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映画ブロガーら有志23名による「10年代映画ベストテン」発表!

2010年代(上半期)映画マイ・ベストテン 外国映画篇

2015-02-07 12:44:52 | 私の映画年間ベスト
そういえば2010年から始まった10年代(という強引なくくり)が5年をすぎて折り返し点にきました。
以前に映画ブロガー37名にご協力いただき、00年代(2000~2009)映画ベストテンという企画をしたことがありまして、それを思い出しながらふとこの5年の映画総括をしてみようと思いました。
映画ブロガーによる00年代(2000~2009)映画ベストテンは以下記事からどうぞ
 ブロガーによる00年代(2000~2009)映画ベストテン TOP

しかし、映画全然観てないなと恥ずかしい思いを噛み締めながら、私の10年代上半期のベストテンです。
まずは外国映画から

2010年代のマイベスト映画(中間発表)
外国映画篇
1位 「キック・アス」
2位 「6才のボクが、大人になるまで。」
3位 「スコット・ピルグリムVS邪悪な元カレ軍団」
4位 「私が、生きる肌」
5位 「エクスペンダブルズ2」
6位 「エレニの帰郷」
7位 「ゼロ・グラビティ」
8位 「ソーシャル・ネットワーク」
9位 「アデル、ブルーは熱い色」
10位 「宇宙人ポール」
次点 「127時間」

ベスト監督
エドガー・ライト

ベスト女優
クロエ・グレース・モレッツ

ベスト男優
サイモン・ペグ

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並べてはみたけれど、「ポール」ではなく「第9地区」にすべきではないか?アルモドバルなら「私が、生きる肌」より「抱擁のかけら」の方がオススメではないか?ウディ・アレンの「ミッドナイト・イン・パリ」を外すのはやっぱりダメだろ?とか「トイストーリー3」を外したことに罪の意識を感じたり、色々モヤモヤするのはこのテのランキングの常ではありますが、まずまずの粒ぞろいではあると思います。

「127時間」2012 ダニー・ボイル

この映画観てからは、山に出かける前は必ず自分の行動予定を人に伝えておこうと心に誓い実践している。
鑑賞直後はナイフの使い方とロープの結び方を勉強しようと思ったけどそれはまだ。ナイフとロープと情報が生死を分ける。

「宇宙人ポール」2011 グレッグ・モットーラ

SF代表。って代表がこれでいいのか?!けれどもいつ思い返してもニヤニヤが止まらない80年代SFファンタジーで育った人はみんな見て欲しい傑作。随所に立ち込める本気臭と危ない笑いも素晴らしい。

「アデル、ブルーは熱い色」2014 アブデラティフ・ケシシュ

演技、という次元を超えた2人の女。まだあの2人の息づかいが聞こえてくるかのように強く心に残る

「ソーシャル・ネットワーク」2011 デビッド・フィンチャー

フィンチャーなら「ドラゴンタトゥーの女」や「ゴーンガール」の方が個人的には好きなのかもしれない。と思いつつこれをあげたのは、これだけFacebookのお世話になっておきながらFacebook創業者の映画をランクインさせないのは道義にもとるってもんだっていうか時代を反映した作品って気がしたから。

「ゼロ・グラビティ」2013 アルフォンソ・キュアロン

時代の反映といえば、これもまさにそうで、宇宙映画はゼロ・グラビティ以前と以後に別れるに違いないと思うほどの映像革命で、2010年代はゼロ・グラビティが開いた特撮映画新時代なんだと思うんだ。

「エレニの帰郷」2014 テオ・アンゲロプロス

本来2008年の作品で日本公開も2009年に予定されていた。色々な事情で10年代の半ばにずれ込んだ作品。時代を反映していた前2作品とは真逆に前時代の亡霊のような作品。それもどの作品にも亡霊のようなもの哀しさを刻んだアンゲロプロスらしい。遅れてきたけどやっぱり素晴らしかったアンゲロプロス作品。今は亡き巨匠を偲んでこの位置に。

「エクスペンダブルズ2」2012 サイモン・ウェスト

急に知能指数急降下な作品を持ってきてしまったが、考えてみると2010年代に劇場に2回観に行ったのこれだけだよ。
脚本や演出ならスタローンが自分で監督した第1作(2010年)の方が色んな意味で壮絶だったけど、「2」のお祭り感全開の方がやはり楽しい。
スタ、シュワ、ブルースの3人横並びマシンガンのカットを観た時に80年代アクション映画小僧魂が再点火するのを感じた。自分の人生は間違ってなかったと教えてくれたような気がした。80年代スタローン嫌いだったけど今やむしろリスペクト。
さすがにその後のシュワとの共演が当たり前になったような2作品はマンネリ感否めずだけど

「私が、生きる肌」2012 ペドロ・アルモドバル

巨匠と言われる監督には2種類あって、ピラミッドの頂点に立ってるタイプ、スピルバーグや黒澤明が代表例で、いずれ後継者にその座を奪われるタイプ。
もう一つが孤高型というか、誰にも代わりがつとまらないタイプの人。
小津とかキューブリックとかアンゲロプロスがそうだと思っていたけどアルモドバルもその一人だと、「私が、生きる肌」を見てわかった。
10年代アルモドバルには「抱擁のかけら」というわりと王道メロドラマ的な傑作もあってそちらの方が人にはオススメしやすい。
けど「私が、生きる肌」の狂気の方が衝撃は大きい。こんなにアルモドバルを大好きで尊敬してた俺をドン引きさせた。価値観も倫理観も破壊されてしまうような恐怖を感じたのは初めてだった。
これを観た後はキム・ギドクやラース・フォン・トリアーが狂ったふりしてるだけのただの痛い奴らに思えてきたくらいだ(だからと言って「サマリア」や「ダンサー・イン・ザ・ダーク」が傑作であることに変わりはないけれど)


「スコット・ピルグリムVS邪悪な元カレ軍団」 2011 エドガー・ライト

もしかしてこの映画をここまで評価するのは世界中で私だけかもしれない。
エドガー・ライトなら「ショーン・オブ・ザ・デッド」や「ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!」の方が面白いよと言われれば否定はしない。
またテンション高すぎな映画なだけに2~3度繰り返し観ると飽きてくる感も否めない。でもこの打ち上げ花火のような楽しさ。先の全く読めないストーリー展開なのに全く申し分のないラストにぴたり着地する見事さ。テレビゲーム世代狙い撃ちなオタク気質、全て大好き。この5年間で映画鑑賞中に感じた幸福感なら断トツに一番だったから

「6才のボクが、大人になるまで。」 2014年 リチャード・リンクレイター

映画をたくさん観ていると時々奇跡が起こってしまった作品に出会う。こんな傑作になっちゃうなんて作った本人もビックリな作品。
いや、奇跡なんかじゃないのかもしれない。少なくとも12年間かけて作品を完成させたことに関しては監督とプロデューサー、キャスト、スタッフたちの信念と努力の結果だ。
そしてアクション映画でもSF映画でもスペクタクルでもないジャンルで映画でなければできない表現を堪能させてくれた。映画って深い。

「キック・アス」 2010年 マシュー・ボーン

でも、なんだかんだで、この5年間で面白かった映画といえば…って考えて真っ先に思いついたのは「キック・アス」だった。
ヒットガールが暴れる全てのカットを愛して止まない。
まともな大人なら作ってはいけないような映画である。
10才の少女が屈強な大人どもを切り刻みぶちのめし撃って撃って惨殺する。少女による容赦ない暴力描写の狂いっぷりは他に類を見ない。それでいてキュートで萌え萌えなヒットガール。今のところ私的映画史上ベストワンヒロインである。
ヒットガールとビッグダディの「パパに撃たれた時より痛かった」「パパは火薬を少なくしていたからね」「パパは世界一優しいのね」っていうよく考えるまでもなく間違っている感動シーンに泣いた瞬間をいつまでも忘れない。
それにしてもこうして5年間のベストを俯瞰するとオタクの映画が好きなんだと思う。オタクであることを肯定するにせよ否定するにせよ、ある種のオタクを扱った映画に深く心を揺さぶられた5年間だった。

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2010年代上半期 監督ベスト3
1位 エドガー・ライト「スコット・ピルグリムVS.邪悪な元カレ軍団」「ワールズエンド 酔っ払いが世界を救う」
2位 ペドロ・アルモドバル 「抱擁のかけら」「私が、生きる肌」
3位 デビッド・フィンチャー「ソーシャル・ネットワーク」「ドラゴン・タトゥーの女」「ゴーン・ガール」

単にいい映画を撮った人よりも、監督として意識した人という観点で選ぶとこのようになった。エドガー・ライトに一番ココロときめいている。けど全盛期はゼロ年代だったかもしれない。
アルモドバルにはエンタメ度外視で狂い続けてくれることを期待しつつ、フィンチャーには狂いながらのエンタメ成立を期待する。要は狂った作家が好きなのである。

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2010年代上半期 女優ベスト3
1位 クロエ・グレース・モレッツ「キック・アス」
2位 マリオン・コティヤール「ミッドナイト・イン・パリ」「ダークナイト・ライジング」
3位 アデル・エグザルコプロス「アデル、ブルーは熱い色」


クロエちゃんを一位に推す理由は「キック・アス」のコメントで語り尽くした。ただそれ以降「キック・アス」の続編を含めて役に恵まれていないのが残念だ。せっかく倫理的道徳的に普通じゃない役を演じていい免罪符をもらったのに。あの暴力とキチガイが大好きなスコセッシまで自身の映画史上もっとも暴力のない映画でクロエちゃんを使う(ヒューゴの不思議な発明)。ホワイトハウスの陰謀を疑うくらいクロエちゃんは普通化させられている。みんなでクロエちゃんを良識ある世界から守れ!
マリオンさんはできる男が溺れるタイプのいい女っぷりを発揮し続けてくれて嬉しい。
演技でいえばアデルちゃん以上の演技は観ていない。
次点はペネロペ・クルス

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2010年代上半期 男優ベスト3
1位 サイモン・ペグ「宇宙人ポール」「ワールズエンド 酔っ払いが世界を救う」
2位 フィリップ・シーモア・ホフマン「ザ・マスター」「誰よりも狙われた男」
3位 チャック・ノリス「エクスペンダブルズ2」


ここ数年で出演作を見るのが一番楽しみだったのはサイモン・ペグだ。もちろん本心はニック・フロストとのカップル受賞。
フィリップ・シーモア・ホフマンという稀有な俳優を失ったことは非常に残念だ。追悼の意味もこめて第2位。
チャック・ノリスは演技とか活躍とかでなく一番ネタ的に面白かったから。通りすがりのチャック・ノリスが敵の大軍を全滅させてくれるっていうピンチの切り抜け方があったのか!!脚本の勉強になった。

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続きまして日本映画篇へ

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自主映画制作団体 ALIQOUI FILM
最新作「チクタクレス」

 小坂本町一丁目映画祭Vol.12 入選
 日本芸術センター映像グランプリ ノミネート

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