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映像作品とクラシック音楽 第72回『ライムライト』とチャップリンの音楽

2022-10-01 07:31:00 | 映像作品とクラシック音楽

今回はチャップリンを取り上げます

クラシック音楽とチャップリンと言えば、だれもが『独裁者』のハンガリー舞曲の床屋のシーンを思い浮かべると思いますが、ここではクラシック音楽ではないですが『ライムライト』を取り上げます

 

チャップリンは生涯で3回アカデミー賞を受賞していますが、いわゆる主要部門、つまり作品賞、監督賞、脚本賞、主演男優賞は一度も受賞していません。

3回のうち2回は「名誉賞」で、あと一回が実は「作曲賞」になります。

作曲賞は1973年に『ライムライト』の音楽に対して授与されました。

ところが『ライムライト』の初公開はロンドンで1952年でした

20年もたってからの受賞理由はといえば、ロサンゼルスで『ライムライト』が初公開されたのが20年もたってからの1972年だったからです。

じゃあなんで初公開まで20年かかったのか

まず直接的には、その前年のアカデミー賞でチャップリンが2度目の名誉賞を授与されてえらく盛り上がりチャップリン再評価の機運が高まり、アメリカで未公開作品が公開されたから。

そのさらに遠因を探れば、チャップリンは映画人としては尊敬されていましたが、アメリカではある時期政治的に嫌う人が多かったのです。

おりしも『ライムライト』公開の1952年は赤狩りの嵐が吹き荒れるころ。非米的だと叩かれていたチャップリンは制作した『ライムライト』の舞台であるロンドンでワールドプレミア上映をしようとアメリカを出国。イギリス国籍のままでアメリカの市民権はあえて持たなかったチャップリンに対して、アメリカ政府は再入国を認めない旨を通達。

チャップリンもアメリカに戻ろうとはせず、以降ヨーロッパで活動を続けます。久しぶりにアメリカから招かれてハリウッドの地に立ったのが1973年のアカデミー名誉賞受賞の時というわけです。

 

そんなゴタゴタから『ライムライト』はアメリカでは公開されませんでした。チャップリンバッシングの中公開してもヒットはしないだろうというアメリカの配給会社の判断もあったかもしれません。

 

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ところで私はチャップリンで一番好きな映画は?と聞かれると断然『ライムライト』です

いやいや、そんな説教臭い映画はだめだよ、チャップリン好きなら黙って『黄金狂時代』でしょって意見もわからんではないです。

『モダンタイムス』も『街の灯』も『独裁者』ももちろん大好きです

しかし、『ライムライト』は何回見ても、あらゆる台詞が、あらゆる場面が、もちろん物語も、心にぶっ刺さります。私の生涯ベストクラスの映画です。

 

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かつてのコメディスターで今は落ちぶれながらも細々とコメディ役者を続けている男が、同じアパートで自殺未遂を図ったバレリーナを目指す若い女性を立ち直らせて、自分も燃え尽きようとする命の最後の瞬間にかつての輝きを取り戻すというストーリーです。

 

終盤かつての芸人仲間でライバルだった男と舞台で共演するのですが、その共演者がチャップリンと同時代に人気を二分したコメディスターのバスター・キートンです。チャップリンとキートンの共演なんて、後世における『エクスペンダブルズ2』でのスタローンとシュワルツェネッガーの共演くらいの夢の組み合わせでした。今ならバットマンとスパイダーマンとか、ゴジラとガメラとか、まだ実現していない夢の組み合わせに近いものがあります。ゴジラとウルトラマンとかあ、これはほぼ実現していたかま、その話は置いといて

 

そうした良さももちろんありますが、『ライムライト』の魅力は何といってもチャップリンの人生そのものが映画になったようなところでしょう。この作品でのチャップリンの台詞は全部が名言に聞こえます。

有名なものだけいくつか

 

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この人生はどんなにつらくとも生きるに値する

そのために必要なものは、勇気と想像力、そしてほんの少しのお金だよ

 

死が避けられないように、生きることも避けられない

 

宇宙の何よりも尊い生きるという奇跡を消すな。星に何がある?ただ空をめぐっているだけだ。

 

そうだ人生は素晴らしい。恐れさえ持たなければ

 

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そして本作のもう一つの魅力が、前述のアカデミー賞に輝く音楽です

監督・主演・音楽の3役をこなす有名スターって、チャップリンのほかにはクリント・イーストウッドくらいしか思いつかないですね(ミュージシャン出身監督で探せば何人か出てくるかもしれませんが)

そんなチャップリンの音楽の才能を堪能できる作品が『ライムライト』だと思います。ヒロインであるテリーのテーマ、またの曲名を「Eternally」は何度聞いても涙ぐむような美しさです。

私はこの曲をこんな風に考えてました。今やほとんどクラシック音楽扱いで有名な指揮者やパフォーマーによる録音がさぞ沢山あるのだろうと。しかしタワレコで探した限りではあんまり見つかりませんでした。

仕方なくってわけでもないですが、結局オリジナルサントラのアルバムを買いました。録音年代が古いこともありいい音質とは言えませんが、それでもやっぱり涙ぐむような美しいメロディでした。

写真のアルバムですが、チャップリンの主要どころの作品や、『独裁者』に使われたハンガリー舞曲も、『モダンタイムズ』の名曲「スマイル」も聴けて、『モダンタイムス』や『ライムライト』でのチャップリンの歌声も聴けてかなりお得感あります。『ライムライト』の音楽もっと長い演奏で聴きたかったなあってのありますが

ボーナストラックで『独裁者』の最後の演説も聴けちゃいます。もちろん英語ですが厚い魂からの叫びが響いてくるようで感動してしまいます

 

『ライムライト』のテリーのテーマ、YouTubeで拾った音源を貼っておきます



ライムライトのテーマならこの人のこの演奏いいよってのありましたら、お教えいただければ幸いです。

 

それでは今回はこんなところで!

また素晴らしい映画と音楽でお会いしましょう!


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