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エクスクロス~魔境伝説~ 【監督:深作健太】 [後編]

2008-01-18 01:30:18 | 映評 2006~2008
******そして怒濤のクライマックスへ・・・******

さて・・・あみーごとハサミ女が激闘を繰り広げていたころ・・・松下奈緒ちゃんは足刈り儀式の生贄にさらされます。

捕われ縛られた薄着一枚の松下奈緒ちゃんを見ても足を切ることにしか関心のない村人たちの性的嗜好に、少々疑問を抱きはしますが、ともかく奈緒ちゃんははりつけにされ、足をたたき斬られようとしています。

まさに絶対絶命のその時、ハサミ怪人との戦いで戦士として成長したあみーごが助けに戻ってきます。
数十人の(見かけ上)キチガイ集団のような村人たちに彼女が仕掛ける攻撃は・・・

写メ撮りまくりのフラッシュ攻撃と、「この画像を日本中にばら撒くよ!!」という脅しです。

この文明から隔絶されたように見えるこの村で、全員がショッカーの戦闘員程度の知能しか持っていないように見える村民たちに、そんな脅しが通用するとは到底思えません。


ところが!!

村民たちはあみーごの脅しに「ひえ~~」と恐れおののきます。

これです!!だから私はさっきから言っていたのです!!人を見かけで判断してはいけないと!!
やはり21世紀の日本です。彼らも知っていたのです。ネットの恐ろしさを!!!
きっとあの村民たちも、各々ブログの管理なんてやっていたのでしょう。そして日記を綴ったり、自民党政治を批判したり、年間100回以上映画館に足を運び映画レビューをせっせとアップしていたに違いないのです
もしかすると、kossyとかそんなHNの方も混じっていたかも知れません。
あんな画像がネット上に放出されれば・・・
2chで祭り→ブログ炎上・・・は火を見るより明らかです。


まして、あみーごからの写メを受け取ったのは、あのしょこたんです。

彼女が自分のブログにあの村民の画像をアップし
「ギャ(゜∀゜)(゜∀゜)(゜∀゜)(゜∀゜)━━━━━━━━━━ ギガントヤバス!」
なんて記事にでもされたら何百万人の目に晒されるかわかったものではありません!!

*****
なお、これは絶対深読みでしょうが・・・
足を骨折しベッドから動けないしょこたんに変わり携帯で連絡をとっているあみーごがフラッシュで攻撃する・・・というところにヒッチコックの「裏窓」のクライマックスがアレンジされているような印象をうけます。
*****


・・・・・ま、それはさておき・・・・
残念ながら、、、このバカハイテンション映画も、このクライマックス・・・「見せ場」のはずのシーンで、とうとう息切れをはじめます。
あみーごの攻撃は前述のシャッター攻撃。奈緒ちゃんを助け出し二人はキチガイ村民たちと、棒で叩く、蹴る、とかそんなアクション的にはさして面白くもない攻撃を繰り返します。殺人鬼集団数十人に包囲された状況で、友情を確かめ合うなど、テンポもズタズタです。
20km地点くらいからは独走状態だったのに35km地点くらいで明らかに失速し出したマラソンランナーのようです。
『せっかくあんな大バトルをしたのに・・・やっぱり私じゃダメなの?もう一度芸能界で活躍したかったのに、やっぱりダメなの!!?』
・・・というあみーごの心の絶叫が聞こえてきそうです。

殺人集団に囲まれたヒロインたちの運命も、見ている私のテンションも、あみーごの女優生命も、様々なものが絶体絶命の大ピンチに陥ったその時でした・・・救世主の登場です!!!
良かった。やっぱり生きていたんだ。ハサミ女!!!
全身焼けただれたハサミ女がこの修羅場に乱入して来ました。


その姿を医療関係者が見たら、立ったり歩いたりはおろか、生きていることがすでに奇跡だ!!と驚嘆するでしょう。
しかしハサミ女は、パワー、スピード、ジャンプ力、いずれもパワーアップして帰ってきたのです!!あみーごとの激闘の果てに彼女もまた戦士として大きく成長を遂げたのです!!

ここに、ヒロインチームvs殺人鬼集団vsハイパーハサミ女の三つ巴の乱戦が幕を開けます。
一度完全に失速したかに見えた映画は、奇跡の再ロケット加速に成功します。
エウーゴvsティターンズvsアクシズの三つ巴バトルなど比になりません。
でも、もしここであみーごが「まだだ!!まだ終わらんよ!!」とか言ってくれたら、個人的には燃えまくったのですが、残念ながら健太監督はZガンダムには興味がないようです。
(Zオタっぽく例えると、奈緒ちゃん→カミーユ、あみーご→シャア、池内博之→シロッコ、ハサミ女→ハマーン・・・というところですか・・・)

*****
余談ですが・・・
私と友達と私の妻(私の妻は、最近になってガンダムにはまり着メロを「アムロ行きまーす」の曲にしてしまった半ガンオタです)で「エクスクロス」の話をしていた時、「池内博之」くんの名前がどうしても出てこなくなりました。
 私 「ほら、えーと、あの、なんてったっけ、池・・・池・・・」
 妻 「池田秀一でしょ!!!」


それはシャアの声の人ですから!!!!
*****


話を戻します。
それですったもんだの挙句、ようやく登場したジャック・バウアーだと思っていたらフットボールアワーだった人の車に助けられ二人は恐怖の村からの脱出に成功します。
古ぼけたゴンドラに乗ったりしてようやく行き着いた、あの道程はなんだったんだろう・・・と疑問を感じなくもないですが、まあ、それは些細なこと。放っておきましょう。
ただここで、しぶとく車にしがみついてきた池内博之くんを車から蹴り落とすだけだったのがちょいと残念です。やはりここはハリウッド映画を見習って、池内くんに壮絶な死にっぷりを用意してあげてほしかったです

例えば・・・

池内 「僕の女神なんだーー」
おもむろにシートベルトを締める奈緒とあみーご
奈緒 「ちがうわ。あなたの死神よ!」
急ブレーキ。慣性の法則でフロントガラスをぶち破ってボンネットから転がり落ちる池内。
急発進した車に轢き殺される池内


・・・という感じに。
シュワ、スタ映画とか、レニー・ハーリンあたりなら間違いなくそうしたでしょう。

*****恐るべき深作遺伝子がぬるい日本映画界を灼熱の炎に染める!!! *****

まあ、ともかくです。健太はホンモノです。ホンモノ(のバカ)です
超えていくにはあまりに大きすぎると思われた親父の壁を、彼はいま、まさに超えていこうとしています。
そこには「蒲田行進曲」や「火宅の人」の監督の遺伝子は面影もなく、「宇宙からのメッセージ」や「魔界転生」の監督の遺伝子が妙に増幅され、パワーアップされて受け継がれています。

もう三池だ、ロドリゲスだ、とか言って騒ぐのはやめた方がいいです。健坊にくらべたら、タラ公だっておとなしい優等生です
三池やロドリゲスやタラよりはるかにクレージーで、100光年くらい差を付けてぶっとんでいる監督がいるんです。

最後に注文です。
健太さん。
あなたの作品に絶対必要なのに、決定的に欠けているもの・・・何かわかりますか?
エロです
まちがいありません
あなたの映画にエロは絶対必要です。
それさえあれば、あなたは「狂ったヴァーホーベン」になれるのです。
どういうことかわかりますか
すでに相当狂っているヴァーホーベンを超えることができるのですよ(狂いっぷりに関して)

期待度300%。アジア映画界のある意味核弾頭、深作健太!!
ぬるーい日本映画界をぶち壊せるくらいのエネルギーを持っているのはあなただけです。
これからもよろしくお願いします!!!!!

エクスクロス 映評 [前編] はこちら・・・
エクスクロス 映評 [中編] はこちら・・・

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2 コメント

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村人その1 (kossy)
2008-01-18 03:45:49
すげー楽しめました!
まさか名前が登場するとは思いませんでしたし(笑)
あみーごとハサミ女の対決が最高だっただけに失速感が残念に思えてしまいます。最初は時系列をいじくったような展開だったんだし、終盤に面白いバトルを持ってきてもよかっかと・・・
やっぱりティーン受けまで狙ったのかJホラーっぽい締めくくりにしたかったのかなぁ~
返信する
コメントありがとうございます (しん)
2008-01-20 20:03:35
>kossyさま
勝手に名前使わせていただき申し訳ありません。
けっこう、いつも覗かせてもらってるブロガーさんたちでもこれを未見の人が多く、kossyさまなら冗談がわかるだろうと勢いで使ってしまいました。
いや、別にkossyさまが、ひそかに女の足を刈ってるなんて本気で思った訳ではありません。石川県に阿鹿里村なんてありませんし・・・いや、あっても地図にもネットにも載ってないんだっけ・・・時々1ヶ月くらい更新が滞るのは、その間に旅の女の足を刈ってるからだなんて思っちゃいません・・・

で・・たしかにクライマックスの失速感に、健太が日本で映画を撮り続けることの限界を感じはしました。
ブラッカイマーあたりと組めばさぞかし面白い映画が作れるのでしょうが、BR2で、公然とアメリカを批判した健太をハリウッドが快く迎えるとも思えません。
だから、健太には、いっちょ香港で暴れまくってほしいです
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