大戸屋の戦略変化(?)とその是非

2018-09-11 12:17:13 | 生活

大戸屋の営業が苦しいらしい。参照した記事だと、大幅な価格帯の値上げとお家騒動によるイメージ低下&現場サービスの劣化が原因とのこと。なるほど昔の大戸屋であれば「やよい軒」的なイメージで学生が利用しやすいような場所だったから、メインターゲットが20~30代でそこが値上げで離れたというのは理解できる。

 

しかし、どうも私には解せないことがある。その理由は、単に価格帯が上がっただけでなく、メニュー内容とアピールの仕方がヘルシー志向になっていることだ(最もわかりやすい例として、白米と五穀米が選べるようになった)。単に顧客単価を上げるための値上げであれば理解できるのだが、その中身の変化からすると、そもそもターゲットをシニア層にシフトしようとしているのではないか?これからの20~30代は言うまでもなくしばらく減少していく。となれば、そういった層を安く取り込み続けようとしもジリ貧なのは目に見えているので、これから数が増える高齢者層にアピールするようなヘルシー志向を打ち出し、かつ財布の中身が比較的豊かな彼・彼女らだから値段を上げて顧客単価を上昇させる狙いなのではないかと思ったのだが(ちなみに、「お袋の味」アピールも同時に行われており、おそらく30~40代男性客あたりを意識しているのではと予測しているが、詳細は不明)。実際、私が利用する荻窪の大戸屋はおそらく50代以上と思しき人たちの割合が非常に多く、そこに40代が混じって時折30代がいる、という具合である。

 

このような見立てが正しいとすると、大戸屋旧来のメインターゲット離れは戦略上むしろ当然のことで、今は変革の最中と評価するのが正しいように思える。もっとも、さっき例に挙げた白米or五穀米選択のごとき取り組みは「浜勝」や「あおな」のような店でもやっている。こちらは大戸屋に比べてやや価格帯が高いけれども、ごはんや汁物のおかわりができる点でコスパはむしろ同程度かそれを上回っている上に、強みが「とんかつ」・「牛かつ」と明示されていてわかりやすい。その点現在の大戸屋の立ち位置は中途半端で、何がアピールポイントなのかわかりにくいし、ゆえに選択する必然性が低いように思える(近くを通りかかることは何度もあったが、戦略の変化に気づいたのはたまたま入店してメニューを見た時が初めてであった)。ゆえに元いた顧客は高級化で離れ、新規開拓したい顧客は思うようには来なくて苦戦をしている、ということではないだろうか。

 

じゃあ徐々にブランドイメージの変化が定着するまで待とうという考えもあるが、それはいかにも悠長過ぎるように思える。なぜなら、2020年以降は景気が下降する可能性が高く、するとリーマンショックの時などと同様で(消費者の財布の紐が締まって)飲食系はダイレクトに打撃を受けるからだ。ゆえに、今のうち比較的安定した収入を得ている層を取り込んでおかなければ、大戸屋の未来は厳しいものとならざるをえないだろう・・・などと書きつつこの稿を終えたい。


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