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ヒッチコックからヴァーホーヴェンへ

2007-07-01 09:00:41 | 映評でなく、映画についてのエトセトラ
トリュフォー著「ヒッチコック映画術」より
(「サイコ」のオープニングに関してのヒッチコックの言より)
「実際、できるものなら、ジャネット・リーはこのシーンでブラジャーをつけていない方がよかったと思う。このシーンをとくに不道徳にして淫らな刺激を楽しむつもりはないけれども、しかし、彼女のむき出しの乳房が男の裸の胸とこすれあうというすばらしいシーンができたろうと思うね。」

ヒッチコックが映画の倫理制約の強くない時代に生まれていれば、たがが外れてヴァーホーヴェンになったのかもしれない。
死体も裸も大好きなヒッチコックは時代の制約から、それを直接的には描かず喚起させる描写にすることで、人々から名匠と認知されるようになった。
ヴァーホーヴェンは直接的に死体や裸を描くことで名匠とは思われていない。
でもヒッチはホントはヴァーホがやりたかったんだ。
エロとグロという表現方法を奪われたが故にヒッチは芸術家となり得た。
逆にヴァーホが40年50年代に活躍していればヒッチになったのかもしれない。

でも今の時代に求められているのは、お上品なヒッチではない。
ひたすらに下品なヴァーホだ。
時代ともに要求の変化していく映画に対しヴァーホは敏感なアンテナを持っていたのだ。

ヴァーホが「鳥」をリメイクしたら壮絶な映画になったろうが、ある意味「スターシップ・トゥルーパーズ」がヴァーホ版「鳥」なのかもしれない。

「氷の微笑」といい「ブラックブック」といい、たがが外れたヒッチコックムービーのような映画を撮るヴァーホーヴェン。
制約の解かれた結果、ヒッチコックには想像もできなかったような爆発的な反応(正と負の感動の激しい振幅)が起こっている。映画はこうやって進化していくのだ。

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2 コメント

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こちらにコメントをしました~ (aq99)
2007-07-05 19:40:43
なるほど~、ヒッチは生まれた時代が不幸やったゆえに、名声を得たわけか~。
面白い考察ですな~。
「ブラック・ブック」のヒットで、やりたい放題ができそうなヴァーホーヴェンの次作が、楽しみですな~。


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コメントありがとうございます (しん)
2007-07-10 01:55:51
>aq99さま
ブラックブックに興奮感動して勢いで書いた記事にコメントしてくださってありがとうございました。
ヴァーホの次作楽しみです。
全ての日本映画をヴァーホが撮ったらどんなに面白くなるだろう・・・などと考えたりもします。
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