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映画ブロガーら有志23名による「10年代映画ベストテン」発表!

2010年代映画ベストテン 【5】分析

2020-03-21 00:33:00 | 映画ブロガーとSNS映画レビュアーによる10年代映画ベスト
ブロガー&SNS映画レビュアーの10年代映画ベストテン
投票内容の分析のページ

せっかく映画についてのたくさんのデータが得られたので、以下のように色々と分析のようなことをやってみました。

1) ブロガーによる10年代映画ベスト 監督別ランキング
2) ブロガーによる10年代映画ベスト 偏愛度あるいは熱狂度(平均点)ランキング
3) 主要映画賞との親和性


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1) ブロガー&SNS映画レビュアーの10年代映画ベスト 監督別得点ランキング

10年代の監督の活躍度を測るために、映画ベストの得点を監督ごとに集計した
個人部門の監督賞集計とはまたちがった10年代の一面が見えてくる


【10年代日本映画 監督別得点 ベスト10】
1位 片渕須直 [113点/2作品](『この世界の片隅に』『この世界の(さらにいくつもの)~』)
2位 是枝裕和 [98点/5作品](『万引き家族』『三度目の殺人』『海街diary』『海よりもまだ深く』『そして父になる』)
3位 沖田修一 [48点/4作品](『横道世之介』『キツツキと雨』『滝を見に行く』『モリのいる場所』)
4位 新海誠 [40点/3作品](『君の名は。』『天気の子』『言の葉の庭』)
5位 庵野秀明 [38点/2作品](『シン・ゴジラ』『ヱヴァンゲリヲン劇場版:Q』)
6位 濱口竜介 [31点/2作品](『寝ても覚めても』『ハッピーアワー』)
7位 中島哲也 [28点/1作品](『告白』)
8位 塚本晋也 [26点/1作品](『野火』)
9位 白石和彌 [25点/2作品](『彼女がその名を知らない鳥たち』『孤狼の血』)
9位 吉田大八 [25点/1作品](『桐島部活やめるってよ』)

他に4作品以上投票されている監督には、園子温(21点)、吉田恵輔(16点) がおりました

意外と言うと失礼ですが、『横道世之介』の解説でも書きましたが、沖田修一監督が、新海誠監督らを抑えて3位に入っています。
沖田監督はデビュー作の『南極料理人』から外れなしの安定感がありました。個人的見解ですがツ〇〇〇〇〇コ監督や、フ〇〇〇〇〇チ監督の映画なんかよりはるかに観る価値も撮る価値もありもっと売れるべき監督だと思います。20年代のブレイクを期待します。


【10年代外国映画 監督別得点 ベスト10】
1位 クリストファー・ノーラン [70点/3作品] (『インセプション』『インターステラー』『ダンケルク』)
2位 ジョージ・ミラー [47点/1作品] (『マッドマックス 怒りのデスロード』)
3位 ケン・ローチ [42点/3作品] (『わたしはダニエルブレイク』『家族を想うとき』『天使の分け前』)
4位 マーティン・マクドナー [36点/1作品] (『スリービルボード』)
5位 アルフォンソ・キュアロン [34点/2作品] (『ゼログラビティ』『ROMA』)
6位 アンソニー・ルッソ&ジョー・ルッソ [32点/1作品] (『アベンジャーズ エンドゲーム』)
7位 クリント・イーストウッド [27点/4作品] (『アメリカンスナイパー』『ジャージーボーイズ』『インビクタス』『運び屋』)
8位 ラージクマール・ヒラーニ [23点/1作品] (『きっと、うまくいく』)
9位 S・S・ラージャマウリ [21点/2作品] (『バーフバリ 王の凱旋』『バーフバリ (シリーズとして)』)
9位 デミアン・チャゼル [21点/2作品] (『ラ・ラ・ランド』『セッション』)

他に3作品以上が投票されている監督は、ライアン・クーグラー(17点)、ダニー・ボイル(15点)、ドゥニ・ビルヌーブ(12点)、ジェームズ・マンゴールド(9点) でした

ベストテンだと8位に過ぎなかったケン・ローチ監督が監督別点数合計だと3位になっており、なるほどベスト監督部門で2位になるほどの活躍だったのだとわかります。
イーストウッドはテン入りはないのに監督別だと第7位で、4作品も投票されているのはやっぱすごいです。やっぱり「映画監督といえばクリント」感はありますもんね。
にしても爺さんたちは元気です。
そして、S・S・ラージャマウリ監督です。『バーフバリ王の凱旋』と『バーフバリ』シリーズへの票の分散が起こりました。今回はシリーズへの投票を可能とする一方でシリーズへの投票と個別作品への投票は合算しないというルールを設けました。アベンジャーズなんかは投票した全員が『エンドゲーム』を指定しての投票だったたのですが、バーフバリは分散により割を食った感じになりました。合計は21点だからベストテンの9位相当の得点だったのです。ただバーフバリは二つで一つの感動がある作品だったので、『王の凱旋』だけでなく、シリーズとして投票したいという気持ちもわかります。


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2) ブロガー&SNS映画レビュアーの10年代映画ベスト 偏愛度あるいは熱狂度(平均点)ランキング

ここでは映画に対する偏愛度あるいは熱狂度を測るバロメーターとして「平均点」を取り上げてみる
つまり得点を投票人数で割った値。投票3名以上の作品を対象とした

【10年代日本映画 平均点ランキングベスト5】
1位 『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』(平均9.4点/投票5人)
2位 『この世界の片隅に』(平均7.33点/投票9名)
3位 『団地』(平均7.33点/投票3名)
3位 『ビジランテ』(平均7.33点/投票名3人)
5位 『かぐや姫の物語』(平均7.0点/投票3名)
5位 『横道世之介』(平均7.0点/投票3名)


3人が投票すればけっこう上位にくる今回の企画の中で11名もの人が投票した『万引き家族』は総合点は非常に高かったわけですが、平均点で見ると5点台。べストワンに挙げた人はおらず、テンの下の方に入れる人も多く、10年代を代表する映画には違いないのですが、そこまで熱狂的に迎えられている感じはありません。それに比べると『この世界の』の熱狂ぶり、特に『(さらにいくつもの)』の熱狂ぶりはすさまじいものがあり、10年後も語り草になっている映画というのは、こういう作品なのだろうと思います。


【10年代外国映画 平均点ランキングベスト】
1位 『インセプション』(平均8.5点/投票4人)
2位 『マッドマックス 怒りのデスロード』(平均7.83点/投票6名)
3位 『きっと、うまくいく』(平均7.67点/投票3名)
4位 『インターステラー』(平均6.67点/投票名3人)
4位 『わたしは、ダニエル・ブレイク』(平均6.33点/投票3名)


外国映画は評割れが激しく3人以上縛りだと、こんな感じに。ベストテンとあまり変わりませんが、改めてマッドマックスとインセプションはただ大勢が支持しただけでなく、熱狂的にも支持されていたのがうかがえます


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3) ブロガー&SNS映画レビュアーの10年代映画ベスト 主要映画賞との親和性

【アカデミー賞】
外国映画ベストテン作品にアカデミー賞作品賞受賞作が一つもありませんでした。
監督賞まで拡大してようやく『ゼロ・グラビティ』がくるくらい
作品賞ノミネートで考えると、『マッドマックス』『スリービルボード』『インセプション』『ゼログラビティ』『6才のボクが、大人になるまで。』と5作品になりますが。
個人的見解ですがこの10年のアカデミー作品賞受賞作って、そこまで刺さるものが少なかった気がしないでもなく・・・
といっても前回ディケイドの00年代ベストもアカデミー作品賞受賞作というと「ミリオンダラーベイビー」と「ロードオブザリング」だけだったので、傾向としてはそんなに変わってないのかもしれません。

今回の企画での、アカデミー賞作品賞監督賞受賞作の順位を見てみます
2009作品監督 ハートロッカー ⇒投票なし
2010作品監督 英国王のスピーチ ⇒投票なし
2011作品監督 アーティスト ⇒126位
2012作品 アルゴ ⇒投票なし
2012監督 ライフオブパイ ⇒15位
2013作品 それでも夜は明ける ⇒投票なし
2013監督 ゼログラビティ ⇒6位
2014作品監督 バードマン ⇒144位
2015作品 スポットライト ⇒投票なし
2015監督 レべナント ⇒94位
2016作品 ムーンライト ⇒144位
2016監督 ラ・ラ・ランド ⇒34位
2017作品監督 シェイプオブウォーター ⇒投票なし
2018作品 グリーンブック ⇒126位
2018監督 ROMA ⇒26位
2019作品監督 パラサイト ⇒投票なし(日本公開2020だから当然ですが)

『ハートロッカー』『アルゴ』『シェイプオブウォーター』なんかは上位に来るだろうと、なんとなく思っていたので(わたしの好みでなく世評という点で)、3つともゼロ投票だったのは意外でした。
全体的に作品賞受賞作より監督賞受賞作の方が評価が高い傾向が見えます。トータルの完成度より作家性を求めている人が多いのかもしれません。


【日本アカデミー賞】
それに比べると日本アカデミー賞とは意外にも相性がよく、日本映画ベストテンのうち『万引き家族』『シン・ゴジラ』『告白』『桐島、部活やめるってよ』の4作品が作品賞受賞作となっております。
なんとなく、日本アカデミーを白い目で見る人が多い気がしないでもないですが、こうして見返すとこの10年は割といい作品を評価してるので、まあ、優しい目で見てあげてください

一応日本アカデミーの作品賞受賞作の当企画での順位も確認しましょう
2010年 告白 ⇒5位
2011年 八日目の蝉 ⇒58位
2012年 桐島、部活やめるってよ ⇒7位
2013年 舟を編む ⇒投票なし
2014年 永遠の0 ⇒投票なし
2015年 海街diary ⇒24位
2016年 シンゴジラ ⇒4位
2017年 三度目の殺人 ⇒81位
2018年 万引き家族 ⇒2位
2019年 新聞記者 ⇒投票なし


【キネマ旬報と映画秘宝】
さて映画雑誌系です。
キネ旬1位作品は
『この世界の片隅に』『万引き家族』『マッドマックス』『スリービルボード』『わたしは、ダニエル・ブレイク』と20作品中5作品。キネ旬2位作品まで拡大するさらに6作品増えて11と、ますまずの親和性です。
10年前の00年代ベストの際はだいぶキネ旬と相性のいい結果が出ていたので、今回もあまり驚きません。

さて映画秘宝誌ベストとの親和性です。
10年前の企画では秘宝とあまりかぶらなかったのですが、今回はわりとかぶっています。
映画秘宝ベストワン作品は『シン・ゴジラ』『マッドマックス』『キック・アス』です
一見すると外国映画テンは秘宝っぽく見えたのですが、キネ旬と秘宝足して二で割ったような感じというほうがより近い気がします

もっとも2015年くらいから、なんとなくキネ旬ベストと秘宝ベストがだいぶ似通ってきたように思います。

2012年、秘宝1位が『ザ・レイド』でキネ旬は『ニーチェの馬』だったり、2013年は秘宝1位が『パシフィックリム』でキネ旬1位は『愛、アムール』だったりと、この頃の2誌はきちんと住み分けができていました。
(個人的見解ですが『ニーチェの馬』みたいなくそつまんねー眠い映画を1位にしていたキネ旬は嫌いじゃなかったです)
しかし2015年に両誌が『マッドマックス』を1位にして、16年は『シンゴジラ』と『この世界』で1位2位が逆、19年も『ジョーカー』と『ワンハリ』で1位2位が逆と、かなり似た傾向になってきていました。
もっともこれは映画界自体の傾向なのかもしれませんが(アカデミー賞でマッドマックスやジョーカーのような作品が毎年作品賞候補になってシェイプオブウォーターが受賞するなんて20年前は想像もできないことでした)

当企画のベストテン作品のキネ旬、秘宝での順位と、アカデミー賞などでの受賞歴を参考までに
(キネ旬・秘宝でベストテン圏外だった作品の順位まで追っておりません)


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10年代の主要映画賞をまとめました。アカデミー賞作品賞と外国語映画賞の全ノミネート、3大映画祭の最高賞一覧、キネ旬と秘宝のベストテンリスト、日本アカデミー賞の優秀作品賞一覧になっております
参考資料 2010年代主要映画賞 2010〜2014
参考資料 2010年代主要映画賞 2015〜2019

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