PC98ゲーム音楽の黄昏:脅迫、はっちゃけあやよさん

2020-01-30 11:45:52 | 音楽関係

 

「脅迫」というのは、もう25年近く前に発売されたゲームである。当時高校生だった俺は小説版でしか中身を知らなかったが(ちなみにエロゲーのことを知ったのは小5から)、およそ10年後にネットを使うようになった頃に同作の「明日へはばたいて」という曲のアレンジMidiを見つけ、以降今でもよく聞いているくらいには縁がある(添付のワードファイルによると、「セピア色の空」というサイト?が製作したものらしい←現在はサイトが閉鎖??)。

 

そんな中、一体原曲はどんなものだったんだろうと頭の片隅で気になりながら過ごしていたが、先日偶然にも発見することができたので聞き比べてみたら、色々とおもしろいことがわかった(アレンジ版のデータを提示することができないので、以下手短に記す)。

 

たとえば曲の入りに関して、アレンジ版はグランドピアノとフルートを主旋律にしており青春群像劇的な印象が強いが(途中からグランドピアノはエレクトリックピアノに変わる)、原曲は明らかに2時間ドラマを意識している曲調だ。

 

どちらが優れているというより、原曲は原曲でなかなかに味わい深いのだが、唯一残念な点があるとすると、4分以降最後の転調部分からがほぼフェードアウトで終わっているところか(動画の編集上そうなっているのか、そもそもPCに収録された原曲がそうであるのかまでは確認できていない)。

 

というのも、5分40秒あるアレンジ版は、4分以降でまさにクライマックスを迎え、この部分が「完全なハッピーエンドというわけではなく、悲劇を通じてもはや日常はそれまでと同じようには生きられないけれども、しかしそれでも大切な人とともに生きていく」という、まさしく「明日へはばたいて」の題名を見事に表現したものとなっているように思えるからだ(冒頭の幸せが恐怖と疑心暗鬼に転じ、ほとんどの分岐で人死にや破滅は当たり前の凄惨な結末が待っている。そして、ストーカー[規制法]やリベンジポルノという言葉が人口に膾炙する今日の方がその恐ろしさは理解されやすいだろうとも思う)。

 

原曲で言えば、3分を過ぎたあたりで転調して明るくなるかと思いきや、また憂愁を帯びた曲調に戻るが、それはアレンジ版のクライマックスでも同様である。そういう完全に明るくなりきれない曲調、あるいは完全なカタルシスとは言い難い終わり方こそ、この作品のエンディングとして相応しいのではないか。

 

そうそう、エンディングと言えば、アレンジ版の文書では「メインテーマ」という表現になっていたので、「OPとかで流れるのかしらん?だとしたらちょっと違和感あるな」と思っていたのだけど(これから凄惨な展開なのにこの曲調・・・?)、この動画の説明で「Ending Theme」となっているのを見て完全に納得がいった(理由は前述の通り)、というのも原曲(動画)を聞いての発見の一つだろう。

 

ちなみに、さっき原曲を「2時間ドラマ」風と書いたが、この曲を製作したのが(アイルの音楽を手がけてきた)一色由比と知って合点がいった。というのも、「脅迫」の後に発売された「凌〇好きですか?」をかつてプレイしていた時、内容に合わず曲調がハードボイルドというかムーディーな感じ(←ボキャ貧)なため、友人のpokosukeと「何でこんな曲調なんやろなあ・・・(褒めつつも困惑)」という感想を述べた記憶があるからだ(同じような曲調としてはにくきゅうの「無垢弐」とかもあるが、あれは主人公が有名なデザイナーで洋館を舞台にした作品なので、世界観としてジャズなどを意識したのは理解できる)。しかし、この「明日へはばたいて」の原曲を踏まえれば、「凌辱~」の曲調についてもさもありなんと思った次第である。

 

というわけで、マイナーすぎて一体どれだけの人がわかるんや(笑)というエロゲー音楽の話は終了でやんす。最後に、このブログでいくつかレビューを書いた「さよならを教えて」につながる「はっちゃけあやよさん」の曲を掲載して、この稿を終えることとしたい。

 

 

ドット絵はもちろん、左のキャラはどう見ても春〇で、曲の入りはバル〇グやん!という点に時代を感じるが(笑)、概要欄にある「Momoko Sapporo」は「さっぽろももこ」のことで、その特徴的な絵柄から「さよならを教えて」と比べれば一目瞭然だろう(つか「はっちゃけあやよさん」て全部を収録したバージョンが数年前に出てたのね・・・)。

 

というわけで、さよなら、さよなら、さよなら・・・


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