個人的評価: ■■■■■□
[6段階評価 最高:■■■■■■(めったに出さない)、最悪:■□□□□□(わりとよく出す)]
いじめっ子に殺された弟の復讐を誓った女子高生が返り討ちにあい、左腕を切断されるが、左腕にマシンガンを装備したマシンガールとなって復活しリベンジする話である。
主人公の台詞や、物語展開から、本作には以下のようなメッセージが込められていることが伺える
いじめはいけない
いじめなんかに負けるな
暴力はいけない
暴力はさらなる怒りと悲しみを生むだけ
命は大切にしなくてはいけない
こういうメッセージを真面目な顔で投げかけるところも、忍者の末裔でヤクザの息子でいじめっ子な奴が父と武術の特訓をする大真面目ぶりも、いじめられっこが反撃する時のキレのいいアクションも本気すぎてヤバい感じがする。
監督は女子高生とマシンガンと残虐さと殺しと血と戯れながら映画で遊んでいる。
残虐ぶりなら、残虐マスター・メルギブの足下にも及ばないし、バカっぷりならスタローンやジョン・ウーや深作健太の方がもっと上を行っている気もするが、デキがそんなんでもないだけにむき出しの情熱が鮮血に変化して映画を埋め尽くして圧巻である。
ただし・・・やはり、この種の映画の常として、最初からテンションほぼMax状態にしてしまったがゆえに、ハイテンションを持続しているにもかかわらず、単調で慣れてしまってやや飽きてくる。
いきなりハイテンションで始まってしまった作品なら、クライマックスはモブシーンにするとかしてほしかった。まあ、モブシーンは予算的に無理だろうから、せめてストーリーだけでも国家レベル~地球レベルの域に膨らませて欲しかった。
いきなりクライマックスで盛り上げて、あと逃げ切る・・・というパターンの映画もないではないが、基本的にはオープニングのアクションは中盤と同等の迫力、クライマックスに一番迫力のあるアクションを・・・とするのがアクション映画の定石であろう。
「片腕マシンガール」はオープニングから女子高生が鎌とマシンガンでいじめっ子中学男子を惨殺する場面から始まる。
オープニングからしてそんなロクデモナイ感全開だが、中盤にいくにつれ悪のりはさらにエスカレートしていく。
斬られるシーンでは基本的に血が噴水のようにほとばしり、体がバラバラになったり、縦に真っ二つになったり、「母さん、リンスくれよ」という男(悪党)に彼の息子の首なし死体から吹き出す血をかけてやったり、血みどろアイデアには事欠かない。
いい奴も悪い奴もさくさくと簡単に死に、主人公も腕に日本刀を突き刺され、拷問で指を切り落とされ、さらに腕ごと切り落とされ、そのたび全身の血がなくなるんじゃないかという勢いで血が吹き出す。
テンション上がりっ放しではあるが、すっかり血なれしてしまったことと、シンプルな復讐物語に終始したため、クライママックスくらいになると少し飽きてしまった。
ドリルブラ
の抱きつき攻撃で乳房をぐしゃぐしゃにされ血だらけになるマシンガールの姿はクライマックスに相応しい凄惨さではあるのだが、ドリルが胸(マシンガールのセーラー服は破れピンクのブラが露になっている)に迫るショットを見せられると、血より前に見せて欲しい部分に思いを馳せたりしてちよっと肩透かし感があるのだ。
そしてさらに残念なのは、わざと突っ込みどころを残す中途半端さであろうか
例えば以下の二つ
『天ぷらの衣のモトに腕を突っ込んだ女子高生は、その腕を敵によって油の中に突っ込まれる。
すると腕はまるでパン粉をまぶしてあげたようなカツ状態になる。しかも腕全部が入るほどのフライパンではないのに。』
『マシンガールに殺された中学生(いじめっ子)の親たちが、我が子の復讐のため忍者軍団の手先となり、我が子の遺影を胸と背中につけてマシンガールに襲い掛かる。マシンガールはマシンガンを撃ちまくるが効かない。「そんな、遺影の下に防弾チョッキを付けていたなんて・・・」と判りやすい説明台詞を喋ってくれるマシンガール。しかし復讐鬼と化した親たちの中に1人、明らかに裸に遺影をペイントしている奴がいる。』
・・・などなどは、「ここ突っ込みどころだよ。なんでやねんって突っ込んで、笑って」と言わんばかりで個人的には少し気に入らない。
バカなことをやっていると自覚しているのがかいま見える。
歴史的バカ映画名作「男たちの挽歌2」や「バトルロワイヤル2」にはバカやってますという自覚が全く感じられない。突っ込みどころを一つも作らず、しかしながら全てが突っ込みどころとなっている。
バカ映画にギャグ不要。本気に勝る笑いなし。
しかしそれでも「片腕マシンガール」には逃げずに自分の好きな表現と取っ組み合う作家の情熱があふれており、日本映画では滅多に得られない精神の高揚が感じられる必見の傑作であることは間違いない。
片腕マシンガール"アミ"を血みどろで熱演した八代みなせ
は、記憶に残る女優となった。このキャリアに誇りをもってこれからの女優人生を駆け抜けていってほしい。
最後にいくつか印象的だった台詞を(すべてうろ覚え)
「俺は金が欲しいんじゃない。お前たちの苦しむ姿が見たいんだ」
「暴力は憎しみの連鎖を生むだけよ」
「己以外は全て敵だと思え!!」
「敵、すなわち奴隷ですね!!」
「そのやさしさがお前の弱点だ」
********
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自主映画撮ってます。松本自主映画製作工房 スタジオゆんふぁのHP
[6段階評価 最高:■■■■■■(めったに出さない)、最悪:■□□□□□(わりとよく出す)]
いじめっ子に殺された弟の復讐を誓った女子高生が返り討ちにあい、左腕を切断されるが、左腕にマシンガンを装備したマシンガールとなって復活しリベンジする話である。
主人公の台詞や、物語展開から、本作には以下のようなメッセージが込められていることが伺える
いじめはいけない
いじめなんかに負けるな
暴力はいけない
暴力はさらなる怒りと悲しみを生むだけ
命は大切にしなくてはいけない
こういうメッセージを真面目な顔で投げかけるところも、忍者の末裔でヤクザの息子でいじめっ子な奴が父と武術の特訓をする大真面目ぶりも、いじめられっこが反撃する時のキレのいいアクションも本気すぎてヤバい感じがする。
監督は女子高生とマシンガンと残虐さと殺しと血と戯れながら映画で遊んでいる。
残虐ぶりなら、残虐マスター・メルギブの足下にも及ばないし、バカっぷりならスタローンやジョン・ウーや深作健太の方がもっと上を行っている気もするが、デキがそんなんでもないだけにむき出しの情熱が鮮血に変化して映画を埋め尽くして圧巻である。
ただし・・・やはり、この種の映画の常として、最初からテンションほぼMax状態にしてしまったがゆえに、ハイテンションを持続しているにもかかわらず、単調で慣れてしまってやや飽きてくる。
いきなりハイテンションで始まってしまった作品なら、クライマックスはモブシーンにするとかしてほしかった。まあ、モブシーンは予算的に無理だろうから、せめてストーリーだけでも国家レベル~地球レベルの域に膨らませて欲しかった。
いきなりクライマックスで盛り上げて、あと逃げ切る・・・というパターンの映画もないではないが、基本的にはオープニングのアクションは中盤と同等の迫力、クライマックスに一番迫力のあるアクションを・・・とするのがアクション映画の定石であろう。
「片腕マシンガール」はオープニングから女子高生が鎌とマシンガンでいじめっ子中学男子を惨殺する場面から始まる。
オープニングからしてそんなロクデモナイ感全開だが、中盤にいくにつれ悪のりはさらにエスカレートしていく。
斬られるシーンでは基本的に血が噴水のようにほとばしり、体がバラバラになったり、縦に真っ二つになったり、「母さん、リンスくれよ」という男(悪党)に彼の息子の首なし死体から吹き出す血をかけてやったり、血みどろアイデアには事欠かない。
いい奴も悪い奴もさくさくと簡単に死に、主人公も腕に日本刀を突き刺され、拷問で指を切り落とされ、さらに腕ごと切り落とされ、そのたび全身の血がなくなるんじゃないかという勢いで血が吹き出す。
テンション上がりっ放しではあるが、すっかり血なれしてしまったことと、シンプルな復讐物語に終始したため、クライママックスくらいになると少し飽きてしまった。
ドリルブラ
の抱きつき攻撃で乳房をぐしゃぐしゃにされ血だらけになるマシンガールの姿はクライマックスに相応しい凄惨さではあるのだが、ドリルが胸(マシンガールのセーラー服は破れピンクのブラが露になっている)に迫るショットを見せられると、血より前に見せて欲しい部分に思いを馳せたりしてちよっと肩透かし感があるのだ。
そしてさらに残念なのは、わざと突っ込みどころを残す中途半端さであろうか
例えば以下の二つ
『天ぷらの衣のモトに腕を突っ込んだ女子高生は、その腕を敵によって油の中に突っ込まれる。
すると腕はまるでパン粉をまぶしてあげたようなカツ状態になる。しかも腕全部が入るほどのフライパンではないのに。』
『マシンガールに殺された中学生(いじめっ子)の親たちが、我が子の復讐のため忍者軍団の手先となり、我が子の遺影を胸と背中につけてマシンガールに襲い掛かる。マシンガールはマシンガンを撃ちまくるが効かない。「そんな、遺影の下に防弾チョッキを付けていたなんて・・・」と判りやすい説明台詞を喋ってくれるマシンガール。しかし復讐鬼と化した親たちの中に1人、明らかに裸に遺影をペイントしている奴がいる。』
・・・などなどは、「ここ突っ込みどころだよ。なんでやねんって突っ込んで、笑って」と言わんばかりで個人的には少し気に入らない。
バカなことをやっていると自覚しているのがかいま見える。
歴史的バカ映画名作「男たちの挽歌2」や「バトルロワイヤル2」にはバカやってますという自覚が全く感じられない。突っ込みどころを一つも作らず、しかしながら全てが突っ込みどころとなっている。
バカ映画にギャグ不要。本気に勝る笑いなし。
しかしそれでも「片腕マシンガール」には逃げずに自分の好きな表現と取っ組み合う作家の情熱があふれており、日本映画では滅多に得られない精神の高揚が感じられる必見の傑作であることは間違いない。
片腕マシンガール"アミ"を血みどろで熱演した八代みなせ
は、記憶に残る女優となった。このキャリアに誇りをもってこれからの女優人生を駆け抜けていってほしい。
最後にいくつか印象的だった台詞を(すべてうろ覚え)
「俺は金が欲しいんじゃない。お前たちの苦しむ姿が見たいんだ」
「暴力は憎しみの連鎖を生むだけよ」
「己以外は全て敵だと思え!!」
「敵、すなわち奴隷ですね!!」
「そのやさしさがお前の弱点だ」
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