当時87歳の母が電話で「鈴木一朗という名前の、バットを振れば必ず打つと言ってもよい天才野球選手がマリナーズへ入団するのよ」と弾んだ声で報告してきた。
母は、父が亡くなってから東京の下町の老人ホームに住み、私はシアトルへ移り住んで27年目を迎えていた。
それ以降、野球シーズン中は、私たちの電話での会話はイチローの活躍ぶりが中心になった。
母は明らかに寂しさを紛らわすためテレビの大リーグ中継を見ていた。
一方の私は野球には興味が無かったが、2人はテレビ中継を通してつながっていた。
「今日、観客の中にジャケットを着ている人がいたけど、シアトルは夏でも寒い日があるのね。かぜをひかないようにね」
「あなたは幸せね。あんなにすてきな町に住めて」。
母はそう言った。
6畳ほどの部屋のベッドで独り横になり、マリナーズ戦を見ながら私を気遣う母の気持ちが胸を刺した。
そして私も、いつも中継を見ながら母のことを思った。
イチローがヒットを打つと同時に母の笑顔が頭の中に浮かんだ。
その母は4年前に亡くなった。
先日イチローはヤンキースヘ移籍した。
私の心の中で突然、長い年月が流れた。
*めぐみさんの母親と、めぐみさんの「声」は、私の胸も刺したのである。
例えば、アメーバの会員数2,000万人のうち、1,000万人は、アジアのindecencyに満ち満ちた様な悪人達であったとしても、
残りの1,000万人の人たちには、めぐみさんの「声」は、私と同様に届くはずだと、確信して読んだのである。