犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

ゲゲゲの調布発信
犬のこと、人の心身のこと、音楽や自作のいろいろなものについて

スズメバチの羽音と頭の回転

2017年05月10日 | イキモノタチ
注:映画の話ではありません。


早朝、犬の散歩に出かけて、犬を遊ばせている間、本を読む。

文庫本をポケットに突っ込んで行って、ほんの数ページだけ読むのが楽しみのひとつだ。
荷物にならない、なるべく薄っぺたい本がいい。
近頃の文庫本は、読みやすくするために文字の大きいものが多いが、余計なお世話だ。
文字を大きくすると、ページ数が増えてしまう。
紙質もちょっと良くなっていないか?
文庫は小さく薄く軽いコンパクトさがとりえなんだから、見やすさや丈夫さは他に任せちまえ。
カバーも要らんわ。

そういうわけで、朝読むのは古い文庫本になりがちだ。
今は、老子を読んでいる。

桜の木の根方に腰を下ろして読んだり、
立って犬を見張りながら読んだり、
四股を踏みながら読んだり。

この季節は蚊もまだいなくて良い。
もうすぐ蚊が増えて落ち着いて読めなくなる。

昨日も、立って、老子を読んでいた。
すると、向こうから飛んでくるヤツがいる。
デカい。スズメバチだ。
動いてはいかん。
通り過ぎるのを待とう。

・・・通り過ぎなかった。

あろうことか、私の顔の真横でホバリング。
視界の左端に、蜂の色が見える。
デカいとは言え小さい羽で、なぜこんな低い羽音が出るんだ?
そして、頬骨に風圧がかすかに感じられる。

背筋が凍る。
動いてはいけない。
よけるのも怖い。
ああでもいつまでそこにいるんだ。
長い。
あっち行ってくれよ。
なぜホバリングしてるんだ。
なんか私、いいにおいさせてます?
整髪料とか化粧水とかも使ってないのに。
長い。
いつまでもいるなら、そーっとしゃがもうか?
刺されたらどうしよう。
アレルギー体質だし、きっとアナフィラキシーショックを起こす。
いやあれは2回目以降か。
アシナガバチとは物質が違うのか?
長い。
もし刺されたら、心拍を上げない程度に急いで、すぐそこのコンビニに行って、
そうだ、一番近くの友人Mに電話して、車で来てもらって、
まず家に寄って犬を帰してもらって、それから大学病院の救急に向かってもらおう。
ああでも携帯電話を持ってきていない。
でも大丈夫、あいつの電話番号ならソラんじている。
長い。
うわあああ、思い出せない、番号、思い出せない、47が二箇所にあるはず、
どこ?思い出せない、あわわわわ

長かった。
重低音の飛行爆音を聞かされつづけ、
頬骨を軽く扇がれつづけ、
見えそうで見えない近さで視野に入られ。
ほんの数秒間のことだと思うのだが、
永遠にも似た長さだった。

山で熊に遭った時より怖かった。
と思うのは喉元過ぎればなんとやら、だな。

帰り道、友人Mの家の前を通ると、ちょうどMが外に出ていた。
すぐにしゃべって、緊張をほぐす。

あの風圧。
ミツバチの羽で地球を回すのはかなり難儀だろうが、
スズメバチが羽ばたきゃ、なんなら自転の方向も変えられるんじゃないか?

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 性的自己紹介 | トップ | 星屑スキャットをほめたたえる »

コメントを投稿

イキモノタチ」カテゴリの最新記事