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出水電器の新作、ALLION UltimateT-125を聴く!

2008年06月15日 | Audio
発売以来、価格破壊とも言える値段と度胆を抜く高音質なアンプとしてハイエンドなオーディオ・フリーク達を唸らせた出水電器のALLION UltimateT-100が進化を遂げて登場してきました。いやはや島元社長のどん欲なまでのバイタリティ(追求心)には頭が下がります。「更なる理想の音をとことんに追求し、T-100の細部を完全にリコンストラクトして、遂に完成したのがALLION UltimateT-125だ」とのことですので、聴く前からこちらのテンションも上がりっぱなしです。見かけはブラックとシルバー仕上げという違いなのですが、その音たるや、度肝を抜かれる音の連続でした。とはいいつつあくまでもT-100と新作のT-125を比較して試聴しての話です。
 
というわけで、本日はAVAC Grand新宿店での試聴会に参加してきました。当日の試聴ラインアップは以下の通り。プリメインアンプ:ALLIONの新作UltimateT-125にT-100、そしてCDプレーヤーはデノンDCDSA1、スピーカーはDALIのヘリコン400MKIIという組合せです。
なお、イベンテーター(司会進行)としてオーディオ評論家の村井裕弥氏が狂言回しを務めておられました。ジャズ評論家の成田正氏、そしてスペシャル・ゲストとしてギタリストの荒谷みつるさんも参加されていました(生ギターが聴きたかったです)。また今回の試聴にお見えになった方々もなかなかの強者ども揃いです。皆さんの耳の確かさは、抜群でございました。(^.^)
さて、実際の音なのですが、これが上記の通りで、これまた前回成田宅での試聴同様に驚かされました。(事前にプリヒートをしてあったわけですが、最初の30分はやはりちょっと眠たい音がしていたのはご愛敬です)。
村井さんが試聴用にかけた盤は、旧録のクラシックをメインに、ジャズもビル・エバンスの『ポートレイト・イン・ジャズ』やコルトレーンなど、旧作からが中心。盤のほとんどがSACDであったのも含めて、なかなか意味深であると拝聴いたしました。
T-125自体をずーーと聴いていると気がつかないことがT-100との比較試聴でしっかりと浮き彫りになりました。情報量はT-100の1.5倍を優に超えています。情報量が多くなると、音が滲んで聴こえるのは、私の駄耳の特性ですが、それでも、30分を越えた途端から、信じられないような音に変身して行きます。奥行き、左右の音場ともに広大そのものでした。まさにハイエンドな音なんです。こうなると良くあるのが、音が薄くなってしまう現象ですが、このT-125では、音場内に音がビッシリ詰まっているという聴こえ方をします。ハイエンドなお宅にお邪魔したときに遭遇する音なのですが、チマチマした音ではなく、音(音楽)がなんというか、威風堂々という風に聴こえるのが、今回のT-125の最大の魅力かもと思いました。こうなるとT-100にはもう戻れない音を聴いてしまったなぁというのが正直なところ。パワーも上がった所為(125W)もあるでしょうが、アンプとしてのパワーハンドリングも素晴らしく、音量を上げていった時の破綻が微塵もありません。ドライバビリティも秀逸なものでした。また弱音部での繊細なまでの切れ込みの良さは数百万のアンプでしか味わえないものの様な気がします。実体感のある楽音一つ一つのリアリティ、その楽器を取り囲む空気感の精緻な表現など、特筆に値する素晴らしさでありました。
ちなみに今回のT-125は200Vと100Vを可変出来るスイッチが付き、自宅での電源環境が整うまで100Vで使えるというのがなんとも嬉しい仕様です。今回のAVACでは、残念ながら200Vの環境が無かったため100Vオペレーション。しかし100Vで、この音が出てしまっているのですから、200Vになったときは末恐ろしい事になることは間違いのないでしょう(島元さんによれば、これで7割方の音だとか)。このブログで100万言を費やすよりも、新宿のAVACでこのAllionは常設展示されるとのことですから、試聴出来る場所がしっかり確保されたことになりますので、この驚きを追体験出来る環境がしっかり整ったことになります。ぜひ、AVACで試聴されることをお勧めします。「百聞は一聴にしかず」ですから。
今回持参したギタリストFerenc Snetbergerの『ノマド』(ENJA)を聴くチャンスがあったのですが、9曲目の<ムーブ>のバスドラが思った以上に聴こえてこないのです。ECMの諸作で知られるヤン・エリックの録音中でも屈指の名録音盤なのですが、どうも50Hz以下の音の減衰が早すぎて聴こえ無いのか、実際に出てないのか、どうなんでしょう。これはアンプの問題ではなくて、どうもスピーカーのヘリコン400MkIIの問題のような気がしています。というのも、ダイナ5555でこのスピーカーを試聴したときも全く同じ経験をしましたので・・・。このヘリコンは、どうも100Hz以上400Hzぐらいの低域の表現は超お得意のようですが、最低域の表現というのは、弱いのかもしれません。
もう一つ、デノンのプレイヤーなのですが、音的にちょっと器が小さいのかもという感じかと。中域の表現はいいとしても、最高域に弱点あり(粗い)と聴きました(CDプレイヤーとして)。SACDに特化したような鳴り方をするプレイヤーの様な気がします。ちなみにT-100なのですが、ビバルディの協奏曲を聴いた感じは、私的にはT-100が好きでした。というのもT-125では、音数が多すぎでしたから(爆)。そういう意味からもタンノイやJBLなどの古めのスピーカーをお持ちで、かつクラシックだけでなく、ポピュラーも聴くという方にはT-100という選択肢は充分にあると聴きました。


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9 コメント

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アナログも、CDも、その時代が終わりそうな頃、まともなプレーヤーが現れた!!!! (村井裕弥)
2008-06-20 21:18:23
> CD、「そんなものいらない!」ってしっかり
> 言われてましたからね。

今でも言ってる人います(爆)が、Sugarさんがおっしゃるように、最新プレーヤーで聴くCDは、なかなかのものです。わが家も、ソウルノートcd1.0FT-Pを買ってから、「CD、やるじゃねぇか」の連続です。

> SACDフォーマットの良さが認められるのは、
> もう少し先になってからかもしれませんね。

そうなると良いのですが…。

> そういう意味では、SACDプレイヤーもSACD盤も
> ある意味でオーディオ好きには貴重品になって
> くるかもしれませんが。

これだけは間違いないと思いますね。

「何であの頃は、マスターテープそのまんまに近い音が市販されてたんだ!?」「それに比べて、今私たちが入手できるソフトの質と来たら、もう」

そんな近未来の声が聞えるようです。

だから、満足できるクォリティのSACDは(入手できる内に)すべて買い込む。ここ2、3年の内に、最上のSACDプレーヤーをゲットする。

そのようなことを目論んでおります。
とはいえCD初期と同じでは? (Sugar)
2008-06-18 22:47:48
CDでさえ、登場してきたときは「オーバークォリティ」だと言われていました。ところが初期プレイヤーと今のCDPとでは、プレイヤー側の技術がしっかりとしてきたことも含めて、やっとCDフォーマットの良さが認識されてきたというのが現状なのではないかと思っています。このCD、「そんなものいらない!」ってしっかり言われてましたからね。(^^ゞ 私はCDがロークォリティだとは思ってませんよ。(^.^)
SACDフォーマットの良さが認められるのは、もう少し先になってからかもしれませんね。そういう意味では、SACDプレイヤーもSACD盤もある意味でオーディオ好きには貴重品になってくるかもしれませんが。
SACDは、なぜメジャーになれないのか!? (村井裕弥)
2008-06-18 22:29:33
> SACDは初期のSACDプレイヤーが駄目でしたから、下火に
> なったような気が・・。SACDの盤自体は、かなり
> みんないいような気がしています。

SACDはなぜメジャーになれないのか!?

「なれなかったのか」と書くべきだとおっしゃる方もいらっしゃるでしょうが、余りにも刺激的(爆)なので、遠慮しときます。

確かに、「初期のSACDプレイヤーが駄目」だったからという原因もあるでしょうが、ボクはそれが全てだとは思えない!

一部マニアを除く大多数の消費者が「そんなもの必要ない。CDで充分。いやもっとロークォリティでもいいよ」と感じているからだと思われます。
村井様、お疲れ様でした (Sugar)
2008-06-17 21:36:37
とても楽しい試聴会でした。
本当にお疲れ様でした。
非常に内容の濃い、新鮮な驚きの盤が連続でした。

荒谷さんは確かに新録音ですね。すいません。
彼の演奏が好きですけれど、ちょっとプロモの臭いも感じました。
90年代以降の録音でもいい音の盤はたくさんあったのに!!というだけです。
村井さんがご持参なさったクラシック最高でした。
1曲目の三味線はちょっと瞬間的に面食らったんですが、素晴らしい音でしたし。紹介いただいた盤は買いに走ります。(^^ゞ 
曲目(盤)一覧、ありがとうございました。

> 「ALLIONはSACDでなきゃ駄目」というワケではありません。
もちろん了解です。
SACDは初期のSACDプレイヤーが駄目でしたから、下火になったような気が・・。SACDの盤自体は、かなりみんないいような気がしています。
SACD攻撃の理由? (村井裕弥)
2008-06-17 19:12:17
> 今、考えるに新録音盤が全くなかったのは、
どういう理由なのか、

荒谷みつるさんのは新録(笑)ですよ。

> そして村井さんのSACD攻撃は、なぜなのか、
> もう一度検証してみたいと思っています。

デノンのDCD-SA1が使われるという情報を事前に得ていたので、「こりゃSACDを、多めに持って行くか」と考えました。しかし、まさかアテフ・ハリム以外すべてSACDだったとは――。かけてる本人も気づきませんでした。

別に、「ALLIONはSACDでなきゃ駄目」というワケではありません。

追伸 メジャーレーベルがSACDを出さなくなった今、「実はね、かつてこんなに良いSACDが出てたんだよ」と皆に語り掛けたかったのかもしれませんね。
ご無沙汰しています (Sugar)
2008-06-16 21:57:04
ソフィアザール様
体調を崩されていたのをあとで知りました。
すいませんです。
foQなのか、制震をお得意とする相沢技研さんのテクニックなのかは知りませんですが、レコードコンサートを楽しみにしておりますです。もちろんシュークリームも楽しみですが。(^^ゞ
一度、ぜひこのアリオンというアンプを聴いてみてください。
お疲れ様でした (Sugar)
2008-06-16 21:52:16
たくみ様へ

いやはや、濃い試聴会でしたね。
今、考えるに新録音盤が全くなかったのは、
どういう理由なのか、そして村井さんのSACD
攻撃は、なぜなのか、もう一度検証してみ
たいと思っています。(AVAC行きですね)
T-125の63万はおいそれと買えるものではない
ですねぇ。T-100という選択肢があるのが
このアリオンの最大にして最高の美点になる
ような気がしています。
ご無沙汰しています (ソフィアザール)
2008-06-16 09:20:01
8月にレコードコンサートを開催いたします
今回はCDの盤に貼るシールでどのように音楽表現が
変化するかを聴いていただきたく開催いたします

ソニーを卒業された方(石田さんの先輩筋)との共同開催です、私的にも今追試の最中ですがオーディオと
音楽表現の折り合いをどうつけるかが私のライフワークですから、とても興味を持っています

シュガーさんにも是非聴いていただきたいアイテムです
T-100とT-125 (たくみ@深川)
2008-06-15 23:25:57
こちらでははじめまして たくみ@深川と申します。
Sugarさん、昨日はイベントでお世話になりました。
T-100とT-125の比較なんですが、私も、T-100の方がなぜか演奏がわかりやすかった気がしまし
た。
音のクオリティ的にはT-125の方がぜんぜん高い筈なのですが・・・
ここがオーディオの不思議なところですねぇ。

ともあれ、これからもよろしくお願いいたします。

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